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放送予告・拡散希望1/29『100分の1の声をめぐって~沖縄「土人」発言その後(仮)』(MBSドキュメンタリー映像’17) 

 今晩(2017年1月4日)配信した「メルマガ金原No.2681」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
放送予告・拡散希望1/29『100分の1の声をめぐって~沖縄「土人」発言その後(仮)』(MBSキュメンタリー映像’17)  

 世間では、大晦日・紅白歌合戦の「ここがよくなかった」などということがいまだに話題となっているようですが、私自身は、紅白を見なくなってから10年どころではなく、仮に、出場歌手の歌唱部分に限定し、その半数以上の歌手(1曲全部でなくても一部を試聴すればよいことにする)を見れば「紅白を試
聴した」ことになると定義したとしても、間違いなく20年以上、もしかしたら30年くらいは「試聴していない」ことになるかもしれません。
 とはいえ、テレビやNHKを全く見なくなった訳ではなく、12月にも、四夜連続で放送されたNHKスペシャル『ドラマ 東京裁判』は、しっかりと録画して試聴しましたよ。オランダのプロダクションが共同制作に参加しているからか、オランダのベルト・レーリンク判事をやや理想化している傾向がありましたが、十分に見応えはあったかと思います。ただし、東京裁判についてほとんど予備知識のない者が試聴したとして、どのような感興を持ち得たかにはやや疑問もありますが。
 
 ということで、このメルマガ(ブログ)で時々(たびたび?)ご紹介してきたように、テレビで見る番組は、ほとんどがドキュメンタリー番組となっており、それ以外の番組は本当に見なくなりました。和歌山県九度山が舞台の一つにもかかわらず、『真田丸』を1回も試聴せず、そもそも主演俳優が誰かもいまだに知りません(何かの雑誌で主人公の父親役を草刈正雄が演じたというのを読んだような気がしますが)。『べっぴんさん』も『逃げ恥』も見たことがなく、どんなストーリーかも知りません。中学生や高校生がこういう生活を送るのは難しいとは思いますが、還暦を過ぎればまあ怖いものはないので、残された貴重な時間をどう使うかには、自分なりの基準・原則を打ち立てるべきでしょう。
 
 私がメルマガ(ブログ)で取り上げる番組の放送予定は、半ば以上、私自身が忘れてしまわないようにという「備忘録」を兼ねているのですが、たまたまそれを目にして「自分も見てみよう」と考えてくださる方が少しでもおられれば幸いです。
 
 さて、今日ご紹介するのは、関西ローカルではありますが、月に1本のペースで質の高いドキュメンタリー番組を放送してくれる大阪の毎日放送MBS)「映像」(今月からは「映像’17」)の最新作です。『100分の1の声をめぐって~沖縄「土人」発言その後」という仮題が予告されています。
 
毎日放送 2017年1月30日(月)午前0時50分~1時50分(29日・日曜深夜)
MBSドキュメンタリー 映像’17
100分の1の声をめぐって~沖縄「土人」発言その後(仮)
  
(番組案内から引用開始)
 2016年の師走。目まぐるしく事態が動き続ける沖縄で、住民がもっとも恐れていたことが現実とな
った。名護市辺野古から遠くない浅瀬に米軍輸送機オスプレイが墜落したのだ。日本政府は米軍に抗議したが、わずか6日後に米軍の意向に沿って飛行再開を受け入れ、東村高江地区を取り囲むように建設を進めていたオスプレイ用の新ヘリパッド(着陸帯)を完成させて、米軍に引き渡した。
 「ボケ、土人が」。この高江で10月、大阪府警機動隊員が工事に反対する住民に放ったこの言葉に沖縄県知事はじめ県をあげて反発がひろがった。しかし、この発言に対し「差別とは断言できない」、「差別用語かどうか、一義的に述べることは困難」という趣旨の閣議決定がなされ、その後、基地に反対する人々への冷たい非難が増幅したかに見え、むしろ基地に反対する住民たちの振る舞いこそが「問題である」との声が広がった。インターネットで検索すると沖縄の市民運動そのものを「過激」「違法」とする書き込みが続々登場。オスプレイなどこれ以上の基地負担に抵抗する声は、戦後71年を経てもなお、米軍
と米軍の意向のまま動く日本政府によって、押さえつけられている。
(略)
 「土人」発言をきっかけに広がった沖縄ヘイトといえる現象。基地反対運動に関し、これまで以上に虚実が入り交じる言論空間。私たちが見つめるべき真実は、どこにあるのだろう。番組では、日本全体の100分の1にあたる沖縄の声をめぐり、インターネットを中心にデマやバッシングが広がり、沖縄の人々
の1の声が、いかに消されようとしているのか、その裏側と構図に迫りたい。
(引用終わり)
 
