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共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.7~4/9日高教育会館(御坊市)で学習会があります

 今晩(2017年3月31日)配信した「メルマガ金原No.2768」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.7~4/9日高教育会館(御坊市)で学習会があります

 共謀罪シリーズの第17回をお届けします。今日お届けする話題は以下のとおりです。盛り沢山ですが、いずれも共謀罪法案を考える上で有益な情報だと思いますので、ご活用いただければ幸いです。
 
(ニュースの部)
1 「共謀罪」の早期審議入り 自公、党首会談も平行線
2 野党、「共謀罪」廃案目指す=天下り集中審議を要求
3 共謀罪「NO!」実行委結成 文化人、弁護士ら39人賛同/新潟
(動画の部)
共謀罪を考える超党派の議員と市民の勉強会(第4回)
(海渡雄一弁護士、高山佳奈子京都大学法科大学院教授、西谷修立教大学特任教授)

(声明の部) 
1 日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の国会上程に対する会長声明」(2017年3月31日)
2 和歌山弁護士会「テロ等組織犯罪準備罪法案の国会への提出に反対する会長声明」(2016年1月19日)
(学習会のお知らせ)
2017年4月9日(日)/日高教育会館(和歌山県御坊市湯川町財部254)
講師 金原徹雄(弁護士)
主催 憲法9条を守り・いかす日高連絡会
 
【その1 ニュースの部】
東京新聞 2017年3月31日 朝刊
「共謀罪」の早期審議入り 自公、党首会談も平行線

(抜粋引用開始)
 安倍晋三首相は三十日、公明党山口那津男代表と首相官邸で会談し、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案の早期審議入りに理解を求めた。山口氏は債権関係の規定を改める民法改正案と性犯罪を
厳罰化する刑法改正案の審議を優先すべきだと主張。会談は平行線だった。
 「共謀罪」法案を審議する予定の衆院法務委員会には現在、民法改正案や国際結婚の夫婦の離婚を巡る人事訴訟法改正案など六法案が付託されている。ここに「共謀罪」法案と刑法改正案が加わるが、裁判所
関連の二法案は三十一日に採決される方向のため、審議を待つ法案は六本になる。
 「共謀罪」法案は六法案のうち最後に提出された。公明党は「後から出した法案をなぜ先に議論しなければならないのか、分かりにくい」(山口氏)と提出順に審議し、成立させるべきだと強調。自民党は「
共謀罪」法案を「最優先」(竹下亘国対委員長)と位置付け、四月六日の審議入りを目指している。
(略)
(引用終わり)
 
時事ドットコムニュース (2017/03/31-12:27)
野党、「共謀罪」廃案目指す=天下り集中審議を要求

(引用開始)
 民進、共産、自由、社民の野党4党は31日午前、国会内で国対委員長会談を開き、「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について、廃案に追い込む方針で一致した。文部科学省天下り問題の調査結果を踏まえ、衆院予算委員会での集中審議開催を求めることも確認し
た。
 学校法人「森友学園」への国有地売却問題では、安倍晋三首相夫人の昭恵氏らの証人喚問を引き続き要求。同学園の籠池泰典氏の「偽証」告発に向け、自民党国政調査権発動に言及したとして、野党として
も同調査権に基づき証人喚問や資料開示を求めていくことを申し合わせた。
 会談後、民進党山井和則国対委員長は組織犯罪処罰法改正案について「メールや携帯電話の通話が監視され、1億総監視社会になるかもしれない危険性をはらんだ法案だ」と記者団に指摘。天下りにも触れ、「国民の怒りは大きい。首相は率先して集中審議に応じるべきだ」と訴えた。
(引用終わり)
 
毎日新聞(新潟県) 2017年3月30日
共謀罪「NO!」実行委結成 文化人、弁護士ら39人賛同 /新潟

(抜粋引用開始)
 安倍内閣閣議決定したテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案(「共謀罪」法案)に反対する有識者らが「共謀罪NO!実行委員会in新潟」を結成、29日に県庁(新潟市中央区)で記者会見を開いた。会の賛同人らは「人の内心に踏み込む法律。思想信条の自由を保障した憲法に反する」などと口々
に危険性を訴えた。【東海林智】
 実行委員会は、安倍政権の安保法制(戦争法)に反対してきた県平和運動センターなど市民団体が発案
した。
(以下は会員登録しないと読めません)
(引用終わり)
 
