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「共謀罪」阻止のために~5/9WAASA学習会で話したこと、6/11くまの平和ネットワーク講演会で話すべきこと

 今晩(2017年5月9日)配信した「メルマガ金原No.2807」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
共謀罪」阻止のために~5/9WAASA学習会で話したこと、6/11くまの平和ネットワーク講演会で話すべきこと

 共謀罪シリーズの第24回をお届けします。
 さて、衆議院法務委員会での共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)の審議は、慣例を破ってGWの谷間にも開会するという仕事熱心さで(?)審議が続けられているようですが、私が気になっているのは、(森友学園問題の時もそうでしたが)、公式の会議録の公開が遅い!「遅い」というより何より、公開されている衆議院法務委員会の会議録で一番最近のものは4月12日の分(第9号)ですが、これは民法改正案を審議した(この日に附帯決議を付して委員会採決された)時の会議録ですからね。つまり、共謀罪法案審議経過は、会議録では全く分からず、衆議院インター
ネット審議中継で確認するしかない。
 未定稿の速記録は日ならずして関係者に配布されるはずですが、会議録の確定稿を1日も早く公開して国民に審議経過を知ってもらおうという姿勢が感じられない。
 
 それはさておき、今日(5月9日)午後6時半から、WAASA(安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会)のお招きにより、学習会の講師を務めてきました。ということで、メルマガ(ブログ)の素材を別に探して書いている時間的余裕がないので、いつものことですが、今日のレジュメをそのまま掲載させてもらいます。
 今回のレジュメは、去る4月9日に御坊市で行われた学習会(主催:憲法9条を守り・いかす日高連絡会)のために書いたものの増補改訂版です。主な増補箇所は、審議中の法案を理解するために必要と思われる(改正の対象となっていない)「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」の条文を引用したこと、去る4月25日に衆議院法務委員会で行われた参考人質疑のうち、高山佳奈子京都大学大学院教授による意見陳述(メルマガ&ブログでご紹介済み)を要約して挿入したことです。
 
 ところで、今日のWAASAの学習会は、まだ衆議院での委員会審議中だったから良いのですが(「良い」というのも変ですが)、私が
もう1つ引き受けている講演会は6月11日(日)の開催ですからね。
 4年ぶりに「くまの平和ネットワーク」からお招きいただき、同日午後1時30分から、新宮市福祉セ
ンター(市役所前)において、「『共謀罪』って何?こんなにある問題点!」という演題で講演させていただくことになりました(※チラシ)。例年この時期に行われる同ネットワークの「憲法の講演会」なのですが、国会の会期末が6月18日。都議選への影響を恐れる公明党は会期延長に強く反対しているらしいし、6月11日、正直どうなっていることやら。
 とにかく、強行採決を許さず、法案反対の世論をさらに盛り上げるべく頑張るしかありません。
 
 

2017年5月9日(火) 於:和歌山大学
WAASA(安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会)
 
         “共謀罪”学習会レジュメ
 
                         弁護士 金 原 徹 雄  
 
1 3月21日に国会に上程された共謀罪法案
 2月28日に自民・公明両党に示された法案には「テロ」の「テ」の字もなかった。
 ところが、与党からの指摘を受け、共謀罪の構成要件を定めた「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」第6条の2に、4箇所も「テロリズム集団その他の」という文言を追加する修正を加え、閣議決定の上、3月21日に衆議院に提出した。
 共謀罪を規定した第6条の2及び別表、並びに同条項が前提とする「団体」の定義規定(第2条1項/これは既存の規定)を引用する。
 併せて、同法のそもそもの目的を規定した第1条(これも改正対象外)も引用する。

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年八月十八日法律第百三十六号) ※第6条の2及び別表は審議中の「改正案」
(目的)
第一条 この法律は、組織的な犯罪が平穏かつ健全な社会生活を著しく害し、及び犯罪による収益がこの種の犯罪を助長するとともに、これを用いた事業活動への干渉が健全な経済活動に重大な悪影響を与えることにかんがみ、組織的に行われた殺人等の行為に対する処罰を強化し、犯罪による収益の隠匿及び収受並びにこれを用いた法人等の事業経営の支配を目的とする行為を処罰するとともに、犯罪による収益に係る没収及び追徴の特例等について定めることを目的とする。
 
