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再紹介・青木泰さん(環境ジャーナリスト)が論証する「8億円のゴミはなかった」~インタビュー動画+論考

 今晩(2017年4月13日)配信した「メルマガ金原No.2781」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
再紹介・青木泰さん(環境ジャーナリスト)が論証する「8億円のゴミはなかった」~インタビュー動画+論考

 今日は、去る4月4日(火)にお送りした環境ジャーナリスト・青木泰さんに対するインタビュー動画紹介記事「「実はなかった8億円のゴミ!?」~環境ジャーナリスト・青木泰氏インタビュー(UPLAN)を視聴する」の増補版です。
 
 「森友学園問題」については、様々な面から光を当てることが可能であり、佐藤学さん(学習院大学教授・教育学)のように、「戦後最大の教育スキャンダル」というとらえ方をする論客もおられます(「軍学共同反対 共謀罪を考える 大学人シンポジウム」(4/9)を視聴しよう/2017年4月10日)。
 
 そのような多面的な見方も是非必要である一方、当然のことながら、本筋を見失わないようにすることが重要です。
 青木泰さんが説得力豊に展開される「8億円のゴミはなかった」という主張は、是非多くの日本人が知っておくべきだと思います。
 ただ、YouTubeの動画だけでは、それほど多くの広がりを期待できないかもしれないと思っていたところ、青木さんが、ご自身の調査・分析の結果を文章にまとめてネット上で発表されていることを知りましたので、今日、増補版をお届けすることにしたものです。
 まず、先にご紹介していたUPLANによるインタビュー動画を再掲します。
 
20170404 UPLAN 実はなかった 8億円のゴミ!? ―国の資料から読み解く―(33分)

(動画説明から引用開始)
2017/04/04 に公開
※注) 発言内で「民進党森ゆうこさん」とありますが正しくは「自由党森ゆうこさん」です。
【UPLAN月島スタジオ】
3月30日に参議院議員会館で開催された記者会見・緊急集会「~木村真豊中市議を迎えて~森友問題の今後を占う緊急集会!」ではさまざまな問題が語られたせいもあり、私たちが最も重要な問題の中心と考えている「8億円のゴミは実は存在しないのではないか」という視点について詳細に触れる時間がなかった。
そのため再度青木泰氏(環境ジャーナリスト)をUPLAN月島スタジオにお招きしてこの問題について語っていただいた。理財局が8億円値引きの根拠としている9.9メートルのゴミはもともと存在しなかった。なぜそれがわかるのか。簡単である。財務局が以前に調査した報告書に書かれているのである。森友問題以前の調査なので国も何の関心もない時期だから、廃棄処分も黒塗りもされていない。そこに明瞭に書かれている。ゴミが埋まっているのは3メートルの盛土層までであると。」
(引用終わり)
 
 私のメルマガ(ブログ)でご紹介した動画は上記だけだったのですが、実は、UPLANによるインタビューはもう1本収録されていましたので、こちらもご紹介しておきます。
 
20170404 UPLAN 森友問題がよくわからない視聴者が聞く 8億円値引きの謎(30分)

(動画説明から引用開始)
2017/04/04 に公開
【UPLAN月島スタジオ】
テレビを見ていてもなんだか「森友問題がよくわからない」という普通の主婦の視点で、ゴミ処理問題の第一人者環境ジャーナリストの青木泰氏に疑問をぶつけていただいた。
わからないのも無理はない。テレビではこの問題の本質とはかけ離れた籠池氏の家族やメールやFAXなど枝葉末節の問題しか扱っていない。この事件のほんとうの核は、近畿財務局に「不正」の疑いがあること、それが「書類すてちゃいました」で済まされそうになっていること。他のいかなる犯罪においても「証拠すてましたから」と言って許されることがあるだろうか。却って重くなるのが普通ではないのだろうか。
わからない普通の主婦が問いかけているのは、この国の官僚機構の深層にあるほんとうの闇なのである。
(引用終わり)
 
 さて、増補版の本体である青木泰さん自身による論考は、昨日(4月12日)、「Business Journal」というサイトに掲載されました。題して「【森友問題】地中深部ごみは「存在しない」との報告書…8億円値下げは計算の間違い」。
 これなら、素早く目を通すことが可能です。論考の核心部分を論じた終結部分を引用しますが、是非リンク先で全文をお読みください。
 
