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五味洋治著『朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか』(創元社・「戦後再発見」双書7)と岩上安身氏による8時間の著者インタビュー(全編無料視聴可)

 2017年12月19日配信(予定)のメルマガ金原.No.3021を転載します。
 
五味洋治著『朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか』(創元社・「戦後再発見」双書7)と岩上安身氏による8時間の著者インタビュー(全編無料視聴可)
 
 以前、放送大学高橋和夫教授の授業に耳を傾けていたところ、同教授が既存のメディア(テレビやラジオ)に出演した際には、何分何十秒などと限定された時間の中で話さなければならなかったのに、インターネットメディアに呼ばれて、どれだけの時間があるのか尋ねると、「好きなだけ話してください」と言われて驚いた、という話をされていたことがありました。
 たしかに、YouTubeUSTREAMでは、今や技術的に何分以内とか、何時間以内ということはないようです。もっとも、だからといって、10時間インタビューや20時間インタビューをネットにアップしても、「誰が視聴するんだ?」ということになりますので、そんなに非常識に長いインタビューというのはめったに見かけません。
 
 ところが、IWJの岩上安身さんによるインタビューで、前後編合わせて8時間以上(!)という超ロングインタビューがアップされているのに気がつきました。しかも、【広告連動企画】ということで、「※1年間全編動画を公開します。」なのです。
 岩上さんによるインタビュー動画は、私のような年会費1万円(月払いなら月額1,000円)を払っている一般会員でも、1か月間しか視聴できないのですが、恒常的に財政危機に瀕するIWJの増収策の一環として、【広告連動企画】というのが始まったようです(前からやっていたのかもしれませんが)。
 今回の広告主は出版社の創元社創元社の新刊(刊行日は2017年12月20日)で、「戦後再発見」双書の第7弾『朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか』(五味洋治著)の宣伝のためにIWJとタイアップし、岩上さんによる著者の五味洋治(ごみ・ようじ)さん(東京新聞論説委員)に対するロングインタビューが実現することになったということのようです。
 もっとも、岩上さんによるインタビューは2時間、3時間の長時間インタビューになるのは別に珍しいことではないとはいえ、2回にわたり、8時間以上もの超ロングインタビューになろうとは、創元社も五味さんも、予想していなかったことでしょう。
 第一、広告効果ということから考えても、これだけの長時間動画を視聴しようという者がどれだけいるかが問題で、早急に、ダイジェスト版も作ってアップした方が良いのではないかと、老婆心ながら助言したいと思います。
 
 ということで、広告主に敬意を表し、創元社ホームページの中の『朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか』紹介ページにリンクし、「内容紹介」「目次」「著者紹介」を引用します。
 
(引用開始)
内容紹介
緊迫化する世界情勢を読み解くカギはここにあった!
北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐって緊迫化する日本の安全保障。なぜヨーロッパでは30年も前に消滅した「冷戦構造」が、東アジアではいまだに続いているのか……。現在の日本政府は、アメリカとのあいだに存在する安全保障の枠組みを変えることはまったく選択肢になく、ただ中国と北朝鮮を、崩壊したソ連に代わる「新たな脅威」と位置づけ、従来の冷戦構造を維持しようとしている。本書では、その根源が67年前の「朝鮮戦争」にあることを明らかにし、対米関係では日本と双子のような関係にある韓国の軍事的状況から、これまであまり論じられてこなかった朝鮮戦争と日本の安全保障体制の関係についてときほぐし、これから進むべき日本の未来を展望する。
 
目次
第1章 ソウルにある米軍基地――100年越しの基地移転
第2章 北朝鮮と核ミサイル危機(1962年~2017年)
第3章 朝鮮戦争の歴史――開戦から休戦まで(1950年~1953年)
第4章 朝鮮戦争と日本の戦争協力
第5章 韓国軍の指揮権はなぜ米軍がもっているのか
第6章 朝鮮戦争をどうやって終わらせるか
 
著者紹介
五味 洋治(ごみ・ようじ)
1958年、長野県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1983年に中日新聞社東京本社へ入社し、1997年に大韓民国延世大学校に語学留学。ソウル支局、中国総局を経て、現在、東京新聞論説委員。著書に『父・金正日と私』(第44回大宅壮一ノンフィクション賞候補作:文春文庫)、『生前退位をめぐる安倍首相の策謀』(宝島新書)などがある。
(引用終わり)
 
 また、このページから「クリック立ち読み」ボタンをクリックすると、本書の一部のPDFファイルを閲覧することができます。このこと自体は、最近は多くの出版社のホームページで実施されており、「まえがき」や「目次」を含め、冒頭の30ページ程度が読めるようになっているのは別に珍しくありません。
 ただ、創元社の「戦後再発見」双書は、太っ腹というか何というか、他の出版社に比べて「立ち読み」できるページが多い!
 この『朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか』はどうかとクリックしてみたところ、何と1~107頁まで読めることが分かりました。これは、第1章と第2章の全部であり、全320頁の約1/3が無料で読めることになります。まあ、ネットで107ページ読もうという気力のある人なら、読み終わる前に多分この本を買っているでしょうけどね。
 
 それでは、以下にIWJの動画をご紹介します。
 
【広告連動企画】日本人が知らない冷戦構造「朝鮮国連軍体制」の衝撃!在日米軍基地は朝鮮有事で「後方基地」に!『朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか』著者・五味洋治氏に岩上安身が訊く! 2017.12.11
■全編動画(前編・12/11収録)5時間43分
■全編動画(後編・12/19収録)2時間29分
 
