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「BSフジLIVE プライムニュース」テキストアーカイブから識者の発言を読む~石川健治氏、伊勢﨑賢治氏など

 今晩(2017年1月3日)配信した「メルマガ金原No.2680」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「BSフジLIVE プライムニュース」テキストアーカイブから識者の発言を読む~石川健治氏、伊勢﨑賢治氏など

 気がつけばあっという間に年末年始休暇も終わり、明日から仕事再開ということで、あまり休んだとい
う気がしないという人も少なくないかもしれません。
 その最後の休みの今日、インターネットで私が調べていたのは、昨年に引き続き、今年も初詣客を対象
として神社で改憲賛同署名を集めているという情報がヒットするのではないか?ということでした。
 けれども、今のところ、「初詣/改憲/署名」というようなキーワードで検索してみても、上位に来る
のは1年前の記事ばかりなのです。私の検索の仕方がまずいだけなのかもしれませんが、もしかしたら、神社本庁や美しい日本の憲法をつくる国民の会の方針が変化したのかもしれません。しばらく情報をフォローしてみようと思います。 
 
 ということで、今日のメルマガ(ブログ)の素材は別のものを探すことにしました。以前も取り上げたことがありますが、BSフジで毎週月~金の午後8時から生放送されている「プライムニュース」です。
 
2015年4月8日
テレビ報道番組のあり方を考える~例えば「BSフジLIVE プライムニュース」とそのテキストアーカイブ

 
 私がこの番組をメルマガ(ブログ)で取り上げる趣旨は、1年9ヶ月前の上記記事でほぼ言い尽くしていると思いますので再掲します。
 
「BSフジが毎週月曜日から金曜日までの夜8時から9時55分まで生放送している「BSフジLIVE プライムニュース」という報道番組の中の「テキストアーカイブ」のページです。
 「BSフジLIVE プライムニュース」という番組は、2009年から放送が始まり、反町理氏(そ
りまちおさむ/フジテレビ報道局政治部編集委員)が一貫してメインキャスターを務めている番組です。
 番組自体の傾向、そして反町氏個人の政治的見解は、フジサンケイグループの(反町理における)看板番組にふさわしいもののようですが、それにもかかわらず、私がこの番組のテキストアーカイブをご紹介
しようと考えた理由は以下のようなことです。
 まず、この2時間近い番組で、ゲストは1人もしくは少数であり、じっくりと時間をかけて、反町氏が
話を引き出すというスタイルをとっているため、視聴する者にとっても、ゲストの意見に賛成か反対かはともかくとして(今日4月8日のゲストの1人は石原慎太郎氏、明日9日のゲストの1人は櫻井よし子氏ですからね)、その主張を正確に理解しやすいという点が優れています。この点において、「朝まで生テレビ」のような「ショー」とは根本的に異なるのは当然として、NHKの「日曜討論」のような、ぶつぎりの一言コメントの連なりのような討論番組とも違います。
 さらに特筆すべきは、2014年10月以降、放送済みの番組の内容がテキスト化されて公開されていることです。各放送局ともオンデマンド放送に力を入れていますが、基本的に120分の番組を視るためには120分が必要ですから、既に放送された番組を振り返ろうとする時、テキストデータの無償配信は
非常に価値が高いものです。
 テーマやゲストの選択については、番組の編集長を兼ねるキャスターの反町理氏の意向が強く働いているのだろうと思いますし、その取り上げ方の傾向に必ずしも賛同はできないのですが、自分とは意見が違
うはずのゲストに対しても、反町氏の態度は出しゃばりすぎず、フェアだと思います。
 政治・経済等をテーマとするトーク番組として、一つのスタイルを作り上げた「プライムニュース」は
、このテキストアーカイブの掲載によってさらに価値を高めたと思います。
 ・・・と、フジサンケイグループの報道番組をなぜ私が褒めなければならないのか、我ながら不思議で
すが、良いものは良いと言うべきですからね。」
 
 これに付け加えるとすれば、以下のようなことでしょうか。
 
〇テキストアーカイブに掲載されるのは、ゲストが出演して発言した部分のみで、ニュースコーナーなどは当然ながら対象外です。
〇直近に放送された10番組は「ハイライトムービー」が試聴できますが、古いものから順次テキストに
置き換えられていきます。
 本日(2017年1月3日)時点では、2016年12月12日~12月23日までの10本のハイラ
イトムービーが試聴できます。
 私はこの中では、12月20日(火)に放送された『廃炉・賠償21.5兆円 なぜ従来試算の2倍に』に
興味がありますね。 
 ゲストは、
  山本拓自民党資源・エネルギー戦略調査会会長)
  石川和男(社会保障経済研究所代表)
  大島堅一(立命館大学国際関係学部教授)
の皆さんです。
〇以前、私が紹介した時点でどうであったかはっきり記憶していないのですが、現在は、放送されてから
半年以内(本日現在は、2016年7月分以降)のテキストアーカイブのみが公開されているようです。
 もっとも、それ以前に公開されていたテキストアーカイブが読めなくなってしまうということでもないようで、たとえば、私が以前のメルマガ(ブログ)で紹介した以下の回のテキストは、今でも閲覧できま
す。
2014年12月18日(木) 総選挙結果で現実味? “憲法改正論”を議論
ゲスト 百地章(日本大学法学部教授)、小林節(慶應義塾大学名誉教授・弁護士)、石川健治(東京大
学法学部教授)
 http://www.bsfuji.tv/primenews/text/txt141218.html
 要するに、上記URLの末尾の日付部分「141218」を入れ替えれば、その日に放送されたテキストが読めるようなのですよね。ということは、放送日と放送内容さえ何らかの方法で保存しておけば、古いテキストでも読めるということでしょうが、それくらいなら、テキスト化したものは全部一覧から検索できるようにしておいて欲しいけれど。
 
