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中野晃一さんからのメッセージ~安倍改憲にはバラバラに反対するんでいんじゃね?(護憲論、立憲的改憲論、新9条論)

 2018年2月11日配信(予定)のメルマガ金原.No.3075を転載します。
 
中野晃一さんからのメッセージ~安倍改憲にはバラバラに反対するんでいんじゃね?(護憲論、立憲的改憲論、新9条論)
 
 今日のブログでは、昨日(2月10日)午後1時から、新宿駅西口で開かれた市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)が主催し、総がかり行動実行委員会(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)が共催した「ストップ安倍暴走政治!2.10市民と野党の大街頭宣伝」の動画をご紹介しようと思っていました。これも、もちろんご紹介するのですが、ブログを書き始めようと思い、関連情報の検索をしていたところ、とても重要なメッセージが中野晃一さん(上智大学教授・政治学)から発信されていることに気がつき、まず始めにこちらをご紹介すべきと考えました。
 
 それは、中野晃一さんが、昨晩(2月10日)の真夜中ころ、Facebookで発信された文章で、【安倍改憲にはバラバラに反対するんでいんじゃね?】というタイトルが付されていました。
 普段の中野さんのFacebookでは、気になるネット情報をシェアしつつ、2行前後の感想を添えるというスタイルが専らで、これくらいまとまった文章を発信することは、そう多くはないと思います(全ての発信をフォローしているわけではないので、あてにはなりませんが)。
 さて、このメッセージの宛先は、安倍改憲に反対する全ての人々なのですが、主としては、「立憲的改憲論」者や「新9条論」者から「教条的護憲論」者よばわりされて(されたと考えて)頭にきている人たちに対し、「頭を冷やしてよく考えよう」というメッセージを送られたのではないか、と私は受け取りました。
 そこで、この重要なメッセージを、単にFacebookでシェアしたり、twitterや私が登録しているメーリングリストで紹介したりするだけではなく、ブログでもご紹介すべきと判断しました。
 なお、著作権に配慮して、部分引用にとどめようかとも思ったのですが、中野先生ご自身、Facebookでのプライバシー設定は投稿ごとに区別されている中で、この投稿については「公開」設定とされ、投稿後16時間経過時点で既に125人がシェアしていること、
投稿の内容から、1人でも多くの安倍改憲に反対する人々の目に触れることが、中野先生の発信の趣旨にも適うのではないかと考えられることから、私の責任で全文引用させていただきます。なお、引用にあたり、数字とアルファベットについては、半角を全角に改めたことを申し添えます。
 
中野晃一【安倍改憲にはバラバラに反対するんでいんじゃね?】
(引用開始)
安倍改憲に反対する人たちの間でのいがみ合いや相互批判が、ここのところ過熱気味であるように思います。かく言う私も「教条的護憲論」などと表に裏に揶揄されると頭に血が上ります(笑)。しかーし、小選挙区(1人区)と国民投票の違いを思い返すことが重要ではないでしょうか。単純化するとこういうことです。
 
小選挙区(1人区): 自公候補(40票)に対して、野党候補A(30票)と野党候補B(20票)と票が割れると、共倒れとなり、自公候補が当選してしまう。よって、野党候補の一本化が必要(で、これがえらい大変)。
 
国民投票: 安倍改憲案賛成(◯40票)に対して、安倍改憲案反対理由A(×30票)と安倍改憲案反対理由B(×20票)となっても、反対理由の違いは関係ないので共倒れは起きず、反対(×計50票)が賛成(◯40票)を上回れば否決できるし、そもそも発議が困難になる。つまり、反対理由の「一本化」は不要。
 
ここで言う、反対理由AやBとは、いわゆる「護憲論」や「立憲的改憲論」「新9条論」などのことです。
 
「現状維持、護憲と言ってるだけでは勝てない」「対案など出しても、実際にそれが発議される可能性はないから、改憲ありきムードに与するだけ」正直、どちらも一理あるのではないでしょうか。どちらも単独ではダメでしょう。いがみ合うことにエネルギーを使ったらもっとダメでしょう。
 
