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wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

県に対する提訴を「たかり」と評した仁坂吉伸和歌山県知事に強く抗議する

県に対する提訴を「たかり」と評した仁坂吉伸和歌山県知事に強く抗議する
(配信日:2016年6月24日)

 参議院議員選挙の公示翌日の昨日(6月23日)、野党3党(共産、社民、生活)が推薦する無所属の新人で弁護士のゆら登信(たかのぶ)さんの個人演説会が有田郡湯浅町で開かれ、私が応援弁士の一人として演説をしたことは、昨日のブログでご紹介したとおりです(ゆら登信(たかのぶ)さんへの応援演説その1~6/23有田教育会館(有田郡湯浅町)にて)。
 
 ところが、同じ23日、さすがに現職の自民党公認鶴保庸介氏の個人演説会には、私のような無名の一弁護士などではなく、和歌山県知事その人が応援弁士に立ったというのですから豪華なものです。ただし、結果として、仁坂吉伸和歌山県知事を弁士に招いたことが良かったのかどうか、鶴保陣営でも判断に苦しんでいるかもしれません。
 
 既に多くの人はご存知かと思いますが、昨晩、多くの新聞(ほとんどが有力地方紙)のWeb版に一斉に掲載された共同通信配信の記事があり、一読した人を驚かせました。
 
47ニュース・共同通信 2016/6/23 22:44
和歌山県知事、野党候補を中傷 県に提訴は「たかり」

(引用開始)
 和歌山県仁坂吉伸知事は23日、事実上の野党統一候補として参院選和歌山選挙区に立候補した弁護士の無所属新人由良登信氏を念頭に「県から見たらたかりじゃないかなという案件(裁判)でいつも出てくる」と批判した。
 和歌山市で開かれた自民党現職鶴保庸介氏の個人演説会に応援弁士として出席し発言した。
 仁坂知事は県が裁判を起こされると対応に税金がかかると指摘した。
 仁坂知事の発言に関し由良氏は「事実であれば、知事の発言は行政訴訟における弁護活動を理解していないもので、撤回し謝罪すべきだ」とのコメントを出した。
(引用終わり)
 
 鶴保氏のホームページによれば、6月23日のスケジュールの中で個人演説会が行われたのは、
  18:30~ みどり幼稚園(和歌山市東高松3丁目3−30)
  19:00~ ルミエール華月殿(和歌山市屋形町2丁目10)
の2箇所でしたから、仁坂知事が弁士を務めたのは、多分華月殿の方だったのでしょうね。
 
 今のところ、実際の録音を耳にした訳ではなく、裏付けがとれたとは言えませんが、当然、この記事を書いた共同通信の記者は、知事の発言をICレコーダーで録音しているはずですし、これだけの内容の記事を書く以上は、何度も録音を聴き直して確認したに決まっています(私が共同の記者なら絶対にそうします)。
 配信する記事の見出しに「中傷」という言葉を付けるのは1つの「決断」だったと思いますが、取材した記者だけではなく、共同通信和歌山支局全体として、「中傷」という見出しを付けて至急全国に配信すべきニュースであると判断したものでしょう。
 知事という、この県の最高権力者におもねることなく、ニュース価値を正しく評価して直ちに配信した共同通信和歌山支局に深く敬意を表したいと思います。
 
 なお、共同通信以外で、この暴言を伝えたのは産経でした。こちらも引用します。共同と産経のどちらの配信が早かったのか、両社とも「中傷」という言葉を見出しに用いたのは全くの偶然か、今のところ確認はとれていませんが、いずれにせよ、産経新聞和歌山支局に対しても、共同と同じように、メディアとしての使命を果たした記事を配信されたことに対し、敬意を表します。
 
産経WEST 2016.6.23 22:43
知事が野党弁護士候補を中傷 県相手の訴訟に「いつも出てくるたかり」 名前は言わず

(引用開始)
 
和歌山県仁坂吉伸知事は23日、事実上の野党統一候補として参院選和歌山選挙区に立候補した弁護士の無所属新人、由良登信氏を念頭に「県から見たらたかりじゃないかなという案件(裁判)でいつも出てくる」と批判した。
 和歌山市で開かれた自民党現職鶴保庸介氏の個人演説会に応援弁士として出席し発言した。
 仁坂知事は県が裁判を起こされると対応に税金がかかると指摘し「何でこんなことをしなければいけないのかと思う。民主主義だから権利は尊重しなきゃいけないけど、割り切れなくもなる」とも述べた。
 由良氏の名前に触れず「相手の方」「弁護士の方」と言いながら「(選挙結果で)そういう人に鶴保さんが接近されたら申し訳ない。皆さん熱心に応援してください」と訴えた。
 仁坂知事の発言に関し由良氏は「事実であれば、知事の発言は行政訴訟における弁護活動を理解していないもので、撤回し謝罪すべきだ」とのコメントを出した。
(引用終わり)
 
