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滝本太郎弁護士の「安倍9条改憲 Q&A」~あなたならどう使いますか?

 2018年2月16日配信(予定)のメルマガ金原.No.3080を転載します。
 
滝本太郎弁護士の「安倍9条改憲 Q&A」~あなたならどう使いますか?
 
 横浜弁護士会滝本太郎さんと聞いて、オウム真理教から度重なる攻撃(生命を狙った)を受けながら、九死に一生を得た弁護士とすぐに思い出せる方は、そこそこの年齢になっておられるかもしれません。何しろ、1月に阪神淡路大震災が発生した1995年、3月20日に地下鉄サリン事件、その2日後の同月22日に警察による同教団への強制捜査着手、そして、5月16日に教組・麻原彰晃こと松本智津夫の逮捕と続くのですが、もうあれから23年近くが経つのですからね。
 
 また、滝本太郎弁護士が提唱した「日の丸9条の会」のことを取り上げた私のブログを思い出してくださる方がいたとしたら、相当に熱心な私のブログの読者であると感謝しなければなりませんが、まあほとんどいないかな。
 
2015年9月9日
「日の丸9条の会」って何だ?
 
 滝本弁護士も私も登録しているメーリングリストで、「ところで、以前私のブログで紹介させていただいた「日の丸9条の会」は、その後どうなったのでしょうか?」と問いかけたところ、滝本さんから、どちら側の運動家からもひどく攻撃されるのでなかなか広がらないとぼやきつつ、「今は、リアルの面では、添付のようなチラシを撒いてます。」ということで、「3000万署名用紙・日の丸9条の会ヴァージョン」(両面印刷)のPDFファイルをご紹介いただきました。
 その署名用紙の表面では、日の丸9条の会の設立趣旨と要綱を紹介しつつ、「「日の丸9条の会」は、2015年安保法を前提とし、限定なき海外派兵のため「自衛隊」を書き入れる安倍9条改憲に反対します。」と宣言され、裏面には、統一署名書式を取り囲むように、以下のような訴えが書かれています。
 
(引用開始)
-上側-
防衛のためでもないのに、
自衛官を殺させるな、自衛官に殺させるな。
 安倍政権は、貧富の格差を拡げるばかり、お札をするだけ破綻必至の「アベノミクス」を進めるだけでなく、今なんで、アメリカの下っ端となって海外派兵させようとするのか。歴代の自民党内閣は、アメリカの要求をうまくあしらいました。韓国兵も5000人近く死亡したベトナム戦争ですが、社会党共産党が強く反対してる、9条があるとして、派兵まではせず。大量破壊兵器さえなかったイラクにも派兵せず。
 一昨年、安倍首相のご自宅近くには、まともなウヨクが日の丸を掲げ批判デモもしました。「最重要なことでの一点共闘」とは、思想や政策が違っても、憎ったらしくとも「今回はその一点で共闘する」意味です。1994年、自民党は与党に戻るために、社会党の村山党首を総理大臣にする投票までして与党に戻りました。思想も政策も違いますが、まさに権力を握るための「共闘」でした。中国では、直前まで殺し合っていた国民党と共産党が「国共合作」をして日本軍と戦いました。幕末の日本、殺し合っていた長州軍と薩摩軍は「薩長同盟」を結び、幕府を倒しました。
-左側-
今は、「左翼と右翼の闘い」でも「保守と革新の闘い」でもなく「まともな保守愛国主義と、人を愛さない売国反動独裁主義との闘い」です。
-右側-
政治に無関心ではいられるけれど、政治に無関係ではいられません。
(引用終わり)
 
 この日の丸9条の会ヴァージョンだから署名してくれる人がどれほどいるのかは未確認ですが、安倍改憲を阻止するために、様々な方向からの運動が必要とされる情勢下、そのユニークさを今こそ発揮して欲しいと願っています。
 
