2017年7月22日配信(予定)のメルマガ金原.No.2881を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
今日は、6月2日に配信した「前川喜平前文部科学事務次官の記者会見&インタビュー動画を視聴する」の続編です。
前回に続き、「私の心覚えのためのメモ代わり」ではあるのですが、もしかすると、「歴史に残る貴重な資料」になるかもしれないと思いながら、それを私自身の資料庫(ブログ)に集積するという意味合いもあります。
あらためて詳録で読んでみると、前川氏が「国家戦略特区の獣医学部新設をめぐって、行政がゆがめられたという意識」をなぜ持っているのかについて説明した部分がもちろん本論なのですが、その本論を述べる前提として、前川さんが語られた言葉には胸を打たれます(詳録3頁左段)。
(引用開始)
憲法の前文にもございますけれども、「国政は国民の厳粛な信託に基づくものであって、その福利は国民が享受する」と書いてあるわけでありまして、一部の者のために国の権力が使われるということがもしあるのであれば、それは国民の手によって正されなければならない、そのためには、その事実を知らなければならない、そこに私の問題意識がございます。本日も同じ問題意識のもとで、この会見に臨ませていただいております。
(引用終わり)
たしかに、こういう信念があれば、恐いものなど何もないでしょうね。
あと、この点は、ビデオニュース・ドットコムで神保哲生さんも強調していましたが(前川喜平前次官会見 権力チェック機能を失ったメディアの現状と第三者監視機関の必要性について)、冒頭の基調発言の最後(詳録7頁右段~8頁左段)で、前川さんが「国家権力とメディア」の関係についての重大な懸念を述べた部分を引用したいと思います。
(引用開始)
もう一点つけ加えて申しあげると、獣医学部をめぐる問題について、私としての発言を1カ月前に行ったわけでありますけれども、この一件を通じて、全く別の問題として、認識を新たにしたのは、国家権力とメディアとの関係です。
ここにはメディアの皆さんが集まっておられる、むしろ日本を代表するメディアの方々が集まっておられるわけですけれども、一つは、私に対する個人攻撃だと思われる記事が5月22日の読売新聞に掲載されました。これはもちろん私としては不愉快な話でございましたけれども、その背後に何があったのかということ、これはきっちりとメディアの関係者の中で検証されるべき問題だと思います。私は、個人的には、官邸の関与があったと考えております。
それから、この加計学園にかかわる文書の信憑性でありますとか、官邸からの働きかけといった問題について、私に最初にインタビューを行ったのはNHKです。ですが、その映像はなぜか放送されないままになっております。いまだに報じられておりません。
また、この真相をあらわす内部文書の中でも、非常に決定的なものであります9月26 日の日付つきの文書がございますけれども、「官邸の最高レベルが言っていること」という文言が入っている文書です、これは朝日新聞が報じる前の夜にNHKが報じていました。しかし、核心の部分は黒塗りされていました。これはなぜなのだろう。NHKを責めているわけではないんですけれども。
それから、報道番組をみておりますと、コメンテーターの中には、いかなる状況証拠や文書が出てきたとしても、官邸の擁護しかしないという方がいらっしゃいます。そういう方のお名前は差し控えますけれども、森友学園のときも、そういうことが繰り返し行われていたわけですけれども、森友学園の問題で官邸を擁護するコメントを出し続けた方の中には、ご本人の性犯罪が警察によってもみ消されたのではないかという疑惑を受けている方もいらっしゃるわけであります。
こういったことを踏まえて考えますと、私はいまの日本の国の国家権力とメディアの関係については、非常に不安を覚えるわけであります。その国家権力と「第四の権力」とまで言われるメディアの関係を、国民の視点から問い直すという必要性、またそのメディアの方々の中で、自浄作用が生じるということを私は強く期待したいと思っております。
(引用終わり)
もう1つ(いや2つかな)ご紹介しておこうと思うのは、7月10日(月)に衆参両院で行われた閉会中審査での前川喜平氏の参考人としての発言です。ただ、参考人として出席を求められたのが前川さんだけではなかったので、全体の中から探し出すのがなかなか大変ですけどね。
↓
「審議中継カレンダー」の「2017年7月10日」をクリック
↓
「会議を検索」から「会議名:文教科学委員会、内閣委員会連合審査会/収録時間:約3時間11分」をクリック