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共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.9~民科法律部会の声明を読む

 今晩(2017年4月14日)配信した「メルマガ金原No.2782」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.9~民科法律部会の声明を読む

 共謀罪シリーズの第20回です。
 いよいよ今日から衆議院法務委員会で法案審議が始まりました。国会に反対派議員を少数しか送り込めていない中での闘いは困難を極めて当然ですが、だからといって何もしないという選択肢はありません。
当面5月までの短期決戦と覚悟を決めて、出来ることをやりきるだけです。
 今日は、その闘いのために必要となる理論武装に役立つ民科法律部会の声明をご紹介することにしました(記者会見動画も併せてご覧ください)。
 
【その1 ニュースの部】
東京新聞 2017年4月14日 夕刊
「テロ」の文言は無関係 「共謀罪」衆院委で質疑

(引用開始)
 犯罪に合意したことを処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案について、金田勝年法相は十四日、衆院法務委員会で趣旨説明を行った。政府与党は今国会での成立を目指し、十九日にも本格的な質疑に入りたい意向だが、四月中の衆院通過は困難との見方が出ている。趣旨説明に先立って行われた衆院法務委での議論では「一般市民が処罰対象となる」「監視社会につながる」といった懸念につ
いて与野党から質疑が行われた。
 条文の「テロリズム集団」との文言についての民進党逢坂誠二氏の質問に対し、金田法相は「『テロリズム集団』は組織的犯罪集団の例示であり、文言がある場合とない場合で犯罪の成立範囲が異なること
はない」と説明。「テロ」の文言が法案の本質に関係しないことが明らかになった。
 「共謀罪」法案は適用対象を「組織的犯罪集団」と規定。集団の活動として、二人以上で犯罪を計画し
、そのうちの一人でも準備行為をした場合、計画に合意した全員が処罰される。
 政府は二〇〇〇年に署名した国連の国際組織犯罪防止条約を締結するために「共謀罪」の創設を目指す。四度目の法案提出となった今回は東京五輪パラリンピックに向けたテロ対策を前面に押し出す。金田
法相はこの日の趣旨説明で、「テロを含む組織犯罪を未然に防止する」と強調した。
 野党は「テロ対策は口実」「憲法が保障する思想・良心の自由が侵害される」などと廃案を求めている

(引用終わり)
 
【その2 動画の部】
20170413 UPLAN【記者会見・院内集会】「共謀罪法案」に反対する研究団体&法律家団体院内集会(2時
間14分)

※前半の記者会見は、民科法律部会(民主主義科学者協会法律部会)が3月27日に発表した声明「「テロ等準備罪」=「共謀罪」法案に断固反対する」のお披露目が目的の1つであり、冒頭、小沢隆一東京慈
恵会医科大学教授からその概要が説明され、その後、以下の方々の発言となりました。
10分~ 新倉 修氏(青山学院大学名誉教授 刑事法学からの発言)
15分~ 白鳥晃司氏(平和と民主主義のための研究団体連絡会議(平民研連)代表委員 平民研連・歴史
教育者協議会の声明紹介)
21分~ 清水雅彦氏(日本体育大学教授 憲法学からの発言)
26分~ 米倉洋子氏(弁護士 法律家団体の取り組み紹介)
32分~ 大江京子氏(弁護士 同)
 記者会見は57分ころに終わり、その後、院内集会となります(司会は清水雅彦さん)。
 なお、民科法律部会の声明は、以下の【その3 声明の部】に掲載します。
 
(引用開始)
 私たち民主主義科学者協会法律部会は、あらゆる分野における法学研究者の研究上の連絡、協力を促進
し、民主主義法学の発展をはかることを目的とする学術団体である。
 政府は、3月21日の閣議で、「共謀罪」の構成要件を含む「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法改正案(以下「本法案」という。)を決定した。本法案は、その立法理由とされている「国連越境組織犯罪防止条約」(以下、「TOC条約」と記す。)の批准には必要のないものである。にもかかわらず、その成立が強行されれば、いわゆる「テロ組織」とは関わりのない人も含めて、広く市民一般の内心が捜査と処罰の対象となり、市民生活の自由と安全が危機にさらされるという戦後最悪の治安立法となる。本会は、その基本理念である民主主義という立場に立って、この法案の危険性を明らかにするとともに、これを今度も廃案とするよう、広く社会に訴えるものである。
 
Ⅰ.「共謀罪」法案の問題点
1.「テロ等準備罪」は「共謀罪」そのもの

 本法案は、これまで3度廃案となった「共謀罪」法案と、その本質において同じものである。そこにい
う「テロ等準備罪」は、窃盗、詐欺、横領などのありふれた犯罪を二人以上で計画し、準備行為をしただけで処罰するものであり、そこにいう準備行為も無限定である。
 対象犯罪が676から277に減らされたことも、実質的な限定にはならない。除外された犯罪には過失犯や予備罪など、その性質上、もともと対象犯罪とはなりえなかったものが多数含まれており、これをもって
「対象犯罪が絞られた」と評することはできない。
 他方、本法案では、公職選挙法上の組織的な「買収及び利害誘導罪」(公選法221条、222条)や会社法上の特別背任罪会社法960条)、取締役等の贈収賄罪(会社法967条)、その他特別法上の多くの収賄罪などの罪が対象犯罪から除外されている。これは、対象犯罪の限定が、単に議員や財界の懸念を払しょくするために行われた恣意的なものであることを疑わせるものである。
 