(定義)
第二条 この法律において「団体」とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう。以下同じ。)により反復して行われるものをいう。
2~7 省略
 
テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの 五年以下の懲役又は禁錮
二 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、同項と同様とする。
 
別表第三(第六条の二関係) 略
別表第四(第六条の二関係)
一 別表第三に掲げる罪(次に掲げる罪を除く。) 略
二 第七条(組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等)の罪(同条第一項第一号から第三号までに掲げる者に係るものに限る。)又は第七条の二第二項(証人等買収)の罪
三イ 刑法第九十八条(加重逃走)、第九十九条(被拘禁者奪取)又は第百条第二項(逃走援助)の罪
 ロ 刑法第百六十九条(偽証)の罪
四 爆発物取締罰則第九条(爆発物の使用、製造等の犯人の蔵匿等)の罪
五 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法第四条第一項(偽証)の罪
六 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律(平成十九年法律第三十七号)第五十六条(組織的な犯罪に係る証拠隠滅等)又は第五十七条第一項(偽証)の罪
 
 そもそも、今回改正の対象となっている「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」は、第1条(目的)を一読すれば明らかなように、テロ対策のために作られた法律ではないし、第6条の2にしても、「テロリズム集団」は単なる例示(それも、立法技術的には非常に拙劣な「後付け」である)であり、意味があるのは「その他の」の方である。
 今回の共謀罪法案が「テロ対策」のためのものというのは、もちろん「デマ」であり「嘘」である。そして、我々がそれを見抜いてることなど政権は百も承知の上で、「デマ」「嘘」を押し通そうとしている。そういう意味から言うと、我々は、恐ろしく空しい消耗戦を強いられている。
 考えてみると、このようなやり方は決して昨日、今日始まった訳ではない。そういう観点から見れば、
安倍政権とトランプ政権というのは非常に親和性が高いと言えるかもしれない。
 
2 資料の説明
①「一からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる」(全48頁)
 (以下、本レジュメで「テキスト」と呼称)
 編集・発行
 「秘密保護法」廃止へ!実行委員会(平和フォーラム 新聞労連 ほか)
 「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会(許すな!憲法改悪市民連絡会 憲法会議)
 盗聴法廃止ネットワーク(盗聴法に反対する市民連絡会 日本国民救援会
 ※上記3団体に、
 「日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)」
 「共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会」
が加わって「共謀罪NO!実行委員会」が作られ、統一署名が呼びかけられている(後記)。
②「対象の犯罪と罪名一覧」
 国会に上程された「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」別表第3と第4を新聞社でまとめたもの(対象犯罪数277)。
 
3 共謀罪の「これまで」を振り返る(テキスト15、26頁)
 2000年11月:国連越境組織犯罪防止条約 採択
 2003年 3月:第1回 国会上程
 2004年 2月:第2回 国会上程
 2005年10月:第3回 国会上程
 2006年4月~6月:与野党修正案提出
 2006年 9月:第一次安倍晋三内閣成立
 2009年 7月:第3回法案が衆議院解散にともない廃案に
 2012年12月:第二次安倍晋三内閣成立
 2017年 3月:第4回 国会上程 
 