「護憲論」と「立憲的改憲論」がお互いに支持者を引き剥がしあおう、論破しよう、説得しようとしていても何の意味も効果もないでしょう。お互いがますます嫌いになるだけ。でも本当は、一丸となる必要がないわけです。安倍改憲への反対に神経を集中して、それぞれの仕方でもっとも効果的と思う反対論を組み立てて、無関心層や穏健保守、安倍嫌いの創価学会員にリーチしていくことをめざすほうが生産的ではないでしょうか。
 
実は、今や市民連合で力を合わせている総がかりやSEALDsなども、2015年夏はきれいごとでは済まない運動論など考え方の違いがあり、ぶつかり合いがありました。でもすごかったのは、安保法制への反対に神経を集中させることを最後まで忘れなかったことです。あの夏、国会のなかでは小選挙区制の歪みによる数の力で押し切られてしまいましたが、世論では反対派の圧勝でした。今回は、国民世論に直接訴えることで発議の阻止も国民投票での否決も充分に可能性があります。
 
戦う相手は安倍改憲、リーチしていきたいのはまだ考えが定まらない人たち。「護憲論」と「立憲的改憲論」の間のお互いの悪口や批判をどうしてもやりたい人は裏でやるとして、表では安倍改憲に対する批判をそれぞれのやり方で広げることに集中しませんか。ビジネスライクにすみ分けられればいいわけで、正直、お互い仲良くなる必要もないと思います。
 
*ある意味、暴論ですから批判くださっても結構ですが、反応するつもりはありません。安倍改憲を止めることのほうが重要なので、悪しからずー。
(引用終わり)
 
(付記・2月3日講演動画の再紹介)
 昨日のブログでご紹介した、2月3日、JCJとマスコミ九条の会によって開催された緊急2月集会「安倍政権、憲法改悪を国会に発議のかまえ」での中野晃一さんの講演動画を再紹介します(中野さんの講演は4分~1時間03分)。併せて、末尾の部分の書き起こしも再掲しておきます。
2・3緊急2月集会(講演のみ)(2時間15分)
(書き起こし・開始 1時間00分~)
中野晃一氏 今年は選挙がないですから、なかなか厳しいと思うんですけども、その中で3000万署名とか、国会の内外で声をあげて、多くの人に伝えるということ。その中で、やっぱり「広げる」っていうことの工夫が、それぞれが智恵を絞ってやることだと思うんですよ。ただですよ、最後に、時間になったんで、1つだけ申し上げると、「広げる」って言うと、皆さん、突然ですよ、「若い人、どうやったら入ってきてくれるだろう」って仰るんですよ。無理です!(笑)というか、止めた方がいいと思います。ご自分が18歳とか20歳だった時に、自分のお祖父ちゃんやお祖母ちゃんにあたる人が、急に「一緒に遊ぼう」って言ったら、断りますよね。またの機会に・・・。それは、無理ってもんです。無理ってもんです。まかり間違って誰か来てくれたら歓迎するってのはありますけど、基本的にはそんなことは、そんな野望は抱かない方がいいです。そんなことしなくたってですよ、私もSEALDsの子たちと、その後親しくなって、今日も実は夜打合せがあって、あと会うんですけども、彼らのことを知るようになって、分かったのは何かっていったら、皆さんの背中を見て、彼らは出てきたんです。言われた時には、「鬱陶しい」とか色々思ったかもしれないけれども、みんながですよ、共通してるのは何かって見たときには、自分の親だったりとか、先生だったりだとか、あるいは沖縄の人、広島、長崎での原爆の被害者、被爆者たちの話を聞いて、それを受け止める知性と感性を持っていて、声を出す勇気を持っていた若者が、あの時、どこからともなく出てきてくれたんです。そんなものは、もう神に感謝するしかないわけで、狙ってできることじゃない。でも、種を撒くことはできるはずなんです。それは、自分なりの信念をもって、しかし人に押し付けるのではなくって、できるだけ多くの人に届けたいという思いは持ちながら、声をあげるということが、やっぱり「広がる」ことに繋がっていくわけで、急に無理矢理自分の孫でもおかしくない人に声をかけるよりかは、自分に近い人で、「この人とうまくいったらもう少し話せるんじゃないか」っていう人の方が、絶対効果は高いんです。で、もう一つは、自民党の支持者とかそういう人をひっくり返してくる必要もないんです。投票に行ってない人を貰ってくる方が大事なんです。だから、その辺は見誤らないようにして、急に無理をしないようにして、自分に近いところで、そこで繋がればいいわけです。
(書き起こし・終わり)
 