 私は、昨日深夜にこの暴言を教えられ、頭に来てFacebook怒りの投稿をしたにとどまりましたが、市民連合わかやまの豊田泰史共同代表は、さすがにそれだけでおさめるつもりはなく、本日(6月24日)正午から、山﨑和友、阪本康文両弁護士とともに、和歌山県庁内の県政記者室において、抗議の緊急記者会見を行いました。
 午前中、私の携帯に豊田さんから電話がかかってきていたのは、どうやら都合がつけば私にも記者会見に参加して欲しいという要請だったようですが、午前中はずっと裁判所で調停中であり、残念ながら私は参加できず、また今のところ、記者会見の内容を伝える報道に接していません。
 そこで、豊田弁護士に頼んで、記者会見で発表した3人連名のコメントを送ってもらいましたので、それを以下にご紹介します。
 
(引用開始)
コメント
 仁坂吉伸知事が23日夜、和歌山市内の鶴保個人演説会で、野党統一候補として参院選和歌山選挙区に立候補した弁護士の由良登信氏を指して、「県から見たらたかりじゃないかという案件でいつも出てくる。」「県が裁判を起こされると対応に税金がかかる。」「こういう人に、大事な鶴保さんが接近されたら申し訳ないと思っていますので、ぜひ鶴保さんを応援していただきたい。」などと誹謗中傷した発言をされたとの報道に接しました。
 この仁坂知事の発言は、刑法第230条1項の名誉毀損罪に該当するだけでなく、公職選挙法第235条2項の虚偽事項の公表罪に該当するもので、明らかな選挙妨害行為です。
 基本的人権の擁護、社会正義の実現を使命とする弁護士が、県民の訴訟代理人として行政訴訟や国家賠償訴訟などを提起するのは当然の職務行為であり、これを知事が「たかり」などと誹謗中傷するのは弁護士の職務行為に対する甚だしい偏見というだけでなく、県民の司法救済そのものを頭から否定するものであります。
 今回の仁坂知事の暴言については看過出来るような内容ではなく、上記の刑事告発を含め然るべき対応を検討してきたいと考えます。

                 平成28年6月24日

                    市民連合わかやま
                      弁護士 山 﨑  和 友
                      弁護士 豊 田  泰 史
                      弁護士 阪 本  康 文
(引用終わり)
 
 今後この問題がどのように進展するか、まだ見通せませんが、弁護士がなぜこれほど怒っているのか、その真の理由を県民の皆さんに理解していただく努力を私たちも怠らないようにしなければなりません。
 今回の暴言は、様々な角度から批判することが可能でしょうが、私が一番問題だと思うのは、上のコメントにもあるとおり、「県民の司法救済そのものを頭から否定する」点です。
 共同、産経の伝えるところによると、仁坂知事は、「県が裁判を起こされると対応に税金がかかる」と発言し、あたかも、県民の財産を守ろうとする自分が「善」であり、応訴の費用を県に使わせる提訴者が「悪」であるかのような印象を与えようとしていますが、これほどふざけた理屈はありません。
 この論理を貫けば、公金を原資として応訴することになる国、地方自治体などを相手に訴訟を起こすこと自体が「悪」であり、民(たみ)はお上(かみ)に従順に従っていればいいのだと言っているのも同然です。
 いかに経産官僚出身とはいえ、ここまで住民を見下したお上意識丸出しの発言ができる知事も珍しい、というか、私は他に知りません。
 
 私としても、自分の中学・高校の4年先輩にあたる知事のことを悪し様に言いたくなどないのですが、私も代理人として和歌山県を訴えたことがありますし、私の元依頼者である原告(既に故人ですが)の名誉のためにも、この「たかり」発言だけは絶対に許せません。

 それに、知事にここまで言われたら、皆さんには是非昨年4月の仁坂知事による原発推進発言を思い出していただきたく、私が昨年書いた関連ブログを末尾にリンクしておきますので、是非お読みください。
 人格権に基づき、大飯原発3号機、4号機の運転差し止めを命じた2014年の判決、及び高浜原発3号機、4号機の運転差し止めを命じた2015年の仮処分命令を出した福井地裁(樋口英明裁判長)を批判するに際し、原発事故と交通事故という、本来比較すべからざるものを比較するという、陳腐極まりない屁理屈を持ち出したものの、「人格権」と言うべきところを「生存権」と言い間違え(本人がその間違いに気がついているかどうかもあやしい)、ろくに「判決」も読んでいないことを露呈したのが仁坂和歌山県知事でした。

 今回の暴言も、仁坂知事としては、鶴保候補やその支持者に「いい顔」をするため、何でもよいから、ゆら登信(たかのぶ)候補をおとしめるネタはないかと考え、思いついたのが「たかり」発言だったのでしょう。所詮はその程度のことでしょうが、そうであればこそ、自分一人を尊しとし、無意識にせよ、住民を見下しきった「本音」が露わになってしまったというのが私の感想です。