 さて、今日私がご紹介したいと考えているのは、日の丸9条の会のことではなく(どうもマクラが長くなり過ぎた)、滝本さんが、ブログ(『生きている不思議 死んでいく不思議』-某弁護士日記)やメーリングリストで発表し、「転載自由」で「拡げてください」と仰っている「安倍9条改憲 Q&A」なのです(「中国の覇権主義と安倍9条改憲」というのもあります)。
 中国や北朝鮮の脅威から日本を守るためには改憲もやむを得ないのでは?と考えている層の国民にどう訴えていけば良いか?という問題意識は、多くの人が共有しており、そのための対策をまとめた手引きもない訳ではありませんが、いざ、署名活動の実践の中で生かせるものというと、なかなか適当なものがないのですよね。
 滝本太郎さんが発表された「安倍9条改憲 Q&A」は、私が今まで目にした中で、最も実戦的なものの1つではなかろうかと思い、皆さまの参考にしていただきたくご紹介しました。ご自身が活用されるだけではなく、「拡散」にもご協力いただければと思います。
 なお、ややおせっかいな(※金原注)を何箇所かに付した他、明白な「てにおは」の誤記は勝手に直しています。皆さんも、滝本さんの「Q&A」をコピペした上で、私のように控え目(?)にではなく、自分の思うように書き直して使えば良いのだと思います。
 
『生きている不思議 死んでいく不思議』-某弁護士日記 2018年2月15日
「安倍9条改憲 Q&A」
(引用開始)
安倍9条改憲「Q&A」の一案。
―長いですがご参考までに。転載自由にて。
 
北朝鮮や中国から攻撃されるんでないの?
北朝鮮が日本を先制して武力攻撃することはありえないでしょう。すれば直ちに北朝鮮政府を武力で崩壊させる正当性ができ、北朝鮮政府は崩壊ですから。
 ありえるのは、米国が攻撃して、その反撃として日本の米軍や自衛隊基地そして原発などにミサイルを撃ち込まれることです。全面戦争となった場合の被害は分かりません。2週間で日本と朝鮮半島で2~300万人の死亡だと。
 中国の覇権主義は確かに心配です。ですが中国の最大貿易相手国は米国であり、日本も重要な相手国です。あり得ない話です。また自衛隊は、フィリビンやベトナムと異なり、実質有数の軍隊ですから、南沙諸島とは異なります。尖閣諸島では互いの海上保安庁程度にて、国威発揚を続けあい、やがて忘れられていくのが最もよい方策だと思うんです。
 
Q なぜ、自衛権とか自衛隊とか書き加える程度なのに反対するのですか?
A これ、
1―2015年安保法を前提とした改憲であり、海外派兵を限度なく進めるためのもの。
2―ヘリ空母の戦艦(※金原注「護衛艦」?)いずもを改造して戦闘機の着艦可能な航空母艦とし、空中給油機、敵基地への先制攻撃をできる武器を持つ、小型核兵器ならば論理的には保持できるとかって今の自民党・安倍政権は言ってるんです。侵略的兵器をますます装備することになっていくってまずいって。
3―あの侵略戦争、無謀に(※金原注「無謀な」?)戦争につきまともに反省してない輩ですよね、そんなのは専守防衛から離れていくだけっしょ。
4―ますます米国の植民地軍になっていき、日本が自立できずまずいんでないの。日米地位協定で、米軍関係者が基地の外で罪をおかしても当然には強制捜査できないって酷くないですか。トルコだって自国の米軍基地から他国を攻撃する場合は、承認するかどうかの判断ができるのに日本はできないんです。ああ、米軍基地経由で入ってくると日本の入管は誰が入国したか知らないってすごく怖い話ではないですか。植民地根性過ぎませんか。
 
Q 安倍9条改憲には海外派兵とか書いてないよ。
A どこの国の憲法にもまず外国派兵が可能なんて書いてないです。第二次世界大戦前のパリ不戦条約(侵略戦争も武力での解決・威嚇もダメという条約)もあり、防衛のためと書いてあるものです。「国を守るため」として外国に派兵するものなんです。
 今、安倍9条改憲は、2015年安保法を前提にしていてます、すなわち海外派兵がもちろん可能、それもわざわざ「自衛権の行使を妨げず」とかここで憲法に書き入れるのであって無限定の海外派兵になる、というのが9条改憲なんです。
 
