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「弁護士と経済学者有志による緊急声明(6/9)」を読む(共謀罪シリーズ第31回)

 今晩(2017年6月10日)配信した「メルマガ金原No.2839」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「弁護士と経済学者有志による緊急声明(6/9)」を読む(共謀罪シリーズ第31回)

 今日は、当初の予定を変更し、共謀罪シリーズの第31回として、昨日発表された「弁護士と経済学者有志による緊急声明」をご紹介します。この声明を知ったのは、Facebook友達となっている小口幸人さん(沖縄弁護士会所属)のタイムラインに、「SNSでの拡散等ご協力お願いします。」とあったことによりま
す。
 早速、私のFacebookで拡散に協力したのですが、メルマガやブログでも読んでいただくことにしました。
 小口弁護士が運営する南山法律事務所ホームページに掲載された声明を、小口弁護士自身による前説とともに全文引用します。
 
南山法律事務所ホームページ 2017.06.09 お知らせ
「弁護士と経済学者有志の声明」発表のご報告

(引用開始)
森友学園問題や加計学園問題に顕著に現れている、
安倍政権による国家の私物化を受けて、経済学者と弁護士の有志が、本日付で緊急声明を発表しました。
右や左ではなく、公平公正な行政、法の支配に基づく権力の執行という原則的な理念が、さらに事実を事
実として受け止め謙虚に向き合うという根本的な姿勢そのものが歪められています。

今回の声明の呼びかけ人として名を連ねている弁護士は、日本を代表する、ビジネス畑の第一線で活躍する弁護士です。また、以前は企業等に勤めビジネスの一翼を担っていた弁護士たちです。今の政権がしていることは、コンプライアンスを遵守しようする企業等に身を置いてきた(「者に」?)は、到底経験か
ら考えられない行為であるという憤りから、名前を連ねています。
末席に、弁護士小口幸人も混ぜていただきました。

多くの方にご一読いただきたいと考えておりますので、SNS等で広めていただければ幸いです。

【声明】弁護士と経済学者有志による緊急声明※PDF版)

 今国会で何度となく取り上げられた森友学園問題や加計学園問題などから明らかな通り、今や日本では
首相官邸そのものによって、行政や司法の公平性が著しく歪められてしまい、その結果、法の支配が脅かされ、「人による支配」というべき状況が生じている。政権と近い者、政権と縁故を持つ者に対し恣意的に利益が誘導されるという状況は、客観的な予測可能性が乏しくリスク管理が機能しなくなるため、ビジ
ネスにとっても重大な悪影響を及ぼす。
 そもそも資本主義社会において何より重要なのは、公平、公正、平等な競争が確保されていることにある。これが確保されず、縁故による優遇が入り込めば、新規参入は行いづらく、海外企業の参入も阻まれ、ビジネスの健全な発展が阻害されることは明らかである。安倍政権がここまでコンプライアンス遵守の精神が乏しいというのは、極めて由々しき事態である。また、ビジネスにおいては、計画したプロジェクトの実行についてその結果及びリスクの予測可能性が不可欠であるが、金融商品取引法や税法違反の罪についてまで要件のあいまいな共謀罪が創設されると、ビジネス計画の立案の過程における議論に重大な悪
影響を与え、ビジネス活動に対する萎縮効果が大きい。
 これほど政治家の質が下がり、政治が乱暴に、政府が横暴になったことはいまだかつて例がない。わが国の民主政治の危機はまさに頂点に達しており、三権分立の原則、立憲主義(法の支配)は政府と国会多数派の数の横暴で蹂躙されていると言わねばならない。この政権が今、市民の自由を脅かし監視社会をもたらす組織犯罪処罰法改正案(「共謀罪」法案)を成立させようとしていることは、戦慄すべき事態である

 振り返ってみれば、1990年代以降、「政治主導」によって官僚支配や政官業の癒着を打破することを標榜し、政治改革や行政改革が勧められ、小選挙区制の導入や中央省庁再編などを通じて、首相権限(官邸機能)の強化が進められてきたが、現在の安倍政権で現実のものとなってしまったのは、政治主導でも政官業の癒着打破でもなく、首相個人そして首相夫人による、公権力と公有財産の私物化ではないのか

 法の支配や行政の公平性など、近代国家の土台そのものが、首相官邸によって蝕まれているのではないかという疑惑が国民の間に広がる根強いなかで、強引に国会を閉じて事態の幕引きを測ることは許されない。まずは、共謀罪審議を停止し、森友学園加計学園問題に関する公権力と公有財産私物化の疑惑を、
国会で徹底的に究明することを求める。
                  2017年6月9日

[呼びかけ人]
久保利英明(弁護士 日比谷パーク法律事務所)
木村庸五(弁護士 日比谷南法律事務所)
濱田邦夫(弁護士 日比谷パーク法律事務所 元最高裁判所判事)
伊藤真(弁護士 法学館法律事務所)
小口幸人(弁護士 元株式会社キーエンス勤務)
武井由起子(弁護士 元伊藤忠商事株式会社勤務)
内山宙(弁護士 元最高裁判所勤務)
上田裕(弁護士 元あさひ銀行勤務)
北神英典(弁護士 元一般社団法人共同通信社勤務)
田中篤子(弁護士 元裁判官)
笹泰子(弁護士 元株式会社国際協力銀行勤務)
岡田知弘(京都大学教授 地域経済学)
平野健(中央大学教授 アメリカ経済論)
永島昴(立命館大学准教授 産業技術論)
水野和夫(法政大学教授 マクロ経済学
森原康仁(三重大学准教授 国際経営論)
新井大輔(名城大学准教授、金融論)
関耕平(島根大学准教授、地方財政論)
田中幹大(立命館大学教授、中小企業論)
恒木健太郎(専修大学准教授、経済思想史
永田瞬(高崎経済大学准教授、経営学
中村真悟(立命館大学准教授、産業技術論)
中本悟(立命館大学教授、経済学)
戸室健作(山形大学准教授、社会政策論)
小堀聡(名古屋大学准教授、経済史)
河音琢郎(立命館大学教授、財政学)