 過去半年分に限っても、「なぜ櫻井よし子氏がこんなに頻繁に出演するのか?」というような疑問はありつつ、興味深いテーマとゲストの組み合わせがいくつも目に付きます。
 それは皆さん各自で探していただくとして、とりあえず私が特に関心を抱いた2回分だけご紹介しておきましょう。
 
2016年11月3日(木) 日本国憲法公布70年 岡本行夫×石川健治
ゲスト 岡本行夫(外交評論家・マサチューセッツ工科大学シニアフェロー)、石川健治(東京大学法学部教授)

(抜粋引用開始)
反町キャスター「憲法解釈で同じ9条の解釈をしても、1972年の憲法解釈、政府見解においては集団的自衛権の行使は憲法上許されない。一方、2014年のところにおいては憲法上許される、許容されるという話がありました。石川さん、両方とも、政府見解を、内閣法制局は是というか、了というか、認めているわけ
です。内閣法制局というのは、これはどういうものだと感じているのですか?」
石川教授「1番のポイントから言いますと、2014年の閣議決定オーソライズした法制局と、それ以前の法
制局は別ものであると言っていいのだろうと思います」
反町キャスター「同じ組織ですよね?」
石川教授「ええ。ですけれども、言ってみれば、精神的な連続性が断たれたということなのだと思うんで
す。ですから、2014年の段階で、法制局OBは体を張って抵抗をしたんです。つまり、OBはそうです。ですから、それが、要するに、かつての法制局の姿であると。そうだとすれば、実際、法制局長官の山本さんは、最高裁に左遷されたわけですよね。そういうことがあって、ご存知の通りの変化がある。それ以降の法制局というのは少なくとも精神的な連続性が断たれてしまっている」
反町キャスター「断たれたという意味は、どういう意味ですか?どういう原因によって断たれたのですか?」
石川教授「それは結局、政治的な介入によって断たれたわけです。善し悪しは別にして」
反町キャスター「法制局長官の人事に関して、時の政権が、安倍政権が介入したことによって、それによって法制局とい
うものが変わったということですか?」
石川教授「それ以前の法制局というのは譲れない一線というものを持っていた。つまり、専門家として、譲れない一線というものを持っていて、実際にはドンドン譲ってきているわけです。たとえば、日米安保条約というのは、日米同盟の実質を持ってきたわけですね。ですけれども、建前上、同盟にはなっていないという
首の皮1枚の一線を法制局は懸命に守ってきたわけです」
反町キャスター「2014年以前までは、内閣法制局の見解というのは、日米同盟というのは同盟を認めていなかったのです
か?」
石川教授「そういうことになります」
(略)
石川教授「先ほどの話題に補足をしますと、法制局というのは譲歩に譲歩を重ねて、9条を変えなくてもここまでできるのだということを搾り出してきた役所なわけですよ。ところが、搾り出す以上、これ以上は譲れないという一線があるはずです。そこが決め手で、だから、搾り出してきた。その一線を易々と超えられたから法制局OBは怒ったわけですよね。その一線というのが9条の論理的な限界だと思います。と言うことは、憲法96条の手続きに乗せなければいけない話だったのだと。もちろん、いろんな立場があって、
そもそも政策的な内容がけしからんというものもあるだろうし」
(抜粋引用開始)
 
2016年12月1日(木) 駆けつけ警護のリアル PKOのリスクと大義
ゲスト 柴山昌彦(首相補佐官・自由民主党衆議院議員)、伊勢﨑賢治(東京外国語大学教授)

(抜粋引用開始)
反町キャスター「99年のアナンさんの告示のポイントですが、目的は住民の保護であると。国際人道法に基づいて武器使用が可能になっているのであると。ただし前提として現場に派遣されている国連、この場
合で言ったらPKO部隊が紛争の当事者になってしまうんですよという前提のもとでという…」
伊勢﨑教授「そうです。国連は伝統的に紛争当事者にならないという前提があったわけですよ、以前は。ところが、そういう場面に遭遇したらどうするか。武力を持って行っているのに、武力を使うか、使わないか。使ったらその時点で紛争の当事者になってしまう。人道法を守らなければいけない。それで悲劇が起きてしまった。任務中にそういう場面に遭遇したら、つまり、紛争に遭遇したら、住民保護含む、国連の任務遂行のために武力の行使が必要である時はやりなさい、ただし、それは国際人道法に基づいてやりなさいということはどういうことかと言うと、国連自体が紛争の当事者になることです」
反町キャスター「紛争の当事者として、第3者として立ち会うということ?」
伊勢﨑教授「そうです。概念的にはそういうふうに決心したんです。だけど、政治的に受け入れてくれた
政権と本当に交戦するかというのは政治的な判断ですよ。だけど、概念的には国際法の組み立て、解釈は、こういうふうになったわけです。それを前提として、この行使は全加盟国に対し、その時、僕は現場にいたのですけれども、全てのPKO要員に対してこれが伝わったわけです。これは命令書なんです、国連トッ
プからの」
反町キャスター「この国連トップからの命令書を受けると、9条の話で言うと交戦権ですよね、国の交戦権
を認めていないということを書いている9条を持っている日本が、紛争の当事者になれるのかどうか?」
伊勢﨑教授「なれませんよ」
(略)
伊勢﨑教授「だから、切実感がまだ伝わっていないですね。住民の保護が筆頭任務になっているというのはどういうことかと言うと、つまり、中立な立場を厳守して、停戦監視、割って入るという仲裁の立場で、それを押してまで他国の国民を保護しなければならない。つまり、主権国家の主権責任のところまで国
連がそれを筆頭任務にしなければならない事情を理解しなくてはならない」
(引用終わり)