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「市民と歩む図書館~図書館が変わる!?~」(2017年9月30日)大成功!

 2017年10月1日配信(予定)のメルマガ金原.No.2952を転載します。
 
「市民と歩む図書館~図書館が変わる!?~」(2017年9月30日)大成功!
 
 昨日(2017年9月30日)午後2時から、和歌山市勤労者総合センター6階文化ホールにおいて、市民有志の実行委員会が主催する「市民と歩む図書館~図書館が変わる!?~」が開かれました。私は実行委員会のメンバーではありませんが、事前に開催に至る情報をお送りいただき、少しだけ広報に協力させていただいていたこともあり、とても楽しみに参加させていただきました。
 
 結果は?「大成功」だと思います。
 実行委員会の皆さんも、どれだけの人が来てくれるかと不安だったようですが、短い広報期間の中、手製のチラシを図書館を利用される方に配布するなど、懸命の努力をされた甲斐があり、図書館を良くしたいと願う質の高い聴衆(質疑応答を聴けば分かります)によって、会場がいっぱいになりました。
 会場には、6月の定例市議会で、市民図書館に指定管理者制度を導入するための条例改正案に反対した2つの会派(日本維新の会日本共産党)の内の1つから、H和歌山市議会議員が参加されていました。ちなみに、もう1つの会派からの参加者はいなかったようです(夕方からJR和歌山駅前で開かれる衆院選予定候補者による街頭演説会の準備で、図書館問題どころではなかったのかもしれません)。
 そして、そのような動員面での「成功」だけではなく、内容的にも素晴らしかったと思います。「期待以上」と言っては、講師の先生方や実行委員の皆さんに対して失礼になるでしょうか。ここ何年も図書館を利用していない私が言うのも何ですが、どういう図書館なら利用したくなるのか、そのためにどういうことが必要なのか、そして、その実現のために自分にどういうことが出来るのかということについて真面目に考えなければと思わせてくれたのですから、「大成功」に決まっています(はなはだ個人的な評価ですが)。
 
 企画の成功の要因は、何と言っても、山本健慈先生(前和歌山大学学長、現国立大学協会専務理事)、渡部幹雄先生(和歌山大学教授、和歌山大学図書館長)というダブル講師にお話していただけたという人選(よく実現したものです。実質交通費くらいしか出せない(多分そうでしょう)市民有志からの要請だったのに)にあることは間違いありません。
 
 山本健慈先生とは、2年前の青法協憲法記念行事の講師をお引き受けいただき、第2部の座談会でご一緒して以来、久しぶりにお目にかかることができました。山本先生は、2年前も、大幅な予算削減による地方国立大学の衰退を憂慮しておられましたが、現在のお仕事がら、その憂慮は日本中の国立大学(さらには全ての大学)に拡大しており、図書館問題もさることながら、大学問題も大変なことになっていることが分かりました。
 さて、山本先生は、20年以上、地元の町立熊取図書館の図書館協議会委員長として、その運営に助言してこられた立場から、様々な意見を述べられました。非常に印象的であったのは、熊取図書館を作るにあたり、繰り返し住民との協議を重ね、「このような図書館にしたい」という住民の希望を図書館の設計に反映させていったこと、それでも欠点のない完璧な図書館を作ることなど不可能であるが、住民が誇りを持ち、大事に守り育てていこうという気持ちになれる建物を設計するのが建築士の仕事ですという、設計者の発言を紹介されたことでした。
 
 渡部幹雄先生は、3つの自治体(町)で図書館を立ち上げるという経験を重ねられた図書館作りのエキスパートであり、非常に示唆に富む様々なお話を伺うことができ、私自身、とても勉強になりました。
 理想の図書館とは何か、図書館はどうあるべきかを考えるのであれば、まずは、図書館法やユネスコ公共図書館宣言などの基本に立ち帰り、その実現を目指すべきであるというご意見には、「そのとおりだなあ」と感心しました。
 また、山本先生も指摘されたことですが、渡部先生が何度も強調されていたのは、図書館の運営にとって何よりも大事な「人」の問題でした。図書館においては、様々な分野についての知識を備えた専門スタッフが、持続して能力を向上させていけるシステム(研修・視察の機会の保障など)、環境がどうしても必要であるのに、それが蔑ろにされていることへの強い懸念(あえて言えば「憤り」)には、確かに聴衆の胸を熱くさせるものがありました。
 
 これからも、図書館問題について学びを深めていきたいと思わせられた一日でした。このような得難い機会を準備していただいた実行委員会の皆さんに、心から敬意を表したいと思います。ありがとうございました。
 
(参考サイト)
図書館法
あかちやんからお年寄りまで居心地の良い図書館をめざして~熊取町立熊取図害館の活動紹介~
日本図書館研究会研究例会(第268回)報告
「図書館は成長する有機体である」を実践する-住民参加の図書館づくりから16年,熊取図書館の軌跡-
平成21年度 共同研究「図書館運営のあり方研究会」報告書
「今、図書館がやるべきこと!」
図書館とまちづくり(滋賀県愛知川町立図書館)(文部科学省
愛荘町立愛知川図書館館長 渡部 幹雄さん(54歳・東近江市在住)
アリストテレスな時間:愛荘町立愛知川図書館に行ってきました
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/図書館問題関連)
2017年8月12日
新しい和歌山市民図書館(2019年10月開館予定)に指定管理者制度が導入される
2017年9月16日
「市民と歩む図書館~図書館が変わる!?~」(9/30山本健慈さん&渡部幹雄さん/和歌山市勤労者総合センター)のご案内