 「土人」発言の張本人(大阪府警機動隊員)を沖縄に送り出した大阪の放送局として、取り上げざるを得ないと考えた企画でしょう。また、大阪に隣接する和歌山県民(私がそうですが)としては、記者会見や国会答弁で、「土人」という言葉が差別であるとは断言できないと繰り返した鶴保庸介沖縄及び北方対策等担当大臣(参議院議員)を国会に送り出した選挙民の責任として、これは見なければいけないでしょう(ちなみに、同議員は大阪市出身です)。

 MBSの「映像」は、2015年9月に『なぜペンをとるのか~沖縄の新聞記者たち』(第59回JCJ賞受賞)という優れた番組を作っており、ディレクターが同じ斉加尚代さんかどうかは分かりませんが、『100分の1の声をめぐって~沖縄「土人」発言その後(仮)』も大いに期待できま
す。 
 放送エリアは基本的に近畿圏であり、試聴できない方には申し訳ありませんが、近畿圏にお住まいの方は、是非とも情報拡散にご協力いただいた上で、1人でも多くの方が試聴されるよう、よろしくお願いします。
 
 以下には、「土人」問題についての基礎的資料のみいくつかご紹介しておきます。番組案内に書かれた「インターネットを中心にデマやバッシングが広がり」については、ご自分で確認してみてください。
 
 
動画(目取間氏撮影/41秒)
 

(参考サイト2 鶴保庸介国務大臣国会答弁)
第192回国会 参議院 内閣委員会 会議録(第4号)
平成二十八年十一月八日(火曜日)

(抜粋引用開始)
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 法案への質問の前に、鶴保大臣にお聞きをしなければならない問題があります。
 沖縄県東村高江で、ヘリパッド建設に反対する市民に対して、大阪府警から派遣をされた機動隊員が土
人、シナ人という言葉を発したことが大きな問題となっています。
 鶴保大臣は、十月二十一日の記者会見で、大変残念な発言としつつ、殊更これが人権問題と騒ぐのではなく、県民感情を損ねているのかどうか虚心坦懐に見ていきたいと述べられ、さらに三十一日には沖縄県
内で、本当に差別かどうかということになるといろんな問題が出てくると思うと述べられています。
 言論の自由ということにも触れた発言ですが、一般に国民がこういう言葉を使ったというのとは違いま
す。公務員が、しかも逮捕権を持つ警察官が、その公務の行為として、土人、シナ人という言葉を使って市民を侮蔑した、これが人権問題ではないということなんでしょうか。
国務大臣鶴保庸介君) 人権問題調査会というのが自民党内にございまして、そこの私は事務局長を長らく務めさせていただきました。人権問題に関しての議論を大変深く、そして広範にわたってこれまで議論をしてきた経験上、人権問題であるかどうかの問題について第三者が一方的に決め付けるというのは
、これは非常に危険なことであります。
 言論の自由は、もちろんどなたにもあることでありますし、そして状況的判断がやっぱりあるものでございます。その人権問題のやっぱり一番のポイントは、被害者、その差別発言を受けた方の感情に寄り添うことであることは論をまたないわけでありますけれども、その感情に対して、どうして、誰がどういう理由でこれが差別であると判断するかについては、大変けんけんがくがくの議論があるところであります

