wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

第2回和歌山県ジュニア美術展覧会(2016)「立体」部門を見てきた

 今晩(2016年10月30日)配信した「メルマガ金原No.2615」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
第2回和歌山県ジュニア美術展覧会(2016)「立体」部門を見てきた

 昨年よりも1か月余り日程が早まった第2回和歌山県ジュニア美術展覧会(2016)を和歌山県立近代美術館まで見に行ってきました。
 といっても、今日が最終日だと知ったのは昨日の夜ということで、他に用事もあり、「絵画」「書」「立体」という3部門のうち、特に「立体」部門だけ集中的に見てきました。

 昨年開かれた第1回ジュニア県展の「立体の部」で、私の知人の娘さんで、私の小学校の49年(!)後輩にあたる西本朱里(にしもと・あかり)さん(当時小学校6年生)が最優秀賞を受賞したということを知り、見に行ったのでした(第1回和歌山県ジュニア美術展覧会を見てきた/2015年12月5日)。

 今年の春、無事志望する中学校に入学した朱里さんが、今年もジュニア県展に入賞したということを、彼女のお母さんのFacebookで知ったのが昨日の夜であり(和歌山県ホームページで調べたところ、「立体」部門の特別賞を受賞していました)、最終日の今日、短い時間でしたが、県立近代美術館を訪れました。
 
 入賞・入選(最優秀賞、優秀賞、特別賞、入選)の作品数は、「絵画」部門324点(出品1,789点中)、「書」部門228点(出品1,327点中)、「立体」部門31点(出品79点中)ということで、短い滞在時間の中で「絵画」と「書」をじっくり見るような余裕はとてもなく、31点の「立体」部門に絞って鑑賞しました。
 
 ところで、「立体」部門ってどんなものを作れば応募できるの?ということからしてまずイメージしにくいですよね。そのことが、応募(出品)点数の少なさにもあらわれているようです。
 そこで、「第2回和歌山県ジュニア美術展覧会 公募要項」を読んでみました。
 
(抜粋引用開始)
[出品できる者](3部門共通)
ア 和歌山県内の小学校、中学校、特別支援学校(小学部・中学部)に在学する児童・生徒
イ 和歌山県在住で、県外の小学校、中学校、特別支援学校(小学部・中学部)に在学する児童・生徒
[出品点数](3部門共通)
各部門、1人1点とします。他部門に1点ずつ出品することは可能です。
※出品は児童・生徒が1人で作成したものに限ります。
[作品規格(立体)]
高さ1m、展示床面の一辺の長さ0.5m以内の単体(組み物は不可)で、持ち運び可能なものとします。
【注意事項】
○立体部門は学校経由で出品できません。
○一部が分離したり、取り外せたり、電力等により動いたりする作品は出品できません。
○材料は問いませんが、腐敗する恐れのないものとします。
○市販のキットを組み立てただけのような作品は審査対象外とします。
(オリジナルに加工した作品は審査対象とします。)
○破損しやすいものなど、輸送、展示が困難な作品は、出品をお断りする場合があります。
(引用終わり)
 
 大きさの制限はありますが、あとは「単体(組み物は不可)で、持ち運び可能なもの」とあるだけです。この「規格(フォーミュラ)」の中で、どれだけイメージを膨らませて制作できるかということなのですが。
 当日会場で配布されていたカラープログラム(26頁)には、全入賞・入選者の作品名・氏名・学年・市町村名が書かれており、特別賞以上については写真も掲載されていました。
 以下に、「立体」部門全入賞・入選作の作品名と学年をご紹介します。どんな作品か、想像できますか?
 
【最優秀賞】
マリーゴールドにとまるステキな蝶々(小4)
【優秀賞】
ぼくの大好きな夏の川(小1)
切手ミンゴ(小3)
未来のペンギン(小5)
【特別賞】
夏のくるくる風車と馬さん(小1)
立ちあがるオグロヌー(小1)
しん海の魚(小3)
スライム時計(小4)
ついらくしたタイムマシン(小5)
わりばしの家(小5)
dog(中1)
バーガーセット(中1)
I can(えび) fly(中1)
【入選】
シャフルさんのわらいごえ(コントラバス)(小1)
ドレッサー(小2)
かおだらけのリンゴ(小2)
レーシングゲーム(小2)
とったぞー!(小2)
海からきた鳥(小2)
大好きなパンダ(小2)
親子ペンギン(小3)
かぶと虫(小3)
ひまわりカレンダー(小3)
ぼくのくじら号(小4)
恐竜ペン立て(小4)
カロンと焼き物(小4)
柴犬(小5)
3Dサーキット(小6)
飛行機(小6)
手動 はん売機(小6)
POPなマカロンタワー(中1)
 
