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高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい(再説)

 2017年8月17日配信(予定)のメルマガ金原.No.2907を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい(再説)
 
-はじめに-
 以下の記事は、今年(2017年)1月26日に配信した「高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい」を基に、現状に合わせて最低限の手直しを加え、再配信するものです。BS放送を受信できる環境にある方(もしくはケーブルテレビで放送大学を視聴できる方)に、是非「パレスチナ問題('16)」の視聴をお奨めしたいと思います。(金原徹雄)
 
 日本を代表する中東ウォッチャーの1人である高橋和夫放送大学教授(国際政治・中東研究)の存在は、私が放送大学教養学部)に在学して勉強を続けている理由の1つ、それも小さくない理由の1つです。
 高橋教授が単独で主任講師を務めておられる科目の単位認定試験は全て記述式であり(しかもテキスト持込不可)、付け焼き刃の試験勉強では歯が立たないということで知られています。
 例えば、私が受講した「パレスチナ問題('16)」の平成28年度第2学期単位認定試験(平成29年1月22日実施)の問題は次のようなものでした。
 
【設問】以下のうちから1問を選び750字以上800字以内で答えなさい。
問1 ラビンについて論じなさい。
問2 エルサレム公開大学について論じなさい。 
 
 このうちのどちらかを選び、印刷教材(テキスト)もノートもなく、800字詰解答用紙に750字分以上の分量で答案を(50分以内で)書かなければならないのですから大変です。特に、問1はテキストをしっかり読み込んでいれば何とかなりますが、問2は放送教材(テレビ授業)を真剣に視聴していなければ(出来れば繰り返し)お手上げです。
 私がどちらを選択して解答したかを書くのを控えておきましょう。
 けれども、「パレスチナ問題('16)」を履修し、放送教材を繰り返し視聴し、印刷教材も熟読したおかげで、以下のようなニュースに接した際の理解度が格段に深まったことは間違いないでしょう。
 
NHK NEWS WEB 2017年1月23日 10時55分
トランプ大統領 来月イスラエル首相と首脳会談へ
(抜粋引用開始)
 アメリカのトランプ大統領は22日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談し、イスラエルが最大の脅威と位置づけるイランへの対応などで緊密に連携することで一致し、来月上旬、ホワイトハウスで首脳会談を行うことを明らかにしました。
(略)
 トランプ大統領は、オバマ前大統領と比べてイスラエル寄りの姿勢が鮮明で、国際社会が首都と認めていないエルサレムにアメリカ大使館を移転すると公言しているほか、次のイスラエル大使にはイスラエルの入植活動を支持する人物を指名しています。イランに対しても核合意の破棄を示唆するなど、アメリカのこれまでの中東政策を大きく変える可能性もあり、ネタニヤフ首相との直接会談が注目されます。
(略)
 エルサレムには、ユダヤ教キリスト教イスラム教の聖地があり、イスラエルは首都だと主張していますが、パレスチナ暫定自治政府も将来の国家の首都だとしていて、帰属をめぐる対立が続いています。このため、国際社会はエルサレムイスラエルの首都とは認めず、各国ともエルサレムに大使館を置いていません。
 一方、トランプ大統領は、オバマ前大統領と比べてイスラエル寄りの姿勢を鮮明にしていて、「アメリカ大使館をエルサレムに移転する」と選挙期間中に公言しました。また、トランプ大統領が次のイスラエル大使に起用したフリードマン氏も「イスラエルの永遠の首都エルサレムで任務につくことを楽しみにしている」とコメントするなど、強硬姿勢で知られています。
 アメリカでは1995年に議会が、エルサレムイスラエルの首都と定め、大使館を移転することを盛り込んだ法案を可決しています。しかし、当時のクリントン大統領以降、歴代の政権はアメリカの安全保障上の利益を守るためとして、大統領の権限で半年ごとにこれを先送りしていて、オバマ前大統領も先月1日、先送りを指示しました。
 アメリカ大使館の移転は中東和平を根底から覆す懸念があり、現実的ではないという見方が強い中、今度の半年の期限を迎えることし5月までにトランプ大統領がどう判断するか注目されます。
(引用終わり)
 
