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『「ツタヤ図書館」の“いま”-公共図書館の基本ってなんだ?-(改訂版)』と「私たちの図書館宣言」を読む(図書館友の会全国連絡会)

 2018年1月13日配信(予定)のメルマガ金原.No.3046を転載します。
 
『「ツタヤ図書館」の“いま”-公共図書館の基本ってなんだ?-(改訂版)』と「私たちの図書館宣言」を読む(図書館友の会全国連絡会)
 
 図書館友の会全国連絡会のホームページによれば、同会は、「公立図書館の充実と発展を求め、会員相互に交流し、共に活動することを目的と」して(会則)、2004年4月に発足した組織です(今までの活動)。「会の目的に賛同し、目的に沿った活動をする団体・個人を会員と」し、「①意見や情報の交換・交流を行う」「②地域での活動を相互に援助・協力し、必要に応じて全国的な活動(政策提言、要請行動等)を行う」「③その他、会の目的を達成するために必要な活動を行う」(会則)と定められています。
 
 公益社団法人日本図書館協会が、日本中の図書館施設を有する法人・団体や個人などで構成される、日本の図書館を代表する総合的な全国組織であるのに対し、図書館友の会全国連絡会は、その「参加団体一覧」を見る限り、図書館を愛する市民が中心となった団体を主体として構成されているようです。
 
 私が、図書館友の会全国連絡会(「図友連(とともれん)」というのが公式の略称)のホームページを閲覧しようと思ったのは、もちろん「和歌山市民“ツタヤ”図書館問題」の流れであることは言うまでもありません。
 知人から、「図友連が、2016年に発行した『ツタヤ図書館』の問題点を分かりやすく解説したパンフレットを2年ぶりに改訂し、間もなくホームページに掲載する」という情報を教えてもらったのが昨年末、週プレNEWSに日向咲嗣さんが、和歌山市民図書館についての力のこもった記事を3回連載する少し前のことでした。
 ホームページを確認したところ、1月4日に「パンフレット「ツタヤ図書館」の“いま”改訂版(PDF)を掲載しました。」とトピック欄で紹介されていました。
 
 このパンフレット発行の趣旨を説明した部分を引用したいと思います。
 
(引用開始)
1 この「ミニパンフレット」の趣旨
○まずは知ろう
 物議をかもす「ツタヤ図書館」が全国にできようとしています。「ツタヤ図書館」の論争は図書館としてのあり方を超え、地方自治そのものを問うまで発展しています。
 この小冊子は、「ツタヤ図書館」の現状を簡単にお伝えすることで、疑問点・問題点を理解する糸口になることを目的としています。
○調べてみよう
 これを読んでさらに知りたくなったら、「図書館友の会全国連絡会」のホームページにこの小冊子の内容の元となる記事の主なURL、雑誌、新聞名がありますので読んでみてください。古い雑誌や新聞は図書館で閲覧できます。その図書館にない雑誌や新聞は、ほかの図書館から貸出やコピーをお願いすることもできます。図書館の窓口に行って「レファレンスをお願いします」とか「調べたいことがあるんです」と言って「ツタヤ図書館」について調べるための手伝いをお願いすることもできます
(以上「ツタヤ図書館」の“いま”より抜粋)
(引用終わり)
 
 全部で16ページのパンフレットで、全部読みにもそんなに時間はかかりませんので、
是非通読していただければと思います。なお、本文はリンク先のPDFファイルでお読みいただくとして、以下にはその見出しのみ引用します。
 
「ツタヤ図書館」の“いま”-公共図書館の基本ってなんだ?-
図書館友の会全国連絡会
2016 年01 月30 日発行 2018 年01 月01 日改訂
(見出しのみ引用開始)
1 この「パンフレット」の趣旨
○まずは知ろう
○調べてみよう
コラム〈基礎知識〉図書館運営の違い
2 「ツタヤ図書館」の発生(佐賀県武雄市
○突然の事だった
3 その他の「ツタヤ図書館」構想
◯「ツタヤ図書館」は、いまどうなっている?
◯批判を受ける「ツタヤ図書館」
4 数字と言葉のマジック
○運営費
○来館者数と登録者数
5“こども ”と図書館
武雄市図書館のおはなしの部屋
○「ツタヤ図書館」のこどもコーナー
武雄市のこども図書館
6 図書購入の問題点
○明らかになった中古本購入
○中古本購入の内幕は?
○海老名市立中央図書館で図書ですらない選書
○続く騒動と疑惑
○ダミー本
7 CCCの「ライフスタイル分類」の問題点
○図書を分類する目的とは?
8 Tカード問題
○TカードとTポイント
9 「ツタヤ図書館」のその他の問題点
○意見を聞かないCCC
○「ド素人」宣言
○指定管理者としてふさわしいのか?
10 「ツタヤ図書館」を求める行政
○図書館に「にぎわい」を求める行政
11 「図書館とは何か?」もう一度考えよう
○「ツタヤ図書館」は図書館ですか?
○直営の図書館だとできないことですか?
○図書館に必要なのは、見た目と居心地ですか?
私たちの図書館宣言
(引用終わり)
 
