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全国戦没者追悼式における「おことば」(平成元年~29年)を通読して見えてくること

 2017年8月15日配信(予定)のメルマガ金原.No.2905を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブロ内容で掲載しています。
 
全国戦没者追悼式における「おことば」(平成元年~29年)を通読して見えてくること
 
 今から72年前の夏、日本政府は、1945年(昭和20年)8月14日、前月26日に連合国(米国、英国、中国、後にソ連が参加)によって発せられた「ポツダム宣言」を受諾する旨、スイス及びスウェーデン駐在の日本公使館を経由して連合国に通告するとともに、天皇は、「終戦の詔書」を宣布しました。
 その上で、同年9月2日、東京湾条の米戦艦ミズーリ上において、「大日本帝国天皇陛下日本国政府ノ命ニ依リ且其ノ名ニ於テ」重にも光葵外務大臣が、そして、「日本帝国大本営ノ命ニ依リ且其ノ名ニ於テ」梅津美治郎参謀総長が、それぞれ「降伏文書」に署名しました。
 以上のとおり、日本の降伏はいつか?と尋ねられれば、「1945年8月14日」(降伏の意思を対外的に明示した日であり、かつ「終戦詔書」が宣布された日)もしくは「1945年9月2日」(法的な「降伏文書」に署名した日)のどちらかと答えることが合理的なように思われますが、我が国では長らく、「8月15日」を終戦記念日とする習わしが続いています。
 少し調べてみたところ、法律あるいは政令で定められている訳ではないものの、1982年(昭和57年)4月13日の閣議決定鈴木善幸内閣)「『戦没者を追悼し平和を祈念する日』について」において、「先の大戦において亡くなられた方々を追悼し平和を祈念するため、『戦没者を追悼し平和を祈念する日』を設け」てその期日を8月15日とし、この日に政府は「昭和38年(1963年)以降毎年実施している全国戦没者追悼式を別紙のとおり引き続き実施する」と定めたのだそうです(まだ閣議決定そのものは探せていませんので、Wikipediaからの孫引きです)。
 その根拠は、言うまでもなく、8月14日付の「終戦詔書」を昭和天皇自ら録音し、それを全国でラジオ放送して「連合国に降伏した」という事実を国民に知らせたのが8月15日の正午であった(いわゆる「玉音放送」)ということにあるのでしょう。
 私には、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」が「8月15日」とされたのが良いとか悪いとか論評するつもりはありません。ただ、日本人として、上に引用した「ポツダム宣言」「終戦の詔書」「降伏文書」のような、現在の私たちが暮らす今の日本社会の基底をなす歴史的文書について、最低限の知識を持つ必要があるのではないか、ということを言いたいだけです。
 少し前になりますが、そのような問題意識から、「“平和主義と天皇制”~「戦後レジーム」の本質を復習する」(2014年8月30日)という文章を書いたことがあります。少し長めですが、ご一読いただければ幸いです。
 
 ところで、上に引用した1982年閣議決定でも触れられていますが、「8月15日」には、昭和38年(1963年)以来、毎年「全国戦没者追悼式」が開催されています。1965年以降、会場は日本武道館に固定されましたが、1963年(まだ武道館は建設中だったでしょう)は日比谷公会堂で、1964年は何と靖国神社で開催されたとか。いわゆるA級戦犯合祀前であったので、昭和天皇も参列したのでしょうけど。
 
 巻末のリンク一覧をご覧いただければ明らかなとおり、私は、2014年以来、「8月15日」には、毎年、全国戦没者追悼式での安倍晋三首相式辞と今上陛下「おことば」を精読してきました。
 ということで、今年も両方とも読んでみました。
 まずは、安倍首相式辞です。
 
(引用開始)
 天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、全国戦没者追悼式を、ここに挙行致(いた)します。
 先の大戦において、三百万余の方々が、祖国を想(おも)い、家族の行く末を案じながら、苛烈を極めた戦場に斃(たお)れ、戦禍に遭われ、あるいは戦後、遠い異郷の地で命を落とされました。いま、その御霊(みたま)の御前(おんまえ)にあって、御霊安かれと、心より、お祈り申し上げます。
 いま、私たちが享受している平和と繁栄は、かけがえのない命を捧(ささ)げられた皆様の尊い犠牲の上に築かれたものであります。私たちは、そのことを、ひとときも忘れることはありません。改めて、衷心より、敬意と感謝の念を捧げます。
 戦争の惨禍を、二度と、繰り返してはならない。
 戦後、我が国は、一貫して、戦争を憎み、平和を重んずる国として、ただひたすらに、歩んでまいりました。そして、世界の平和と繁栄に力を尽くしてきました。私たちは、歴史と謙虚に向き合いながら、どのような時代であっても、この不動の方針を貫いてまいります。
 未(いま)だ、争いが絶えることのない世界にあって、我が国は、争いの温床ともなる貧困の問題をはじめ、様々な課題に、真摯に取り組むことにより、世界の平和と繁栄に貢献してまいります。そして、今を生きる世代、明日を生きる世代のため、希望に満ちた明るい未来を切り拓いていく。そのことに、全力を尽くしてまいります。
 終わりに、いま一度、戦没者の御霊に平安を、ご遺族の皆様には、ご多幸を、心よりお祈りし、式辞といたします。
(引用終わり)
 