自衛隊は、そもそも違憲だと思う、でも助かるし必要だから書くべきではないの?
A 災害の時などとてもありがたいですね。ですが災害支援は主たる任務ではなく、緊急支援隊とするなら誰も賛成するでしょう。ですが、そのためならば消防など書いてないのと同様で、憲法に入れる必要もないです。
 そして防衛のために何かないと不安ですね。政府は、自衛隊違憲だという論理を従前はとって来ませんでした。専守防衛のための最小限のもので武力ではないからだと。それも一つの考えです。
 しかし、ここで9条に「自衛隊」とか「自衛権」の規定を入れるのは、2015年安保法を前提とし、それ以上のことを自衛隊にさせるということになります。2015年安保法で、歴代の自民党内閣の「集団的自衛権の行使はできない」は180度転換。自民党が推薦した憲法学者、歴代内閣法制局長官最高裁の元長官さえ「違憲」と断言したのです。違憲の法律を作ってから明文改憲をしようとするは「犯罪者が刑法を改正しろと言っているようなもの」です(首都大学東京の木村草太准教授(※金原注「教授」です)。
 そして、その限定的だとして海外派兵に道を開いた2015年安保法を超えていくんですから、限度なき海外派兵が当たり前になります。だからまずいんです。
 
自衛隊を書かないって、非武装でいいっていうの?
改憲反対の人の中には、非武装主義の人も、1970年代の自民党専守防衛論の人など、多くいて、時に大激論しています。
(※金原注 私が校正したらこう直します。⇒「改憲反対の人の中には、非武装主義の人もいれば、1970年代の自民党のような専守防衛論の人も多くいて、時に大激論しています。」)
 後者の人は自衛隊専守防衛していくのは当然とし、非武装主義の人も国連軍というのがしっかりできた時のことを言う、いわば理想としての非武装主義のようです。直ちに非武装とか非武装中立とかっていう人は、ホントに少ない感じです。
 ですが皆、安倍9条改憲には反対する、という点で一致して行動しています。なにせ海外派兵が限定なく、それも米軍の下っ端として動いていくんですから、自衛隊につき吉田首相が言ったように「100年兵を養うは真実侵略された一日のため」だったはずなんですから。
 
専守防衛論って、中国のみならず北朝鮮も核ミサイルを持った今日、もう無理でない?
A もちろん専守防衛論は、核兵器攻撃などどんな攻撃にも耐えられる防衛力を持つということではないです。圧倒的にやられれば降伏は当たり前でしょう、パリを燃させないために?ナチスに降伏したフランスのように。万万が一侵略されたら、国連の集団安全保障が機能するまでなんとか抵抗していく、というものです。
 完全に対抗するには、米国やロシア、中国のようになっていくしかないでしょうけれど、それは専守防衛でもなく、費用が掛かり過ぎて日本の国力をむしろ失わせ、昔のソ連のように自壊するばかりです。日本は、すでに1200兆円の国債の4割を日本銀行が持っている(つまりお札を刷っているだけ)という異常なアベノミクスが進められてきているんです、それこそが危機です。
 自衛隊専守防衛と共に、日米安保を維持していくかは議論が分かれます。ただ軍事同盟とするにしても、昔の日英同盟のように、同盟といっても日本国内に米軍基地を置くのか前提ではないんです。米軍基地を撤去してもらいつつ、同盟を維持していくこともありえます。
 ああ、在日米軍は条約上も、日本を守るためとはなってないんです。広い地域に存在感を示す、米軍の世界戦略のためにあるんです。実際遠いイラクまで行ったんですから。ですが、米国は地政学上、日本と同盟を結び続けるメリットがあるんです。もっと強気になりましょうよ。
 
自衛隊を書き加えるだけならいいんでないの?
A 2015年安保関連法では、8割の国民は、反対や疑問?不安だと言いました。「憲法違反では」と言ってた人はテレビからおろされる一方で、マスメディア首脳は首相と会食をくり返すあり様でした。
 防衛大臣は、この法律を審議する際に、米軍機の出撃前後に自衛隊が給油しても兵站(へいたん)としてできる、米軍の核爆弾さえも搬送できると答弁しました。「核兵器は除く」という修正もないまま成立したんです。派兵は「事後承認」でもできます。事前でも国会は特定秘密保護法を使ってろくに審議せず「存立危機事態」として参戦できます。その上での、自衛隊自衛権を書き加えるって危なさ過ぎましょうと。
 
