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渡辺治氏(一橋大学名誉教授)講演「憲法をめぐる参院選後の情勢と課題」(2016/10/10)を視聴する

 今晩(2016年11月10日)配信した「メルマガ金原No.2626」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
渡辺治氏(一橋大学名誉教授)講演「憲法をめぐる参院選後の情勢と課題」(2016/10/10)を視聴する

 多くの憲法学者の中で、「情勢論と展望」を語らせたらこの人の右に出る者はないというのが渡辺治さん(一橋大学名誉教授)だと私は思っています。
 ですから、今夏の参院選が終わった後の政治状況を踏まえた上での、渡辺治さんのまとまったご意見を是非拝聴したいものだと思っていました。
 そして、10月6日(木)18時30分から、北とぴあ・さくらホールにおいて、戦争させない・9条を壊すな!総がかり行動実行委員会が主催する「戦争法廃止!憲法をいかそう!さらなる広がりを求めて 総がかり行動シンポジウム」には、中野晃一さん(上智大学教授)、高野孟さん(「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹)と一緒に渡辺さんがパネリストとして登壇されており、分かりやすいお話は伺えたものの、発言時間が限られていて物足りないという憾みはどうしてもぬぐえませんでした。
 何とか、最近の単独講演の動画はないものかと探していたところ、ようやく見つけました。上記シンポジウムのわずか4日後である10月10日(体育の日)に憲法会議(憲法改悪阻止各界連絡会議)が主催した公布70年・憲法講座「今こそ、守り生かそう!日本国憲法」で、渡辺治さんが講演されていました。
 その憲法講座の模様を伝えた「憲法しんぶん(速報版)第675号」(2016年10月11日発行)から、該当箇所を引用します。
 
(引用開始)
 「公布70年・憲法講座─今こそ、守り生かそう! 日本国憲法」が、10月10日(体育の日)に全国家電会館で開催されました。安倍政権が改憲に向けた動きを強めるもとで、憲法をめぐる情勢を学び、戦争法廃止・憲法改悪阻止のたたかいをどうすすめるべきかと、関心と期待を集めて会場いっぱいの220人が参加し、学習しあいました。主催は憲法会議、協賛は首都圏の各憲法会議でした。
 井上哲士日本共産党参議院議員参議院国会対策委員長が「臨時国会の争点と戦争法・改憲の動き」をテーマに国会報告。
 井上議員は、①参院選後の立ち上がる市民と野党の共闘の現状、②そのもとでたたかわれている今の臨時国会の論戦と安倍政権の危険な動きと国民のたたかいについて、次のように報告しました。
 参院選の共同の効果で、新しい共同がひろがり、新しい前進が生まれている。新潟知事選挙では、柏崎刈羽原発の再稼働反対を訴える米山隆一候補への県民の期待が急速に広がる。自民党に激震が走り、「『まさか』という慢心があった。危なくなると想定していなかった。想定外の接戦に対応が遅れている」と自民党関係者は危機感をあらわにしている。そして、その米山氏の選対として頑張っているのが、先の参院選で野党統一候補として当選した森裕子議員である。一方で、安倍内閣の危険なおごりの姿勢が際立っており、今国会でも様々な形で現れている。南スーダンへの新しい任務を付与しての派遣で、自衛隊員が殺し殺される事態を招いてはいけない。戦争法廃止を求める運動をさらに大きくして行かねばならない。そのためにも安倍政権を打倒し、憲法を守り、生かすとりくみをすすめよう、と強調しました。
 渡辺治一橋大学名誉教授は、「憲法をめぐる参院選後の情勢と課題」としたテーマで、主に、①改憲をめぐる攻防から見た参院選、②改憲阻止の視点からの4野党の選挙共同の成果と課題、③参院選の結果を受けた安倍政権の改憲戦略、④安倍政権の暴走を阻む運動の課題の4点について、次のように講演しました。
 参院選後、安倍政権は9条の実質破壊であり9条改憲への地ならしとなる戦争法発動を、不退転の決意ですすめようとしている。南スーダンPKO派遣自衛隊への新任務の付与、限定的集団的自衛権発動訓練をすすめ、早期に衆院選を行い、ふたたび改憲勢力3分の2 を確保して明文改憲実行へ突き進む。そして、自民党総裁任期の延長を行い、安倍政権下での改憲を実行しようとしている。安倍改憲の本命は「これある限り『普通の国』にはなれない」と述べているように、9 条改憲である。しかし、国民多数が9条改憲に反対するもとで、本気になったら思い切って「柔軟路線」で改憲多数派を形成するために、野党共闘を攻撃・分断し、加憲論の公明党日本維新の会を巻き込み、改憲合意をすすめるだろう。
 そして、安倍政権の改憲を阻む運動の課題として、改憲を阻むには安倍政権を倒すことであるとして、野党の共同を強化し、憲法の実質改悪である戦争法の発動を阻止・廃止のたたかいに全力をあげること、憲法9条のもつ力を学び広めることなど憲法の学習の重要性を語りました。
 講演の後、だされた質問に2 人の講師は丁寧に回答しました。
 詳しい内容は、『月刊憲法運動』12月号(456号)に掲載されます。
(引用終わり)
 
 それでは、自由メディア(FmA)によるYouTube動画をご紹介します。
 
1010憲法講座(2時間29分)

冒頭~ 井上哲士日本共産党参議院議員講演
23分~ 渡辺治氏講演「憲法をめぐる参院選後の情勢と課題」
 25分~ ① 改憲をめぐる攻防から見た参院選
 47分~ ②改憲阻止の視点からの4野党の選挙共同の成果と課題
 1時間22分~ ③参院選の結果を受けた安倍政権の改憲戦略
 1時間59分~  ④安倍政権の暴走を阻む運動の課題
2時間09分~ 質疑応答
 
 私としては、改憲シミュレーションを検討するために非常に参考になったという意味で、特に1時間30分~1時間59分の部分に注目しました。2012年自民党「日本国憲法改正草案」2005年自民党「新憲法草案」公明党・加憲案という3つの改憲案の位置付けなど興味津々で聴きました。
 その他の部分も非常に示唆に富む有益な講演だと思います。
 是非視聴されますようお薦めします。