 それでは最後に、昨日開催された「ストップ安倍暴走政治!2.10市民と野党の大街頭宣伝」をご紹介します。政党では、立憲民主党社会民主党日本共産党(発言の順番は「到着順」とアナウンスされていました)の3党から発言がありました。動画はいくつもアップされていますが、その中から「Makabe Takashi」さんの動画を使わせていただきました。
 
市民連合 ストップ安倍暴走政治!2.10市民と野党の大街頭宣伝 2018年2月10日(1時間28分)
冒頭~ 司会:菱山南帆子さん(総がかり行動実行委員会)
1分~ 山口二郎さん(市民連合
5分~ 町田ひろみさん(安保関連法に反対するママの会)
9分~ 谷虹陽さん(未来のための公共)
16分~ 海江田万里さん(衆議院議員立憲民主党
26分~ 又市征治さん(参議院議員社会民主党
37分~ 小池晃さん(参議院議員日本共産党
47分~ 大江京子さん(改憲問題対策法律家6団体連絡会)
55分~ 佐藤学さん(安保関連法に反対する学者の会)
1時間03分~ 池田香代子さん(九条の会
1時間13分~ 高田健さん(総がかり行動実行委員会)
1時間27分~ コール:菱山南帆子さん(総がかり行動実行委員会)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/中野晃一氏関連)
2014年10月10日
日弁連集団的自衛権行使に反対する集会とパレードを主催する意義 
2014年10月11日
安倍晋三首相の“正気とは思えない”歴史認識と積極的平和主義~第13回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)での基調講演から
2015年8月28日
動画紹介「100大学有志共同行動記者会見」&「日弁連・学者の会合同記者会見」(8/26)
2015年10月26日
動画紹介10/25シンポジウム「岐路に立つ日本の立憲主義・民主主義・平和主義―大学人の使命と責任を問い直す」(安全保障関連法に反対する学者の会)
2015年11月24日
『「戦後保守」は終わったのか 自民党政治の危機』(日本再建イニシアティブ)の刊行について
2016年1月8日
中野晃一上智大学教授による「グローバルな寡頭支配vs.立憲デモクラシー」~1/8立憲デモクラシー講座 第4回)
2016年2月2日
中野晃一上智大学教授ふたたび~秋田で語った「憲法九条の力-立憲主義を守る 市民運動のこれから-」
2016年4月6日
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2016年8月2日
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2017年2月11日
杉尾秀哉参議院議員と中野晃一氏が語る長野の闘いと野党共闘の今後(2017年2月7日@東京)
2017年3月18日
中野晃一氏 講演会「市民の力で立憲民主主義を創る~他者性を踏まえた連帯の可能性~」(4/28和歌山県民文化会館)のご案内
2017年4月24日
中野晃一氏『つながり、変える 私たちの立憲政治』を読み、4月28日の講演会@和歌山市に期待する
2017年4月28日
中野晃一氏講演会「市民の力で立憲民主主義を創る~他者性を踏まえた連帯の可能性~」@和歌山市(4/28)の動画紹介
2018年2月10日
中野晃一氏と望月衣塑子氏の講演で考える「憲法改悪」と「米朝開戦」を阻止するために(2/3@JCJ・マスコミ九条の会