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たかり発言「何が悪いのか」~仁坂吉伸和歌山県知事記者会見(2016年6月28日)

 今晩(2016年7月1日)配信したメルマガ金原No.2499を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
たかり発言「何が悪いのか」~仁坂吉伸和歌山県知事記者会見(2016年6月28日)

 今日(7月1日)書くのは、去る6月24日にブログに書いた「県に対する提訴を「たかり」と評した仁坂吉伸和歌山県知事に強く抗議する」の続編です。
 6月23日に和歌山市内で行われた鶴保庸介候補自民党)の個人演説会で応援弁士に立った仁坂吉伸和歌山県知事が、以下のような発言を行ったと、その日のうちに共同通信が配信して物議を醸しました。
 その共同通信
 
47ニュース・共同通信 2016/6/23 22:44
和歌山県知事、野党候補を中傷 県に提訴は「たかり」

(引用開始)
 和歌山県仁坂吉伸知事は23日、事実上の野党統一候補として参院選和歌山選挙区に立候補した弁護士の無所属新人由良登信氏を念頭に「県から見たらたかりじゃないかなという案件(裁判)でいつも出てく
る」と批判した。
 和歌山市で開かれた自民党現職鶴保庸介氏の個人演説会に応援弁士として出席し発言した。
 仁坂知事は県が裁判を起こされると対応に税金がかかると指摘した。
 仁坂知事の発言に関し由良氏は「事実であれば、知事の発言は行政訴訟における弁護活動を理解してい
ないもので、撤回し謝罪すべきだ」とのコメントを出した。
(引用終わり)
 
 これに対し、翌24日、市民連合わかやまの有志弁護士3名が抗議の記者会見を行い、コメントを発表しましたが、そのことの紹介も含め、この知事発言に対する私の意見をその日のブログに書いたのです。
 
 
 参議院議員選挙が公示され、野党統一候補・ゆら登信(たかのぶ)さんを応援する演説草稿をブログにアップしていた時期であり、対立候補の演説会での発言に対する批判でもありましたので、電子メールで一斉送信する「メルマガ金原」では配信せず、ブログに書くだけにとどめたのですが、よく考えてみると、もっぱら知事の発言を批判することを目的とした記事であり、ゆら候補を応援している訳でもなければ、鶴保候補を批判している訳でも全然ないことに、後になって気がつきました。
 そこで、今日の記事は、まず「メルマガ金原」で配信し、それをブログに転載することにしました。
 ただ、「メルマガ金原」の読者で私のブログは読んでいないという方の中には、この問題を初めてお知りになる方もおられるでしょうから、そのような方には、24日に書いた上記の私のブログをまずお読みくださるようにお願いします。
 
 その上で、今日ご紹介するのは、6月28日(火)に和歌山県庁で行われた仁坂吉伸知事による定例記者会見でのこの問題についての質疑です。
 まず、この記者会見をメディアがどう伝えたか、少しご紹介してみましょう。
 
47ニュース・共同通信 2016/6/28 14:38
和歌山知事「なんで悪いのか」 たかり発言で

(引用開始)
 和歌山県仁坂吉伸知事は28日、定例記者会見で、事実上の野党統一候補として参院選和歌山選挙区に候補した弁護士の無所属新人由良登信氏を念頭に「県から見たらたかりじゃないかなという案件(裁判)でいつも出てくる」と発言したことに批判が寄せられているとして「なんで悪いのだろうか」と述べた

 仁坂知事は「弁護活動をたかりだとか、行政訴訟がたかりだとか言った覚えは全くない」と釈明。「そういう訴訟に振り回されて、県民のお金がどんどんなくなっていくのはつらいなと思っていると言った。
なんで悪いのだろうかと思っている」と話した。
(引用終わり)
 
紀伊民報 2016年6月28日
たかり発言「何で悪いのか」 和歌山県知事

(抜粋引用開始)
 和歌山県仁坂吉伸知事は28日、参院選和歌山選挙区に自民党から立候補している候補者の応援演説で、市民団体が擁立した候補の弁護士を念頭に「県から見たらたかりじゃないかなという案件でいつも出て
くる人」などと発言したことについて「何で悪いのだろうか」と述べた。
 定例記者会見で「先日の発言の真意は」と質問されて「弁護活動をたかりだとか、行政訴訟がたかりとは言った覚えはないし、訴訟を起こしてはいけないとか、その相手の方をたかりみたいだと非難したこと
もない」と答えた。
 さらに「県民が行政訴訟することについて言ったわけではない。たかりみたいな話の時に出てくると、感想で言った」と説明。「訴訟に振り回されて、県民のお金をいっぱい払わないといけないのはつらいと
言った。何で悪いのか」とも述べた。
(略)
(引用終わり)
 
