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シュージョプライム(週刊女性PRIME)で振り返る特集「いま沖縄から戦争を考える」(週刊女性2017年8月15日号)

 2017年9月2日配信(予定)のメルマガ金原.No.2923を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
シュージョプライム(週刊女性PRIME)で振り返る特集「いま沖縄から戦争を考える」(週刊女性2017年8月15日号)
 
 調べてみると、私のブログで、少なくとも過去に4回(実質的には3回)「週刊女性」を取り上げています(巻末のリンク一覧をご覧ください)。
 皇室ネタ、ジャニーズネタなどの合間に、時として、安保法制、原発問題、改憲問題などの「硬派」の話題について、おおむね10頁を費やす総力特集を企画してくれる「週刊女性」。他の女性週刊誌2誌も頑張っていますが、「週刊女性」の腰の据わり方は、中でも群を抜いているように思います。
 
 さて、その「週刊女性」が、この夏、沖縄問題を取り上げた10頁の特集「いま沖縄から戦争を考える」を8月15日号に掲載したということを知り、急いでコンビニに立ち寄ったものの、既に店頭在庫なしでした。一体どんな内容の特集だったのかと気になりますよね。幸い、同誌に掲載された主要な記事の多くはインターネットサイト「シュージョプライム(週刊女性PRIME)」に掲載されることが多いので、調べてみました。
 これで全部かどうかは分かりませんが、以下の3本の記事が見つかりましたのでリンクしておきます。是非リンク先で全文をお読みいただきたいと思います。
 
 (抜粋引用開始)
 支持率は危険水域まで低下、一強支配に陰りが見える中、それでも改憲への道をひた走る安倍政権。戦後日本が掲げてきた平和主義が曲がり角に立つ一方で、72年前の地上戦から27年に及ぶアメリカ統治時代、辺野古への米軍新基地建設で揺れる現在まで、沖縄には、犠牲と負担を集中的に強いられてきた歴史がある。特定秘密保護法、安保法制、共謀罪の先にある戦争は決して沖縄だけの問題じゃない。「殺し、殺されない国」が迎えた岐路と行方を徹底取材。いま、沖縄から「戦争」を考える──。
  ◇   ◇   ◇  
(略)
 那覇市内の大学に通う渡具知武龍さん(20)も“託されたバトン”をつなぐ。
 毎週土曜日、夜6時半。シュワブ前の国道329号沿いを柔らかな明かりが照らす。ペットボトルにろうそくを入れたキャンドルを手に持ち、渡具知さんはゲート近くに立つ。そして、両親や2人の妹とともに、往来する車や米軍関係者に笑顔でこう呼びかける。
 「ジュゴンの海を守りましょう!辺野古に基地はいりません!」
 この『ピース・キャンドル』は、2004年11月、辺野古で海底ボーリング調査が始まった年に「誰でもできる抗議をしよう」と地元住民である渡具知さんの両親が始めた。小学1年生から家族で沿道に立ち続け、大学2年生となった今も、渡具知さんは週末に実家へ戻り活動を続けている。
 辺野古への新基地建設を問う『名護市民投票』のあった1997年生まれ。そのため、「辺野古問題と一緒に生きてきた」と話す。
 「目の前で美しい自然が壊され基地が作られる。自分たちも被害を受けるかもしれない。20年前に住民投票でノーと結果を出しているのに、握りつぶされて、そこから納得いきません。やっぱり闘っていかないと」
(略)
 瀬長さんは’62年に普天間基地に就職。貧困にあえぐ中、人々は反戦の思いを抱えつつも、基地で働かざるをえない状況にあった。
 「当時は公務員や教員も、1、2度は軍作業員になった。生活できないから基地に流れていったんです」
 ’66年ごろから、米軍基地労働者の組合『全沖縄軍労働組合連合会』(全軍労)の結成に関わり始める。
 「若い女性労働者が米軍のマネージャーから夜に誘われ、断ったら、翌日には解雇。そんなことが普通でした」
 米軍占領下で日本国憲法が適用されなかった時代。当時は《白人専用トイレ》があり、沖縄の人々は入れなかった。
 「おなかを壊した仲間が使ったら、見つかって犬や猫のように放り出されてね。基地の中での差別、無権利状態が続いていたんです」
(略)
 ’96年、『沖縄に関する特別行動委員会』(SACO)で、普天間基地をはじめ11の施設、区域の返還が発表された。どう返還させ、労働者を救済するか。全駐労と県は雇用対策委員会を作り、基地労働者ひとりひとりの救済シミュレーションを作って返還に備えた。基地が減るのに伴い、労働者の採用は当然、絞らなくてはならない。だが、「安保遵守・雇用拡大」を唱える『沖縄駐留軍労働組合』は「1万人、雇用を増やせ」と主張、大論争になった。
 「理想で飯は食えないが捨てたら何にもならない。県民に反することはするな、人間の心を忘れるな、と」
 そう当時を振り返る。
 沖縄県の本土復帰から45年を迎えたが、「人権の回復」はまだ実現できていない。瀬長さんは辺野古新基地建設に反対している。
(略)
 「東京で30年育ちましたが、その平穏な生活は、基地負担のうえに成り立ってきたことを沖縄であらためて感じています」
 そう話すのは小口幸人弁護士(39)だ。昨年、沖縄県南部に事務所を構えた。
 「沖縄の反対運動がなぜ盛んか、本土では理解されないかもしれないが、沖縄には日本とアメリカに虐げられた歴史と、基地のない島にしたいという世代を超えた願いがある。辺野古に作る基地の耐用年数は200年。子や孫に基地を残せないという思いがあるんです」
 沖縄にいると、憲法が実態と離れている部分を肌で感じる、と小口弁護士。
 「沖縄は、現実(基地)と憲法9条の矛盾を押しつけられ、それでもなお、子や孫に託したい希望を憲法9条の理念に見ている。
 安易に憲法を現実に合わせるのではなく、沖縄の先人たちのように、今の国民も、現実を憲法に近づける努力を続けるべきだと思います」
取材・文/吉田千亜と本誌「戦争」取材班
(引用終わり)
※注 引用は省略しましたが、7月24日に沖縄県が国を被告として工事の差止めを求めて訴訟と仮処分を提起したことについては、私のブログ(沖縄県が国を相手取り岩礁破砕等の差止を求めて訴訟を提起し仮処分を申し立てました/2017年7月24日)をご参照ください。
※注 一面識もない小口幸人弁護士について紹介した1年前の私のブログ(災害支援でも高江でも~小口幸人弁護士の活躍/2016年7月22日)もご参照ください。
 
