wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

陸上自衛官が提起した「命令服従義務不存在確認請求控訴事件」についての東京高等裁判所(第12民事部)の判決要旨を読む

  2018年2月1日配信(予定)のメルマガ金原.No.3065を転載します。
 
陸上自衛官が提起した「命令服従義務不存在確認請求控訴事件」についての東京高等裁判所(第12民事部)の判決要旨を読む
 
 昨日(1月31日)、東京高等裁判所第12民事部(杉原則彦裁判長)で言い渡された、現職の陸上自衛官が国を相手取って訴えていた「命令服従義務不存在確認請求控訴事件」についての判決には驚かされました。
 さすがに、主要なメディアが一斉に報じていますので、そのうちのいくつかにリンクをはるとともに、今日の東京新聞朝刊の記事の一部を引用します。
 
東京新聞 2018年2月1日 朝刊
安保法の防衛出動、拒めるか 東京高裁、門前払いの一審取り消し
(抜粋引用開始)
 集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法は憲法九条に反し違憲だとして、茨城県の陸上自衛官の男性が国を相手に、「存立危機事態」での防衛出動命令に従う義務がないことの確認を求めた訴訟の控訴審判決が三十一日、東京高裁であった。杉原則彦裁判長は訴えは「適法」として、門前払いとした一審東京地裁判決を取り消し、審理を地裁に差し戻した。
 集団的自衛権行使が違憲かどうかについて高裁判決は触れておらず、今後、差し戻し審で判断が示される可能性がある。
 杉原裁判長は判決理由で、安保法が制定されたことを踏まえ、存立危機事態が生じたり防衛出動命令が発令される可能性を認めた上で、命令の対象となる自衛官について「特定の戦闘部隊に限られる保証はない。後方業務を担う部隊も含め、全ての現職自衛官は命令の対象となる可能性が非常に高い」と述べた。
 さらに、男性が命令に従わない場合について「社会的非難を受けたり、懲戒処分や刑事罰を受けることになる」と指摘。「重大な損害を予防するための提訴は適法」と結論付けた。
 昨年三月の一審判決は、命令が出る事態に直面しているとはいえず、男性が直接戦闘を行う部隊に所属したことがないことなどから、男性に訴えの利益はないとして却下していた。
 高裁判決によると、男性は一九九三年四月に陸自に入隊し、施設科の部隊などに所属。二〇一六年に提訴した。
(引用終わり)
 
NHK NEWS WEB 2018年1月31日 17時51分
自衛官の安保法違憲訴訟 東京高裁が審理やり直し命じる
 
TBS NEWS 2018年1月31日21時35分
自衛官の安保法違憲訴訟、東京高裁が審理差し戻し
 
産経ニュース 2018.1.31 17:35
安保関連法違憲訴訟、1審の却下取り消し差し戻し 東京高裁
 
 現職の自衛官が、1人で違憲訴訟を提起されたということは耳に入っていたものの、代理人を付けずに本人訴訟でやっておられたと聞いており、そのような事情もあって、なかなか情報に接する機会がありませんでした。
 現在、「安保法制違憲訴訟の会」が把握するだけでも、全国21地裁に24件の安保法制違憲訴訟が係属しており、原告総数は7,152名に達していますが、その中には、自衛官の家族や元自衛官はおられますが、現役の自衛官はいなかったと思います。
 これらの訴訟に踏み切った各地の弁護団でも、また、提訴できていないけれども、検討はしてきた私の地元(和歌山)のような地域の弁護士でも、「現役自衛官が原告になってくれたら」という思いが脳裏をかすめたことのない者は一人もいないでしょう。
 けれども、原告になることによる隊の内外から向けられる様々な圧力を(自分自身だけではなく家族のことも)考えれば、「無理だろうなあ」ということになるのです。
 