産経ニュース 2016.6.28 11:01
ボキャ貧だった」と和歌山県知事が釈明 行政訴訟は「たかり」発言で

(引用開始)
 和歌山県仁坂吉伸知事が、参院選和歌山選挙区(改選数1)に立候補した無所属新人の由良登信氏(64)=共産、社民、生活推薦=が県などを相手取った行政訴訟を手がけていることを念頭に「たかり」などと批判した問題で、仁坂知事は28日の定例記者会見で「私もボキャ(ボキャブラリー)貧だった」
と釈明した上で、「(行政訴訟は)随分、お金がかかる。県民のお金がなくなるのはつらい」と語った。
 仁坂知事は23日に和歌山市内で開かれた自民現職の鶴保庸介氏(49)=公明推薦=の個人演説会で、由良氏について「県から見たらたかりじゃないかなという案件(裁判)でいつも出てくる」と指摘。仁
坂知事の発言に対し、由良氏側は「明らかな名誉毀損だ」と反発を強めていた。
(引用終わり)
 
 とりあえず、3社だけ引用しましたが、随分印象が違うでしょう?特に、産経ニュースを読んだ人は、あたかも仁坂知事が低姿勢で頭をかきながら「釈明」したという印象を持ったりしませんでしたか?
 23日の知事発言については、早い段階で産経も報じていましたので、24日の私のブログで、その報
道姿勢に敬意を表しておいたのですが、この28日の記事を読んだ後は、「敬意を表するのは、もう少し
様子を見てからにすべきだった」とやや後悔しています。
 結論から言えば、28日の記者会見での仁坂知事の態度は、一切謝罪などしないことはもちろん、釈明すらする気がないというものでした。
 以下に、28日の知事記者会見の動画をご紹介しますが、その内18分50秒~37分45秒がこの問題についての記者からの質問と知事による回答です。
 
和歌山県知事記者会見 平成28年6月28日(58分35秒)
 

 動画を見る前は、自分で文字起こししようかと思っていました。いずれ県のホームページにテキストも掲載されますが、ある程度整理され、正確なニュアンスが伝わりきらないこともありますからね。
 けれども、20分近い長さがあることを知り、自力で文字起こしすることはさすがに断念しました。
 このたび県のホームページに、6月28日の記者会見のテキストが掲載されましたので、該当箇所をご紹介できることになりました。もちろん、この種のテキストは、発言を一字一句正確に再現するものではあ
りませんので、正確なニュアンスは動画で確認いただく必要があります。
 動画の音声を聞きながら、テキストを読み進め、内容が正確に再現されているかどうかを確認すれば良いのでしょうが、そこまでの作業は出来ていないことをお断りした上で、28日の記者会見での問題部分を引用します。
 
平成28年6月28日 知事記者会見(平成28年6月28日 記者会見室)
(抜粋引用開始)
共同通信:発表項目以外ですが、先週木曜日、和歌山市で開かれた鶴保候補の個人演説会での知事の発言についてお伺いします。その場で知事は、由良候補を念頭に、「県から見たらたかりじゃないかなという案件でいつも出てくるんですね、あの人」というような発言をされています。同じ演説の中で、裁判を起こされた場合、県の税金がかかるといった知事の思いを一部語られたのかなと思うのですが、その点についてどういう意図でお話をされたのか、改めてお伺いします。
 