 なお、「5月までにトランプ大統領がどう判断するか注目」されていたアメリカ大使館のエルサレム移転問題について、とりあえずは、歴代大統領と同様、半年間先送りすることになりました(2017年5月31日ロイター「米大統領、在イスラエル大使館のエルサレム移設を延期へ=関係筋」)。
 
 以上のニュースを読むだけでも、ネタニヤフという指導者、オバマ大統領とネタニヤフ首相との冷え切った関係、エルサレム帰属問題、占領地へのイスラエルによる入植、イランと「P5+1」(国連常任理事国+ドイツ)による2015年の核合意など、「パレスチナ問題('16)」で学んだ様々なことが頭の中を駆け巡ります。
 是非1人でも多くの方に「パレスチナ問題('16)」を受講していただきたいのですが、それが無理でも、BSを視聴できる環境があれば放送教材(45分授業×15回)を誰でも視聴できますし、印刷教材も市販されています。
 おりしも、放送大学では、9月末までの集中放送授業期間に入ったばかりであり、幸い、「パレスチナ問題('16)」全15回も放送されます。
 
 
テレビ科目(BS 231ch)
パレスチナ問題('16)」
 第1回~第14回
  2017年8月31日(木)~9月6日(水)20:45~22:15
 第15回
    2017年9月7日(木)20:45~21:30
   
 昨年、履修前の段階で「高橋和夫教授の「パレスチナ問題('16)」(放送大学)受講のすすめ」(2016年8月6日)という記事を書き、シラバスなどもご紹介していますが、ここでもう一度、シラバスを引用したいと思います。
 
(引用開始)
主任講師 高橋 和夫(放送大学教授)
放送メディア テレビ
放送時間(平成29年度)
 第2学期:(日曜)14時30分~15時15分(2017年10月~)
講義概要
パレスチナ問題の起源から説き起こし現状を解説し、この問題の展開を跡付ける。そして、その将来を展望する。パレスチナ地域の情勢の記述を縦糸に、周辺諸国や地域外の大国の動きを横糸にして、陰影の深いパレスチナ問題のタペストリーを編み上げる。
「現代の国際政治('13)」や「国際理解のために('13)」などの関連科目にも目配りしつつ勉強していただきたい。
 
第1回 パレスチナ問題以前のパレスチナ
パレスチナ問題はイスラムユダヤの二千年の対立として語られる例が多いが、それは事実に反している。なぜならばイスラムには1400年ほどの歴史しかないからだ。そのイスラムが二千年も争っているはずがない。またパレスチナ人にはキリスト教徒も多い。こうした基礎的な事実を踏まえながら、パレスチナ問題が起こる以前のパレスチナの歴史を概観する。
【キーワード】バビロン捕囚、十字軍、オスマン帝国キリスト教イスラム教、アラブ人、パレスチナ
 
ヨーロッパにおける民族主義の高揚がポグロムの背景にあった。そして、それがシオニズムを生みだすことになった。シオニズムの背景にあった帝国主義的な発想や社会主義の思潮にも言及しつつ、パレスチナをめぐる国際情勢を紹介する。
【キーワード】民族主義ポグロム、ヘルツル、ユダヤ人国家、シオニズムフセイン・マクマホン書簡、バルフォア宣言委任統治
 
第3回 夢と悪夢
イスラエルの成立時に発生したパレスチナ難民の問題をめぐる議論を振り返る。また大国の関与について語る。
【キーワード】イスラエルの成立、ナクバ、豊穣なる記憶、元兵士たちの証言、11分後の承認、トルーマン大統領
 
第4回 スエズのかなたへ
スエズ運河をめぐる国際政治を振り返る。1956年戦争とアラブ民族主義の高まり、そして1967年戦争のアラブ統一運動の挫折が、そのテーマとなる。
 