 なお、今回のインタビューの冒頭で、五味さんの新刊『朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか』に、独自に(?)サブタイトルを付けて紹介していました。それが「誰も知らない日本を支配する『朝鮮国連軍地位協定』」というものです。
 正直、私も知りませんでした。この10月に刊行された伊勢﨑賢治さんと布施祐仁さんの共著『主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿』(集英社クリエイティブ)で取り上げられたことによって初めて知ったという人も多いでしょう。
 
 そこで、『朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか』を読むために、あるいは8時間の超ロングインタビューを視聴するために、朝鮮国連軍地位協定日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定)とはどんなものか、参考サイトにリンクしておきます。
 
[外務省サイトから]
朝鮮国連軍地位協定(概要の説明)
(引用開始)
1 沿革
(1)朝鮮国連軍は,1950年6月25日の朝鮮戦争の勃発に伴い,同月27日の国連安保理決議第83号及び7月7日の同決議第84号に基づき,「武力攻撃を撃退し,かつ,この地域における国際の平和と安全を回復する」ことを目的として7月に創設された。また,同月,朝鮮国連軍司令部が東京に設立された。
(2)1953年7月の休戦協定成立を経た後,1957年7月に朝鮮国連軍司令部がソウルに移されたことに伴い,我が国に朝鮮国連軍後方司令部が設立された(当初キャンプ座間に置かれたが,2007年11月に横田飛行場に移転した。)。
(3)現在,在韓朝鮮国連軍は,朝鮮国連軍司令部本体と同司令部に配属されている軍事要員からなっており,在韓米軍司令官ブルックス陸軍大将が朝鮮国連軍司令官を兼ねている。
(4)横田飛行場に所在する朝鮮国連軍後方司令部には,ジャンセン司令官(豪空軍大佐)他3名が常駐しているほか,8か国(豪,英,加,仏,トルコ,ニュージーランド,フィリピン,タイ)の駐在武官が朝鮮国連軍連絡将校として在京各国大使館に常駐している。
2 我が国の国連軍に対する援助
(1)1951年9月,我が国は,吉田・アチソン交換公文により,サンフランシスコ平和条約の効力発生後も朝鮮国連軍が日本国に滞在することを許し,かつ,容易にする義務を受諾した。また,1954年6月,朝鮮国連軍が我が国に滞在する間の権利・義務その他の地位及び待遇を規定する国連軍地位協定が締結された(注1)。
(2)朝鮮国連軍による我が国における施設使用
ア 朝鮮国連軍は,国連軍地位協定第5条に基づき,(i)我が国における施設で,合同会議(注:国連軍地位協定に基づき設置された我が国政府と他の締約国政府間の協議・合意機関)を通じて合意されるもの及び(ii)在日米軍の施設・区域で我が国政府が合同会議を通じて同意するものを使用することができる(注2)。
イ 我が国が朝鮮国連軍の使用に供する施設は,国連軍地位協定と同時に作成された同協定についての合意された公式議事録(第5条に関する部分)に従い,「朝鮮における国際連合の軍隊に対して十分な兵たん上の援助(logistic support)を与えるため必要な最少限度に限るもの」となっている。
ウ 現在,朝鮮国連軍は,国連軍地位協定第5条に基づき,我が国内7か所の在日米軍施設・区域(キャンプ座間,横須賀海軍施設,佐世保海軍施設,横田飛行場,嘉手納飛行場普天間飛行場,ホワイトビーチ地区)を使用することができる。
(注1)締約国(12か国):日本,米国,オーストラリア,英国,カナダ,フランス,イタリア,トルコ,ニュージーランド,フィリピン,タイ,南アフリカ
(注2)国連軍地位協定第5条(抄)
国際連合の軍隊は,日本国における施設(当該施設の運営のため必要な現存の設備,備品及び定着物を含む。)で,合同会議を通じて合意されるものを使用することができる。
国際連合の軍隊は,合同会議を通じ日本国政府の同意を得て,日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基づいてアメリカ合衆国の使用に供せられている施設及び区域を使用することができる。
(引用終わり)
 
[データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)から]
(抜粋引用開始)
第五条
1 国際連合の軍隊は,日本国における施設(当該施設の運営のため必要な現存の設備,備品及び定着物を含む。)で,合同会議を通じて合意されるものを使用することができる。
2 国際連合の軍隊は,合同会議を通じ日本国政府の同意を得て,日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基いてアメリカ合衆国の使用に供せられている施設及び区域を使用することができる。
3 国際連合の軍隊は,施設内において,この協定の適用上必要な且つ適当な権利を有する。国際連合の軍隊が使用する電波放射の装置が用いる周波数,電力及び類似の事項に関するすべての問題は,合同会議を通じて相互間の合意により解決しなければならない。
4 国際連合の軍隊が1の規定に基いて使用する施設は,必要でなくなつたときはいつでも,当該施設を原状に回復する義務及びいずれかの当事者に対する又はその者による補償を伴うことなく,すみやかに日本国に返還しなければならない。この協定の当事者は,建設又は大きな変更に関しては,合同会議を通じ別段の取極を合意することができる。
(引用終わり)
 
 なお、刑事裁判権に関わる規定は第16条にありますが、あまりに長文名なので引用は控えました。関心のある方は是非リンク先でお読みください。
 
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