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「共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも

 今晩(2017年3月3日)配信した「メルマガ金原No.2740」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも

 このメルマガ(ブログ)でも何度かお知らせしたとおり、本日(3月3日)午後6時30分から、和歌山市勤労者総合センター6階文化ホールにおいて、「“共謀罪”とは何か?・その狙いとは」と題した学習会が開かれ(主催:和歌山県平和フォーラム、戦争をさせない和歌山委員会、部落解放同盟和歌山県連合会)、私が講師を務めてきました。
CIMG6925 何しろ、共謀罪について講演するのは初めてのことで、はなはだ不十分な内容で会場一杯に詰めかけてくださった皆さんには申し訳ない次第ですが、その代わり、『一からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる』という48頁の冊子、それからようやく明らかになった法案中の「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」第6条の2の規定(条文)そのもの(一昨日のメルマガ&ブログでご紹介済み)、そして対象犯罪一覧をセットにして受付で参加者に配布してもらいましたので、これらの土産を持ち帰り、この週末に読み返していただければ、きっと得るものが多いと思います。
 
 ところで、今日の午前中までは、上記冊子をレジュメ代わりにすることにして、自分ではレジュメを書かないつもりであったのですが、いよいよ直前となった今日の昼過ぎ、何かメモ的なものがなければ講演できないと思い当たり、急遽、書き上げて主催者にメールで送り、追加資料にしてもらったのが以下の「メモ」です。とても、レジュメというようなものではなく、今日のお話の進行表のようなものですが、文字通り、備忘録代わりに転記しておきます。なお、そこで「テキスト」というのは、『一からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる』のことです。
 
(引用開始)
   共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の
          一部を改正する法律案)学習会のためのメモ(2017年3月3日)
 
1 いよいよ姿をあらわした共謀罪法案
 「テロ」などどこにも出てこない。
 「テロ等組織犯罪準備罪」「テロ等準備罪」などと、括弧付きでも言うべきではない。 緊急統一署名に(テロ等準備罪)と書かれているのには異論がある。
 ちなみに、法案では、「実行準備行為を伴う組織的犯罪集団による重大犯罪遂行の計画罪」(第2条2項5号)と呼称しているので、「重大犯罪計画罪」とでも略称したら?(「重大」ということにも引っかかるが)
 土壇場で、国会上程前に「テロ」という用語を滑り込ませるのではないか?という話も出ているようだが・・・。
 
2 資料の説明
 『一からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる』
  ※発行主体に注目
 法案(第6条の2)
 対象犯罪一覧
 その他 
 
3 共謀罪の「これまで」(テキスト15、26頁)
 2000年 国連越境組織犯罪防止条約 採択
 2003年 第1回 国会上程
 2004年 第2回 国会上程
 2005年 第3回 国会上程
 2006年 与野党修正案提出
 2009年 第3回法案→廃案
 2017年 第4回 国会上程? 
 
4 共謀罪が出来たなら~最も重大な3つの問題点
(1)日本の刑事法体系が破壊される(テキスト6頁)
①既遂、未遂、予備、陰謀(共謀)
 共謀(陰謀)罪は例外中の例外
 例:刑法77条 内乱の予備又は陰謀をした者は、一年以上十年以下の禁錮に処する。
 他に、外患陰謀罪、私戦陰謀罪、爆発物取締罰則等 
 ところが、広汎な犯罪について共謀(計画)を罰することになると、未遂は処罰されないのにその前々段階の共謀(計画)は処罰されるというような犯罪が続出することになる。
 例:横領罪(刑法252条/5年以下の懲役)
 中止未遂との不均衡
②なぜ、このような体系がとられているのか?(テキスト6頁)
 罰すべきは「意思」ではなく「行為」
 具体的な「法益侵害」またはその「具体的危険」が発生したことが刑罰権行使の根拠。
(2)「捜査」のあり方が一変する(テキスト7頁~)
 共謀(計画)罪とは、2人以上の者の意思の合致によって成立する
 ⇒どうやって捜査するのか?
  盗聴(通信傍受)、おとり捜査が常態化する恐れがある。
(3)人権が蔑ろにされる息苦しい社会となる(テキスト5、21、28頁)
 構成要件が曖昧過ぎる。
 刑罰法令の人権保障機能が失われる。
 思想・良心の自由、表現の自由などの人権体系の根幹をなす優越的権利が危機に瀕する。
 現在よりも、一層の「監視社会化」が進んだ息苦しい社会が到来することは疑いない。
 法案(第6条の2第1項但し書き)による密告奨励の自首規定
 ⇒昨年の参院選大分県警(別府署)が野党統一候補陣営を隠しカメラで盗撮していたことを想起せよ。
 