(抜粋引用開始)
 住宅や学校が近接し、「世界でいちばん危険な基地」と呼ばれる普天間飛行場沖縄県宜野湾市)。これを返還して負担軽減をするには、日本とアメリカは、新基地建設は「辺野古が唯一の解決策」と繰り返し強調してきた。こうした「基地神話」を唱えるのは政府ばかりではない。ネット上には「抑止力」「地政学」的に沖縄に基地が必要だとする主張があふれかえり、それに中国・北朝鮮への脅威論が拍車をかける。
 だが、それらの神話を覆し、普天間問題を解決する画期的な政策提言を民間シンクタンクが発表、注目を集めている。軍事・安全保障の専門家がメンバーの『新外交イニシアティブ』(以下、ND)がそれだ。
 7月中旬にはアメリカを訪れ、首都・ワシントンでシンポジウムを開催、米政府関係者へのロビー活動も行っている。
 辺野古への新基地建設に代わる解決策─、NDが提言するのは「海兵隊の運用の見直し」だ。訪米に先駆けて5月23日、都内で開かれたシンポジウムでは、2月にまとめた報告書をもとに、その具体的内容が明らかにされた。
 猿田佐世事務局長が言う。
 「アメリカでロビー活動を行っていると、辺野古に基地を作らないとなればどうするのか、具体的な代替案を求められることが少なくない。防衛、軍事、安全保障の観点からみて、辺野古でなければいけないのかということについて3年間、アメリカの軍事戦略や軍隊の運用にまで踏み込んで研究を重ねてきた」
 日本にある米軍基地の7割が沖縄に集中していることはよく知られている。だが、その7割を海兵隊が占めていることはご存知だろうか。しかも、そこに駐留する第31海兵遠征部隊(以下、31MEU)が担う主なミッションは、意外にも「人道支援、災害支援」だ。
 ND評議員でフリージャーナリストの屋良朝博さんが解説する。
「狭い沖縄で基地の施設をAからBへ移すのは難しい。ですから施設を動かすのではなく、海兵隊の運用を変える。この31MEUを沖縄県外、あるいは国外に移して、普天間飛行場の移設計画をやめさせるのです」
(略)
 抑止力の点でどうかという声が聞こえてきそうだ。これには民主党政権防衛大臣を務めた森本敏氏の発言で説明できる。NHKの番組出演時に、「日本の西南、九州か、四国のどこかに1万人の海兵隊が常時いて、地上、ヘリコプター、後方支援の機能を包含できればいい」と話し、さらに防衛相の辞任会見でも「軍事的には沖縄でなくても良い」と述べている。
 犠牲を強いてきた沖縄に本土はどう応えるか。その意味でも注目したい提言だ。
(引用終わり)
※注 NDの提言について紹介した私のブログもご参照ください(「今こそ辺野古に代わる選択を~NDからの提言~」と同東京シンポジウム(5/23)のご紹介/2017年5月18日)。
 
