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wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第4回・山口二郎法政大学教授「民主主義と多数決」のご紹介

憲法 学問
 今晩(2017年1月16日)配信した「メルマガ金原No.2693」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第4回・山口二郎法政大学教授「民主主義と多数決」のご紹介

 今日は、1月13日(金)に、早稲田大学早稲田キャンパスで開催された立憲デモクラシー講座第Ⅱ期の第4回、山口二郎法政大学教授(政治学)による「民主主義と多数決」の動画をご紹介します(共催:安全保障関連法の廃止を求める早稲田大学有志の会)。
 「立憲デモクラシーの会」が主催する立憲デモクラシー講座については、第Ⅰ期12回、第Ⅱ期がこれまで4回の計16回全て(講師がインターネットでの公開に同意しなかった第Ⅱ期第2回-木村草太氏の回もいったんアップしながら後に削除)収録してYouTubeで公開してくれているのが、三輪祐児さんが主催するUPLANであり、私はその全てをブログで「拡散」させていただいてきました(巻末参照)。
 
 三輪さんが、連日(休みなしで!)アップされる動画は、原発関連にせよ、安保関連にせよ、誰もが見るべき、本当に重要な素材が取り上げられており、あまりにも多くの動画がインターネット空間に出回る中で、UPLANが取り上げたというだけで、「見るべき動画ではないか?」と私などは受け取っていました。
 その三輪さんが、年末年始にかけて約2ヶ月の休養をとられていましたが(その間も立憲デモクラシー
講座だけは収録・公開されていました)、ようやく活動を再開されました。
 Facebookに書かれた三輪さんの新たな決意を引用したいと思います。
 
【活動再開しました】2017年1月12日 19:53
(引用開始)
 約二か月におよぶ休養をいただきましたが、1月11日より従来通りの活動を再開いたしました。
 特に年末年始を挟んで24日間の沖縄旅行では、通算約1000キロにおよぶ自転車走行と海山に浸る幸福な
時間を過ごすことができました。この間に出会った多くの方々がUPLAN映像を見てくださっていること、そして「みわさんの創り出す映像に何人もの人が力をもらっています。」という有難い言葉を頂いたことは
、これからの活動の大きな励みになります。
 皆さまこれからもよろしくお願いいたします。
(引用終わり)
 
 UPLANの配信動画には、これからも沢山沢山お世話になると思いますので、こちらこそよろしくお願い致します。
 
 ところで、山口二郎さん(樋口陽一先生とともに「立憲デモクラシーの会」の共同代表を務めておられます)が「立憲デモクラシー講座」に登場されるのは2回目となります。
 前回は、2015年12月11日(金)、やはり早稲田大学早稲田キャンパスで行われ、講座のタイト
ルは「戦後70年目の日本政治:民主主義を再考する--参加、代表、多数決」というものでした。
 
20151211 UPLAN 山口二郎「戦後70年の民主主義」(民主主義を再考する――参加、代表、多数決)(1時間58分)
 

 もう1年以上前のことになりますが、この動画をご紹介するにあたって私が書いた文章を再掲し
ます。
 
(引用開始)
 冒頭のマクラに振られていた講演案内のtweetで紹介した「樋口陽一先生からのお叱り」というのを引用しておきます。
 
山口二郎 260@yamaguchi 1:41 - 2015年12月9日
「明後日、立憲デモクラシー講座で講義をします。18時半から早稲田大学3号館、401教室です。以前、樋口陽一先生に、「民主党が政権なんか取るから安倍みたいなのが出てきた」という批判をいただき、これに対する私なりの答えの模索を話する予定」
 
 つまり、当初予告されていた「民主主義を再考する--参加、代表、多数決」という演題に、「戦後70年目の日本政治」が付け加わり、そちらの方がメインになったという訳です。
 民主党への政権交代の旗を振った山口教授としては、その「おとしまえ」をつけざるを得ない訳で、立憲デモクラシーの会や安全保障関連法に反対する学者の会での活発な活動も、その実践の一環ということだと思います。
 今回の講義は、安保法制成立という節目を迎え、また「戦後70年」が間もなく暮れる師走でもあることから、戦後民主主義の行き着いた先がなぜ「安倍政権」だったのか?ということについて、政治学者としての一応の総括をしようと決意されたのだろうと思います。
 その総括に納得できるかどうかはともかくとして、聴くに値する講義だろうと思います。
(引用終わり)
 
 そして、それから1年1ヶ月が過ぎた上での「民主主義と多数決」です。
 
20170113 UPLAN 山口二郎「民主主義と多数決」(1時間49分)
 

 山口さんは、冒頭で「今の日本に存在する、そして安倍政治を支える多数意思なるものは一体何なのか?ということを、後半でお話したいと思います」と言われています。
 それでは前半は?というと、パワポのボードから骨子だけを抜き出すと以下のとおりです。
 
1 2016年:終わりの始まり?
アメリカ大統領選挙と多元的社会の否定
トランプ勝利の意味
アメリカの建前
②イギリスにおける国民投票
欧米の混乱が突き付けた課題
第3の道の破綻
 
