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井手英策氏講演会「分断社会から頼り合える社会へ~財政の原点に戻り、くらしの保障を考える~」(11/25和歌山県保険医協会)のお知らせ

 2017年10月30配信(予定)のメルマガ金原.No.2971を転載します。
 
井手英策氏講演会「分断社会から頼り合える社会へ~財政の原点に戻り、くらしの保障を考える~」(11/25和歌山県保険医協会)のお知らせ
 
 今日(10月30日)、和歌山県保険医協会(龍神弘幸理事長)から、「和歌山県保険医協会 40周年記念総会 記念講演」のご案内が封書で届きました。
 来る11月25日(土)に、井手英策氏(慶應義塾大学経済学部教授)を講師に招き、「分断社会から頼り合える社会へ~財政の原点に戻り、くらしの保障を考える~」と題した講演をお願いするということです。
 和歌山県保険医協会からは機関紙も送っていただいており、井手教授による講演会が開かれるということは、しばらく前から承知しており、チラシが届いたらブログで紹介させていただこうと思っていた・・・のですが、そうこうするうちに、突然の衆議院解散、そしてさらに唐突な民進党の希望の党への合流、衆院選における与党大勝をうけての前原誠司民進党代表の辞意表明と続く事態を眺めながら、この講演会のことがちらちらと気になっていました。
 
 前原誠司氏から「三顧の礼」をもって、民進党「尊厳ある生活保障総合調査会」(いわゆる前原調査会)に招かれた井手英策氏は、本年6月1日、同調査会に対して「基本認識および提言」を提出し(【提言】“All for All(みんながみんなのために)~あらゆる生活者を不安から解き放つ~”という見出しが付けられていました)、同月13日に発表された同調査会「中間報告」は、「本調査会は井手英策教授の提言が提起した国際社会、経済情勢、政治環境等に対する認識を十分共有し、その改革の理念、哲学、方向性を一にして、今後、最終報告に向けた更なる具体化の議論を真摯に行っていく。」とまで明言していました。
※「基本認識及び提言」
file:///C:/Users/user1/Downloads/20170601%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E8%AA%8D%E8%AD%98%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E6%8F%90%E8%A8%80%20(2).pdf 
※「中間報告」
file:///C:/Users/user1/Downloads/20170613%E5%B0%8A%E5%8E%B3%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E4%BC%9A%E4%B8%AD%E9%96%93%E5%A0%B1%E5%91%8A%20(1).pdf
 
 ところで、6月の「中間報告」に先立つ3月12日、民進党定期党大会での井手教授の来賓挨拶は、消費税についての同氏の見解を容認できない者にとっても、非常に感動的な内容であり、話題を集めました(井手英策慶応義塾大学教授が民進党定期党大会(3/12)で語ったこと/2017年5月13日)。
 
 その後の、蓮舫代表の辞意表明にともなって実施された民進党代表選挙では、井手教授は、明確に前原誠司氏を支持しました(「本当の争点~「ビジョン論争」に決着を~」という文章を自身のブログに発表)。
 ちなみに、この記事以降、ブログの更新は止まったままです。
 
 今日、久しぶりに民進党のホームページを閲覧したところ、10月26日付で「【特集】「頼り合える社会」をめざして」という記事がアップされており、読んでみると、「井手英策慶應義塾大学経済学部教授に、病気になっても、失業しても、長生きしても安心して生きていける社会づくりのビジョンについてご寄稿いただいた。」(民進プレス改題30号 2017年10月15日号2・3面より)とありました。
(引用開始)
 僕たちは2019年に税率が10%に増税される予定の消費税の使い途を変え、受益を中間層にまで広げることを訴えてきた。驚くべきことに、僕たちの主張を安倍晋三総理がそのまま受け入れた。
 もちろん、一国の宰相のやることかという暗い気持ちになる。だがそれでよいのだ。安倍総理アベノミクスによる成長路線が限界に来ていることを認めた。僕たちの掲げた旗こそが最後の希望なのだと認めたのだから。
(引用終わり)
とありますので、衆院選に向けての寄稿だったのでしょう。
 