(引用終わり)

 上記「声明」の論旨に全く異論はありません。終わり近くの「首相官邸によって蝕まれているのではな
いかという疑惑が国民の間に広がる根強いなかで」は、「・・・根強い疑惑が国民の間に広がるなかで」と修文したくなりますが、「時間が足りなかったのだろうなあ」ということで仕方がありません。

 ところで、呼びかけ人の中に懐かしいお名前を発見しました。河音琢郎(かわね・たくろう)立命館大
学教授です。河音先生の前任校は和歌山大学経済学部だったのですが、その当時、和歌山大学唯一の教員ロックバンド「先コウ花火」の不動のボーカリストだった河音先生が、立命館大学に転出した後、非常勤で河音先生に京都から来援してもらったり、和歌山大学の学生に助っ人を頼んだり、どうにかこうにか「先コウ花火」は解散せずに活動を継続中です。

 なお、上記の「声明」で思い出したのですが、「共謀罪法案に反対するビジネスロイヤーの会」の7人
の弁護士が「声明」を発表しています(5月19日に記者会見を行いました)。
 ネット検索で見つけた本文は、以下のものだけで、全幅の信頼をおけるテキストかどうか自信がないの
で引用はしませんが、参照していただければと思います。
 
 ビジネスロイヤーなどとは縁遠いただの「町弁」生活28年余りの私ですが、いずれの「声明」にも腑
に落ちる点が多々あります。
 ビジネスの世界に身を置く方々にも共感していただけるのではないかと思い、ご紹介しました。

(付記・小沢一郎自由党代表の今日の和歌山での発言)
小沢一郎講演会(記念撮影) 本日(6月10日)、自由党和歌山県支部連合会の結成大会が開かれるのに合わせ、小沢一郎自由党党首が和歌山市を訪れ、記念講演をされましたので、私も参加してきました。複数の動画撮影が行われていましたので、いずれインターネットで講演の模様が視聴できるようになると思います。
 それまでは、簡単なレポートを私のFacebookタイムラインにアップしましたので、ご参照いただければと思います。
 ここでは、小沢さんの発言のポイントと私が考えた部分を整理したところだけ引用します。特に、最後に述べられた、最終盤の国会における野党のあるべき姿勢についての発言には大いに共感しました。
(引用開始)
小沢氏が述べたポイントば以下のようなことだったでしょうか。
〇小泉、安倍両政権が信奉する「新自由主義」は、我々自由党が大事だと考える「自由主義」とは真逆のもの。
政治は「国民の生活を守る」ための手段であるということを理解していないというのが、現政権の最大の問題点である。
北朝鮮がロケット(ミサイル)を使って日本や米国を攻撃するようなことは絶対にないが、暴発して第二次朝鮮動乱となるリスクはある。それを押さえるためにも、また、拉致問題の解決のためにも、日中関係こそ重要であるのに、現政権はそれが全く分かっておらず、いたずらに北朝鮮危機を政権の支持率維持のために利用するだけである。
〇国民に分かりやすく我々の主張を伝えるためには、たんたんと国会審議に応じているようなことではだめだ。審議を尽くすことは大事ではあるが、強硬に自らの主張を貫けば、国民は必ず理解してくれる。
(引用終わり)

(弁護士・金原徹雄のブログから/共謀罪シリーズ)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介
2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演
2017年2月28日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3
2017年3月1日
ついに姿をあらわした共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)
2017年3月3日
「共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも
2017年3月4日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.4

2017年3月6日
共謀罪に反対するのも“弁護士”、賛成するのも“弁護士”
2017年3月8日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.5~「テロリズム集団その他」のまやかし

2017年3月9日
3月9日、和歌山で共謀罪に反対する街頭宣伝スタート~総がかり行動実行委員会の呼びかけで
2017年3月17日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.6~立憲デモクラシーの会が声明を出しました
2017年3月21日
閣議決定された「共謀罪」法案~闘うための基礎資料を集めました
2017年3月31日
2017年4月7日
2017年4月14日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.9~民科法律部会の声明を読む
2017年4月18日
声明「許せない「共謀罪」」~「「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会」が引き継ぐ「志」
2017年4月26日
緊急開催!和歌山弁護士会「共謀罪法案(テロ等準備罪)を考える県民集会」(5/10@プラザホープ)
2017年4月27日
高山佳奈子京都大学大学院教授による共謀罪法案についての参考人意見陳述(2017年4月25日・衆議院法務委員会)を読む

2017年5月9日
「共謀罪」阻止のために~5/9WAASA学習会で話したこと、6/11くまの平和ネットワーク講演会で話すべきこと

2017年5月17日
「共謀罪」をめぐる5月16日の動きを動画で振り返る~衆議院法務委員会参考人質疑、日比谷野音大集会、立憲デモクラシーの会シンポ

2017年5月20日
闘いはこれからだ~5/19「安倍政治を終わらせよう5.19院内集会」&5/20「安倍政権に反対する和歌山デモ」
2017年5月22日
「共謀罪」法案の衆議院における修正案(可決)を読む
2017年6月6日
予告・「共謀罪」って何?こんなにある問題点!(講師:金原徹雄弁護士)@新宮市(6/11)と真宗大谷派による共謀罪法案反対声明(5/18)
2017年6月7日
国際ペン会長声明「共謀罪は日本の表現の自由とプライバシーの権利を侵害する」&加藤健次弁護士による現状分析