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翁長雄志沖縄県知事「平和宣言」を読む~2017年・沖縄全戦没者追悼式(6/23)

 今晩(2017年6月24日)配信した「メルマガ金原No.2853」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
翁長雄志沖縄県知事「平和宣言」を読む~2017年・沖縄全戦没者追悼式(6/23)

 「慰霊の日」の昨日(6月23日)、沖縄県糸満市摩文仁平和祈念公園で、「沖縄全戦没者追悼式」(主催・沖縄県沖縄県議会)が開かれました。
 私の事務所で購読している朝日新聞(大阪本社13版)の今日の朝刊(4面)にも、「翁長知事の平和宣言(要旨)」と「安倍首相のあいさつ(要旨)」が掲載されており、いずれも「要旨」とは言いながら、ほぼ全文に近いものですが、あらためて、動画とともに翁長知事の「平和宣言(全文)」を読んでおこうと思います(読売オンラインに全文が掲載されていました)。
 なお、安倍首相挨拶については、首相官邸ホームページにリンクだけはっておきます。読みたい人はそちらでどうぞ。
 
琉球新報YouTubeチャンネル
沖縄全戦没者追悼式 Published on Jun 23, 2017(1時間05分)

冒頭~ 開式の辞 沖縄県副知事 浦崎唯昭氏
2分~ 式辞 沖縄県議会議長 新里米吉氏
10分~ 黙とう
11分~ 追悼のことば 沖縄県遺族連合会会長 宮城篤正氏
18分~ 献花(対馬丸児童合唱団、那覇少年少女合唱団による演奏)
35分~ 平和宣言 沖縄県知事 翁長雄志氏
(引用開始)
 72年前、ここ沖縄では、住民を巻き込んだ激しい地上戦が繰り広げられました。昼夜を問わない凄(すさ)まじい空襲や艦砲射撃により、自然豊かな島の風景、貴重な文化遺産、そして何より尊い20数万人余りの命が失われました。
 戦争の不条理と残酷さを体験した沖縄県民は、何をおいても命こそが大切であるという「命(ぬち)どぅ宝」の思いを胸に、戦争のない、平和な世の中を希求する「沖縄のこころ」を強く持ち続けています。
 戦後、沖縄は27年に及ぶ米軍統治を経て、念願の本土復帰を果たしました。沖縄県民、そして多くの関係者の尽力により、現在、沖縄は国内外からの多くの観光客でにぎわうなど、大きな発展を遂げつつあります。
 その一方で、戦後72年を経た今日においても、この沖縄には依然として広大な米軍基地が存在し、国土面積の約0・6%にすぎない島に、米軍専用施設面積の約70・4%が集中しています。
 復帰すれば基地負担も本土並みになるという45年前の期待とは裏腹に、いまだに私たちは、米軍基地から派生する事件・事故、騒音・環境問題などに苦しみ、悩まされ続けています。
 沖縄県は、日米安全保障体制の必要性、重要性については理解をする立場であります。その上で、「日本の安全保障の問題は日本国民全体で負担をしてもらいたい」と訴え、日米地位協定の抜本的な見直しや米軍基地の整理縮小などによる、沖縄の過重な基地負担の軽減を強く求め続けています。
 しかし、昨年起こった痛ましい事件の発生、オスプレイの墜落をはじめとする航空機関連事故の度重なる発生、嘉手納飛行場における米軍のパラシュート降下訓練や相次ぐ外来機の飛来、移転合意されたはずの旧海軍駐機場の継続使用の問題などを目の当たりにすると、基地負担の軽減とは逆行していると言わざるをえません。
 特に、普天間飛行場辺野古移設について、沖縄の民意を顧みず工事を強行している現状は容認できるものではありません。
 私は辺野古に新たな基地を造らせないため、今後も県民と一体となって不退転の決意で取り組むとともに、引き続き、海兵隊の削減を含む米軍基地の整理縮小など、沖縄の過重な基地負担の軽減を求めてまいります。
 国民の皆様には、沖縄の基地の現状、そして日米安全保障体制の在り方について一人一人が自ら当事者であるとの認識を深め、議論し、真摯(しんし)に考えて頂きたいと切に願っています。
 一方、世界では、依然として地域紛争や、人権侵害、難民、飢餓、貧困、テロなどが人々の生活を脅かしており、また、国際情勢はめまぐるしく変化し、予断を許さない状況にあります。
 今こそ世界中の人々が民族や宗教の違いを乗り越え、協力して取り組んでいくことが求められています。
 今年は、日本国憲法が施行されて70周年、沖縄県憲法が適用されて45周年になりますが、この節目に、憲法の平和主義の理念を再確認し、私たち一人一人が世界の恒久平和を強く願い求め、その実現に向け努力を続けなければなりません。
 先日お亡くなりになった大田昌秀沖縄県知事は、沖縄が平和の創造と共生の「いしずえ」となり、再び戦争の惨禍を繰り返さないことの誓いとして、敵味方の区別なく沖縄戦で命を落とされたすべての方々を追悼する「平和の礎(いしじ)」を建立されました。
 私たちは、沖縄に暮らす者として、この「平和の礎」に込められた平和の尊さを大切にする想(おも)いを次世代へ継承するとともに、未来を担う子や孫のため、安全・安心に暮らせるやさしい社会、いつまでも子ども達(たち)の笑顔が絶えない豊かな沖縄の実現に向けて、絶え間ない努力を続けてまいります。
 慰霊の日に当たり、戦争の犠牲になった多くの御霊(みたま)に心から哀悼の誠を捧(ささ)げるとともに、平和を希求する沖縄のこころを世界へ発信し、恒久平和の実現に向け取り組んでいくことをここに宣言します。
 平成29年6月23日 沖縄県知事 翁長雄志
(引用終わり)
42分~ 「平和の詩」朗読
「誓い~私達のおばぁに寄せて~」 宮古高校3年 上原愛音さん
※第27回「児童・生徒の平和メッセージ」入賞作品。沖縄タイムス・プラスに全文掲載されています(「平和の詩」に上原愛音さん(宮古高校3年)全戦没者追悼式で朗読【詩の全文掲載】)。
49分~ 来賓あいさつ1 内閣総理大臣 安倍晋三
首相官邸ホームページ「平成29年沖縄全戦没者追悼式における内閣総理大臣挨拶」
55分~ 来賓あいさつ2 衆議院議長 大島理森
1時間00分~ 来賓あいさつ3 参議院議長 伊達忠一
1時間03分~ 閉式の辞 沖縄県副知事 富川盛武氏

 今年の翁長知事による「平和宣言」の中から、最も心に残ったフレーズを一文だけ抜き出すとすれば、皆さんはどの部分を選ばれるでしょうか?
 ちなみに、私は「これ」です。
 
「国民の皆様には、沖縄の基地の現状、そして日米安全保障体制の在り方について一人一人が自ら当事者であるとの認識を深め、議論し、真摯(しんし)に考えて頂きたいと切に願っています。」