 (抜粋引用開始)
(略)
 1952年、在日米軍基地面積が沖縄に占める割合は約10%にすぎなかった。だが’57年、岐阜県静岡県、神奈川県、静岡県滋賀県奈良県大阪府の米軍海兵隊が沖縄に移駐し、’72年までには福岡県の空軍基地なども移駐、’76年には、山口県の第一海兵航空団が移駐。これには、沖縄県議会や県内政党が「犠牲を県民に押しつけるのか!」と一斉に反発した。
 移設理由のひとつに「本土」の反基地運動が反米運動へ転嫁していくのを日米両政府が懸念した、との研究報告もある。
 今、在日米軍基地面積が沖縄に占める割合は約70%。まぎれもなく政治が「押しつけてきた」結果だ。
 同時に、共同通信の『戦後70年世論調査』によると、日米安保の支持率は約9割。つまり米軍駐留を認めている。だが、その負担を自分の街では決して受け入れない。結果として、国民の多くも沖縄に基地を無自覚に押しつけているのだ。
(略)
 基地撤去を訴えても、自分たちが「押しつけている」との社会的立場に目をつぶっているのは差別だ。そう思った松本さんは、「差別者」として沖縄に基地を押しつける「本土」こそ負担を引き受けるべきで、他人事から自分事として基地問題の世論を高めたいと考えた。そして’14年夏、大阪行動の会議で「米軍基地を大阪に引き取る運動をやりたい」と明言する。
 「日米安保を永続させてしまう」「基地被害への責任を取れるのか」などの異論が噴出しながらも4、5人が賛同し、’15年3月、「引き取る・大阪」が設立する。
(略)
 引き取る運動には常に2つの疑問が寄せられる。
 まず、「米兵犯罪に責任を取るのか」との疑問だ。特に女性への性的被害は議論を避けて通れない。
 佐々木さんはこう答える。
 「犯罪はもう沖縄で起きています。では、尋ねたい。それに対し、今まで何もしなかったのは誰?日米安保という米軍基地駐留を認めているのは誰?と。これは市民団体だけではなく、全住民で考える問題です」
 もうひとつの疑問は、「どこに引き取るか」だ。
 「引き取る会福岡」や「引き取る・東京」は「それは私たちではなく、政治が決めること。私たちの目的は、それを政治課題にもっていくこと」と考えている。
(略)
取材・文/樫田秀樹
ジャーナリスト。'89年より執筆活動を開始。国内外の社会問題についての取材を精力的に続けている。『悪夢の超特急 リニア中央新幹線』(旬報社)が第58回日本ジャーナリスト会議賞を受賞
(引用終わり)
 
 いずれも、力のこもった素晴らしい記事だと思います。調べてみると、「週刊女性」は沖縄問題を継続的に取り上げてきているようです。今後も注目し、出来るだけ「買いそびれ」のないようにしたいと思います。
 
(付記)
 上記特集とは別に、「週刊女性」2017年8月22・29日号に掲載された鎌田慧さんによるルポルタージュ「高江・辺野古伊江島で、沖縄女性たちの「命こそ宝」の闘い」という記事が「シュウジョプライム」にアップされていました。これも是非お読みください。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/「週刊女性」関連)
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