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日弁連「地域司法キャラバン in 伊都橋本~地家裁支部の設置を目指して~」(9/24)開催のお知らせ

 今晩(2016年9月14日)配信した「メルマガ金原No.2569」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
日弁連「地域司法キャラバン in 伊都橋本~地家裁支部の設置を目指して~」(9/24)開催のお知らせ

 日本弁護士連合会が全国各地で開催する「地域司法キャラバン」。来る9月24日(土)に、和歌山県橋本市で開催されます。テーマは「地家裁支部の設置を目指して」というものです(※チラシ)。
 まずは、開催概要をご紹介します。
 
地域司法キャラバン in 伊都橋本
~地家裁支部の設置を目指して~
 
日時 2016年9月24日(土)13:30~16:30(開場13:00)
会場 橋本市産業文化会館「アザレア」大ホール
    (和歌山県橋本市高野口町向島135番地)
参加費無料・事前申込不要
内容
1.開会挨拶
2.地域司法の充実の必要性と当該地域の現状の報告
3.基調報告『最高裁協議の経過と得られた成果について(仮)』
4.報告『徳島県内の家庭裁判所(出張所)の運用について(仮)』
 (和歌山家庭裁判所妙寺出張所の活性化に向けて)
5.パネルディスカッション『地元密着の家庭裁判所を求めて(仮)』
6.質疑応答(他の地域からの会場発言)
7.パネリストからのコメント、まとめの発言
8.閉会挨拶
主催 日本弁護士連合会
共催 和歌山県橋本市かつらぎ町九度山町高野町、裁判所橋本支部設置推進協議会、近畿弁護士会連合会、和歌山弁護士会
お問い合わせ 
日本弁護士連合会法制部法制第一課
 TEL:03-3580-9893  FAX:03-3580-9899
和歌山弁護士会 〒640-8144 和歌山市四番丁5番地
 TEL:073-422-4580  FAX:073-436-5322
 
 開催趣旨については、主催者である日本弁護士連合会と、開催地弁護士会である和歌山弁護士会のホームページにそれぞれ掲載されたものをご紹介しましょう。
 
日本弁護士連合会
(引用開始)
 日本弁護士連合会では、この度、和歌山県伊都橋本地域における司法基盤に関する意見交換会「地域司法キャラバンin伊都橋本~地家裁支部の設置を目指して~」を開催いたします。
 開催地である和歌山県伊都橋本地域は、1990年の裁判所支部統廃合により、和歌山地家裁妙寺支部が廃止され、本庁管轄となったため、現在、同地域には家庭裁判所妙寺出張所及び簡易裁判所が置かれているのみとなりました。このため、市民の司法アクセスの利便性が相当程度低下しており、地域において司法が果たすべき役割との観点からも重要な課題となっています。
 そこで、地元においていかなる活動をすべきか等について意見交換を行いますので、ぜひお集まりください。
 なお、日弁連では、本年11月5日に第27回司法シンポジウムを開催予定であり、本意見交換会は、そのプレシンポジウムとの位置付けで開催します。同シンポジウムは、「いま、司法が果たすべき役割とは―法の支配の確立をめざして―」をテーマに据え、権利の実現に果たす司法の役割や地域におけるネットワークづくりへの司法の関与の可能性等について取り上げる予定ですので、こちらにつきましても、ぜひご参加ください。
(引用終わり)
 
和歌山弁護士会
(引用開始)
 伊都橋本地域は1990年(平成2年)の裁判所支部統廃合により和歌山地家裁妙寺支部が廃止されました。このため、現在は家庭裁判所妙寺出張所と簡易裁判所が置かれているのみとなっており、同地域の住民の司法アクセスは大きく阻害されている状況にあります。
 和歌山弁護士会は、これまでも伊都橋本地域の司法アクセス改善に重点的に取り組んできました。今般、日弁連、近弁連、そして地元自治体である和歌山県、伊都橋本地域の1市3町(橋本市かつらぎ町九度山町高野町)及び裁判所橋本支部設置推進協議会と共催のうえ、「地域司法キャラバンin伊都橋本~地家裁支部の設置を目指して~」を橋本市産業文化会館「アザレア」で開催することになりました。
 今回のキャラバンでは、伊都橋本地域の司法の現状を把握し、日本各地の取り組みを紹介するなどして、家裁妙寺出張所の活性化、さらには同地域への将来的な地家裁支部の設置に向けた検討を行います。
 伊都橋本地域の住民の皆様はじめ、たくさんの方々のご来場をお待ちしております。
(引用終わり)
 
 開催趣旨にも書かれているとおり、かつて和歌山県紀の川上流域には、伊都郡かつらぎ町妙寺に和歌山地家裁妙寺支部が設置されていましたが、1990年の裁判所支部統廃合のうねりの中、支部が廃止され、家裁出張所と簡裁だけが残されることになりました。 このため、橋本市及び伊都郡内の各町の住民が、地裁管轄の事件を提起しようとすれば、車を走らせても1時間~2時間(橋本市の中心部からなら約1時間半)はかかる和歌山市の本庁まで出向かねばならず、非常な不便を強いられることになりました。
 また、家裁出張所があるとはいえ、調停期日が開かれる日程が非常に限られているなど、利用者の司法アクセスに対する障害となってきました。
 和歌山弁護士会では、2度にわたってとりまとめた地域司法計画の中で、伊都橋本地域に新たな支部を設置すべきことを強く主張してきました。
 以下に、「第2次和歌山地域司法計画」の該当箇所(14~16頁)を、少し長くなりますがご紹介したいと思います。
 これをお読みいただければ、9月24日に開催される日弁連の地域司法キャラバンの目指すところが、端的にご理解いただけるものと思います。
 会場の「アザレア」大ホールはキャパ680人の広い会場です。是非、伊都橋本地域の多くの方に来場いただき、支部設置要求の気運を一層盛り上げていただければと思います。
 なお、引用箇所に記載されているデータ(法律事務所の数など)は、同地域司法計画公表(2012年10月)後の変動を反映していないことをお断りしておきます。 
 