第5回 アラブ世界の反撃
1967年の戦争での敗北が、パレスチナ解放闘争の指導者アラファトの台頭を準備した。そしてエジプトとシリアは1973年10月イスラエルを奇襲して、中東情勢に新しい局面を開いた。
【キーワード】カラメの戦い、ファタハ、サダト、ミサイルの森、石油危機、キャンプ・デービッド合意
 
第6回 変わるイスラエル
イスラエルは、中東系の人々の流入により、ヨーロッパ的な国家から中東的な雰囲気の国家へと変貌しつつある。また経済的に豊かになったイスラエルは、世界各地からの「ユダヤ教徒」の流入に直面している。変化するイスラエルの姿を描く。
【キーワード】アシュケナジムセファルディムイスラエル市民権を持つアラブ人、三階建ての家、ユダヤ人の定義問題
 
第7回 レバノン戦争
平和条約によってエジプトからの圧力から解放されたイスラエルは、その軍事力をレバノンに拠点を置いていたPLOへの攻撃に向けた。イスラエル史上初の「選択による戦争」であった。
【キーワード】生きた宗教の博物館、レバノン内戦、選択による戦争、チュニスへ、サブラとシャティーラ
 
第8回 ペレストロイカと冷戦の終結
1985年3月にゴルバチョフソ連の最高権力者になると冷戦が終わり始めた。それは国際政治における地殻変動を意味していた。対米関係の改善を目指したゴルバチョフユダヤ人のソ連からの出国を認めた。洪水のように移民がソ連からイスラエルに押し寄せ中東情勢に大きな影響を与えた。
【キーワード】ゴルバチョフペレストロイカ、新思考、ユダヤ人出国問題
 
1987年パレスチナヨルダン川西岸とガザ地区で民衆のインティファーダ(一斉蜂起)が開始された。武器を使わずに石を投げたりタイヤを燃やしたりの抗議行動がイスラエルの占領政策を揺さぶった。
【キーワード】石の戦い、「腕を折れ」、折れないパレスチナ人、ハマスの登場
 
第10回 オスロ合意
冷戦の終結湾岸戦争でのイラクの敗北が、PLOを決定的に不利な状況に追い込んだ。その状況下でノルウェーイスラエルPLOの間のオスロ合意で大きな役割を果たしたのは、中立的であったからではない。それは親イスラエル的であったからだ。30年以上の時の流れの後に、この合意の意味を考える。
【キーワード】湾岸危機、湾岸戦争アラファト金脈の構図、ノルウェーという国、ガザ・エリコ先行自治、アラファトの足元と手の内、ノルウェーの森
 
第11回 ラビン/その栄光と暗殺
オスロ合意以降の情勢を動かした中心人物はラビンであった。その栄光に満ちた経歴を振り返る。また、その暗殺が中東和平プロセスに与えた意味を考える。
【キーワード】ネクタイを締められなかった男、1967年戦争の勝利イスラエルの「ドゴール」、中東和平プロセス、暗殺
 
第12回 ネタニヤフとバラク
ラビンの死亡以降の情勢をネタニヤフとバラクというイスラエルの二人のライバル政治家に焦点をあてながら跡付ける。そして2期8年を務めたアメリカのビル・クリントン大統領の中東和平を仲介への努力を歴史的な文脈に位置付ける。
【キーワード】エンテベの軌跡、恐怖と希望、「ピアノを弾くゴルゴ13」、クリントンの中東和平
 
第13回 揺らぐシリアのアサド体制
イスラエルと一貫して対立してきたシリアでは、1970年代より二代にわたるアサド家の支配が続いている。両国間の懸案はイスラエル占領下にあるシリア領土のゴラン高原である。しかし、アサド体制が揺らいでいる現在、交渉は期待できない。アサド家の支配を揺るがしているのは、シリア内戦である。内戦の混乱はイラク情勢と連動して「イスラム国」という異物を生み出した。混迷するシリア情勢の地域政治への意味を考える。
【キーワード】ダマスカスのスフィンクス、眼科医、ゴラン高原アラブの春とシリア内戦、アラウィー派、「イスラム国」、シリアという地名
 
