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岡野八代教授(同志社大学大学院グローバルスタディーズ研究科)の講演動画を3本ご紹介します

 今晩(2016年9月21日)配信した「メルマガ金原No.2576」を配信します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
岡野八代教授(同志社大学大学院グローバルスタディーズ研究科)の講演動画を3本ご紹介します

 数年前までは、講演会の企画をする際にまず参考としたのは、新書、選書などを含めた単行本、それから論壇誌などに掲載された論考、新聞への寄稿やコメントといったところだったのではないでしょうか(TVで有名な人は講演料が高すぎて考慮外?)。
 私も、青年法律家協会和歌山支部の会員として、「来年の憲法記念講演会を誰にお願いしようか?」という議論を毎年行っていましたし、憲法9条を守る和歌山弁護士の会の事務局長時代(2006年~2012年)にも、いくつかの企画に関与しましたから、その経験から言うのですが、3.11の頃を境に、講師候補者の名前をあげていく上で参考とする媒体が、紙から動画に大きく推移したように思います。
 ちょうどその頃から、URTREAMによる中継が普及し、YouTubeへの長時間動画のアップが可能となり、講演動画のインターネット環境への掲載を了解する講師が増えたのでした。
 こうして、「一度是非和歌山にお招きしたい」と考える講師候補者をリストアップする作業に私が関わ
る場合、インターネットでの講演動画を視聴できる方に偏りがちになることは否めず、これはこれで問題なのですけどね。
 
 というような前置きになったのは、今日ご紹介しようという岡野八代(オカノヤヨ)教授(同志社大学大学院グローバルスタディーズ研究科)が、まだ直接講演を伺ったことのない方の中で、近く和歌山に講師として招いてくれる団体がないだろうかと期待しているお1人だからなのです。
 ちなみに、岡野教授は、立憲デモクラシーの会の呼びかけ人の1人として、立憲デモクラシー講座の第12回「女性と政治と憲法と」を担当され、私のメルマガ(ブログ)でもご紹介しています(立憲デモク
ラシー講座第11回(6/3石田英敬東京大学教授)と第12回(6/10岡野八代同志社大学大学院教授)のご紹介/2016年6月16日)。
 
 今日は、必ずしも和歌山で講演会を企画する人のための参考資料にしようというだけではなく、民主主義についてもっと深く学びたいという方のためにもと思い、岡野八代教授による講演動画を3本まとめてご紹介することにしました。私自身、これから時間を作って何とか見たいという段階ですが、個人的に一番興を惹かれているのは、2本目の動画、今年の5月26日にシアターセブンで開かれた 市民社会フォーラム第180回学習会「戦争と民主主義を考える-個人の尊厳を守る政治のために」です。皆さんはいかがでしょうか?
 
 なお、講演動画のご紹介の前に、同志社大学グローバル・スタディーズ研究科の公式サイトに掲載された「プロフィール」と「学生へのメッセージ」を引用しておきます。
 
(引用開始)
プロフィール
 わたしは、三重県松阪市で生まれ育ちました。松阪牛で有名なわたしの故郷は、大学進学を機に離れ
てみてようやく、歴史的に作られた複雑な差別構造をもった市なのだと気づきました。それ以来、差別やアイデンティティの問題に関心をもち、歴史的・理論的にこれらの問題を考えるために、哲学ではなく、政治思想を専門に選びました。内向的な思索ではなく、世界とのかかわりの中で、差別やアイデンティテ
ィの問題を考えたかったからです。
 その後、博士課程に進学するさい、カナダに留学し、政治思想においてフェミニスト理論がいかに大きな貢献を果たしているのかを目の当たりにしました。差別やアイデンティティの問題に、ジェンダー構造・秩序は大きな影響を与えています。また、社会全体の隠された支柱こそが、ジェンダー構造です。みなさんの関心から、こうした問題を一緒に考えていけることを楽しみにしています。
学生へのメッセージ
 わたしの学生時代には、大学院での研究にくわえ、友人たちとのお喋りのなかから、多くの先人たちの著作やことば、そして彼女たちの経験について学びました。そうした言葉は、いまなおわたしの心にしっ
かりと刻まれています。たとえば、わたしの研究対象の一人である、ユダヤ系ドイツ人女性で、戦後合衆国で活躍したハンナ・アーレントの次の言葉は、いまなおわたしの研究生活にとって大切にしている言葉です。
人間の創造とともに、「始まり」の原理が世界の中にもちこまれたのである。これは、もちろん、自由の原理が創造されたのは人間が創造されたときであり、その前ではないということをいいかえたにすぎないハンナ・アーレント『人間の条件』177頁]。
 大学院での研究は、これまで考えたこともなかったほどに、みなさんの心と世界を広げてくれるはずです。予測不可能なことが生じるところに、研究の楽しさや可能性が秘められています。現実の社会とは違い、理念や思想の世界に触れることで、わたしたちは、真の意味で自由で平等となりえます。そして自由な心をもつことで、わたしたちは時間や空間の境界を超えることもできます。本研究科で学ぶみなさんとともに、そうした自由を実現し、感じられるようになりたいと思っています。
 わたしの専門は西洋政治思想ですが、ただ単に著名な哲学者の言葉について思索をめぐらせるだけでなく、日本社会で現在生じている問題、たとえば、第二次世界大戦下における「性奴隷制度」・従軍「慰安婦」問題や、男女間の社会的地位における格差などについても論じています。みなさんも専門的研究を通
じて、より広い世界へとぜひはばたいてください。
(引用終わり)
 