 さて、前原誠司氏が民進党を去ったら(まだ去っていませんが)、「尊厳ある生活保障総合調査会」はどうなるんでしょう、というか、そもそも民進党はどうなるんでしょうという状態です。
 前原氏は、井手教授に対しては「三顧の礼」を尽くしたのかもしれませんが、「仁」や「信」に欠けるところはなかったのか、ということが今まさに突き付けられているのですから。
 井手教授としても、つらい立場なのかもしれません。
 
 さはさりながら、民進党や前原誠司氏のことはとりあえず横に置くとして、井手教授の経済学者としての主張に耳を傾ける価値は十分にあると思います。「税と給付とのベストミックス」(上記「基本認識及び提言」より)に疑問を抱く人こそ、進んで参加した方が良いとさえ思います。
 「基本認識及び提言」から、【提言】とそのための<道筋>を引用しておきます。
file:///C:/Users/user1/Downloads/20170601%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E8%AA%8D%E8%AD%98%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E6%8F%90%E8%A8%80%20(2).pdf
 
(引用開始)
【提言】“All for All(みんながみんなのために)~あらゆる生活者を不安から解き放つ~”
<道筋>「成長→自己責任→将来の備え」を「生活保障→満たし合い→将来の安心」に
1)私たちは、経済成長を絶対視し、自助努力で将来に備える自己責任社会、「もっと大
変な人がいる」と言って、人びとに我慢を強いる不幸の再生産を終わらせる
2)私たちは、をつうじて、人びとが人生の不安を感じる時期に、痛みを分かち合い、喜びを満たし合う、“All for All”の社会を目指す
3)私たちは、「現金給付」から人間に共通のニーズである「現物給付」に力点を移しつ
つ、可能な限り所得制限をつけずに幅広い給付を行っていく
4)私たちは、対人社会サービスの供給主体である地方自治体に対し、自治を育み、人び
との安心を底支えできるよう、課税自主権の強化を進める
(引用終わり)
 
 それでは、以下に、11月25日講演会のチラシ記載情報を転記します。
 
(チラシから引用開始)
和歌山県保険医協会 40周年記念総会 記念講演
分断社会から頼り合える社会へ
~財政の原点に戻り、くらしの保障を考える~
 
 従来の日本は、働いて稼いだものを貯蓄や保険にあて、あらゆる不安・事故に国民自身の力で備えてきた。
 今、所得が20年にわたって落ち、貯蓄率が劇的に下がるなか、財政難を理由に、保険料が高くなり、患者負担が増え、給付は減るばかりである。
 今こそ、社会の仲間がみんなのために税金を払い、不安や痛みを分かち合う「ALL FOR ALL」の社会像を一緒に考えてみましょう。
 
と き 2017年11月25日(土)午後4時~6時
ところ プラザホープ4Fホール
     和歌山ビッグホエール北隣
     和歌山市北出島1丁目5番47号
          TEL:073-425-3335
参加費無料(申込不要)どなたでもご自由にご参加ください。
 
講師 井手英策先生(慶應義塾大学経済学部教授)
 1972年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。日本銀行金融研究所、東北学院大学横浜国立大学を経て、現在、慶應義塾大学経済学部教授。専門は財政社会学日本医師会総務省全国知事会全国市長会等の各種委員のほか、朝日新聞論壇委員、小田原市生活保護行政のあり方研究会」座長なども歴任。著書に『財政から読みとく日本社会』(岩波書店)、『18歳からの格差論』(東洋経済新報社)ほか多数。2015年度大佛次郎論壇賞、2016年度慶應義塾賞を受賞。
 
主催/和歌山県保険医協会
〒640-8157 和歌山市八番丁11番地 日本生命和歌山八番丁ビル8F
TEL:073-436-3766  FAX:073-436-4827
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/和歌山県保険医協会関連)
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