 首相式辞については、これまで書いてきたことに特段付け加えることもありませんので、とりあえず、昨年の記事(全国戦没者追悼式で今年も貫徹された“安倍3原則”(付・天皇陛下「おことば」を読む/2016年8月15日)の一部を引用するにとどめます。
 
(引用開始)
 結局、言っていることは2013年以来変わっていません。
 先に述べた安倍「式辞」の3大特徴、すなわち、
① アジア諸国民に対する加害についての反省と哀悼の意は絶対に表明しない。
② 「不戦の誓い」も述べない。
③ 戦没者の犠牲の上に“平和と繁栄”があることを強調しながら、“平和と繁栄”をもたらしたものが「国民のたゆまぬ努力」であるとは言わない。
については、完璧に昨年までの「式辞」を踏襲しています。今やこれを「安倍3原則」と名付けても良いでしょう。
(引用終わり)
 
 以上が昨年の感想ですが、今年の式辞を読んでも、基本的に「安倍3原則」を修正する必要は認めません。ただ、「戦後、我が国は、一貫して、戦争を憎み、平和を重んずる国として、ただひたすらに、歩んでまいりました。そして、世界の平和と繁栄に力を尽くしてきました。私たちは、歴史と謙虚に向き合いながら、どのような時代であっても、この不動の方針を貫いてまいります。」という(読んでいてよく恥ずかしくないな、と思いますけど)歯の浮くようなパラフレーズが、「安倍3原則」その③の後半「“平和と繁栄”をもたらしたものが「国民のたゆまぬ努力」であるとは言わない。」と矛盾するのでは?という疑問を持つ方がひょっとしておられるかもしれませんが、この点については、中野晃一上智大学教授のスピーチに触発されて書いた私のブログ「安倍晋三首相の“正気とは思えない”歴史認識と積極的平和主義~第13回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)での基調講演から」(2014年10月11日)をじっくりとお読みいただきたいと思います。
 
 首相式辞はこれくらいにして、天皇陛下「おことば」です。こちらの方も変わらないといえば変わらないのですが、来年末にも退位ということなので、この辺で、即位以降、毎年の「全国戦没者追悼式」で述べてこられた「おことば」全29回を振り返ってみようと思います。全て宮内庁ホームページに掲載されているものですが、平成元年から29年まで、一気に読めるサイトはなかなかないと思うので、少し手間ですが、やってみることにします。
 