20150221 UPLAN 岡野八代「憲法九条から考える 非暴力・反暴力の思想について」(2時間49分)

※岡野教授の講演は23分~2時間07分。その後は、質疑応答を含めた対談。
「人類の歴史を振り返ると、とくに私が専門とする政治思想史の観点から人類の歴史を振り返ると、そこには暴力が吹き荒れる荒野が広がっているように見えます。とくに20世紀は「戦争と革命の時代」とも呼ばれるように、これまで経験したことのない大量の殺人が「国家」の名の下に遂行されました。非暴力─わたしはむしろ、反暴力のほうが相応しいと考えております─の思想とは、こうした人類の無残な歴史を反省するなかで生まれてきたと同時に、弱く無力でありながら、他者に依存しなければ生きていけない人びと(=多くは子どもたち)に寄り添ってきた経験からも紡がれてきたと考えられます。そうした歴史を踏まえれば、現行の政治は、大きな変革を迫られることになるでしょう。講演では、そもそも暴力、暴力に抵抗する営みと政治との関係を思想史的に考えながら、皆さんと新しい政治の在り処について考えてみたいと思います。」
 
岡野八代教授講演「戦争と民主主義を考える-個人の尊厳を守る政治のために」(1時間40分)

講師:岡野八代教授(同志社大学大学院グローバルスタディーズ研究科)
日時:2016年5月26日18時半~
場所:シアターセブン(大阪)
市民社会フォーラム第180回学習会
「歴史を振り返れば、古代アテネは「兵士の共同体」、フランス革命は「国民軍」を生んだ。だからこそ、
「戦後」民主主義は、人権と反戦平和という新しい規範によって立ち上げられようとした。
 「民主主義」社会の前提となる「個人の尊厳」と「戦争」は相容れない。だからこそ、「民主主義」国
家と「戦争」もまた相容れない。
 西洋政治思想史を専門とする岡野八代さんに、日本の立憲主義・平和主義・民主主義の回復の課題にも触れながら、お話しいただきます。」
 
戦争法強行採決1年を考える兵庫集会 ―講演 岡野八代・同志社大学教授「この国に民主主義を実現するために」、真喜志好一氏「沖縄は戦争法の具体化と闘う」 2016.9.19
日時:2016年9月19日(月)13:30~16:30
場所:兵庫県私学会館大ホール(兵庫県神戸市)
「■呼びかけ文■集会後三宮までのデモ行進をおこないます。
 2015年9月19日、憲法違反を指摘する大多数の憲法学者の声と国会内外で行われたデモや民意を無視して、
安全保障関連法(戦争法)が強行採決されました。それから1年。参議院選挙で議員の構成を変えて法律の廃止を実現するには至っていませんが、各種世論調査でも反対意見が今なお過半数を超えています。さらに政府自民党は、立憲主義を根底から覆す憲法改定に突き進もうとしており、戦争法廃止・改憲阻止を求
める取り組みが今、求められています。
 本集会では、学者と沖縄の市民に講演していただき、今後の取り組みの参考にします。
岡野八代さんは政治思想・フェミニズム思想が専門。立憲主義とは何か?西洋政治思想から説き起こし、
日本におけるその可能性と、自民党改憲草案がいかにそれを壊すものかを語っていただきます。
 真喜志好一さんは「沖縄はもうだまされない」(2000年)の著作で知られた市民活動家。
高江の問題の背景にあるSACO合意の問題点を沖縄で一貫して主張されてきました。8月に訪米し、平和のた
めの退役軍人の会総会で高江の取り組みに連帯する決議をあげた報告もしていただきます。
 アベ政治を許さない市民デモKOBEからも、今後の市民ネットワークの在り方について提案し、アピールや
会場の意見で豊富化したいと考えています。皆さん、ぜひご参加ください。」