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「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第7回・島薗進上智大学特任教授&石川健治東京大学教授「教育勅語―なにが問題か:天皇・軍隊・人間」のご紹介

 今晩(2017年6月29日)配信した「メルマガ金原No.2858」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第7回・島薗進上智大学特任教授&石川健治東京大学教授「教育勅語―なにが問題か:天皇・軍隊・人間」のご紹介

 昨年(2016年)10月から始まった「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」は、今年の4月28日に行われた第6回、石川健治東京大学教授による「天皇と主権 信仰と規範のあいだ」で打ち止めの予定だったらしいのですが、「好評につき、さらに昨今の様々な情勢を鑑み、第7回(追加)講座を開催することになりました。」ということで、昨日(6月28日)午後6時30分から、早稲田大学早稲田キャンパス3号館301教室で、第Ⅱ期第7回講座として、「教育勅語―なにが問題か:天皇・軍隊・人間 」が開催されました。
 予告記事に、「今回はいつもと趣向を変えて、教育勅語や宗教をめぐって、お二人の対談をもとに進めます。」とあるとおり、そのお2人とは、いずれも「立憲デモクラシーの会」呼びかけ人である島薗進さん(上智大学特任教授・宗教学)と石川健治さん(東京大学教授・憲法学)であり、まず島薗さんが講演され、これに対して石川さんがコメントされ、その後、西谷修さん(立教大学特任教授・哲学)の司会の下、「対談」が行われるというものでした。
 何だか、こういう前振りを聞いただけで、私などは、わくわくしてきます。
 それでは、いつものように、三輪祐児さん(UPLAN)による動画をご紹介します。
 
20170628 UPLAN 島薗進石川健治西谷修教育勅語―なにが問題か:天皇・軍隊・人間」(2時間03分)

2分~ 挨拶 西谷修立教大学特任教授
8分~ 講演「教育勅語の存続問題と国家神道」 島薗進上智大学特任教授
50分~ コメント 石川健治東京大学教授
1時間26分~ 対談コーナー
 司会・西谷修氏、島薗進氏、石川健治
1時間58分~ コメント 樋口陽一氏(東京大学名誉教授・東北大学名誉教授)
 
 これで、「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」も終了ということで、「立憲デモクラシーの会」共同代表の樋口陽一先生が、最後に短いコメントを述べておられます。そういえば、(動画でですが)樋口先生のお姿を拝見したのは久しぶりのような気がします。
 
 ざっと「ながら視聴」しただけでは歯が立たない内容で、「対談」というよりは、島薗先生と石川先生によるダブル(ミニ)講演、それにオプションとして「対談」が付いているという構成でした。
 それから、西谷さんがたびたび称揚されていた、昨日の講演のために島薗先生が用意された「資料」(会場の参加者には配布されたようです)というのを、是非「立憲デモクラシーの会」ホームページに掲載していただきたい思いますね。
 
 最後に、以下に(参考資料)として、教育勅語そのものと、昨年8月、島薗先生が書かれた「1946年1月1日と2016年8月8日の2つの天皇の「お言葉」」という文章の一部をご紹介しておきます。
 