第14回 アメリカの中東政策
アメリカの中東政策を特徴づけているのは、イスラエルへの強い支持である。なぜアメリカはイスラエルを支持するのだろうか。その背景を考えたい。
【キーワード】AIPAC、キリスト教原理主義、Jストリート、変わるアメリカのユダヤ社会
 
第15回 残された課題
クリントンの和平努力の挫折後の情勢を概観する。その特徴はアラファトの逝去とハマースの台頭である。そして最後に和平実現のために越えなければならない残された課題を語る。
【キーワード】キャンプ・デービッド、ハマース、国境、入植地、エルサレム、帰還権 
(引用終わり)
 
 印刷教材(テキスト)も市販されています。高橋教授が全15回を担当される科目では、放送教材(テレビまたはラジオ)で語られていることがそのまま印刷教材(テキスト)で文字になっているということはなく、基本的に同じテーマを取り上げていても、その内容は相当に独自性があります。多くの人へのインタビューは基本的に放送教材でしか聴けませんし、逆に印刷教材にしか書いていないこともあります。
 ですから、単にテレビを視聴しただけでは高橋教授の伝えたいことを十分に受け止めたことになりませんので、是非放送教材もお読みいただければと思います(少し高いですけどね)。
 
 この「パレスチナ問題(’16)」は、既に閉講となっているラジオ科目「第三世界の政治」の後継科目という位置付けだろうと思います。
 長らく、高橋先生が放送大学で学生に向かって、あるいは一般視聴者に向かって語り続けてきた「パレスチナ問題」について、集大成となる番組を作ろうという意気込みで制作されたのではないだろうかというのが、最初に私が全15回の講義を視聴し終えた際の感想でした。
 
 現在、放送大学で開講されている高橋和夫教授が単独で主任講師を務めておられる科目は、テレビ3科目、ラジオ1科目あります。そして、平成29年度第1学期の集中放送授業期間には、これら4科目が全て放送されます(放送されない科目も結構あるのにです)。
 このうち、テレビ科目「現代の国際政治('13)」は既に放送が終わりましたが、ラジオ科目「国際理解のために('13)」及びテレビ科目「世界の中の日本('15)」については、9月に集中放送されます。
 以上3科目の、放送予定、講義概要、印刷教材をまとめてご紹介しておきます。
 
放送メディア テレビ(BS231チャンネル)
放送時間(平成29年度)
 第2学期:(金曜)19時00分~19時45分(2017年10月~)
講義概要
国際政治の風景を太いタッチで描く。本書の二つのキーワードは、アメリカとイスラムである。アメリカという視点からイスラム世界を、イスラムという視点からアメリカを語る。両者の視点の交わった点に浮かび上がってくる風景は、アメリカの一極覇権の衰退である。
その衰退の大きな要因はイラクアフガニスタンの戦争の負担である。イラクアフガニスタンの経験を踏まえて、戦争の新しい形を紹介する。全体を通じて21世紀の国際政治の新しい風景を描きだす。
印刷教材