 そうした重い判断を私個人が大臣という立場でこれが差別であるというふうに断じることは到底できな
いことでありまして、まだ今もその議論は続いておると私は認識をしておるからこそ、そういう発言をさせていただきました。
○田村智子君 土人、シナ人という言葉は、自分よりも劣る民族、人種という意味で差別的な侮蔑用語と
して使われてきた、それ以外に使われた例なんて私聞いたことないですよ。
 沖縄県では選挙で何度も米軍基地建設を拒否する意思が示されてきたにもかかわらず、沖縄担当大臣だった島尻氏が参議院選挙で落選した翌日から大量の警察官、機動隊員を動員して高江のヘリパッド建設が強行された。沖縄には民主主義がないのかという猛烈な怒りの声が起こる中で、沖縄県民に対するヘイト
とも言えるような発言が飛び出したわけですよ。
 これ、官房長官国家公安委員長も遺憾であるという言葉しか述べていない中で、鶴保大臣が、人権問題かどうかとか、こういう事の重大性を薄めるような発言をすると。私は、これはいかがなものかという
ふうに思うんですけれども、もう一言いただきたいんですけれども。
国務大臣鶴保庸介君) 今委員がくしくも御発言なさった、土人という発言が差別以外の何物でもないとおっしゃったけれども、それこそが、申し訳ないけれども、私は判断のできるものではないというふ
うに思っています。
 過去に、その土人という言葉の経緯でありますとか、その言葉が出てきた歴史的経緯でありますとか、様々な考え方があります。また、今現在は差別用語とされるようなものであったとしても、過去には流布しておったものも歴史的にはたくさんございます。そんな事例もたくさんございます。そういう意味におきましても、それを、土人であるということが差別であるというふうに、私は個人的に自分がこれは差別
であるというふうには断定はできませんと、このことを強調しておきたいと思います。
(略)
山本太郎君 ありがとうございます。生活の党と山本太郎となかまたち改め、自由党山本太郎です。社民党との会派、希望の会を代表いたしまして、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案と衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案について質問に入る前に、一つだけ
質問させてください。
 宇宙政策担当大臣として来られている鶴保大臣、沖縄北方担当大臣でもいらっしゃいます。沖縄県東村高江、米軍ヘリパッド建設現場、このことに関しましては田村委員からも御指摘がありましたけれども、抗議活動中の市民に対し、機動隊員が、ぼけ、土人が、シナ人と罵声を浴びせた問題についてお聞きした
いと思います。
 大臣は、十月二十一日、記者会見で、我々がこれが人権問題だというふうに考えるのではなくて、これが果たして県民感情を損ねているかどうかについてしっかり虚心坦懐につぶさに見ていかないといけないと、そのようにおっしゃられました。あの会見から二週間以上、細かく言うと十九日目ですか、本日で、
鶴保大臣が虚心坦懐につぶさに見ていかれた結果、お聞かせ願えますか。
国務大臣鶴保庸介君) 先ほど来申し上げておりますとおり、私の立場でこれを断定するべきものではありません。まず、議論を整理したいと思いますが、先ほど田村先生の方からも御指摘がございました。私たち、この差別問題については慎重に、本当に慎重に議論をしないと、これは間違った方向に行く私
は懸念があると心の底からそう思っております。
 威圧的言辞、ぼけとおっしゃったから申し上げますが、こういう威圧的言辞の問題と、またそれが差別
であるかどうかというのはまた違う種類の話でありますから、私としてはこのことについて立場を変えるつもりはございません。
山本太郎君 全然お答えになってないんですよね。県民感情を損ねているかどうかについてしっかり虚心坦懐につぶさに見ていかないといけないということで、十九日間たったんですけれども、これ、県民感
情を損ねているということにならないんですか。
 県民に対して土人、県民に対してシナ人という言葉を、逮捕権を持つ機動隊員が、特権を持っているということですよ、これ、権力者ですよね、権力者側からそのような発言が行われたということ自体、これ、県民感情を損ねているというふうには十九日たった今でも感じられないということでよろしいですか、
感じられていないということで。
国務大臣鶴保庸介君) お答えを繰り返しになって大変恐縮でありますが、県民感情を損ねていると私が断定するものではありません。また、しないと、していないというふうに断定もできません。私は、
そのことについてはこれを申し上げる立場にないということを強調しておきたいと思います。
(引用終わり)
 
動画 平成28年11月8日 参議院 内閣委員会(2時間52分)

※田村智子議員(日本共産党)の質問は1時間23分から、山本太郎議員(自由党)の質問は2時間02分からです。
 
(参考サイト3 「土人」問題に関する質問主意書と内閣答弁)
~「土人」発言自体について~
長妻昭衆議院議員(民進党・無所属クラブ) 提出日:平成28年10月20日
「機動隊員の沖縄における暴言に関する質問主意書」

※この長妻議員の質問主意書は、基本的な事実関係の確認を求めるものでしたから、それに対する内閣答弁書は、この問題の事実関係の基本的前提(政府が公式に認めたもの)となるものですから、以下に引用
しておく価値があるでしょう。
(答弁本文を引用開始)
 沖縄県警察によると、平成二十八年十月十八日、大阪府警察の管区機動隊隊員として同県警察に派遣された巡査及び巡査部長それぞれ一名が、北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設工事に反対する個人に対し、それぞれ「シナ人」又は「土人」と発言したとのことであり、同府警察によると、同月二十一日、同府警察において、当該発言が、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三十二条等の規定に違反することから、これらの警察官に対し、同法第二十九条第一項第一号、第二号及び第三号の規定に該当するとして戒告の処分(以下「本件処分」という。)を行ったとのことである。また、同府警察によると、これらの警察官については、いずれも「感情が高ぶる」などした結果当該発言をしたとのことであるが、お尋ねの「沖縄の人を見下していた」との認識はなかったとのことである。内閣としては、本件事案は極めて遺憾であると考えており、警察庁において、全国の警察に対し、適切な警備実施を確保するための指導教養の確実な実施等を指示したところである。なお、お尋ねの「沖縄における警察の警備において、警察官が暴言を吐いたり、暴力をふるったりした事例」の意味するところが必ずしも明らかではないが、同庁として把握している限りでは、本件処分を除き、沖縄県内における警備活動を実施中の警察官の行
為について懲戒処分が行われた事例はない。
(引用終わり)
 