(参考資料1)
教育ニ關スル勅語(明治二十三年十月三十日発布・同月三十一日官報掲載)
(引用開始)
朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ德ヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世々厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我カ國體ノ精華ニシテ敎育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ德器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺風ヲ顯彰スルニ足ラン
斯ノ道ハ實ニ我カ皇?皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺シテ咸其德ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ
明治二十三年十月三十日
御名御璽
(振り仮名付き)
朕(ちん)惟フニ(おもうに)我カ(わが)皇祖皇宗(こうそ こうそう)國ヲ(くにを)肇ムルコト(はじむること)宏遠ニ(こうえんに)德ヲ樹ツルコト(たつること)深厚ナリ(しんこうなり)我カ(わが)臣民(しんみん)克ク(よく)忠ニ(ちゅうに)克ク(よく)孝ニ(こうに)億兆(おくちょう)心ヲ一ニシテ(しんをいつにして)世世(よよ)厥ノ(その)美ヲ(びを)濟セルハ(なせるは)此レ(これ)我カ國體(こくたい)ノ精華ニシテ敎育ノ淵源(えんげん)亦(また)實ニ(じつに)此ニ(ここに)存ス(ぞんす)爾(なんじ)臣民(しんみん)父母ニ孝ニ(ふぼに こうに)兄弟ニ友ニ(けいていに ゆうに)夫婦相和シ(ふうふ あいわし)朋友相信シ(ほうゆう あいしんじ)恭儉己レヲ持シ(きょうけん おのれをじし)博愛衆ニ及ホシ(はくあい しゅうにおよぼし)學ヲ修メ業ヲ習ヒ(がくをおさめ しゅうをならい)以テ智能ヲ啓發シ(もってちのうをけいはつし)德器ヲ成就シ(とっきをじょうじゅし)進テ公益ヲ廣メ(すすんでこうえきをひろめ)世務ヲ開キ(せむ/せいむ をひらき)常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ(つねにこっけんをじゅうし こくほうにしたがい)一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ(いったんかんきゅうあれば ぎゆうこうにほうじ)以テ(もって)天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ(てんじょうむがいのこううんをふよくすべし)是ノ如キハ(このごときは)獨リ(ひとり)朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス(ちんがちゅうりょうのしんみんたるのみならず)又(また)以テ(もって)爾(なんじ)祖先ノ遺風ヲ顯彰スルニ足ラン(そせんのいふうをけんしょうするにたらん)
斯ノ(この)道ハ實ニ(じつに)我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ(いくんにして)子孫臣民ノ倶ニ(ともに)遵守スヘキ(じゅんしゅすべき)所(ところ)之ヲ古今ニ通シテ謬ラス(あやまらず)之ヲ中外ニ施シテ悖ラス(もとらず)朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺シテ(けんけんふくよう して)咸(みな)其德ヲ(そのとくを)一ニセンコトヲ庶幾フ(こいねがう)
明治二十三年十月三十日
御名御璽(ぎょめい ぎょじ)
(引用終わり)
 
(参考資料2)
1946年1月1日と2016年8月8日の2つの天皇の「お言葉」  島薗 進
(抜粋引用開始)
 1946年1月1日の「天皇のお言葉」と2016年8月8日の「天皇のお言葉」の間には重要な類似点がある。神聖な存在としての天皇を掲げて全体の統合を強化しようとする視点に対して、人間としての天皇のあり方、天皇人間性を尊ぶあり方を求めようとしているところだ。
 もちろん70年の年月の開き、その間の国のあり方の変化は大きい。昭和天皇今上天皇の考え方の違いも小さくはないだろう。だが、「国体」の理念に代表されるような「神聖な国家統合を天皇が具現する」という考えかたに対して、天皇ご自身が天皇人間性を理解するように国民に訴え、人間天皇のあり方を重視しようとするところに2つの「お言葉」の共通点がある。全体のために個々人が犠牲になることを前提とするような秩序の体現者としての天皇から、個々人それぞれが尊ばれるような民主主義社会にふさわしい敬愛される人間天皇というあり方への変化を進めるということである。「象徴天皇」とはそのような天皇のあり方を指し示す言葉だろう。
 1945年に始まりなお持続されるべきは、「神権的国体論」(佐藤幸治立憲主義について』)と不可分だった天皇制から、「象徴天皇制」への転換の持続である。というのは、「神権的国体論」の方向に日本を引き戻そうとする考え方が一定の勢力をもっており、日本会議などの形をとって国政にも大きな影響力を保持しているからである。このように見るとき、平成天皇が「象徴としての天皇」という言葉を繰り返し用いられていることの意味がよりよく理解できるのではないだろうか。
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/立憲デモクラシー講座)
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2016年1月8日
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(弁護士・金原徹雄のブログから/石川健治さん関連)
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