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カジノ実施法案の準備状況とNNNドキュメント『ギャンブル依存~抜け出せない"病"回復と衝動の狭間~(仮)』(7/30)のお知らせ

 今晩(2017年7月5日)配信した「メルマガ金原No.2864」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
カジノ実施法案の準備状況とNNNドキュメント『ギャンブル依存~抜け出せない"病"回復と衝動の狭間~(仮)』(7/30)のお知らせ

時事ドットコムニュース(2017/07/04-17:03)
カジノ利益を依存症対策に=納付金制度案を提示-政府

(引用開始)
 政府は4日、カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備に向けた有識者会議で、事業者から徴収する納付金制度の具体案を示した。内閣府の外局に置く監督機関「カジノ管理委員会」が、カジノ利益の一部とライセンス料などを徴収することを検討。納付されたお金を国と地方で折半し、懸念が強いギャンブル依存症対策やカジノ管理委の運営などに充てる。
 政府は7月末までにIR実施のための制度大枠をまとめ、秋の臨時国会に関連法案を提出する方針。対象となる利益は、賭け金総額から顧客への払戻額などを引いた粗利益で、政府は徴収割合を粗利益の10~40%の幅で検討。今後与党などと調整を進める。 

(引用終わり)

 この記事の「有識者会議」というのは、「特定複合観光施設区域整備推進会議」の第6回会議のことで、そこで議論するための配布資料として事務局が用意したものが首相官邸ホームページに掲載されています。
 中でも、金にまつわる議論である「カジノ事業者に係る公租公課等について」は、かなりの量がありますが、読んでおく価値はありそうです。

 上の時事の記事の中で、「納付されたお金を国と地方で折半し、懸念が強いギャンブル依存症対策やカジノ管理委の運営などに充てる。」とある部分を読んで(他の報道も似たようなものでした)、「カジノからの『あがり』でそんな対策をする位なら、はじめからカジノなどやらなければいいではないか」と思われたことでしょう。まことにそのとおりなのですが、そのようなばかばかしさは、法律(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律)成立の際に付された「附帯決議」に由来します。
 
参議院附帯決議(平成25年12月13日参議院内閣委員会)
十五 法第十二条に定める納付金を徴収することとする場合は、その使途は、法第一条に定める特定複合観光施設区域の整備の推進の目的と整合するものとするとともに、社会福祉、文化芸術の振興等の公益のためにも充てることを検討すること。また、その制度設計に当たっては、依存症対策の実施をはじめ法第十条に定める必要な措置の実施や周辺地方公共団体等に十分配慮した検討を行うこと。
 
 いずれにせよ、「特定複合観光施設区域整備推進会議」での検討は、ほぼ月2回のペースで着々と進んでいるようです。
 カジノ解禁推進法の第5条(法制上の措置等)は、「政府は、次章の規定に基づき、特定複合観光施設区域の整備の推進を行うものとし、このために必要な措置を講ずるものとする。この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならない。」とある、その「一年以内」というのは、具体的には「2017年12月26日まで」ということですから、いずれにしても、秋の臨時国会(今のところは野党による憲法53条に基づく召集要求を無視していますが)で「法政上の措置」を講じなければならないことになっています。
 そもそもカジノ解禁推進法は議員立法でしたが、今用意されている法制(法案)は内閣提出となるはずです。
 カジノ解禁推進法自体は基本法ですから、実施のための具体的細目を定めた実施法がない限り、カジノは設置できません。言い換えれば、今度の臨時国会であっさりカジノ実施法案が通ってしまえば、あなたの「まち」や私の「まち」に現実にカジノが作られていくことでしょう(私の地元和歌山市がカジノ誘致に邁進していることは既にお伝えしたとおりです)。
 闘う気があるのなら、いまのうちですよ。
 
 なお、以上のような議論とも関連して製作が進められたのでしょうが、7月30日(日)深夜のNNNドキュメントで、「ギャンブル依存」を取り上げた番組が放送されます。これにも注目しましょう。
 
日本テレビ系列 
2017年7月30日(日)24時55分~(31日・0時55分~)
NNNドキュメント
『ギャンブル依存~抜け出せない"病"回復と衝動の狭間~(仮)』

「競馬などの公営ギャンブルにパチンコ、パチスロ。日本ほど"ギャンブル"が身近な国は少ない。そのような中、"カジノ解禁法"が施行された。懸念されるのは、ギャンブル依存症の拡大だ。借金を重ねた末に、家庭崩壊、自殺未遂、犯罪に手を染めた依存症者。回復の途上には再発の不安がつきまとう。意志の弱さとされがちだが、射幸心を持つ誰もが陥る可能性のある"病"の現実から、支援のあり方を考える。【制作:読売テレビ
再放送
8月6日(日)11:00~ BS日テレ
8月6日(日)5:00~/24:00~ CS「日テレNEWS24
 
和歌山市での集会のお知らせ・再度)
カジノで街はどうなるんよ?カジノ問題を考える市民集
日時 2017年7月19日(水)午後6時開場 6時30分開会
会場 和歌山県勤労福祉会館プラザホープ 2F多目的室
      和歌山市北出島1丁目5−47
【講演】「カジノ解禁推進法の問題点」
 講師/吉田哲也弁護士
 ■全国カジノ賭博場設置反対連絡協議会事務局長
 ■日弁連カジノギャンブル問題検討ワーキンググループ委員
 ■依存症問題対策全国会議事務局長
主催 カジノ問題を考える和歌山ネットワーク準備会
事務局 和歌山市杉の馬場1丁目11 あざみの会 TEL:073-424-6300
[呼びかけ人]
■新 吉広(あざみの会事務局長)■岡 正人(和歌山クレサラ対策協議会代表幹事)■木下和久(元小学校校長)■琴浦龍彦(県地評議長)■西郷 章(憲法を生かす会 和歌山代表)■佐藤洋一(生協こども診療所所長)■高木歓恒(元県小中学校PTA連合会会長)■戸井洋木(司法書士)■中谷弘子(新日本婦人の会県本部)■花田惠子(NPOわかやま環境ネットワーク理事) 
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/カジノ関連)
2016年12月8日
カジノ推進法案をめぐる和歌山の現状と読売新聞による徹底批判
2017年2月27日
和歌山弁護士会「いわゆる「カジノ解禁推進法」の成立に抗議し、同法の廃止を求める会長声明」(2017年2月27日)と和歌山でのカジノ誘致の動き
2017年3月10日
「カジノで観光・まちづくり!?ちょっと、おかしいんとちゃうか!緊急トーク集会」3/13@プラザホープのご案内と4月・5月の「予告編」
2017年3月26日
「カジノあかん3・25大阪集会」動画のご紹介と12/12参議院内閣委員会での新里宏二弁護士と鳥畑与一静岡大教授の反カジノ意見陳述
2017年4月5日
「カジノ実施法案」作成作業が始まりました~クリーンなカジノの実現を目指して(!?)
2017年6月21日
和歌山でのカジノ誘致に反対する動き~和歌山弁護士会「会長声明」(6/16)とカジノ問題を考える和歌山ネットワーク準備会「市民集会」(7/19)

カジノ反対市民集会7月19日チラシ