4 共謀罪が出来たなら~最も重大な3つの問題点
(1)日本の刑事法体系が破壊される(テキスト6頁)
①陰謀(共謀)→予備→未遂→既遂
 陰謀(共謀)罪は例外中の例外
 刑法77条「内乱の予備又は陰謀をした者は、一年以上十年以下の禁錮に処する。」
 他に、外患陰謀罪、私戦陰謀罪、爆発物取締罰則等 
 ところが、広汎な犯罪について共謀(計画)を罰することになると、未遂は処罰されないのにその前々
段階の共謀(計画)は処罰されるというような犯罪が続出するという不合理な事態が現出する。
 ※例:横領罪(刑法252条/5年以下の懲役) 未遂処罰規定なし
②未遂罪との均衡がくずれる
 刑法43条「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。」
 実行に着手までしながら、自らの意思で中止した場合(中止未遂)には、必要的にその刑が減軽または免除されるのに、その前々段階の共謀(計画)を行ったものの、自らの意思で計画から離脱したとしても、抜け駆けで実行の着手前に自首しない限り、減軽・免除の利益を受けられない(共謀罪法案第6条の2第1項ただし書)という不均衡が生じる。
③日本の刑事法体系の思想(テキスト6頁)
 罰すべきは「意思」ではなく「行為」である。
 具体的な「法益侵害」またはその「具体的危険」が発生したことが刑罰権発動の根拠であるとする考え方が根本的に変容する。
(2)「捜査」のあり方が一変する(テキスト7頁)
・共謀(計画)罪は、2人以上の者の意思の合致によって成立する。
・どうやって捜査するのか?盗聴(通信傍受)、おとり捜査が常態化する恐れがある。
・既に昨年、通信傍受法・刑事訴訟法が「改正」され、通信傍受できる対象犯罪が拡大されており(同年12月施行)、また、従来のように通信事業者の施設内でその立会いの下でやらねばならないという制約も撤廃されている(こちらはまだ施行されていない)。共謀罪が成立すれば、これも盗聴(通信傍受)の対象とされる可能性が極めて高い。
(3)人権が蔑ろにされる息苦しい社会となる(テキスト5、21、28頁)
・犯罪構成要件が曖昧過ぎる。
・刑罰法令の人権保障機能が失われる。
・思想・良心の自由、表現の自由などの人権体系の根幹をなす優越的権利が危機に瀕する。
・現在よりも、一層の「監視社会化」が進んだ息苦しい社会が到来することは疑いない。法案(第6条の2第1項ただし書)による密告奨励の自首規定はそれを助長する。
⇒昨年の参院選大分県警(別府署)が野党統一候補陣営を隠しカメラで盗撮していたことを想起せよ。
 
5 国連越境組織犯罪防止条約の批准に共謀罪は不要(テキスト15頁)
・そもそも条約はマフィアなどの国際的組織犯罪集団の効果的な取り締まりのために締結された条約であってテロ対策は無関係。
・日本は全てのテロ対策条約(全部で13)を批准済み。
国連越境組織犯罪防止条約を批准済みの187カ国のうち、批准のために新たに共謀罪を作ったのはノルウェーブルガリアの2カ国のみと政府も答弁している。
・現行法のままで条約批准は可能。必要であれば留保宣言付きで批准すればよい。 
※海渡弁護士レジュメから引用「越境組織犯罪条約については、日本政府は異常なほど律儀に条約の文言を墨守して、国内法化をしようとした。むしろ、一部の法務警察官僚は、批准を機に過去になかったような処罰範囲の拡大の好機ととらえた節がある。もしかすると、アメリカ政府との間で、アメリカ並みの共謀罪を作るという合意があったのかもしれない」
 