 しかし、一人の勇気ある陸上自衛官が、2016年に提訴に踏み切ってくださったのでした。しかるに、2017年3月、一審・東京地方裁判所は、「原告が防衛出動命令の発令される事態に現実的に直面しているとはいえず,また,現時点において原告又は原告が所属する部署に対して防衛出動命令が発令される具体的・現実的可能性があるということはできないと指摘した上で,原告の有する権利又は法律的地位に危険や不安が存在するとは認められないから,本件訴えは確認の利益を欠き,不適法であると判断してこれを却下」しました(後掲東京高裁「判決要旨」から、控訴人とあるところを原告に置き換えて引用)。
 これを不服として控訴した東京高等裁判所では、控訴人(原告)の自衛官は、個人的に信頼する群馬弁護士会所属の弁護士に代理人を依頼し、二人三脚で昨日の判決を迎えたということのようです。
 国が上告するかどうかという問題もあり、東京地裁での差戻審がすぐに始まる訳ではありませんが、いずれにせよ、今後の訴訟代理人がどうなるのか、原告ご本人の納得を得ながら、極力充実した体制での訴訟活動を目指して組織されていくのだろうと思います。
 
 ところで、この判決については、昨日の夕方、私も所属する某メーリングリストに、「判決要旨」(マスコミから入手したもののようでした)のPDFファイルが流れてきました。早速プリントアウトして読んでみて、「これは是非多くの人に読んでもらいたい」と思いました。
 この種の重大事件についての「判決要旨」は、裁判所自身が作成して報道機関に配布するのが通例で、すぐにインターネットで読めるようになることも珍しくありません(例えば、「News for the People in Japan」など)。しかし、NPJサイトを閲覧しても、すぐには掲載されるようでもありませんでしたので、意を決して(?)昨夜のうちに、「判決要旨」のほぼ全文を再入力し、Facebookのタイムラインに投稿しました(もちろん「公開」設定で)。
 すると、みるみるこの投稿が「シェア」されていき(FB友達ではない見ず知らずの人も多数)、関心の高さがうかがわれました。
 
 ということで、今日のブログでも、「判決要旨」全文を掲載してご紹介しようと思います。
 何はともあれ、そんなに長いものではありませんので、「判決要旨」の全文を是非お読みください。
 既に「シェア」してくださった方が書かれていることですが(特に大阪弁護士会の青木佳史弁護士の解説が分かりやすい)、この判決を読んでの私の感想を簡単に書いておきます。
 
東京新聞の記事にあるとおり、昨日の東京高裁の判決は、安保法制が違憲か合憲かについての判断はしていません。けれども、控訴人(原告)には、裁判所にそのような判断を求める資格がある(無名抗告訴訟を提起できる要件を満たしている)と判示したのですから、東京地裁での差戻審が始まれば、これまで各地の安保法制違憲訴訟において、一貫して、安保法制の憲法適合性の議論には入らず、訴訟要件をめぐる主張だけで結審を目指す方針を続けてきた被告・国を、「安保法制は違憲なのか、それとも合憲なのか」という土俵に引っ張り出すことができるかもしれないという期待が高まります。
 
〇また、このことは、審理する裁判所(裁判官)に対しても、否応なく安保法制の憲法適合性について向き合い、判断することを求めるということでもあります(統治行為論に逃げ込まない限り)。
 
〇青木弁護士はじめ、何人かの方が指摘していましたが、私も判決要旨の以下の部分を読んだ時は目が点になりそうでした。
「なお,存立危機事態が生じることや防衛出動命令が発令されることがおよそ想定できないという被控訴人の主張は,平和安全法制整備法による自衛隊法の改正が平成27年にされていることに照らし,採用することができない。」 
 いやあ、「判決要旨」のこの要約の基になった国の準備書面を是非読んでみたいものだと、弁護士なら誰でも思いますよね。国の指定代理人は何を考えていたのだろうか。
 
 それでは、「判決要旨」全文を以下に引用するとともに、「判決要旨」で言及されている法律(自衛隊法、行政事件訴訟法)の該当条文を末尾に掲載します。
 なお、以下の「判決要旨」は私がキーボード入力したものですから、入力ミスがあるかもしれません。一度読み直して校正したところ、数カ所の誤りを発見して修正しましたが、なお校正漏れがあるかもしれませんので、万一の時は何卒ご容赦ください。
 