 冒頭の「調べてみよう」にあるとおり、簡潔にまとめられたパンフレットの記載の背後には、様々な報道や文献、資料があります。そこまで遡ってこそ、理解が深まることは言うまでもありません。いわば、このパンフレットは、そのような「自ら問題意識をもって調べる」ための導入の役割を担っているのです。
 「小冊子の内容の元となる記事の主なURL、雑誌、新聞名」をまとめたページはこちらです。
 
「ツタヤ図書館」の“いま” 改訂版 出典リンク集(ととも連活動報告より)
 
 『「ツタヤ図書館」の“いま”-公共図書館の基本ってなんだ?-』自体はリンク先でご覧いただきたいのですが、あと2箇所のみ引用したい部分があります。それは、「◯「ツタヤ図書館」は、いまどうなっている? 」と、巻末に掲載された「私たちの図書館宣言」です。
 前者を読めば、全国の「ツタヤ図書館」を「総ざらえ」しても「これだけ」しかないことがよく分かります。
 また、後者の「私たちの図書館宣言」を読むことにより、市民が図書館に何を求めるのか、どのような図書館にしていきたいのかという明確なビジョンを持つことが、「ツタヤ図書館」に立ち向かうための基本中の基本だということを再認識することができます。
 
◯「ツタヤ図書館」は、いまどうなっている?
(引用開始)
「ツタヤ図書館」の指定管理者は、TSUTAYA事業などを行っているCCCです。
武雄市佐賀県) 2013年4月開館 既存の建物を改装
海老名市(神奈川県) 2015年10月開館 既存の建物を改装
小牧市(愛知県) 2015年10月白紙撤回 計画中止
多賀城市宮城県) 2016年3月開館 新築物件に移転
高梁市岡山県) 2017年2 月開館 新築物件に移転
周南市山口県) 2018年2月開館予定 新築の新館
延岡市(宮崎県) 2018年3月開館予定 新築の新館*
和歌山市和歌山県) 2019年秋開館予定 新築物件に移転
延岡市は図書館でなく図書などの閲覧スペースも持つ公共複合施設の指定管理
(引用終わり)
 
私たちの図書館宣言
(引用開始)
 図書館は人類の叡智の宝庫です。読み、調べ、学び、交流し、必要な情報が得られる教育機関として、 私たちの自立と地域社会の発展になくてはならない施設です。
 
 私たちは、ここに図書館のあるべき姿を掲げます。
一 知る自由と学ぶ権利を保障する図書館
二 いつでも、どこでも、誰でも、身近に無料で利用できる図書館
三 資料・情報が豊富に収集・整理・保存・提供されている図書館
四 司書職制度が確立され、経験を積んだ館長と職員がいる図書館
五 利用者のプライバシーを守る図書館
六 情報公開と民意に基づく図書館協議会が機能する図書館
七 教育委員会の責任で設置し、直接、管理運営される図書館
 
 私たちは、この実現のために、図書館を支え、守り、すべての人と手をつな ぎ、図書館とともに成長することを宣言します。
 
図書館友の会全国連絡会 2009.5.25総会決議/2012.5.22総会改訂
(引用終わり)
 
※「私たちの図書館宣言」解説 2011 年 5 月 23日採択
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/図書館問題関連)
2017年8月12日
新しい和歌山市民図書館(2019年10月開館予定)に指定管理者制度が導入される
2017年9月16日
「市民と歩む図書館~図書館が変わる!?~」(9/30山本健慈さん&渡部幹雄さん/和歌山市勤労者総合センター)のご案内
2017年10月1日
「市民と歩む図書館~図書館が変わる!?~」(2017年9月30日)大成功!
2017年12月1日
和歌山市民図書館が「ツタヤ図書館」に!?~市民の皆さん、嬉しいですか?
2017年12月2日
「ツタヤ図書館」を通じて「図書館」そのものを学ぶために~「武雄市図書館・歴史資料館を学習する市民の会」設立趣旨を読む
2017年12月30日
週プレNEWSが取り上げた「和歌山市民“ツタヤ”図書館」問題~目を離したらオシマイだ
2018年1月2日
図書館の自由に関する宣言」(日本図書館協会総会1954年採択/1979年改訂)を読む