5 国連越境組織犯罪防止条約の批准に共謀罪は不要(テキスト15頁)
 そもそも条約はマフィアや蛇頭などの国際的組織犯罪集団の効果的な取り締まりのために締結された条約であってテロ対策は無関係。
 日本は国連の全てのテロ対策条約を批准済み。
 国連越境組織犯罪防止条約を批准済みの187カ国のうち、批准のために 新たに共謀罪を作ったのはノルウェーブルガリアの2カ国のみ。
 現行法のままで条約批准は可能。 
 海渡雄一弁護士レジュメからの引用「越境組織犯罪条約については、日本政府は異常なほど律儀に条約の文言を墨守して、国内法化をしようとした。むしろ、一部の法務警察官僚は、批准を機に過去になかったような処罰範囲の拡大の好機ととらえた節がある。もしかすると、アメリカ政府との間で、アメリカ並みの共謀罪を作るという合意があったのかもしれない」
 
6 戦争する国づくりの集大成としての共謀罪(テキスト11頁)
 2013年 秘密保護法
 2015年 戦争法
 2016年 盗聴法(通信傍受法)拡大
 2017年 共謀罪
 国が常時市民を監視し、萎縮させ、戦争に協力させるための体制作りの集大成。 
 
7 共同の取組で共謀罪阻止
(1)「共謀罪NO!実行委員会」結成(3月8日に第1回実行委員会)
 呼びかけ団体
 ●「秘密保護法廃止」へ!実行委員会(新聞労連、平和フォーラム等)
 ●解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会(憲法会議、許すな!憲法改悪・市民連絡会等)
 ●日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
 ●共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会
 ●盗聴法廃止ネットワーク(日本国民救援会等)
(2)3月~5月 緊急統一署名に取り組もう!
 「共謀罪NO!実行委員会」「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が共同呼びかけ
(3)3月9日(木)18時~19時 JR和歌山駅前緊急行動
(引用終わり)
 
 ところで、今日のメルマガ(ブログ)のタイトル「「共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも」が、まさに上記「メモ」の最後(7項)でお話した内容そのものですので、この点について若干の説明をします。
 
 集団的自衛権行使容認反対、安保法制(戦争法)阻止の闘いの中で生まれた「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の枠組みは全国に広がり、その経験が、昨年の参院選における市民と野党の共闘の下地を作ったと思いますが、共謀罪阻止の闘いにおいても、これらの経験を生かした“総がかり”の枠組みが構築されることになり、まず、
  「秘密保護法廃止」へ!実行委員会
  解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会
  盗聴法廃止ネットワーク
が共同で『一からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる』を編集・発行したのに続き、さらに、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)と共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会が加わった5団体の呼びかけにより、「共謀罪NO!実行委員会」が結成されることになりました。
 「『共謀罪』の創設に反対する緊急統一署名」は、この「共謀罪NO!実行委員会」と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」との共同呼びかけによって取り組まれるものです。
 
