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VOYCEによる自民党「日本国憲法改正草案」英語全訳のご紹介

 今晩(2016年6月17日)配信した「メルマガ金原No.2490」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
VOYCEによる自民党日本国憲法改正草案」英語全訳のご紹介

 一昨日(6月15日)、自民党日本国憲法草案」を批判する講演レジュメをアップしたばかりですが(自民党「日本国憲法改正草案」批判レジュメ~2016年参院選直前ヴァージョン)、今日は、その自民党改憲案の英語全訳をご紹介します。
 自民党日本国憲法改正草案」の英訳としては、あすわか(明日の自由を守る若手弁護士の会)による部分訳がありましたが、私の知る限り全訳は初めてではないかと思います。
 ちなみに、この全訳は、今年の3月には公表されていたようなのですが、私は、最近になって、NPJ(News for the People in Japan)リンクしてるのにようやく気がついた次第です。
 
 まず、この全訳を完成させた“VOYCE”とはどのような団体か、公式サイトの中の自己紹介を読んでみましょう。
 
WHAT’S VOYCE?
(引用開始)
 VOYCE (ヴォイス: Voices of Overseas Youth for Civic Engagement) は日本国内外で起きている様々な政治・社会問題について、日本社会の一員として積極的に向き合っていこうという共通の意思の下に集結した、日本国外にいる若者を中心とした集まりです。当初、私たちは「安全保障法制に反対する在外学生の意志を可視化させる」ことから活動を開始しました。しかし、日本の政治・社会問題は安全保障法制に限られたものではなく、人びとの自由を保障する民主的な社会を実現するためには、継続的な政治参加を呼びかけていく必要があると考えます。
(引用終わり)
 
 そして、今年の3月16日、自民党日本国憲法草案」を発表するにあたっての声明も読んでみたいと思います。
 
自由民主党による「日本国憲法改正草案」
英訳完成に当たっての共同声明

(引用開始)
 2012年に発表された憲法改正草案の英訳を行いここにまとめました。自民党は緊急事態の名の下に「言論の自由」と「表現の自由」を制限しようと努め、又、自衛隊を”国防軍”にアップグレードしようと試みています。さらに、このような内容の憲法改正案を計画すること自体がこの国の帝国主義という歴史を振り返り責を自覚するという行為からかけ離れているといえます。依然、この国が侵略的な軍国主義へとひた走り、自国の民を抑圧したという過去から学びとれることはたくさん残っています。
 現安倍政権がこの国に住んでいる人たちが直面している最も急を要する数々の問題を無視し続け、この目的を優先しているという状況は論外であると言えます。「自由」とさらに「民主主義」を政党の信義として掲げている政党がこのような、自由と民主主義を蔑ろにするような憲法改正を試みているということは非常に皮肉なことだと言えます。これまで日本国内において、多くの憲法学者法曹界関係者によって自民党による当改憲草案の危険性が指摘されてきました。日本の国内外に住む多くの人たちに対して自民党の理念の危険性を発信すべく、私たちはここに当改憲草案全文の英訳を掲載します。
 私達の英訳をご自由に掲載、引用、使用していただいて結構ですが、私たちが法学の専門家、もしくは翻訳家でないことをご理解ください。私たちはあくまでも、この危機的状況を多くの人々に知らせるために力を合わせた海外在住の若者の集まりです。当英訳文に関しましては、予め幾人の専門家の方々に読んでいただき修正点等のご指摘をいただいたので、大きな間違いはないとは思います。もし翻訳、又は解釈の点における間違い等が見当たりましたらお気軽にご連絡ください。
注)訳中の [Current] と [Draft] の文言はそれぞれ現行憲法自民党改憲草案に対応します。
 2016年3月16日
VOYCE (ヴォイス: Voices of Overseas Youth for Civic Engagement) 一同
※金原注:以下、25人の氏名、在住国、所属大学の引用は省略します。
(引用終わり)
 
 
 それでは、以下、自民党日本国憲法改正草案」のVOYCEによる英語全訳にリンクします。「翻訳、又は解釈の点における間違い等が見当たりましたらお気軽にご連絡ください。」に応えて意見を送るだけの力のある方は、是非読破していただければと思います。
 私は?とりあえずは最も関心のある条文が、どう英訳されたかを確認してみようと思います。まずは、何と言っても13条でしょうね。
 
 
日本国憲法 
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
 
[Current](現行憲法
Article 13. All of the people shall be respected as individuals. Their right to life, liberty, and the pursuit of happiness shall, to the extent that it does not interfere with the public welfare, be the supreme consideration in legislation and in other governmental affairs.
 
自民党 日本国憲法改正草案
第13条 全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。
 
[Draft](自民党改憲案)
(Respect, etc. for people as persons)
Article 13. All of the people shall be respected as persons. Their right to life, liberty, and the pursuit of happiness shall, to the extent that it does not interfere with the public interest and public order, be the supreme consideration in legislation and in other governmental affairs.
 
 皆さんも、関心を持つ条文(自民党改憲案)を英訳するとどうなるのか、個別にあたってみてはいかがでしょう。
 そして、海外を含めた多くの人々に自民党改憲案の実体を知ってもらうため、大いに「拡散」していただければと思います。