 以上を踏まえ、27分ころから「後半」が始まります。少し長くなりますが、パワポデータから引用したいと思います。
 動画を視聴する際の参考としてください。
 
(引用開始)
2 アベ化する日本と政治制度
①アベ化とは何か
・自己愛の強い幼児的リーダーの跳梁跋扈
・批判に対する耐性の消滅
・虚言、デマをためらわない、ウソがばれても恥ずかしくない
・事実と虚構の区別ができない反知性
②安倍政治と権力の過剰
・あらゆる公的機関における「安倍的なるもの」の浸潤
・人事権を通した首相支配の拡大
・批判的言論の圧殺=メディアと学問への攻撃
・権力の暴走と無責任
・明示的に禁止されていないことは何をやってもいいという権力側の開き直り
③議院内閣制の陥穽
・議員内閣制における権力分立という幻想
・内閣における立法、行政の権力融合
・司法部に対する行政権の支配
・歯止めとしての政権交代
55年体制における立憲主義
・日本の統治機構における割拠主義の伝統
・多頭一身の怪物と決定核の不在
・派閥政治と自民党の多頭制
日本的内閣制度の特徴
・内閣における政治の不在
 ←伝統的憲法学説の罪
  国会の最高機関性を空文化
・与党と行政のインフォーマルな融合
・与党における分担管理と予定調和=政党名のに統治意志が不在
④制度改革と権力中枢の創設
・90年代における新たな政策課題の叢生
・予定調和の破綻と舵取り不在の政治
・政治的リーダーシップをめぐる欲求不満=官僚が反対、抵抗する政策課題の重大化
橋本行革がもたらした変化
・政策形成における視野の拡大
・権力中枢を支える組織体制
自民党における求心力の強化
・政府の失敗と官僚制の威信低下
⑤2つの安倍政権の相違
・第1次安倍政権(2006-2007)
 小泉政権という比較対象
 世論コントロールの失敗
 多すぎたアジェンダ
・第2次安倍政権(2012-)
 民主党政権という比較対象
 世論統制と国民の期待水準のコントロール
 内閣官房を中心とした政府のグリップ
3 安倍コンセンサスと一強政治
①安倍政権はなぜ高支持率を維持するのか

・個別政策における大きな不支持
・政権全体としての支持
・他に代わりがないという理由だけか
・安倍政治というOSをとらえる必要
②新中間大衆と安倍コンセンサス
ⅰ新中間大衆という概念(村上泰亮
・高度成長がもたらした均質的中間層
・職業、地域、階層を超えた生活様式の共有
・脱伝統主義
個人主義と消費志向
・生活保守主義という政治態度
・1980年代の日本を説明するモデル
ⅱ新中間大衆の解体
・1990年代以降の経済社会の変容
・日本的企業の消滅
グローバル化と格差、貧困
周辺諸国の台頭と日本の劣位
・落ち目の時代の生活保守政治とは?
ⅲ共感の消滅と幻想分配政治
・近隣の脅威と安全保障幻想
・貧困、格差と生活安全幻想
・破綻回避という「実績」
分断社会の正当化論理
ユニバーサルサービスの否定と「足を引っ張る者」の排除
・市場原理と公共サービスにおける「等価交換原理」の徹底:自分は足を引っ張る側ではないという思い
込み=落ち目の時代における生活保守政治
頑張る者に報いるという論理
・地方創生:一律の交付金から意欲のある地方に対する補助金
・大学教育:運営費交付金からプロジェクト補助金
・JR:鉄道からの撤退と収益事業の展開、そして株式上場へ
プロクルステスのベッド
不幸への対処における論理転倒
・正しい日常を脅かす不幸にどう対処するか
・正常な社会を維持するための救済政策の必要性
・正常な生活を送っている多数派の邪魔にならない程度の政策
安倍コンセンサスの中身
・他者に対する無関心と自己中心主義
・社会という視野の否定
・永遠に続く今にだけ目を向ける
・可能なかぎり幻想にしがみつく
(引用終わり) 
 
 様々な機会に山口二郎さんのスピーチを聞く機会が(ネットを通じても)多い私たちですが、立憲デモクラシー講座のような場でこそ、政治学者としての本領に接することができるのだと思います。
 しっかりと聴講されることをお勧めしたいと思います。
 
(参考サイト)
 朝日新聞が運営するサイト「WEB RONZA」では、
立憲デモクラシー講座のテキスト(文字起こし)を掲載しています。概ね各回の講座が5~6回程度に分載され、第1回は誰でも無料で読めますが、第2回以降は全文読むためには有料会員登録が必要です。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2015年11月15日
佐々木惣一が発見した「国民の存在権」(憲法13条)と自民党改憲案~石川健治東大教授の講義で学ぶ(11/13立憲デモクラシー講座 第1回)
2015年12月12日
山口二郎法政大学教授による「戦後70年目の日本政治」一応の総括~12/11立憲デモクラシー講座 第3回)
2016年1月8日
中野晃一上智大学教授による「グローバルな寡頭支配vs.立憲デモクラシー」~1/8立憲デモクラシー講座 第4回)
2016年1月31日
杉田敦法政大学教授による「憲法9条の削除・改訂は必要か」~1/29立憲デモクラシー講座 第5回)
2016年3月28日
立憲デモクラシー講座第6回(3/4三浦まり上智大学教授)と第7回(3/18齋藤純一早稲田大学教授)のご紹
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立憲デモクラシー講座第9回(4/22)「表現の自由の危機と改憲問題」(阪口正二郎一橋大学教授)」のご紹介(付・3/2「放送規制問題に関する見解」全文)
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立憲デモクラシー講座第10回(5/13)「戦争化する世界と日本のゆくえ」(西谷修立教大学特任教授)のご紹介
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立憲デモクラシー講座第11回(6/3石田英敬東京大学教授)と第12回(6/10岡野八代同志社大学大学院教授)のご紹介
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「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第2回・木村草太首都大学東京教授「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」は視聴できないけれど
2016年12月17日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第3回・五野井郁夫高千穂大学教授「政治的リアリズムと超国家主義:丸山眞男の国際政治思想から現代世界を読む」のご紹介