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立憲デモクラシーの会・声明「野党の質疑時間削減は議会政治の自滅につながる暴挙である」(2017年11月21日)~しかし野党は苦渋の決断を

 2017年11月23日配信(予定)のメルマガ金原.No.2995を転載します。
 
立憲デモクラシーの会・声明「野党の質疑時間削減は議会政治の自滅につながる暴挙である」(2017年11月21日)~しかし野党は苦渋の決断を
 
朝日新聞デジタル 2017年11月22日23時23分
質問時間は与党5・野党9 衆院予算委、与党が押し切る
(抜粋引用開始)
 国政全般を議論する衆院予算委員会で、野党の質問時間が削減されることになった。与野党は22日の同委理事懇談会で、27、28両日の審議(計14時間)を与党5時間、野党9時間とすることで合意。「前例としない」としたものの、配分見直しを目指していた与党が押し切った格好だ。
 衆院予算委の持ち時間はこれまで、「与党2対野党8」だった。今回の合意で「与党36%対野党64%」となり、与党の質問時間が2倍近くになった。
 与党側は衆院選大勝を背景に、すべての委員会で配分を見直す方針を決めた。15日開催の衆院文部科学委から「5対5」を提案。野党の反対を受けて「1対2」に譲歩したが、予算委でも「5対5」を提案し、従来通り「2対8」を主張する野党側と対立していた。
 当初から、与党の「本命」は予算委だった。同委は首相が出席し、スキャンダルの追及などもテレビ中継される。与党側は「若手に質問機会を与える」という理由を挙げたが、通常国会で首相が「森友・加計(かけ)学園」問題で追及され、内閣支持率が下がったことなどが念頭にあるとみられる。
(略)
 対する野党。削減を受け入れる潮目になったのは、21日だった。
 野党側には、与党との対立が続けば審議を拒否せざるを得ず、衆院選後初めての予算委で首相を追及できなくなるというジレンマがあった。野党各党の国会対策委員長が協議を重ね、与党に「5対5」を取り下げさせる代わりに野党側の「2対8」の旗も下げることを決断した。
 立憲民主党幹部は「(ここで折り合わなければ、)通常国会もずっと『数の力』で押し切られる状況が続くことになる」。民進党が分裂して野党が乱立模様になり、野党間の調整が難しかったことも影を落としたと解説した。
(略)
 一方、参院予算委は22日の理事会で、29~30日に7時間ずつ審議することを決めた。参院衆院とは異なり、持ち時間に首相や閣僚らの答弁時間が含まれず、少数会派にも一定時間を割り当てる慣例があり、質問時間に対する不満は少なく、見直しの議論にはなっていない。(笹川翔平、中崎太郎、南彰)
(引用終わり)
 
 昨日(11月22日)の政治ニュースの中で、最も注目すべきは上記のものだったと思います。「前例としない」「11月27日・28日の衆院予算委員会だけ」とはいえ、野党による質問時間の減少は、1月からの通常国会まで尾を引くことは確実であり、与党の横暴を非難する国民的世論を盛り上げない限り、この流れを押し戻すことは困難でしょう。
 以下に、世論喚起のための参考資料を2点引用しておきます。
 1つは、11月14日の立憲民主党公式Twitterによる連続投稿、もう1つは、11月21日に立憲デモクラシーの会が発表した声明です。 
 
立憲民主党@CDP2017 Nov 14
【野党の質問時間削減、なにが問題?】
(引用開始)
現在の与党と野党の質問時間の配分は、2対8です。これに対し与党は現在、与党の質問時間を増やすべきだという提案をしています。これは議院内閣制という日本の制度を無視するものであり、たくさんの問題があります。#教えて中の人
問題1:予算案や政府が提出する法案は、与党内で事前に議論され賛成になった後に国会に提出されます。一方野党は提出後に初めて説明を受け、国会で議論します。そのため質問時間の配分が野党中心となるのは当然です。もし与党が与党に聞くことが沢山あったら政府与党の不一致という問題になります。
問題2:衆議院での「質問時間」とは質問時間と答弁時間を合算したものです。枝野代表が指摘する通り「大臣や副大臣政務官が答弁と称して質問以上に長い時間をかけ主張してくる」ことはよくあります。例えば2分の質問の後に閣僚が10分答弁し12分経過しても12分が野党の質問時間になってしまうのです。
問題3:野党は国会の中では少数。民主主義が健全に機能し多数者の専制に堕ちないためには、少数意見や多様な意見を尊重する必要があります。そのための国会の慣習がまさに、野党に多めに質問時間を割り当てるということなのです(しかもこれを提案したのは当時の自民党です)。
結論:「議席数に応じて質問時間を配分するのはもっともだ」という自民党の意見は、議院内閣制を無視した主張です。与党が質問し政府が答える時間がほとんどでは議会制民主主義は機能しません。このことから立憲民主党は、野党の質問時間をしっかり確保すべきだと考えます。
(引用終わり)
 
立憲デモクラシーの会
声明「野党の質疑時間削減は議会政治の自滅につながる暴挙である」
(引用開始)
 総選挙で圧倒的な多数を維持した与党は、国会の委員会審議における質疑時間について、議席数に比例した配分を主張し、野党の質疑時間を大幅に削減しようとしている。これは、議会政治の自滅につながる暴挙である。
 そもそも権力分立という立憲主義の原則からして、巨大な権力を持つ行政府の長は立法府たる議会の詮議や吟味に応える責務を負っている。権力運用の誤りは国民に多大な害を及ぼすゆえに、議会は行政権力の監視をその本来的な使命の一つとしている。
 議院内閣制を採る日本の統治機構において、与党議員は最高権力者である内閣総理大臣すなわち与党党首の統率下にある人々であり、彼ら・彼女らが行政権力に対する批判や監視の機能を十分に果たせるとは期待しにくい。
 さらに、日本では重要法案のほとんどが議員立法でなく内閣提出法案(閣法)である。現与党である自民党では法案を国会提出前に党内で事前審査し、議員には厳しい党議拘束をかけているため、与党議員が国会で法案について鋭い質疑をする動機付けは弱い。法案内容を説明するのは提出者、すなわち多くの場合には内閣の役割である。また、小選挙区制と政党交付金の制度の下で政党内での集権化、個別議員の従属化が一層進展している。
 このように、与党議員による監視機能はほとんど期待できないがゆえに、議院内閣制の下での行政の監視機能は野党議員を中心に担われるのが通例であり、従来の国会運営において野党議員に多くの質疑時間が割り当てられてきたのも当然であった。
 安倍政権及び安倍総裁の下での自民党は、自らの政策や政権運営に対する批判や詮議をことさら忌避する傾向を示している。憲法53条に基づく臨時国会召集の要求を無視し続け、国会冒頭に解散を行って議論の機会を封じたのもその顕著な現れであり、それに追い打ちをかけるような、今回の野党の質疑時間を削減する動きは、言論の府という国会の機能を損なうものとみなさざるを得ない。
 立憲デモクラシーの会は、野党の質疑時間の削減は議院内閣制下における議会の役割を損なう暴挙ととらえ、これに強く反対するものである。
2017年11月21日
立憲デモクラシーの会
(引用終わり)