仲里利信衆議院議員(無所属) 提出日:平成28年10月25日
「沖縄県東村高江のヘリパッド建設工事に反対する住民・県民を警備するため派遣された大阪府機動隊員
による差別発言に関する質問主意書」

※仲里議員によるこの1回目の質問主意書では、鶴保大臣による(参院内閣委員会での発言はまだ飛び出していなかったので、その前の)記者会見における発言を取り上げていますので、その部分の質問主意とこれに対す
る内閣答弁をご紹介します。
(抜粋引用開始)
仲里議員質問主意
四 質問三に関連して、鶴保庸介沖縄担当大臣は差別発言に対して「果たして県民感情を損ねているかど
うかにしっかり虚心坦懐、見ていかないといけない」とし、さらに「言論の自由、社会の自由が著しく損ねられているという論争に今もなっている。今のタイミングで「間違っている」「正しい」ということでもない。答えられるのは、これはつぶさに見ていかざるを得ない」と述べ、人権問題には当たらないとの認識を示している。これらの発言は一見すると慎重な対応を心掛けたいとの発言であるかのように見受けられるが、その実、問題をすり替え、ことさら矮小化しようとする発言に他ならない。鶴保沖縄担当大臣は、なぜ沖縄県民や沖縄県議会、市町村議会、市町村が相次いで抗議の意思を表示し、謝罪と撤回を求めているか真摯に考えるべきである。特に沖縄担当大臣であればこそ沖縄県民の思いに寄り添い、今回の差別発言がいかに沖縄県民の心を傷つけ、政府への不信感と怒りを増大させているかについて率先して配慮
すべきであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
内閣答弁
 御指摘の「今回の差別発言がいかに沖縄県民の心を傷つけ、政府への不信感と怒りを増大させているか
」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、御指摘の鶴保国務大臣の発言については、本件発言を人権問題と捉えるかどうかについては、言われた側の感情に主軸を置いて判断すべきであり、本件発言が沖縄県民の感情を傷つけたという事実があるならばしっかりと襟を正していかなければならず、また、人権問題と捉えるかどうかも含め、個別の事案についてはつぶさにこれを注視していくことが重要であるとの趣旨を述べたものであり、「問題をすり替え、ことさら矮小化しよ
うと」したものではなく、自らの見識に基づき適切に判断し発言したものと承知している。
(引用終わり)
 
鶴保庸介大臣発言について~
 
 
 
※大西、初鹿、仲里各衆議院議員に対する内閣答弁は、いずれも11月18日付でなされており、ここでは大西議員の質問主意書に対する答弁の一部を引用します。
(抜粋引用開始)
 お尋ねの「差別用語」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、一概にお答えすることは困難であるが、「土人」という語は、例えば、広辞苑(第六版)によれば、「①その土地に生まれ住む人。土着の人。土民。②未開の土着人。軽侮の意を含んで使われた。③土でつくった人形。土人形。泥人形。」とされているものと承知しており、この語がどのような意味合いで用いられているかについて、一義
的に述べることは困難である。
 この点、鶴保国務大臣は、平成二十八年十月十八日、大阪府警察から沖縄県警察に派遣された警察官が、北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設工事に反対する個人に対し、「土人」と発言したこと(以下「本件発言」という。)については、警察官のように逮捕権を有し、公権力を行使する者がかかる言動を行ったことについては許すまじきことと考えている一方で、本件発言を人権問題と捉えるかどうかについては、言われた側の感情に主軸を置いて判断すべきであり、本件発言が沖縄県民の感情を傷つけたという事実があるならばしっかりと襟を正していかなければならず、また、人権問題と捉えるかどうかも含め、個別の事案についてはつぶさにこれを注視していくことが重要であるとの趣旨を述べており、菅内閣官房長官からも政府の見解として同様の趣旨を述べているところであり、鶴保国務大臣が謝罪し、国会での答弁
を訂正する必要はないと考えている。
(引用終わり)