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放送予告・自衛官の今を追ったドキュメンタリー番組2本~映像'16とNNNドキュメント'16

 

 2016年7月28日に配信した「メルマガ金原No.2521」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
放送予告・自衛官の今を追ったドキュメンタリー番組2本~映像'16とNNNドキュメント'16

 今年の3月下旬、しんぶん赤旗に掲載された以下の記事に驚いた方も多かったのではないかと思います。
 
しんぶん赤旗 2016年3月25日
陸自北部方面隊、隊員に“遺書”強要 「家族への手紙」置いていけ 「戦争立法」備える事態

(抜粋引用開始)
(前略)
 “遺書”を強要したのは陸自北部方面隊(札幌市)。同方面隊関係者によると2010年夏以降、所属部隊の隊長ら上司から、「『家族への手紙』を書き、ロッカーに置くように」と“服務指導”されたといいます。これは自衛官にとって事実上の「命令」に等しく、絶対服従が求められています。
 同方面隊の道東の部隊では、上司の説明に納得せず「苦情申し立て」をした隊員もいました。苦情を申し立てた隊員への部隊からの処理通知(回答)には、「有事の際直ちに任務につくことができるよう常に物心両面の準備を整えること」が陸自服務規則などに明記されていることをあげ、こう意義付けています。
 「(家族への手紙は)物心両面の準備をより具体化したものであり(略)長期の任務に急きょ就くことに備え(略)あらかじめ本人の意思を整理しておくことにより、個人の即応性を向上させるものである」
 陸自北部方面総監部は本紙の取材に「(同方面隊の)千葉徳次郎総監の提案で、就任中の2010年7月から12年7月にかけて全ての隊員(約3万8000人)を対象に実施した。遺書とは認識していない。入隊時に宣誓した任務を完遂するための具体的な方策の一つで、任意であり服務指導の範囲だ」としています。
 同方面隊は、陸自隊員の約4分の1を擁し、最も多く海外派兵している部隊です。
(後略)
(引用終わり)
 
 後に、社民党照屋寛徳衆院議員からの質問主意書に対し、政府は事実関係については概ね認めました。
 
朝日新聞デジタル 2016年3月11日18時28分
家族への手紙、一部部隊で作成させる 陸自北部方面隊

(引用開始)
 安倍内閣は11日、陸上自衛隊の北部方面総監を2010~12年に務めた陸将(当時)が部下に対し、任務に対する準備の一つとして「家族への手紙」を作成してロッカーに保存するよう求め、部隊の一部で実施されていた、とする答弁書閣議決定した。
 社民党照屋寛徳衆院議員が質問主意書で「(元北部方面隊員によると)総監の提案で、服務指導として隊員に『遺書』を書かせ、個人用ロッカーに保管させていたようだ」と指摘したのに答えた。防衛省は「総監は、遺書を書け、とは言っていない。手紙の作成は、家族との緊密な関係を築くなどの狙いがある」と説明している。
 だが、こうした「家族への手紙」の作成は、陸自国分駐屯地(鹿児島県霧島市)でも12~15年に行われていたことが明らかになっている。他の事例の有無について、同省は「調べていないので分からない」としている。(二階堂勇)
(引用終わり)
 
 既に総監が交替した後は、“遺書”の強要はなくなったかもしれませんが、そのようなものを書かされた隊員が多く所属していると思われる北部方面隊の施設隊が、現在、南スーダンに派遣されています。
 
 
 現在、派遣されている部隊と交替する次の部隊から、駆け付け警護等の新たな任務が命ぜられるとも言われており、そのような意味からも自衛隊の動向に注目が集まる中、近く、現役自衛官に密着したドキュメンタリー番組が放送されます。
 もちろん、自衛隊の了解の下、撮影が進められた番組であることから、必然的に課せられる制約があるのは当然で、そのようなことは前提としながら、それでも見るべき価値はあるのではないかと思います。
 ただし、視聴する側の私たちには、心眼を研ぎ澄まし、画面で語られる表面的な言葉の奥にあるものを想像する努力が求められるのだろうと思います。
 以下に、2つのドキュメンタリー番組の放送日時をご紹介しておきます。
 
2016年8月1日(月)午前0時59分~1時59分(日曜深夜)
毎日放送 ドキュメンタリー映像'16
『自衛官とその家族~戦後71年目の夏に~』

(引用開始)
取材ディレクターより
集団的自衛権を容認する新しい安保関連法の運用がまもなく始まります。今月上旬、取材班は兵庫県伊丹市にある陸上自衛隊の官舎を訪ねました。その台所で目にとまったのは、使いこまれたジューサーミキサーと手作りスコーン。小学生の子ども3人がはしゃいでいます。幹部自衛官である夫の隣に座った妻は、カメラの前でさらっとこう語りました。「どんな法律になっても命令に従うだけ。いってらっしゃいと。危険なところにいくことも多くなるのかなあ。でも命令なら仕方がない」。
今回の番組は「自衛官とその家族」しか登場しません。正確にいうと自衛官OBも登場します。憲法に風穴を開けたと言われる新安保関連法で彼らが背負う目の前の任務は何なのか。その安保法は将来に禍根を残すものだと指摘する元官僚も少なくありません。シビリアン・コントロール文民統制)されている自衛隊は、政治が決断すれば、その任務を遂行し、自衛官は危険を顧みず従います。
若い自衛官たちが日々たくさんの汗を流している自衛隊。その家族が先々を心配する声にも耳を傾けました。欧米では軍隊が政治の道具であることは紛れもない事実。自衛隊は軍隊ではありませんが、国際貢献の名の下に自衛官が戦闘に巻き込まれる事態がくるやもしれません。そのとき自衛官は兵士になるのでしょうか。シビリアンの論理でいえば、その答えは国民の側が握っています。番組が多くの視聴者にいま一度、戦後の日本と自衛隊について考えるきっかけになればと願っています。
(引用終わり)
 
2016年8月8日(日)午前1時05分~(日曜深夜)
NNNドキュメント'16
ホルスタインと落下傘~秋田・戦後開拓70年 若者の選択~

(引用開始)
秋田県鹿角市田代平は、戦後開拓された標高600メートルの酪農地帯。小林大峰さん(24)はこの地区で最も若い農業後継者。乳製品の輸入拡大やエサ高騰の影響で、厳しい経営を強いられている。たったひとりの同級生の小川隼人さん(23)は、酪農の仕事を継がずに陸上自衛隊のパラシュート部隊に入った。折しもTPP交渉がまとまり、安保法も成立、目指す道は違っても、国の政策と関わりの深い仕事を選んだ2人の若者の生き様を追う。
再放送
8月14日(日)11:00~ BS日テレ
8月14日(日)5:00~/24:00~ CS「日テレNEWS24」 
(引用終わり)