 一体どんな作品なのかは想像を膨らませていただくとして、以下には、「立体」部門の3人の審査員を代表して書かれた岡本康明京都造形芸術大学教授による選評をプログラムから引用します(他の審査員は、丁子かおる和歌山大学准教授と彫刻家の橋本和明氏)。
 
(引用開始)
 立体部門は今回も多彩な作品の応募がありました。優秀賞となった蝶と花の作品は色合いが美しく、表現も大胆でした。優秀賞は、池に住む蛙や蜻蛉の姿が生き生きと再現されて、1年生としてはすばらしい作品となっていました。またロボットのペンギンもビスが埋め込まれたり、全身が金属色で塗られて工夫がありました。同じく切手で色が施された鳥の作品もすばらしかったです。中学生は応募作品が少なかったようですが、作品のレベルは高く、多様な表現の試みがあり、優秀賞を絞り込めず3点の特別賞としました。来年度が楽しみです。
(引用終わり)
 
 「立体」部門の入賞・入選作31点のうち、私が個別に写真を撮った作品が3点ありますので、それをご紹介します(撮影は許可されていました)。
 
CIMG6686 まず、最優秀賞となった岡本亜樹さん(小4・御坊市)の作品「マリーゴールドにとまるステキな蝶々」です。
 亜樹さん本人の受賞のことばを引用します。
 
(引用開始)
 わたしはふだんから工作が大すきです。去年、第一回和歌山県ジュニア美術展覧会に家族でおとずれたとき来年は立体部門の作品を作ってみたいと強く思いました。
 そして今年、家の花だんにさいていたマリーゴールドにちょうがとまっている所を見てこの作品を作りました。一番むずかしかった所は花にちょうがとまるように紙ねんどとねんどの量を調整してバランスをとったことです。たくさんの時間がかかったけど、最優秀賞の報告を聞いてとてもうれしかったです。

(引用終わり)
 
 審査員の岡本先生も書かれているとおり、配色のセンスが素晴らしいと思いました。それに、私には素材の見当が全然つかなかったのですが、受賞の弁によれば、「紙粘土と粘土」でこういう作品が出来るのですね。
 
 続いて、昨年の第1回ジュニア県展「立体」の部で最初の最優秀賞受賞者となった西本朱里さんの今年の入賞作「I can(えび) fly」です。
CIMG6683 巣立ちも近いと思われる(かなり大きくなった)3羽の雛に餌を届けにきた親鳥というモチーフであり、「I can fly」はよく分かるのですが、(えび)って何?と思うでしょう。
 昨日、 朱里さんのお母さんがFacebookへのコメントで教えてくださったところによると、「架空のエビフライ鳥がヒナに餌をやっているところです。巣はキャベツの千切りだそうです。」なのだそうです。
 私はこの予備知識を基に、「I can(えび) fly」を子細に観察したのですが、親鳥の素材に本物の海老フライが使われているのかどうか(そんなはずないでしょうけど)、結局分かりませんでした。親子の巣も「キャベツの千切り」と思って見ればそう見えないこともありませんが、素材は「いろ紙の千切り」ではないのか?(触る訳にはいかないので見ただけの印象ですが)と思いますけどね。
 実は、今回の入賞・入選31作品の中で、この「I can(えび) fly」が、一番謎めいた作品ではないかという気がします。
 あと2年間、ジュニア県展への出品資格がありますので、朱里さんには、是非来年もジュニア県展に挑戦して欲しいですね。期待しています。
 
 最後の作品は、残念ながら入選にとどまった下出将人くん(小6・有田郡広川町)の「3Dサーキット」です。
CIMG6681 サーキットのメインストレートを駆け抜ける(F1とおぼしい)2台のフォーミュラカーを立体的に表現した作品で、発想の基は「飛び出す絵本」の類かもしれませんが、前にいる青い車の位置取りから考えて、第1コーナーはおそらく右コーナーだろうとか、それに続く赤い車(フェラーリか?)は、前車のスリップストリームから抜けてインに車をふり(車体が心持ち右を向いている)抜きにかかろうとしているところだろうかとか、レース好きなら様々な想像をめぐらせることができる作り込みがされています。
 将人くん自身も、きっとモータースポーツが大好きなんだろうなあと、(めちゃくちゃ年は離れていますが)同好の士を見出した気分になり、思わずシャッターを押したのでした。
 
 昨年の第1回ジュニア県展を見た私は、「「立体」の部は、展示されていた作品が31しかなかったということもあるかもしれませんが、1つ1つの個性が際だっており、子どもたちが真剣に、しかも楽しく作っていたのだろうなと想像されて、見ている自分も幸せな気持ちになってきました。」と書きましたが、今年の感想もこれと異なるものではありません。
 もっとも、「絵画」や「書」の入賞・入選作も、時間をかけてじっくりと見て回れば、色々な発見があるに違いありません。
 来年の第3回こそ、和歌山県ジュニア県展を丸ごと鑑賞できればと願っています。