(引用開始)
平成30年1月31日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 
平成29年(行コ)第157号命令服従義務不存在確認請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成28年(行ウ)第143号)
口頭弁論終結日 平成29年11月27日
                                       
                                判 決 要 旨
 
  控訴人         X
  同訴訟代理人弁護士  三 角 俊 文
  被控訴人           国
     同代表者法務大臣    上 川 陽 子
                                       
                                主    文
  1 原判決を取り消す。
  2 本件を東京地方裁判所に差し戻す。
 
                              事実及び理由の要旨
第1 控訴の趣旨
1 主文第1項同旨
2 控訴人が,自衛隊法76条1項2号による防衛出動の命令に服従する義務がないことを確認する。
3 訴訟費用は,第1,2審を通じて被控訴人の負担とする。
 
第2 事案の概要
1 本件は,陸上自衛官である控訴人が,我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律(平成27年法律第76号。以下「平和安全法制整備法」という。)による改正後の自衛隊法(以下,単に「自衛隊法」という。)76条1項2号が憲法に違反していると主張して,同項に基づく自衛隊の全部又は一部の出動の命令(以下「防衛出動命令」という。)のうち同項2号によるもの(以下「存立危機事態における防衛出動命令」という。)に服従する義務がないことの確認を求めた事案である。
2 原判決は,控訴人が防衛出動命令の発令される事態に現実的に直面しているとはいえず,また,現時点において控訴人又は控訴人が所属する部署に対して防衛出動命令が発令される具体的・現実的可能性があるということはできないと指摘した上で,控訴人の有する権利又は法律的地位に危険や不安が存在するとは認められないから,本件訴えは確認の利益を欠き,不適法であると判断してこれを却下した。
3 そこで,控訴人は,原判決を取り消して控訴人の請求を認容することを求めて控訴した。
 なお,控訴人は,当審において,本件訴えにについて,控訴人が存立危機事態における防衛出動命令に服従しなかった場合に受けることとなる懲戒処分の予防を目的とする無名抗告訴訟抗告訴訟のうち行政事件訴訟法3条2項以下において個別の訴訟類型として法定されていないものをいう。以下同じ。)であると釈明した。
 