6 高山佳奈子京都大学大学院教授(刑事法)の衆議院での参考人質疑(4/25)から
(1)「五輪開催のためのテロ対策」などではない。
・「単独犯のテロの計画」、「単発的な集団のテロ」が射程外。
東京五輪開催決定(2013年秋)後に出された政府の犯罪対策計画でも、犯罪の準備段階で処罰する立法とテロ対策とはまったく別々の章に規定され、リンクして論じられたことはない。
・2014年改正「テロ資金提供処罰法」により、テロ目的による資金、土地、建物、物品、役務その他の利益の提供が包括的に処罰の対象となり、ほとんどのテロ目的の行為をカバーし、五輪のためのテロ対策は完了している。
・最近の最高裁判所の裁判例は、詐欺罪や建造物侵入罪の適用を非常に幅広く解釈している。例えば、通帳を他人に譲渡する目的で自分の名義の銀行口座を開設する行為が通帳を騙し取ったということで詐欺罪、また、飛行機に他人を搭乗させる目的で自分の買った搭乗券を受け取っても詐欺罪が成立するとされている。また、暴力団関係者が、暴力団ではないと偽って自分の預金口座を開設しても通帳を騙し取ったということで、通帳に対する詐欺罪が成立している。さらに、他人の暗証番号を盗撮する目的で、誰でも入れるATMコーナーに立ち入った行為、これが建造物侵入罪の既遂として処罰されている。というように、違法な目的をもって何かを入手したり、ある場所に立ち入る行為が、かなり広い範囲で処罰の対象になっており、テロ対策としても日本は諸外国と比べても広い処罰範囲をすでに有している。
(2)国連組織犯罪防止条約(TOC条約)批准のために共謀罪は必要ない。
・条約の全体を見れば、各国は組織犯罪対策として、国内法の基本原則に適合するように対処することを求めているのであり、憲法の範囲で対処すればよい。
・日本には明治以来の組織犯罪対策の伝統である「共謀共同正犯」という確立された判例があるが、実行準備行為のところがより限定的で、実質的な危険のある行為でなければならないとされているので、アメリカが(一部の州に共謀罪規定がないことを理由に)留保できるのであれば、日本も留保した上で批准できるはずである。
・日本は、海賊行為の普遍的な処罰を求めている「国連海洋法条約」を1996年に批准したが、国内の対応法である「海賊行為対処法」を制定したのは10年以上後の2009年だった。
・第一次安倍政権下の2007年に「国際刑事裁判所規程」に日本が参加したときにも、国際刑事裁判所規程の中には犯罪の定義が非常に細かく広範囲にわたって規定されていたが、これに対応する国内方の処罰範囲の拡張という改正は一切行っていない。
・国際協力の範囲を他国に合わせるために今般の法案の可決が必要と言われることもあるが、日本の現行法の処罰はすでに他国よりも広範なケースが多い。例えば共謀罪のある国でも、抽象的危険犯や予備罪などの処罰が日本のように広く行われていない国もある。また、結集罪参加型の立法を行っている国で、そもそも団体の結成の当初からの目的が犯罪でなければならないと限定している国、あるいは予備罪処罰がそもそもないといった国では、処罰の対象は大幅に限定されている。
国連が2004年に公表した「各国のための参考資料としての立法ガイド」の監修に当たったアメリカ
ノースイースタン大学ニコス・パスタス教授から聞いたところでも、「条約への参加の仕方はいろいろあるので、まずその条約を締結して、その後で国内法についてより改善していくというやり方も十分認められる」という意見であった。
(3)処罰が限定的であるという主張には同意できない。
オウム真理教のように、当初は宗教団体として結成されたけども、一部の構成員が犯罪を始めたというケースに適用をしないのであれば、当初の全体の集団の結成目的が犯罪でなければならないという要件を課すことができるだろうが、適用するのであれば、団体の一部が性格を犯罪的なものに一変させた場合も対象に含めざるを得ず、一般人の通常の団体として結成された場合を適用外とすることはできないことになる。
共謀罪の構成要件たる「計画」の成立自体、「黙示の合意」、「順次的な合意」、「未必的な故意」による合意をすべて含むことが従来の判例から推測される上、「計画」の事実認定としても、従来型の犯罪でも、何月何日何時何分に何が起こったというところまでの厳密な認定が要求されているわけでもない。
・実行準備行為については、構成要件要素ではなく、客観的処罰要件であって、特段の危険性が要求されておらず、外形的な行為であれば、特に限定なく、「その他」の中に含まれる。
(4)対象犯罪の選別が恣意的である。
・公権力を私物化するような犯罪である公職選挙法政治資金規正法、政党助成法違反は除外されている。公用文書電磁的記録毀棄罪のような重大犯罪も除かれており、また、警察官などによる特別公務員職権濫用罪・暴行陵虐罪も除外されている。
・組織的な経済犯罪が除かれている。一般に「商業賄賂罪」と呼ばれ、諸外国で規制が強化されてきているような、会社法金融商品取引法商品先物取引法投資信託投資法人法、医薬品医療機器法、労働安全衛生法貸金業法、資産流動化法、仲裁法、一般社団財団法人法などの収賄罪が対象犯罪から除外されている。
・主に組織による遂行が想定される酒税法違反や石油税法違反なども除外されており、相続税法違反が除外されているものの、所得税法違反は含まれている。なぜ、このようになっているのか。対象犯罪の選別が著しく恣意的で不合理なものになっている。
(5)その他
 近年の犯罪情勢は非常に好転しており、一番犯罪の多かった2002年と最新統計の2015年とを比較すると、犯罪の認知件数は年間あたり200万件以上減少し、40数%にまで落ち込んでいる。これに対し、警察職員の数は、同じ期間に2万人増員されている。本来であれば、増えた警察の人員は適切なマンパワーとして、適材適所で活用されなければならないが、これが乱用されるということになると、仮に司法手続で回復されたとしても、相当な年数がかかってしまう。
 