2.「組織的犯罪集団」は「テロ組織」に限定されない
 そもそも、TOC条約にいう「組織的犯罪集団」は、「金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため一又は二以上の重大な犯罪又はこの条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として一体として行動するもの」(TOC条約2条(a))である。したがって、「組織的犯罪集団」は「テロ組織」に限定されない。法案にも「その他の組織的犯罪集団」とあるように、「組織的犯罪集団」には、広くテロ組織との関連がない犯罪の遂行を目的とするものも含まれる。そこでは、普通の団体が、277の罪のいずれかの遂行を常態とするような組織に性質を一変させた場合、組織的犯罪集団とみなされうる。
 
3.一般市民も処罰対象となりうる
 「組織的犯罪集団」に属さない一般市民もまた、本法案6条の2第2項により処罰対象となることも、看過してはならない。しかも、準備行為が行われたことを知らなくても処罰されうるのである。
 
Ⅱ.TOC条約批准という論拠の虚偽性
1.TOC条約の求めるものとの齟齬
 本法案の立法理由とされているTOC条約は、国際的な経済的犯罪集団に対して国際的な協力を促進することを目的としたものである。「合意」や「参加」の犯罪化は、そのための処罰の間隙を埋めるためのものである。ゆえに、実質的にみて処罰の間隙がなければ、本法案のような立法は不要である。むしろ、日本は死刑を温存しているため、捜査共助や犯人引渡しを拒否されることの方が、国際的な協力を阻害することになる。
 
2.条約上の「テロ対策」は履行済み
 テロ対策の国際的枠組みとしては、「テロ資金供与防止条約」を始めとする5つの国連条約、および、その他8つの国際条約が採択されている。日本はこれらをすべて締結し国内法化しており、これに加えて「テロ等準備罪」を追加する必要性はない。
 
3.テロの脅威は「対テロ戦争」への参戦から
 また、「安保法」による自衛隊派遣によって「対テロ戦争」等の戦争に本格的に参戦することは、却ってテロの脅威を高める。そうではなくて、憲法9条違反の「安保法」を廃止し、憲法前文の「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」という観点からすれば、テロの背景にある世界の人権抑圧や貧困問題の解決によってテロの温床をなくし、かつ、「テロ等準備罪」による市民的自由への脅威を招くことのない社会を構築することこそが切実に求められている。
 
Ⅲ.監視社会の構築による市民的自由の窒息
 本法案には、密告者必要的減免の規定がある。また、昨年5月には、「通信傍受法(盗聴法)」の対象犯罪が大幅に拡大されている。ゆえに、本法案が成立すれば、犯罪計画段階での密告が奨励され、また、捜査手法として盗聴が日常化する危険が大きい。これによって、憲法13条で保障されるプライバシー権や、21条で保障される通信の秘密が侵害されるおそれがある。このような盗聴と密告が蔓延する「監視社会」では、権力濫用からの市民の自由と安全は危機に瀕することとなる。そして、「共謀罪」を理由とする捜査と処罰の可能性は、政府や大企業等の過ちを正すことを通じて、民主主義社会を根底から支える市民の政治的表現の自由に対して深刻な萎縮効果を及ぼすことは確実である。まさに本法案は、市民の自由や
民主主義にとって重大な危険をもたらすものなのである。
 以上の理由から、私たちは「テロ等準備罪」処罰を目指す本法案に断固反対する。
 
2017年3月27日
民主主義科学者協会法律部会理事会

(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
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2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
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2017年4月7日

(付録)
『お灯まつり、春へ』 作詞・作曲・演奏:松原洋一
 
※紀宝9条の会、くまの平和ネットワーク、そして「わがらーず」の松原洋一さんの演奏をお楽しみください。
 
暦が冬に 別れを告げる頃
落ち着かないよな 胸騒ぎ
心はとぶよ ふるさとの峰
山が真っ赤に 燃える夜
 男の烈しさと 女の優しさが
 火の粉となって 舞い踊る
※春を呼ぶまつりだよ
  一度帰ってこないか※※
 
珍しく雪が 町を白く染めて
風にそよぐ 松明の花
今年上るんか あゝ上るでと
なじみの言葉が 耳にあたたかい
 男の願いと 女の祈りが
 火の粉となって 乱れ飛ぶ
※~※※
 
透明な空気が ぴんと張り詰めて
何かがはじける そんな予感
きりりと締めた 男結び
白い背中に 声がとぶ
 男の夢と 女の愛が
 火の粉となって 星になる
※~※※
 (2回くりかえし)