知事:記者会見ですから何でもお答えするので、今のご質問にもお答えしたいと思いますが、その前に一言。例えば、我が方が力を入れて一生懸命やっている公共調達における県産品フェアがあった時に、朝日新聞が「取材したい」と言うから「そうか」と言って、ちょっと切り上げて行ったら、この問題を聞かれました。何と言いますか、(取材においても)マナーというのはあるのではないか、というふうに思います。それからもう一つは、その場で分かったのですが、信じられないことに、言ってもいないことについて聞かれました。日曜日に、和歌山放送関西広域連合の会議のところへ来て、関西広域連合について取材されるのかと思っていたらこの話を取材されて、しかも言ってもいないことを「あなたはこんなふうに言ったそうですが、それでみんなが怒っているそうですがどうですか」と言われました。ちょっと真実を語ってほしいと思いました。一番初めの話(発端)は共同通信の記事です。私は、共同通信の記事を見たとき、大いに省略をしているけど、別におかしくはないような気がして、別に間違ってはいないと思いました。ただ、省略されている部分にちょっと想いが込められているので、十分意は尽くしていないかなという感じはあるけど、それはよくあることです。だけど、共同通信に「ちょっと教えて」という話をすれば、真実は分かります。真実が分かるのに「これは何」というような話がまたあって、弁護士3人が県庁にお見えになって、抗議に来られたのですが、初めの方の抗議内容は共同通信の記事を引用しているのですが、後の方で「弁護活動をたかりなどと誹謗中傷するのは言語道断である」と書いてありました。そんなことを言った覚えはありません。もう一回読ませていただくと、「弁護士が県民の基本的人権擁護と社会正義のために、代理人として行政訴訟や国家賠償訴訟などを提起するのは当然の職務行為であり、これを知事がたかりなどと誹謗中傷するのは言語道断である」と書いてあります。私は、こんなに言われることを言っていません。言っていないことを、朝日新聞も、朝日新聞はその後、僕が訂正したようにきちんと書いてくれてましたけど、それから和歌山放送は、日曜日までそんなことを言っているんです。皆さん報道だから、やっぱり裏を取るなどして取材してほしいというふうに思います。
 これで終わったら質問の答えにならないから、どんなふうに言ったかというと、証人(共同通信社)に言ってもらったら一番いいと思うのですが、細部の記憶がちょっと違っているかもしれないので、違っていたら言ってください。「例えば、相手の方は弁護士で、反戦平和で正義の味方と言っている。だけど、弁護士といっても、すべて正義の味方とは限らないような気がするんです。それで相手の方は、私が見たら、県に対しての訴訟で、たかりみたいに思うようなときに出てくるんです。」これはちょっとボキャ貧(ボキャブラリーが貧弱)だったと思います。「民主主義で、制度がそうなっていますから、訴訟を起こすのはしようがないんだけど、今度はそれ(訴訟)があると、また県も弁護士を雇わないといけないからずいぶんお金かかるんです。いつも県の財政が無駄遣いにならないように切り詰めて一生懸命やっているから、随分つらいなあというふうに思うこともあるんです。だから、弁護士といっても、社会正義とかそういうことについて、もっと気をつけてやってほしいと私は思うんです。」というようなことを言ったと
思います。
 従って、訴訟を起こしたらいけないなどと一言も言っていません。それから、相手の方をたかりみたいと言って非難したこともありません。だけど、趣旨は、そういう訴訟に振り回されて、かつ、お金をいっぱい払わないといけないことになると、そのお金は県民のお金でしょう。県民のお金がどんどんなくなっていくというのはつらいなと思っているんです、ということを言ったので、何で悪いんだろうかというふうに思っています。それから、この弁護士3人の中で、僕は、豊田さんは大変人格も高潔な人で、立派な人だと思っているから、私は県社会福祉協議会の理事に、任期が2年ですから、その都度任命して、いろいろそういうこと(福祉施策や案件)について意見ありませんか、と言って尋ねたぐらいの人なんですが、そういう人が間違った抗議をするというのはおかしいと思います。訴訟を起こすことが、あるいは訴訟を起こし、その弁護活動をすることをたかりなどと誹謗中傷するのは言語道断だ、と言われるようなことを言った覚えはないので、正しく真実を突き止めてから議論をしてもらいたいというふうに思います。
 
共同通信:知事の発言をお伺いすると、なかなかどのように解釈すればいいのか微妙なところなんですが、県民が行政訴訟を起こすことを、いわばたかりと言っているようにも聞こえる部分があるのですが。
 
知事:そんなことありません。全くおかしいと思います。発言を録音しているでしょう。なぜそのような解釈になるのでしょうか。あなた(共同通信)の記事もそんなふうになっていない。
 
共同通信:知事の発言を起こしたものをそのまま読み上げると、由良さんを念頭に「特定の政党を支持している人ですけれども、だけどもそれだけじゃなくて、あの人、何というか弁護している人は県から見たらたかりじゃないかなという案件でいつも出てくるんですね、あの人と。」ということです。
 