第2次和歌山地域司法計画  2012(平成24)年10月  
和歌山弁護士会
(引用開始)
第3 和歌山の司法の現状と課題
2 裁判所
(4)現状の分析と今後の課題
(イ)裁判所の適正配置
a はじめに
 和歌山県内の弁護士数はここ10年間で著しく増加しました。県内でのいわゆるゼロワン地域も解消し、地家裁支部のない橋本市にも弁護士法人非常駐支店を含めると3事務所が開かれ、県民の弁護士へのアクセスはかなりの程度改善されたといえます。
 しかし、市民間の法的紛争は、地域に弁護士がいればそれで適切に解決されるというわけではなく、最終的な公権的紛争解決機関としての裁判所が地域に存在することが不可欠です。
 憲法32条は、国民に裁判所において裁判を受ける権利を保障しています。しかし、国民の居住する身近な地域や生活圏内に裁判所が存在してはじめて、裁判を受ける権利が実効的に保障されるのであり、裁判や調停のために何時間もかけて裁判所に行かなければならないような状況では、もはや「裁判を受ける権利」は絵に描いた餅と同じです。
 見方を変えれば、裁判所を含めた司法機関は、道路や上下水道と同じように国民生活を送る上で不可欠なインフラというべきであり、地域の実情にあわせた適正な配置が必要です。
 その視点で、和歌山県内を見渡しますと、1990(平成2)年まで和歌山地家裁妙寺支部が設置されていた伊都橋本地域に支部を新設(復活)することの必要性を指摘しなければなりません。また、串本簡裁地域の管轄を田辺支部から新宮支部に変更することの要否についても検討する必要があります。
b 和歌山地家裁橋本支部(仮称)新設の必要性及び家裁妙寺出張所の活性化
 1990(平成2)年まで設置されていた伊都郡かつらぎ町妙寺の和歌山地家裁妙寺支部が、地家裁支部統廃合により廃止されて和歌山地裁本庁管内となり、現在は妙寺簡裁と家裁出張所が置かれているのみという状況です。
 家裁出張所は、当初は月2回、和歌山家裁の審判官や書記官が出張して調停などが開かれていましたが、現在は月1回のみとなっているため、利便性が相当程度低下しています。特に、弁護士が代理人につく事件においては、期日がほとんど入らず現実的に利用されていないと言っても過言ではありません。
 伊都郡及び橋本市地域は、和歌山県の東北部に位置し、北は大阪府、東は奈良県と接しており、紀ノ川に沿って国道24号線とJR和歌山線が東西に走っており、また、大阪難波から高野山まで南海高野線が走っています。 
 橋本駅からは、南海高野線で、難波まで特急で45分程度なのに対し、和歌山地家裁本庁のある和歌山市までは、JR和歌山線を利用しても1時間5分程度かかります(しかもほぼ1時間に1本しかありません。)。橋本市北部の林間田園都市から公共交通機関を利用したとすると、乗換えがスムーズにできたとしても橋本駅で乗り換えて1時間20分程度かかり、高野山からでは2時間もかかり、隣の奈良地家裁五條支部のある五條市や大阪地家裁堺支部のある堺市に行くよりも遙かに時間がかかるという状況です。自家用車を利用したとしても、高野山からでは約2時間、橋本市中心部からでも1時間30分はかかります。
 伊都橋本地域の大部分は、通勤や日常生活においても大阪エリアであり、日常生活において和歌山市に出ることはあまりないのが現状です。
 このような状況において、伊都橋本地域の住民が紛争解決のために裁判所を利用することのハードルは非常に高い状況になっています。特に、本人の出席が必要な離婚などの家事調停においては、その不便さは顕著です。
 今、橋本市など地元自治体、地元経済団体も、地元のバランスのとれた発展、地域作りのためには地域に地家裁支部が必要であることから、橋本市や橋本商工会議所などを中心に「裁判所橋本支部設置推進協議会」の設立準備が進められており、地家裁支部の新設運動が起こりつつあります。国の財政状況などを考えれば、多くの困難も予想され一朝一夕に実現できるものではないかもしれませんが、県民に対する司法サービスの充実に責任を負わなければならない和歌山弁護士会としては、地域住民とともに、和歌山地家裁橋本支部(仮称)の新設実現のための運動を、粘り強く展開しなければならない決意で取り組んでいきたいと考えております。
 また、地家裁橋本支部が新設されるまでの措置として、和歌山家裁妙寺出張所の期日を増やし住民が利用しやすい裁判所にすべきです。前述のように、この地域に現在ある和歌山家裁妙寺出張所は現在毎月1回、本庁から裁判官と書記官が文字通り出張してくるのみで、普段は単に受付業務しかなされていません。これでは、調停期日も十分に確保できず、現状では地域住民は現実的に非常に利用しにくい状況にあります。少なくとも週に1回は調停が行えるようにし、妙寺出張所を活性化すべきです。
(引用終わり)

地域司法キャラバンin伊都橋本