 
放送メディア ラジオ(BS531チャンネル)
放送時間(平成29年度)
     9月15日(金)~29日(金)21時30分~22時15分
 第2学期:(日曜)10時30分~11時15分(2017年10月~)
講義概要
高校までに世界史を勉強しなかった層を対象とする。国際理解のための基本知識を内容としている。二部構成で第一部は世界の宗教を語る。具体的にはユダヤ教キリスト教イスラム教、そしてゾロアスター教を紹介する。こうした宗教のつながりを強調する。さらに、それぞれが、どのような世界観を教え、どのような生活規範を求めているかを論じる。その宗教の信徒に敬意と理解をもって接触できるようにするためである。第二部では、東アジアの国際情勢を紹介する。そして領土問題とは、何なのか、なぜ発生するのか。そうした、領土問題理解の前提となる知識を提供した後に、日本の抱える領土問題について論じる。ここでも、対立する議論の優劣ではなく、どのような主張が展開されているのかを、淡々と述べる。第二部が、全体として世界の中で日本の置かれた地位を理解する背景知識となれば幸いである。
印刷教材
放送メディア テレビ(BS231チャンネル)
放送時間(平成29年度)
  第1回
   2017年9月22日(金)7:30~8:15
  第2回~第15回
   2017年9月23日(土)~9月29日(金)7:30~9:00
 第2学期:(日曜)9時00分~9時45分(2017年10月~)
講義概要
幕末以来、日本人が手本としてきた外国は欧米の大国であった。しかし、それが本当に国民に幸福をもたらしたのだろうか。所得ばかりでなく、教育、医療、女性の社会進出、治安、環境の保全などの指標で測った際に世界最高の生活水準とされるのは、大国ではなく北欧諸国である。日本でも、大国の地位ではなく国民の生活水準の向上を国家目的とする選択が示されても良いのではないだろうか。
そうした問題意識の下で、北欧諸国の経験を踏まえながら、外交、人口減少、外国人労働者、移民、メディアなどの面での日本の課題に光を当てる。世界の中の日本を北欧という鏡に映し出しながら語りたい。
印刷教材
 私は、過去2回、高橋先生の開講科目の最終回における学生・視聴者への最後の言葉を文字起こししてご紹介したことがあります。
 ここに、その文字起こしを再掲したいと思います。
 私が、なぜ高橋先生の科目の受講・視聴を推奨しているのか、その一端をご理解いただけるのではないかと思うからです。
 
「現代の国際政治('13)」第15回での高橋和夫教授からのメッセージ
「さてこの15回のシリーズ、見ていただきましたけれど、いかがだったでしょうか?『うん、高橋、国際政治がよく分かったぞ』とおっしゃる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、私にとっては、分かっていただくだけでは十分ではありません。問題は、これから皆さんが、世界を良くするためにどのように行動するかということにかかっていると私は思うわけです。ですから、知識を持っているということだけでは十分ではないわけです。これから皆さんは、人生という大きな答案用紙に、生涯という時間をかけて、世界を良くするための行動という答案を書いていただきたいというのが、担当講師である高橋の切なる皆さんへのお願いです。
 知識だけでは十分ではありません。その知識をいかに行動に変えるのか、そして、この行動によって、1人1人の行動によって、世界をいかに良くしていくのかということが、今問われていると思います。知識を持つということは、責任を持つということで、最後に皆さんにとんでもなく大きな宿題を出してしまったような気がしております。15回ご静聴ありがとうございました」
 
パレスチナ問題('16)」第15回での高橋和夫教授からのメッセージ
「最後に、皆さんに一言だけお願いしたいことがあって、このお願いは、是非この風景の中でしたいと思って、この映像を撮ってまいりました。
~スタジオからエルサレムに転換~
 このシリーズの冒頭でエルサレムをご覧いただきました。その時はひどいサンドストームに覆われたエルサレムでした。今日このシリーズを締めくくるにあたって、再び同じエルサレムをご覧いただきたいと思います。しかし、今日のエルサレムは、朝日を浴びたエルサレムです。鮮明に見えていると思います。エルサレムが鮮明に見えるように、皆さまの中東理解も、より鮮明になったものと期待いたしております。
 このシリーズを終わるにあたり、私は、1つだけ皆さまにお願いしたいと思います。シリーズは終わるんですけど、これをもって皆さまのパレスチナ問題との関わりを終わりにしていただきたくないのです。これをきっかけに、パレスチナ問題を考え続けていただきたいと思います。関心を持ち続けていただきたいと思います。そして、この問題の解決のために、国際政治は何を出来るのか、そして、日本が何を出来るのか、そして、1人1人が何をできるのかを考えていただきたいと思います。
 さらに、この問題を見つめるにあたっては、国際政治という大きな枠組から見ていただきたいんですけれど、同時に、国際政治の動きが、現地の難民キャンプのパレスチナ人、占領地のパレスチナ人、あるいは、1人のイスラエルの母親に、父親にどういうインパクトを与えるのかという、下からの視点を大切にしていただきたいと思います。
 私も皆さまとともに、この問題を見つめる新しい旅に今出発したいと思います。」
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2013年8月17日
2015年1月23日
2016年8月6日
2017年1月26日