全国戦没者追悼式
 
 「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に際し,ここに,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,尊い命を失った数多くの人々やその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 顧みれば,終戦以来すでに44年,国民のたゆみない努力によって築きあげられた今日の平和と繁栄の中にあって,苦難にみちた往時をしのぶとき,感慨は誠につきるところを知りません。
 ここに,全国民とともに,我が国の一層の発展と世界の平和を祈り,戦陣に散り,戦禍にたおれた人々に対し,心から追悼の意を表します。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たって,ここに,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,尊い命を失った数多くの人々やその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 顧みれば,終戦以来すでに45年,国民のたゆみない努力により今日の平和と繁栄が築きあげられましたが,苦難にみちた往時をしのぶとき,感慨は誠につきることがありません。
 ここに,全国民とともに,我が国の一層の発展と世界の平和を祈り,戦陣に散り,戦禍にたおれた人々に対し,心から追悼の意を表します。 
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,ここに,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,尊い命を失った数多くの人々やその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 顧みれば,終戦以来すでに46年,国民のたゆみない努力により築きあげられた平和と繁栄の中にあって,苦難にみちた往時をしのぶとき,深い感慨を禁じ得ません。
 ここに,全国民とともに,戦陣に散り,戦禍にたおれた人々を心から追悼し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,ここに,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,尊い命を失った数多くの人々やその遺族を思い,つきることのない悲しみを覚えます。
 終戦以来すでに47年,国民のたゆみない努力により,我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難にみちた往時をしのぶとき,深い感慨を禁ずることができません。
 ここに,全国民とともに,戦陣に散り,戦禍にたおれた人々を心から追悼し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,ここに,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,尊い命を失った数多くの人々やその遺族を思い,深い悲しみをまた新たにいたします。
 終戦以来すでに48年,国民のたゆみない努力により,我が国の平和と繁栄が築きあげられましたが,苦難にみちた往時をしのぶとき,感慨はつきることがありません。
 ここに,全国民とともに,戦陣に散り,戦禍にたおれた人々を心から追悼し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々やその遺族を思い,つきることのない悲しみを覚えます。
 顧みれば,終戦以来すでに49年,今日,国民のたゆみない努力により築き上げられた平和と繁栄の中にあって,苦難にみちた往時をしのぶとき,深い感慨を禁じ得ません。
 ここに全国民とともに,戦陣に散り,戦禍にたおれた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,尊い命を失った数多くの人々やその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来すでに50年,国民のたゆみない努力によって,今日の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時を思い,感慨は誠に尽きるところを知りません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い,全国民とともに,戦陣に散り,戦禍にたおれた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,尊い命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 顧みれば,終戦以来既に51年,国民のたゆみない努力によって今日の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,改めて感慨を禁じ得ません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り,戦禍にたおれた人々を心から追悼し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に52年,国民のたゆみない努力によって今日の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り,戦禍にたおれた人々に対し心から哀悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,尊い命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に53年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,深い感慨を覚えます。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から哀悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に54年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,深い感慨を禁じ得ません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,尊い命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に55年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に56年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に57年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に58年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に59年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に60年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に61年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に62年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に63年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に64年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に65年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に66年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に67年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に68年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に69年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に70年,戦争による荒廃からの復興,発展に向け払われた国民のたゆみない努力と,平和の存続を切望する国民の意識に支えられ,我が国は今日の平和と繁栄を築いてきました。戦後という,この長い期間における国民の尊い歩みに思いを致すとき,感慨は誠に尽きることがありません。
 ここに過去を顧み,さきの大戦に対する深い反省と共に,今後,戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心からなる追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に71年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに過去を顧み,深い反省とともに,今後,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来既に72年,国民のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,苦難に満ちた往時をしのぶとき,感慨は今なお尽きることがありません。
 ここに過去を顧み,深い反省とともに,今後,戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対して,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
 
 以上、即位以来29回の全国戦没者追悼式での「おことば」を通読すると、ほぼ3期に分類できることが分かります。
 
第1期 平成元年~平成6年
 昭和天皇が「全国戦没者追悼式」で読み上げていた「おことば」が見つからないかと思って探しているのですが、まだ見つけられていません。けれども、即位直後からいきなり内容を変えるとは思いにくいので、この第1期の文章は、前代を基本的に踏襲しているような気がします(確言できませんけど)。
 
第2期 平成7年~平成26年
 村山富市内閣が成立して1年以上が経過した平成7年の「全国戦没者追悼式」で、初めて第3節に、「歴史を顧み,戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い,全国民とともに」という言葉が挿入され、以後、これが踏襲されています。
 
第3期 平成27年~平成29年
 政権に復帰した安倍晋三内閣と皇室の対立が外信でも(だからこそ?)報道される中、いわゆる安保法制審議中の平成27年の「おことば」には、異例とも言える表現が盛り込まれました。
 とりわけ特徴的なのは第2節であり、「終戦以来既に70年,戦争による荒廃からの復興,発展に向け払われた国民のたゆみない努力と,平和の存続を切望する国民の意識に支えられ,我が国は今日の平和と繁栄を築いてきました。戦後という,この長い期間における国民の尊い歩みに思いを致すとき,感慨は誠に尽きることがありません。」に、今上天皇の平和への思いが凝縮していると見るべきでしょう。
 残念ながら、第2節におけるこの表現は、翌年からまた元に戻ってしまいましたが、同じく平成27年「おことば」から第3節に付加された「さきの大戦に対する深い反省と共に」という部分のうち、「深い反省とともに」は生き残り、平成28年、29年の「おことば」に引き継がれています。
 
 29年分の「全国戦没者追悼式」における天皇陛下「おことば」を一気に通読することなどめったにないでしょうが、今上天皇が29年間、守り続けてきた「ことば」、新たに付け加えた「ことば」が何だったのか、じっくり考えながら読んでいただければと思います。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/戦没者追悼関連)
2014年1月14日
2014年8月15日
2014年8月18日
2015年8月15日
2016年8月15日