 以上の全国的な動きに呼応して、私の地元・和歌山でも、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」そのものの枠組みで、連合系の和歌山県平和フォーラムと全労連系の和歌山県地方労働組合評議会が「共謀罪」阻止で共闘することとなり、統一リーフレットが現在製作中です。まだ刷り上がってもいないそのリーフレットのデータを、特別に入手しました(※PDFファイル)。
 以下には、和歌山で“総がかり行動実行委員会”を構成する和歌山県平和フォーラムと和歌山県地評の各代表の呼びかけ文を引用したいと思います。
 
(引用開始)
窮屈な思いはまっぴら
   和歌山県平和フォーラム 代表 裏野勝也
 「私たちは犯罪集団です」という人は誰もいません。ですから捜査段階において犯罪集団か否かを特定することは難しく、それでなくても対象範囲のあいまいさが指摘されている「共謀罪」。どんな集団・組織も捜査対象になってしまう可能性大です。盗聴、盗撮、内部からの密告、潜入捜査など、監視社会に身を置くことにもなりかねません。
 しまいにはお互いに猜疑心が生まれ、人と人との信頼が薄れて分断された社会になってしまうのではないでしょうか。
 常に監視されていることを意識するような窮屈な思いはまっぴらです。
 反対の声を大きくしましょう。 
 
監視弾圧社会は許さない
   和歌山県地方労働組合評議会 議長 琴浦龍彦
 政府は、「テロ対策のために必要だ」とさかんにいいます。「そう言われると、必要かな」と思ってしまっていでしょうか。
 しかし、「共謀罪」でねらわれているのは、テロリストや犯罪者ではなくあなたや私たちです。テロ対策のための法案ではないから、3度も国会で廃案になったのです。
 この法律の本当のねらいは、国民を監視し取り締まることです。国会審議でも、テロや組織犯罪に対しては、現行法で充分対処できることが明らかになっています。
 戦前の日本で、国民の自由な言論を奪い取り締まることの先に、戦争がありました。
 「共謀罪」きっぱり反対しましょう。
 
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
和歌山県平和フォーラム
 和歌山市久右衛門丁24-1
 TEL:073-425-4180
和歌山県地評
 和歌山市湊通丁南1-1-3
 TEL:073-436-3520
(引用終わり)
 
 つい3年ほど前には、和歌山県平和フォーラム代表と和歌山県地評議長のあいさつが一緒に載ったリーフレットにお目にかかることなど、想像もできませんでしたけどね。
 さて、その“総がかり行動”の枠組みでの和歌山での最初の緊急取組が、以下のとおり行われます。是非、多くの方に参加を呼びかけたいと思います。
 和歌山県地評事務局長の杉勝則さんから届いたメールを引用します。
 
(引用開始)
 「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の枠組みで、下記の通り緊急宣伝行動を企画しました。
 安倍政権は、「共謀罪」の名前を「テロ等組織犯罪準備罪」と変え、東京オリンピック開催や国際条約を口実に、4度目の国会提出をしようとしています。
 「犯罪の準備」を合意したかどうかは個人の心の中を覗く必要があり、警察が日常的にフリーハンドで「盗聴」や「盗撮」を行うことを合法化するものです。
 団体・個人にかかわらずどなたでもご参加いただけます。
 どうぞよろしくお願いします。

日時 2017年3月9日(木)18:00~19:00
場所 JR和歌山駅前(宣伝本部は、近鉄百貨店前付近を予定しています)
内容 ハンドマイク宣伝、チラシ配布、スタンディングアピール ほか
   「共謀罪」反対をアピールするグッズを持ってお集まりください。
主催 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
(引用終わり)
  
 「共謀罪」に反対する和歌山での“総がかり行動”の枠組みでの統一行動は、上記3月9日が最初だと思いますが、和歌山県平和フォーラムなどの主催で行われた今日の学習会にも、自治労日教組、民間単組の組合員の方々だけではなく、市民連合わかやま共同代表の内のお2人や和歌山弁護士会次期会長などの他、日本共産党和歌山県委員会の委員長も来てくださっていました。この共同の勢いをさらに広げていきたいですね。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介
2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演
2017年2月28日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3
2017年3月1日
ついに姿をあらわした共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)

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