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「南スーダン・PKO自衛隊派遣を考える院内集会」(10/27)を視聴する~清水雅彦氏、谷山博史氏、柳澤協二氏

 今晩(2016年11月1日)配信した「メルマガ金原No.2617」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
南スーダン・PKO自衛隊派遣を考える院内集会」(10/27)を視聴する~清水雅彦氏、谷山博史氏、柳澤協二氏

 昨日に引き続き、集会動画のご紹介です。
 昨日ご紹介した関西市民連合第1回シンポジウム「新たな市民運動と野党共闘の可能性」(10/28)は私自身ほぼ全編を視聴した上でのご紹介でしたが、今日取り上げる改憲問題対策法律家6団体連絡会・立憲フォーラム共催による「南スーダン・PKO自衛隊派遣を考える院内集会」(10/27)は、ちらちらと各発言の最初の方を少しずつ「飛ばし」視聴しただけであることをお断りせざるを得ません。
 けれども、これは是非ともご紹介すべき集会の動画だと思い、取り上げることとしました。
 
 南スーダン派遣の陸上自衛隊施設隊は、今月交替の時期を迎え、東北方面隊から派遣される次の部隊から、いわゆる「駆け付け警護」等の新任務が付与されるのではないかとされており、それに向けた訓練が行われているとも伝えられています。
 これについて、東京新聞論説兼編集委員の半田滋さんが、昨日(10月31日)の「私説・論説室から」に以下のように書かれていました。
 
(引用開始)
 南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣される陸上自衛隊の訓練が公開された。安全保障関連法にもとづく「駆け付け警護」「宿営地の共同防衛」とも武器を使うことなく終わり、武器使用を含む新
任務の全容が明らかにされることはなかった。
 「おや?」と思ったのは道路補修の訓練だ。武器を構えた隊員たちが道路をならす重機の周囲で警戒している。二〇一二年七月、南スーダンで空港、国連施設、市街地の三カ所で道路補修する自衛隊を取材し
たが、このような緊迫した場面はなかった。
 南スーダンでは一三年十二月、武力衝突があり、今年七月にも繰り返された。PKO部隊さえ危険にさらされ、警戒しながら行うほかない道路補修とすれば、これが日本政府のいう「意義のある活動」なのだ
ろうか。
 現地は十一月には雨期が明ける。自衛隊が補修する道路は生活の利便性を高めるだけでなく、武装集団
の移動を助けることにもなる。平和維持のための活動が平和破壊の手助けになるなら、本末転倒だろう。
 安倍晋三首相は「積極的平和主義」を打ち出しているが、日本がPKOに部隊派遣しているのは南スー
ダンだけ。安保法も当面、南スーダンで適用するほかない。そこで新任務というわけか。
 この政権でなければ、撤収を含む別の判断が下せたのではないだろうか。 (半田滋)
(引用終わり)
 
 さらに、今日(11月1日)の動きを報じるニュースも1つ引用しておきます。
 
読売オンライン 2016年11月01日 13時19分
駆けつけ警護、他国の軍隊は対象外…稲田防衛相

(引用開始)
 稲田防衛相は1日午前の閣議後記者会見で、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊部隊へ付与する方針の新任務「駆けつけ警護」について、他国の軍隊や軍人を救援する事態は想定
していないことを明らかにした。
 駆けつけ警護は、国連職員や民間活動団体(NGO)のスタッフらが武装集団などに襲われた際に、自衛隊が武器を持って救援にあたる任務。稲田氏は「(南スーダンに)行っているのは(道路整備などにあたる)施設部隊だ」と指摘した上で、「緊急の要請を受けて対応できる範囲で、人道的見地から保護するのが駆けつけ警護だ。排除はしないが、他国の軍隊や軍人を駆けつけ警護する場合は想定しにくい」と述
べた。
 他国軍隊への駆けつけ警護には、南スーダンの治安当局と国連PKOの歩兵部隊が出動する見通しだ。
 政府は20日から交代で派遣される陸自部隊に、安全保障関連法で可能となった「駆けつけ警護」など
の新任務を付与する方向で最終調整している。
(引用終わり)
 
 現地情勢の悪化によって、政府の方針が慎重になるのでは、という観測がなされたりしたこともありましたが、どうあっても新任務付与の方針は変わらないようです。派遣される自衛官やその家族の思いはいかばかりか、全ての国民がそのことに思いを馳せるべきでしょう。
 
 以下に、10月27日に開催された院内集会の動画をご紹介します。NPJとUPLANの動画が見つかりました。撮影アングルはNPJの方が見やすいと思いましたが、音声はUPLANの方が聴き取りやすい。ということで、両方ご紹介することにしました。どちらでも、視聴しやすいと思った方でどうぞ。
 
NPJ 【南スーダン・PKO自衛隊派遣を考える】 改憲問題対策法律家6団体連絡会・立憲フォーラム(1時間56分)