 私が最後の新潟の記事に注目したのは、「共謀罪NO!実行委員会」の枠組みの地方版を素早く立ち上げたそのスピード感に感心したからに他なりません。和歌山は「総がかり行動実行委員会」方式ですが、これは「戦争させない・9条壊すな!」のために作られた枠組みですからね(どちらにしても構成団体は似たようなものになるでしょうが)。
 
【その2 動画の部】
共謀罪を考える超党派の議員と市民の勉強会(第4回)
共謀罪の問題点」高山佳奈子京都大学教授ほか(1時間39分)

冒頭~ 司会 福島みずほ参議院議員社民党
2分~ 挨拶 藤野保史衆議院議員日本共産党
3分~ 報告 海渡雄一弁護士
17分~ 講演「共謀罪の問題点」高山佳奈子さん(京都大学法科大学院教授)
1時間07分~ 講演「共謀罪で社会はどうなるか」西谷修さん(立教大学特任教授)
1時間36分~ 閉会挨拶 福島みずほ議員
 
【その3 声明の部】
 日本弁護士連合会は、2月17日に「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」を公表しましたが、いよいよ法案の閣議決定、国会上程という事態をうけて、以下の会長声明を発しましたのでご紹介します。
 
いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の国会上程に対する会長声明
(引用開始)
 政府は、本年3月21日、いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案(以下「本法案」とい
う。)を閣議決定し、国会に本法案を上程した。
 当連合会は、本年2月17日付けで「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(以下「日弁連意見書」という。)を公表した。そこでは、いわゆる共謀罪法案は、現行刑法の体系を根底から変容させるものであること、犯罪を共同して実行しようとする意思を処罰の対象とする基本的性格はこの法案においても変わらず維持されていること、テロ対策のための国内法上の手当はなされており、共謀罪法案を創設することなく国連越境組織犯罪防止条約について一部留保して締結することは可能であること、仮にテロ対策等のための立法が十分でないとすれば個別立法で対応すべきことなどを指
摘した。
 本法案は、日弁連意見書が検討の対象とした法案に比べて、①犯罪主体について、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団と規定している点、②準備行為は計画に「基づき」行われる必要があることを明記し、対象犯罪の実行に向けた準備行為が必要とされている点、③対象となる犯罪が長期4年以上の刑を定める676の犯罪から、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される277の犯罪にまで減じられ
ている点が異なっている。
 しかしながら、①テロリズム集団は組織的犯罪集団の例示として掲げられているに過ぎず、この例示が記載されたからといって、犯罪主体がテロ組織、暴力団等に限定されることになるものではないこと、②準備行為について、計画に基づき行われるものに限定したとしても、準備行為自体は法益侵害への危険性を帯びる必要がないことに変わりなく、犯罪の成立を限定する機能を果たさないこと、③対象となる犯罪が277に減じられたとしても、組織犯罪やテロ犯罪と無縁の犯罪が依然として対象とされていることか
ら、上記3点を勘案したとしても、日弁連意見書で指摘した問題点が解消されたとは言えない。
 当連合会は、監視社会化を招き、市民の人権や自由を広く侵害するおそれが強い本法案の制定に強く反対するものであり、全国の弁護士会及び弁護士会連合会とともに、市民に対して本法案の危険性を訴えか
け、本法案が廃案になるように全力で取り組む所存である。
    2017年(平成29年)3月31日
   日本弁護士連合会      
   会長 中本 和洋 
(引用終わり)
 
 それから、法案が上程されてしまった今になって紹介するのもやや気が引けるのですが、私が所属する和歌山弁護士会も、今年の1月に会長声明を出していますので、藤井幹雄会長の任期があるうちに(ということは今日までですが)ご紹介しておきます。
 