7 戦争する国づくりの集大成としての共謀罪(テキスト11頁)
 2013年 秘密保護法
 2015年 安保法制(戦争法)
 2016年 盗聴法(通信傍受法)拡大
 2017年 共謀罪
 国が常時市民を監視し、萎縮させ、戦争に協力させるための体制作りの集大成としての共謀罪。 
 
8 共同の取組で共謀罪阻止を
(1)「共謀罪NO!実行委員会」結成(2017年3月~)
 呼びかけ団体
 ●「秘密保護法廃止」へ!実行委員会(新聞労連、平和フォーラム等)
 ●解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会(憲法会議、許すな!憲法改悪・市民連絡会等)
 ●日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
 ●共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会
 ●盗聴法廃止ネットワーク(日本国民救援会等)
(2)3月~5月 緊急統一署名に取り組もう!
 「共謀罪NO!実行委員会」
 「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」
 が共同で呼びかける
(3)和歌山でも
和歌山県平和フォーラムと和歌山県地方労働組合評議会が「戦争させない・9条壊 すな!総がかり行動実行委員会」の枠組により、共謀罪に反対する共通チラシを作成・配布している。
・3月9日(木)18時~19時、JR和歌山駅前で、上記両団体などが参加する緊急行動(統一署名も)が行われたのを皮切りに、街頭でのアピール行動が各地で取り組まれている。
・5月10日(水)午後6時~(プラザホープ4階ホール)、和歌山弁護士会が「共謀罪法案を考える市民集会」を開催予定。
                                        以 上
 

(弁護士・金原徹雄のブログから)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介
2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演
2017年2月28日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3
2017年3月1日
ついに姿をあらわした共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)
2017年3月3日
「共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも
2017年3月4日
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2017年3月6日
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2017年3月8日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.5~「テロリズム集団その他」のまやかし

2017年3月9日
3月9日、和歌山で共謀罪に反対する街頭宣伝スタート~総がかり行動実行委員会の呼びかけで
2017年3月17日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.6~立憲デモクラシーの会が声明を出しました
2017年3月21日
閣議決定された「共謀罪」法案~闘うための基礎資料を集めました
2017年3月31日
2017年4月7日
2017年4月14日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.9~民科法律部会の声明を読む
2017年4月18日
声明「許せない「共謀罪」」~「「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会」が引き継ぐ「志」
2017年4月26日
緊急開催!和歌山弁護士会「共謀罪法案(テロ等準備罪)を考える県民集会」(5/10@プラザホープ)
2017年4月27日
高山佳奈子京都大学大学院教授による共謀罪法案についての参考人意見陳述(2017年4月25日・衆議院法務委員会)を読む

くまの平和ネットワーク「共謀罪」チラシ