Business Journal 7.04.12
【森友問題】地中深部ごみは「存在しない」との報告書…8億円値下げは計算の間違い

(抜粋引用開始)
 
では、本当に9.9メートルの深さの高深部にごみはあったのだろうか。実は「ない」とする専門業者がボーリング調査測定した報告資料を、財務省保有していたのである。
 ごみの撤去に関する報告書類は、2点あることがわかっている。第1回目のごみ撤去にあたって根拠としている書類は、「平成21年度大阪国際空港豊中市場外用地(野田地区)地下構造物状況調査業務 報告書(OA301)平成22年(2010年)1月 国土交通省大阪航空局 大和探査技術株式会社」。作成されたのは、今回の森友問題が起きるはるか前である。作成者は国土交通省であり、国土交通省大阪航空局が、この土地の地下の構造物の状況を調査したもので、どのような用地として利用できるかを確認するためのものである。
 この時に「報告書(OA302)」も作成され、それは豊中市が購入した土地部分の調査報告書である。レーザーなども使いながら探索し、数十カ所の地点を定め、その地点の調査をしている。3メートルくらいの浅い部分に、どのようなごみが埋まっているかの詳細が報告されている。森友学園が行った1回目のごみの撤去は、この報告書に基づいて行っている。
 もうひとつは、今回の森友問題に直接関係する報告書であり、「(仮称)M学園小学校新築工事 地盤調査報告書 平成26年12月」である。「(仮称)M学園」とはもちろん森友学園のことである。大阪府私立学校審議会で、森友学園の小学校設立申請について、条件付き認可が下りたのは、翌年15年(平成27年)1月27日であるため、その前年の12月に作成されたこの報告書では、「(仮称)M学園」となっている。
 当該地における「新設小学校の建設に先立ち、計画地盤の構成を明らかにし、設計施工の基礎資料にする」ための報告書であり、敷地内の2点をボーリング(約20平方メートルの深度)調査し、地層の状態を明らかにし、洪積層第二砂質土層を構造物の支持層にするのが有利という判定を行っていた。国有財産近畿地方審議会で、当該土地を森友学園に貸し付け・処理等を適当と判断する(同年2月10日)直前に調査されたものである。
 写真4は、この「地盤調査報告書」のP.42に示された地層図であり、この調査では森友が購入した用地の土中の層として、土の表面から深さ方向に向かって、地層として(1)盛土層、(2)沖積層、(3)洪積層と続く。その地層ごとに地質が記載されている。(1)の盛土層では盛り土(3メートル厚)、(2)の沖積層では第1粘土層(0.3メートル)、砂質土層(3メートル)、第2粘土層(4メートル)と続き、(3)の洪積層では、第1砂質土層(1メートル)、第1粘土層(1平方メートル)、第2砂質土層(2~5メートル)と続いていることが示されている(P.39~42)(註5)
 一番表面部分の盛り土の中には「敷地造成時に施行された砂質土が主体であり、(略)上部で植物根を多く混入し、中~下部で、塩ビ片や木片及びビニール片などを多く混入している」と書かれている。
 つまり表層部分から約3メートルの盛り土の部分にはごみはあるが、それ以外の地層は1万年前後をかけて、堆積してつくられた堆積層であり、それらの地層から塩ビ片やビニール片が出るはずもなく、木片の場合もすでに朽ち果てている。
 この土地は、昭和40年頃は池や湿地だったといわれている。その後住宅地になり、その住宅地を国が、最初は騒音対策地域として、後には災害避難公園として買い上げ、豊中市森友学園に売却したのである。住宅地に整備する過程で、土壌を投入し盛り土する。それが盛り土層である。その際、土壌を安定させるために、コンクリートがらなどを投入したことは、それ自体の良し悪しは別にして、十分考えられることである。
 浅い部分にはごみは存在するが深い部分にはごみは存在しないというこの報告書は、先に示した10年の国交省の報告書とも符合する。学校の校舎や体育館の建設に当たって、浅い部分にはごみが存在するが、深い部分にはごみがなく、建築物を支える地層が存在するという報告である。国有財産近畿地方審議会で論議されていれば、この報告書は15年2月の同審議会が、森友学園に貸し付けもしくは売却の「処理適当」という判断に大きく影響を与えたことが考えられる。
 まず、国会での審議を通して、深部にはごみがないとするこの報告書の内容の真偽を確認する必要がある。この報告書の内容を知りながら8億円もの撤去費がかかる膨大なごみが存在すると報告したのであるならば、この報告書を否定するごみが存在するという報告資料がなければならない。しかし堆積層にそのようなごみが存在するという、おバカな話があるはずもなく、そうであれば、8億のごみの算定は、意図的な偽装であり犯罪行為となる。その点での追及が不可欠である。
 8億円の値引きが、このように深部にないごみを、あたかも存在するかのようにみせ、その結果、国有財産をただ同然に割り引いたという背任行為が輪郭としてみえてきた以上、大阪航空局国交省)、近畿財務局、財務省ら関係者と、彼らへの口利きのきっかけをつくった安倍昭恵氏を含め、国会での追及と証人喚問の必要がある。
 そして先読みすれば、“アッキード事件”での国会解散となれば、問われてくるのは、私たち国民が問題に関する正確な情報を掴んでいるかどうかという点になる。筆者はさまざまな媒体で本件について情報発信しているので、参考にしていただきたい(註6)
(文=青木泰/環境ジャーナリスト)
※本稿の内容を引用する際は、引用元の記載をお願いします。
(註5)一般的に日本の地層の歴史では、(2)沖積層、(3)洪積層は1万年以上も前の新世代の第4世紀につくられた地層であり、それぞれ沖積世、洪積世につくられ、沖積層は軟弱地盤、洪積層は良好地盤とされている。「地盤調査報告書」では、そこで(3)の洪積層のなかの第2砂質土層に構造物の基礎を置くように記載されている。
(註6)月刊誌「紙の爆弾」(鹿砦社/5月号、現在発売中)掲載の記事『森友学園国有地払い下げ “8億円減額”詐欺行為全貌』
(引用終わり) 
 