冒頭~ 開会挨拶 海渡雄一弁護士(社会文化法律センター理事)
第1部 基調報告
3分~ 「自衛隊PKO活動の変質と憲法上の問題点」 清水雅彦氏(日本体育大学教授・憲法学)
18分~ 「国際NGOから見た自衛隊PKO活動」 谷山博史氏(日本国際ボランティアセンター代表
理事)
42分~ 「動き出す安保法制とどう向き合うか」 柳澤協二氏(元内閣官房副長官補)
59分~ コメント 辻元清美衆議院議員
1時間05分~ 連帯挨拶 山岸良太弁護士(日弁連憲法問題対策本部本部長代行)
1時間10分~
第2部 パネルディスカッション
コーディネーター 永山茂樹氏(東海大学法科大学院教授)
パネラー 清水雅彦氏、谷山博史氏、柳澤協二氏
1時間48分~ 法律6団体の声明のご報告 大山勇一弁護士
1時間52分~ 閉会挨拶 近藤昭一衆議院議員(立憲フォーラム代表)
主催:改憲問題対策法律家6団体連絡会(社会文化法律センター、自由法曹団青年法律家協会弁護士学者合同部会、国際法律家協会、日本反核法律家協会、日本民主法律家協会・立憲フォーラム
 
20161027 UPLAN 南スーダンPKO自衛隊派遣を考える院内集会(2時間00分)

冒頭~ 開会挨拶 海渡雄一弁護士(社会文化法律センター理事)
第1部 基調報告
3分~ 「自衛隊PKO活動の変質と憲法上の問題点」 清水雅彦氏
18分~ 「国際NGOから見た自衛隊PKO活動」 谷山博史氏
43分~ 「動き出す安保法制とどう向き合うか」 柳澤協二氏
1時間00分~ コメント 辻元清美衆議院議員
1時間05分~ 連帯挨拶 山岸良太弁護士
1時間11分~ 第2部 パネルディスカッション
1時間49分~ 法律6団体の声明のご報告 大山勇一弁護士
※動画の1時間59分あたりで「南スーダン・PKO自衛隊派遣に反対する法律家6団体の声明」がアップされていますので、読むことができます。
 また、集会の登壇者のお一人であった清水雅彦さんのブログにも掲載されていましたので、末尾に全文引用することにします。この声明の原案の起案者は清水先生だったようです。
1時間53分~ 閉会挨拶 近藤昭一衆議院議員(立憲フォーラム代表)
 
「南スーダン・PKO自衛隊派遣に反対する法律家6団体の声明」
(引用開始)
 安倍政権は、多くの市民の反対の声を無視して、2015年9月に「戦争法」(いわゆる「安保関連法」)の制定を強行し、この中で「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」(いわゆる「PKO法」)も改正された。施行された改正PKO法によって、今年11月には 南スーダンへ「派遣」される青森駐屯地の陸上自衛隊第9師団第5普通科連隊を中心とした部隊に、他国PKO要員などの救出を行う「駆け付け警護と国連
施設などを他国軍と共に守る「宿営地の共同防護」の任務を付与しようとしている。
 そもそも、1992年にPKO法が制定された時、PKO活動の変質(米ソ冷戦前は北欧やカナダなどが原則非武装で、派遣国の停戦・受入合意がある場合にPKO活動を行っていたが、米ソ冷戦後は時にアメリカなどの大国が重武装で、しかも派遣国の停戦・受入合意がない場合でもPKO活動を実施するようになった)と憲法との関係(自衛隊PKO活動に「派遣」するのは憲法9条違反ではないかという議論)から、当時の野党は国会で牛歩戦術まで使って抵抗したほど議論があった。そのため、政府・与党もPKO法を制定したものの、PKO法に基づく参加に当たっての基本方針として5原則(①紛争当事者間での停戦合意の成立、②紛争当事者のPKO活動と日本のPKO活動への参加の同意、③中立的立場の厳守、④上記原則が満たされない場合の部隊撤収、⑤武器使用は要員の生命等の防護のために必要最小限のものに限られること)を定め、自衛隊PKO活動はあくまで復興支援が中心で、武器使用は原則として自己及び自己の管理に入った者に限定し、派
遣部隊も施設部隊が中心であった。
 しかし、南スーダンでは、今年4月に大統領派と反政府勢力の前第1副大統領派とが統一の暫定政府を立ち上げたが、今年7月に両派で大規模な戦闘が発生し、この戦闘ではPKO部隊に対する攻撃も発生し、中国のPKO隊員と国連職員が死亡している。国連安保理は、今年8月にアメリカ主導で南スーダン政府を含めたいかなる相手に対しても武力行使を認める権限を付与した4000人の地域防衛部隊の追加派遣をする決議案を採択したが、この決議には南スーダンの代表自体が主要な紛争当事者の同意というPKOの原則に反しているという理由で反対し、ロシアや中国なども棄権している。今月も大統領派と前第1副大統領派との間での戦闘が拡大し、1週間で60人もの死者を出している。この状況はとてもPKO参加5原則を満たしている状況とはいえない。そして、政府が今後予定しているのは、施設部隊に加えて普通科部隊や、さらに中央即応集団の部隊も派遣される可能性があり、他国部隊を守るために武器使用に踏み切るならば、憲法9条で否定さ
れた武力行使にあたることになる。
 私たち改憲問題対策法律家6団体連絡会は、憲法違反の「戦争法」(いわゆる「安保関連法」)の廃止を引き続き求めていくとともに、かかる状況の下での自衛隊南スーダンへの派遣と新任務の付与に断固と
して反対するものである。
2016年10月27日
改憲問題対策法律家6団体連絡会
 社会文化法律センター 代表理事 宮里邦雄
 自由法曹団 団長 荒井新二
 青年法律家協会弁護士学者合同部会 議長 原和良
 日本国際法律家協会 会長 大熊政一
 日本反核法律家協会 会長 佐々木猛也
 日本民主法律家協会 理事長 森英樹
(引用終わり)