知事:そうでしょう。だから、まずどんな人であろうと、訴訟を起こすことについて別に批判はしていません。だけど、弁護を頼んだ人の案件、それについては、これはちょっとどうですか、と言いました。その表現がどうか分からないけれども、そういうふうに思ったので、「どうですか」と言って、そういうときにいつも弁護を引き受けて出てくるということも事実だから、そういうことを申し上げたのに、なぜ行政訴訟を起こすことがたかりだなんてことになるのでしょうか。
 
共同通信行政訴訟を起こすことすべてがたかりというわけではなくて、由良弁護士が担当していた案件がたかりとも見えるような案件だった、とおっしゃられたと思うのですが。
 
知事:そんなことは言いません。たかりみたいな話、例えば不正行為をしたから処罰される。そのときに、それはおかしいといって訴訟が起こって、その時に出てくるというような話です。それから、あまり個々の話をこんなところで言うのはよろしくないので、県が訴訟を起こしている案件については、議会に全部出していますから、それらを調べたらすぐ分かるでしょう。そうすると、相手はどんな人で、何の件について弁護しているかということは、皆さんなら、調べればすぐ分かるのではありませんか。それらの事件について、元の事件の案件について私が感想を言ったんです。だから、録音内容を聞けば明らかなはずです。共同通信の記事はそのとおり書いています。
 
共同通信:はい、原稿は調べたまま書いているかと思うのですが、そうすると、知事がおっしゃった「たかり」というのは何を指しているのかというのは、ちょっと不透明なんですが。
 
知事:「たかりみたいな」と言ったのです。あまり例を言うとよろしくないので、一度、皆さん調べてみてください。そうすれば分かります。言ったことは事実なので、その事案についてそういうふうに思っているのだな、ということについては別に逃げ隠れはいたしません。だけど、重ねて言いますが、弁護活動をすることがたかりとか、行政訴訟を起こすことがたかりだとか、そんなこと言った覚えは全くありません。私がそんなこと言うはずがありません。つまり、制度をよく理解しているからです。ただ、これはすべて県民のお金なんです。その人たちの言い分に屈するわけにはいかないから、闘わないといけない。闘うときにはお金がいるんです。何でそのような話に、県民の大事なお金使わないといけないのですか、ということについて、いつも割り切れない思いを持っています、ということを言って何が悪いのかという感じです。
 一般的に言うと、県に対する訴訟は、私の感想では三つぐらいあると思います。一つ目は、「それは争
いがあるかもしれない」と、その相手の言い分も一理はあると思うが、県がやったこともそれなりの理由があるのだから、裁判できちんと結論出してもらえばいいのではないか、というような話です。二つ目は、この訴訟を起こした人はかわいそうだなあ、と思うような人がいます。何かの被害者になっている、あるいは恵まれない方。だけど、それを例えば気の毒だからといって、県がその人に例えばお金をあげたり、あるいは猶予したりすると、それはやっぱり公平を失するからしようがない、というような話です。それから三つ目は、これは一体何だ、と思うような話があるわけです。それは、起こった元の事件が道徳的にどうかなあと思うような話があります。それをさらに訴訟を起こして自分の言い分を通そうとする、というような話です。三つ目の点(訴訟)について、よく出てきているというように思ったわけです。だけど、制度があるから、その行為自体は批判できません。弁護活動も批判できません。だけど、国選弁護士ではありませんから選べると思うんです。だから、例えば同じようなことは、先ほど言いました豊田弁護士は、そういう訴訟で1回も見たことがありません。県を相手にして訴訟を起こすこともありますけど、もっと私が尊敬している人を他にも名前挙げようと思ったら挙げられますが、そういうことです。
 
共同通信:今回の市民連合の弁護士の方は、発言の撤回や謝罪を求めていますが、応じる考えはありませんか。
 
知事:ありません。それから、「言語道断である」というのは、(言っていないことについての声明であり)間違いだから直してもらいたいと思います。撤回ではなくて修正を求めたい。
 
テレビ和歌山:その発言の時、私は現場には居合わせなかったんですが、少なくとも今の知事の考えや気持ちと裏腹に、ちょっと誤解を招きかねない表現だったとすれば、その辺についてはどういうふうに感じられますか。
 