(付録)
『僕らは熊野(ここ)で歌ってゆく~笠木透さんに捧ぐ~』 作詞・作曲・演奏:松原洋一
 
※紀宝9条の会、くまの平和ネットワーク、そして「わがらーず」の松原洋一さんの名曲です。
 
水平線に朝日が昇り 山の緑が動き出す
伝え切れない想いを胸に 今この時と弾けるように
 心豊かに 自由を語れ
 僕らは現在(いま)を 歌いたい
 あなたの歌を こころに留めて
 僕らは熊野(ここ)で 歌っていく
 
青い空に雲が往き 海と山とを繋いでいる
語り切れない言葉に替えて もう大丈夫と囁くように
 心静かに 平和を祈れ
 僕らは現在を 歌いたい
 あなたの歌を 胸に抱いて
 僕らは熊野で 歌っていく
 
山の連なり夕日に染まり 風が止んだ不思議な空間
納め切れない今日一日の 喜び哀しみ癒すように
 心解いて 自然と遊べ
 僕らは現在を 歌いたい
 あなたの歌を 思い出かさね
 僕らは熊野で 歌っていく
 
夜の静寂(しじま)に星が流れる 赤く輝く銀河の果てに
押さえ切れない見果てぬ夢を いつかこの手で届けよう
 心許して 友と歌え
 僕らは現在を 歌いたい
 あなたの歌を 希望に染めて
 僕らは熊野で 歌っていく
 
 心広げて未来はどっちだ 私は現在を歌いたい
 あなたの歌に 出会えて良かった
 私は熊野で 歌っていく
 あなたの歌に 出会えて良かった
 私は熊野で歌っていく
 
※非売品CD『僕らは熊野(ここ)で歌っていく 「帰ってきた新曲たち」LIVE from FOLKS』(松原洋一/2016年1月20日)ライナーノートより
「14年12月22日に亡くなった笠木さん。あなたのような曲を作りたいと思ってきましたが、まだまだです。天頂の星の上からどうぞ見守っていてくださいね。」