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「今後の市民連合の活動方針について」(2016年7月26日)を読む

 今晩(2016年7月26日)配信した「メルマガ金原No.2519」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「今後の市民連合の活動方針について」(2016年7月26日)を読む

 本日(7月26日)、「市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)」から「今後の市民連合の活動方針について」と題する声明が発表されました。読んでみましょう。
 
今後の市民連合の活動方針について
(引用開始)
参議院選挙期間中、自公連立与党が「憲法改正は主要な争点ではない」と繰り返していたにもかかわらず、安倍政権やその影響下にあるメディアは選挙後にわかに、あたかも憲法改正が既定路線であるかのよう
有権者をあざむいています。
私たち市民連合は、改憲そのものを自己目的化するような倒錯した思考を拒絶し、個人の尊厳を擁護する
政治の実現をめざして、ひきつづき安保法制の廃止と立憲主義の回復を求めてまいります。
各種世論調査を見ても明らかなように、主権者たる国民は憲法改正を喫緊の課題とはとらえておらず、改憲論議を勝手に進めていくことを国会議員に委任したとは到底言えないことから、安倍政権率いる「改憲勢力」は、今後、市民とともに共闘してきた立憲野党(民進党共産党社民党、生活の党)の分断を図り、改憲発議や国民投票と連動させるかたちで衆議院解散総選挙を仕掛け、民主的正統性や立憲主義
見せかけを調達しようとする可能性があります。
そこで、私たち市民連合としては、ひきつづき全国各地の市民運動と連携しつつ、来るべき衆議院選挙における小選挙区での野党共闘の取り組みを後押しするとともに、個人の尊厳を擁護する政治をいっそう具体化していくために立憲野党との政策協議を積みかさねていきたいと考えています。私たちの代表を一人でも多く衆議院に送り込むために、主権者たる市民の皆さんの粘り強い政治参加を呼びかけます。
 
2016年7月26日
 
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
(引用終わり)
 
 「市民連合」が、参議院議員選挙の総括にじっくり時間をかけるいとまもなく、東京都知事選挙に対応せざるを得なくなったのは、いささか残念に思いますし、実はそのことは上記声明で「立憲野党」と位置付けられた4党にしても同じことです。
 そのような状況下ではありますが(というか、であればこそ)、都知事選の期日前のこのタイミングで、どうしても「今後の活動方針」を発表せざるを得ないという判断があったのでしょうね。
 
 理念・目的が変わらないことは当然として、具体的な「活動方針」として掲げられたのは、
 ①全国各地の市民運動との連携
 ②来るべき衆議院選挙の小選挙区での野党共闘の後押し
 ③立憲野党との政策協議の積みかさね
という3点です。
 「私たちの代表を一人でも多く衆議院に送り込む」(②)ためには、どうしても①と③が必要というこ
とであり、全く同感です。
 とりわけ、③については、去る6月7日に、「市民連合」が野党4党の政策に対する「要望書」を提出
し、4党が「上記要望を受け止め、参議院選挙勝利に向けて、ともに全力で戦います。」と約束しましたが(必読!市民連合から4野党への要望書(付・6/12に和歌山のゆら登信さんと市民連合が政策協定に調印します/2016年6月8日)、これをさらに発展させ、具体的な「共通政策」を掲げるところまで行
かなければということだろうと思います。
 単に「安倍暴走阻止」だけでは、投票行動によって共感を示してくれる層に限界があることは、今度の
参院選の重要な教訓だったと思いますから、この点をどこまで実現できるかが、次の衆議院選挙の帰趨に大きな影響を与えるでしょう。
 
 そして、①の「全国各地の市民運動との連携」です。
 参院選では、32ある1人区全てにおいて野党共闘を実現するために、各地の市民運動が大きな力を発揮したことは特筆すべきであり、そのために結集した市民の力をいかに発展させていくかが、議席を獲得した11選挙区に限らず、全ての野党共闘に尽力した市民運動にとっての今後の大きな課題となっていま
す。
 参議院では複数区での野党共闘が進まず、近畿2府4県では、立憲野党からの当選者が京都選挙区(定数2)の民進党現職1人だけという悲惨な結果に終わりましたが、来るべき衆議院選挙では、ブロックごとの比
例以外、全国全ての選挙区が1人区であり、野党共闘は待ったなしです。
 各地の選挙区事情、野党間の関係、野党と市民運動との関係は様々でしょうから、なかなか一概には言えませんが、参議院選挙に続き、立憲野党に強力に共闘を促す市民運動の力が、さらに求められていると思います。何しろ、何としても共闘を実現しなければならない1人区が、32から295に増えるのですから。
 
 各地の実情は様々ということで言うと、私の地元和歌山県は相当に特殊であり、参院選で共闘が実現した32の1人区の中で、民進党県連が統一候補を全く支援しなかったのは多分和歌山だけだったのではないでしょうかね(和歌山の統一候補は無所属のゆら登信弁護士)。全国で唯一、共産党公認候補統一候補となった香川県でさえ、民進党香川県連の小川淳也代表(衆議院議員)が応援演説していましたものね

 ということで、統一候補を擁立して全力で選挙戦を闘った「市民連合わかやま」と、「自主投票」とし民進党和歌山県連の関係が果たして修復可能なのか?民進党和歌山県連代表が、衆議院和歌山1区の現役議員であるだけに、実に悩ましい事態です。こんなところ、日本中に他にあります?
 
 「市民連合わかやま」でも、残念な結果に終わった選挙の後、とりあえず県下各地で選挙運動を担った方々に集まっていただき、報告や意見を述べ合う機会を設けましたが、「今後の活動方針」を打ち出すまでには至っていません。
 上に述べたような特殊事情もありつつ(あるからこそ)、私たちの今後の運動の方向性を打ち出すため
の議論が早急に必要だろうと思います。