知事:まず、誤解した人は悪くありませんか。誤解してそれを言いふらした人はもっと悪いでしょう。それで勝手に誤解して行動を起こした人ってすごい悪くありませんか。特に報道の方々は、元々の真実を報道する義務があるでしょう。そうすれば「あれは間違っているよ」ぐらい言ってあげればいいんではないでしょうか、と思います。朝日新聞には、私は由良さんをたかりだろうと言った覚えはありませんと言ったら、「そうなんですか」と言って、それで、そんなことを言ったわけではないようだが、と記事に書いてくれていました。他の人にもそれを言ってあげればいいのではないかと、そのようなことを思っています。報道は特に真実ですから。司法も真実です。行政も本当は真実です。私はボキャブラリー貧弱なところがあるので、表現が適切かどうか、よく分からないけれども、少なくとも先ほど説明したとおりで、それは証拠があるでしょう。証拠を公開してあげたらどうですか(=共同通信社に対しての発言)。行政がやっているものであれば、例えば広報課が録音しています。だからそれできちんと分かるのですが、今回はたくさんある応援演説会の一つです。従って、共同通信さん以外に録音していないのではないでしょうか。
(引用終わり)

 当初、動画を20分間視聴し続けるのは非常に苦痛でした。テキスト版を読むのは、それに比べれば苦痛の程度はだいぶ緩和されます。
 会見録を通読された方は、私が「一切謝罪などしないことはもちろん、釈明すらする気がないというものでした。」と書いたことの意味がよくご理解いただけたことと思います。
 どんな発言をしようと、一切謝罪などしない権力者といえば、中央政府にもいますけどね。
 はなはだ成果に乏しい記者会見でしたが、成果が全くなかった訳ではありません。今日のところは、この記者会見におけるまことにささやかな「成果」を確認するにとどめておきたいと思います。
 
成果1 仁坂知事が、6月23日に共同通信が配信した記事の内容自体は認めたこと。
→記者会見での知事発言「私は、共同通信の記事を見たとき、大いに省略をしているけど、別におかしくはないような気がして、別に間違ってはいないと思いました。」(動画の21分10秒~)
 
成果2 共同通信記者が、23日の録音を文字起こししたもののうち、以下の部分を朗読したので、知事の発言がより正確に確認できたこと。
→記者会見での共同通信記者による知事発言文字起こし読み上げ部分特定の政党を支持している人ですけれども、だけどもそれだけじゃなくて、あの人、何というか弁護している人は県から見たらたかりじゃないかなという案件でいつも出てくるんですね、あの人。(動画の27分50秒~)
 
 この会見での仁坂知事の言い分と照らし合わせながら、共同通信記者が明らかにした23日の知事発言を読んでみると、県を相手に訴訟を起こすこと全般を「たかり」と言った訳ではなく、「由良弁護士が担当していた案件がたかりとも見えるような案件だった、とおっしゃられたと思うのですが。」共同通信記者)ということだったのかもしれません。共同通信記者の要約を知事は即座に否定していますが、その後の説明は全く理由になっていません。仁坂知事が言っていることって、結局そういうことでしょう。
 
 それにしても、仮に知事の主観で、「たかり」と思う訴訟があったにしても、それを公衆の前で公言し、さらに記者会見の場でも繰り返すって、「ボキャ貧」とかいう問題ではないでしょう。和歌山県知事のレベルは、限りなく今の首相に近付いています(こう言われたら仁坂知事はかえって喜んでくれますかね)。
 今の首相といえば、「民進党にはもれなく(共産党)が付いてくる」という下品極まりない演説が非難の的となりましたが、記者会見で共同通信の記者が明らかにした発言で23日の記事にはならなかった部分、つまり「特定の政党を支持している人ですけれども」などを読むと、この面でのメンタリティも、和歌山県知事は今の首相とそっくりだということがよく分かります。私としては、民進党和歌山県連幹部のメンタリティまで同じようなものでないことを祈るのみです。
 
 ところで、23日の共同通信の記事「仁坂知事は県が裁判を起こされると対応に税金がかかると指摘した。」の部分が、実際の発言ではどうだったのか?特に「たかり」発言との脈絡がどうなのかが気になりますので、共同通信には、少なくとも該当部分の文字起こしを是非とも全文公表して欲しいですねえ。仁坂知事自身も「証拠を公開してあげたらどうですか」と慫慂しているのですから。
 

(付録)
『ライセンス・トゥ・キル の替え歌』 原曲:ボブ・ディラン 日本語詞・演奏:中川五郎