第3 当裁判所の判断の要旨
1 本件訴えは,存立危機事態における防衛出動命令に基づく本件職務命令への不服従を理由とする懲戒処分を受けることの予防を目的として,控訴人が存立危機事態における防衛出動命令に服従する義務がないことの確認を求める無名抗告訴訟であるところ,その請求の趣旨は,存立危機事態における防衛出動命令に基づき控訴人に対して下される本件職務命令に服従する義務がないことの確認を求めるものと解することができ,実質的には,本件職務命令への不服従を理由とする懲戒処分の差止めの訴えを本件職務命令ひいては防衛出動命令に服従する義務がないことの確認を求める訴えの形式に引き直したものということができる。
 そうすると,本件訴えが適法な無名抗告訴訟と認められるためには,本件職務命令に服従しないことやその不服従を理由とする懲戒処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあること(重大な損害の要件。行政事件訴訟法37条の4第1項本文,同条2項各参照)及びその損害を避けるため他に適当な方法がないこと(補充性の要件。行政事件訴訟法37条の4第1項ただし書参照)の2つの要件を満たすことが必要である。
2 自衛隊は,我が国の平和と独立を守り,国の安全を保つため,我が国を防衛することを主たる任務としている(自衛隊法3条1項)ところ,隊員は,事に臨んでは危険を顧みず,身をもって責務の完遂に努め,もって国民の負託にこたえることを服務の本旨としている(自衛隊法52条)のであるから,存立危機事態における防衛出動命令に基づく本件職務命令を受けながら,これに服従しない自衛官は,我が国の防衛という重要な任務に背き,服務の本旨を蔑ろにしたものとして,極めて厳しい社会的非難を受けることになることに加え,本件職務命令への不服従を理由とする懲戒処分,更には重大な刑事罰を受けることになるのである。そして,存立危機事態の危険性及び切迫性に照らすと,防衛出動命令に基づく本件職務命令を受けた自衛官がその服従を怠るときは,我が国の国民や他の自衛官の生命及び身体に高度の危険を及ぼすおそれがあることが明らかであるから,本件職務命令に服従しなかった自衛官に対する懲戒処分は,当該自衛官に課せられた重大な責任に違反するものとして,免職を含む重大なものとなることが容易に想定できる。また,刑事罰も同様に重いものになると考えられる。このような極めて厳しい社会的非難にさらされること並びに重大な懲戒処分及び刑事罰の対象となることにより控訴人が被ることになる損害は,行政処分たる懲戒処分がされた後に取消訴訟又は無効確認訴訟を提起して執行停止の決定を受けることなどはもとより、当該処分の差止めを命ずる判決を受けることによっても容易に救済を受けることができるものではない。
 なお,存立危機事態が生じることや防衛出動命令が発令されることがおよそ想定できないという被控訴人の主張は,平和安全法制整備法による自衛隊法の改正が平成27年にされていることに照らし,採用することができない。
 そうすると,本件訴えは,無名抗告訴訟の要件として求められる「重大な損害を生ずるおそれ」がある場合にあたるということができ,重大な損害の要件を満たすものというべきである。
3 防衛出動命令に基づく本件職務命令への不服従を理由とする懲戒処分は,免職を含む重大なものとなるばかりか,存立危機事態における防衛出動命令が発令される場合に,これに基づく本件職務命令を受けながらこれに服従しない自衛官は,服務の本旨を蔑ろにしたものとして極めて厳しい社会的非難を受けることになるのであるから,このような控訴人に生ずるおそれのある損害は,事後的に懲戒処分の取消訴訟又は無効確認訴訟を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではないことが明らかであり,また,懲戒処分の差止めを命ずる判決を受けることによっても容易に救済を受けることができるものではなく,防衛出動命令に基づく本件職務命令に服従する義務の不存在を事前に確認する方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものである。
 したがって,本件訴えは,無名抗告訴訟の要件として求められる「その損害を避けるために他に適当な方法がないこと」に当たるということができ,補充性の要件も満たすものというべきである。
4 以上のとおり,防衛出動命令に基づく本件職務命令への不服従を理由とする懲戒処分を受けることの予防の目的として,控訴人が自衛隊法76条1項2号による防衛出動命令に服従する義務がないことの確認を求める本件訴え(無名抗告訴訟)は,存立危機事態における防衛出動命令に基づき控訴人に対して下される本件職務命令に服従する義務がないことの確認を求めるものであるところ,控訴人に対して生じる重大な損害を避けるため他に適当な方法がないのであるから,適法な訴えであるということができる。
 
 東京高等裁判所第12民事部
      裁判長裁判官  杉 原 則 彦
                            裁判官  山 口   均
                            裁判官  井 上 泰 人
(引用終わり)
 
(参考法令1・行政事件訴訟法
 (抗告訴訟
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
3 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
 (差止めの訴えの要件)
第三十七条の四 差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。
2 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分又は裁決の内容及び性質をも勘案するものとする。
3 差止めの訴えは、行政庁が一定の処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
4 前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第九条第二項の規定を準用する。
5 差止めの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきでないことがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をすることがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずる判決をする。
 
(参考法令2・自衛隊法)
 (自衛隊の任務)
第三条 自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。
2 自衛隊は、前項に規定するもののほか、同項の主たる任務の遂行に支障を生じない限度において、かつ、武力による威嚇又は武力の行使に当たらない範囲において、次に掲げる活動であつて、別に法律で定めるところにより自衛隊が実施することとされるものを行うことを任務とする。
一 我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資する活動
二 国際連合を中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動
3 陸上自衛隊は主として陸において、海上自衛隊は主として海において、航空自衛隊は主として空においてそれぞれ行動することを任務とする。
 (服務の本旨)
第五十二条 隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえることを期するものとする。
 (防衛出動)
第七十六条 内閣総理大臣は、次に掲げる事態に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。この場合においては、武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第九条の定めるところにより、国会の承認を得なければならない。
一 我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態又は我が国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至つた事態
二 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態
2 内閣総理大臣は、出動の必要がなくなつたときは、直ちに、自衛隊の撤収を命じなければならない。