テロ等組織犯罪準備罪法案の国会への提出に反対する会長声明
(引用開始)
   2017年(平成29年)1月19日
   和歌山弁護士会
   会長 藤井 幹雄
 政府は,過去,世論の強い反対のために三度廃案となった,いわゆる共謀罪法案について,「共謀罪
という名称を「テロ等組織犯罪準備罪」と改め,これを含んだ組織的犯罪処罰法改正案(以下,「新法案
」という。)を国会に提出する動きを見せている。
 当会は,過去の共謀罪法案が,共謀をもって人の処罰を可能とする点で,人の内心を処罰することにもなりかねず,国民の基本的人権に対する重大な脅威となることから,過去2回にわたって,会長声明を公
表し,これに反対してきた。
 報道によれば,新法案は,二人以上の者が,「重大犯罪」について,「組織的犯罪集団」の活動として,具体的・現実的な「計画」を立て,その上で実行のための「準備行為」を行った場合を処罰する内容と
なっている。
 しかしながら,新法案は,以下のとおり,過去の共謀罪法案と同様の危険性などがあることから,当会
としては,新法案の国会への提出に強く反対する。
 第1に,新法案は「組織的犯罪集団」の定義を「目的が長期4年以上の懲役・禁固の罪を実行することにある団体」とするが,この定義は,「目的」という主観的事情の有無をもって要件該当性を判断する内
容となっており,捜査機関の判断によって,広く同要件の該当性が認められてしまう危険性がある。
 また,新法案の「計画」とは,「共謀」の言い換えに過ぎず,いかなる場合が「計画」に該当するのか
,その処罰範囲が不明確であることに変わりはない。
 さらに,新法案は,計画の上で,「準備行為」を行った場合のみを処罰するとしているが,ここでいう
準備行為自体には犯罪実現の危険性を要さないため,預金の引き出しなど市民の日常生活に関する行為が広く含まれてしまうことになりかねず,線引きが不明確である。
 このように,新法案の内容においても,その処罰範囲が不明確であって,国民の活動に萎縮が生じる恐
れがあり,基本的人権に対する重大な脅威となる。
 第2に,新法案は,禁止される「計画」の内容は,重大犯罪(法定刑長期4年以上の懲役・禁固が含まれる犯罪)に関するものに限られるとするが,上記重大犯罪の数は当初は600を超えるとされ,その中には,背任罪などテロ対策にはおよそ無関係である犯罪も含まれていた。日本政府が対象犯罪を300以下とする方向で調整をすすめるという報道もあるが,対象犯罪を300以下に絞ったとしても対象犯罪が多すぎ,関係のない罪にまでテロ等組織犯罪準備罪が適用されるのではないかという懸念は払拭できない

 第3に,上記のとおり,処罰範囲が不明確であり,適用対象も広範である新法案の捜査のため,テロ対策の名目で市民の監視が行われ,国民のプライバシー権が日常的に侵害される社会となることのおそれす
ら存在する。
 以上のとおり,新法案は,日本国憲法が保障した国民の思想・信条の自由,表現の自由,集会・結社の自由,プライバシー権などの基本的人権に対する重大な脅威となるものであり,人の内心を処罰すること
にもなりかねないことから,当会は,新法案の国会への提出に強く反対する。
(引用終わり)
 
【その4 学習会のお知らせ】
 来る4月9日(日)午後1時から、御坊市の日高教育会館で行われる共謀罪学習会の講師をお引き受けしました。主催者から送られてきたチラシを見ると、講演のタイトルが、3月3日に和歌山県平和フォーラムなどから頼まれて講師を務めた際の演題と一緒なので驚きましたが、共謀罪阻止の闘いは「総がかり行動実行委員会」の枠組みでやるのですから、かえって良いかもしれないと思いました。ということで、御坊・日高の皆さん、4月9日のご都合がつくようでしたら是非ご参加ください(※チラシ)。
 
憲法連絡会・緊急学習会
共謀罪”とは何か?・その狙いとは
日時 2017年4月9日(日)午後1時00分~2時30分
場所 日高教育会館(和歌山県御坊市湯川町財部254)
講師 金原徹雄(弁護士)
主催 憲法9条を守り・いかす日高連絡会(憲法9条を守る御坊・日高共同センターと日高地方の9条の
会との連絡会)
連絡先 日高教育会館 TEL:0738-22-0199 

(弁護士・金原徹雄のブログから)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介
2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演
2017年2月28日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3
2017年3月1日
ついに姿をあらわした共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)
2017年3月3日
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2017年3月4日
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2017年3月17日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.6~立憲デモクラシーの会が声明を出しました
2017年3月21日