Q 米国追随って、しょうがないのではないの?
A アメリカが介入したベトナム戦争には、韓国も加担して人を殺し、韓国兵も5000人近く殺されました。大量破壊兵器があるとのウソで始まったイラク戦争では、英国が加担して人を殺し200人近く殺され、結果がIS(イスラム国)と数百万の難民です。
 アフガンで用水路を作って救ってきた中村哲医師は「日本が手を汚してしまったら活動できない」と言います。70年間「殺し殺されなかった」ブランドを生かしてこそ、平和に貢献できるのではないでしょうか。
 そして、先制攻撃もあり得る、まして核兵器も使うような言い方をしているトランプ政権ですよ、危なっかし過ぎます。仮に日本が追随するとしても、もう限度を超えているんではないですか。
 だからなのか、自民党でも、戦争を知る長老が派兵と今次の改憲に反対しているんです。鶴瓶さんなど多くの有名人も、声を上げています。
 
Q 緊急事態条項って必要では?
A これ、国会の議決ないまま、内閣が「緊急事態」と宣言して、政令表現の自由財産権、居住移転の自由など奪えるものなんです。それも、原発事故での「緊急事態宣言」は解除できないまま原発の再稼働をさせたままの政権が言ってるんです。安倍さんが昔の天皇以上の独裁者になってしまうって思いませんか。昔の「天皇大権」も実は「天皇の名において権力者が好き勝手をする」ものでしたね。
 
Q 誰のための改憲かな?
A 防衛予算はもう年間5兆円を超え、武器輸出三原則ももうありません。経団連は武器輸出を「国家戦略として推進すべき」とし、政府はその代金に「貿易保険」を適用すると。我々の税金が兵器産業に補助されてます。そして、あの危なっかしいオスプレイを17機、通例の倍と言われる1000億円程で買うと言います。米陸軍は装備していないのに、です。その他にも米軍兵器を高額で買うようです。
 
Q ひろく、一緒にやれないの?
A 立憲野党は共闘しないとね。1994年6月、自民党は与党に戻るために、社会党の村山党首を総理大臣にする投票までして与党に戻りました。思想も政策も違いますが「共闘」をしました。中国では、直前まで殺し合っていた国民党と共産党が「国共合作」をして日本軍と戦いました。幕末の日本、殺し合っていた長州軍と薩摩軍は「薩長同盟」を結び幕府を倒しました。
 何とかしないと、よろしくお願いします。
(引用終わり)
 
『生きている不思議 死んでいく不思議』-某弁護士日記 2018年2月12日
「中国の覇権主義、安倍9条改憲」  憲法・社会・官僚・人権
(引用開始)
 中国の覇権主義と安倍9条改憲
 
 私は中国の覇権主義は明らかだが大人の国だ、互いに損になる全面戦争なぞありえない、尖閣諸島程度で軍事衝突なぞ本末転倒だ、互いの国威発揚程度を繰り返し、やがて忘れられることが必要だ。そして永遠に米国が味方、永遠に中国が敵なはずがないでしょうが、50年、100年単位を考えましょうよ、としばしば言います。
 
 また、米国は、あの人権侵害がひどく決して民主主義国にならないサウジアラビアと長く親しくし続けている国です、自国の利益のためにはどんな政権とでも手を握るのです。経済大国となり米国国債などを多く持つ中国と、今後より密接に結びついていくでしょう。日本は利用されるだけ、の可能性が極めて高いではないか。
 
 中国に変化を求め続ける方策は、決して軍事力ではなく、情報戦、文化戦、経済戦だろうと。たとえば、著作権特許権の侵害などにつきもっと強行に求めていくこと、日本の文化輸出、留学生に自由主義・民主主義の素敵さ・大切さを会得してもらうこと、それが「中国を変える戦い」なのだ、と。
 
 ところが今、日本は中国との情報戦、文化戦、経済戦をまともに戦略を立ててせず、軍事では米国の基地を置かせるまでの軍事同盟をさらに進めるばかり、自衛隊を米軍の下っ端にする植民地軍にしていくばかりで、むしろ米国が北朝鮮に先制攻撃をしてしまい、日本こそが攻撃される危険性が増しているではないか、と。
 
 日本の危機は、米国に利用されるままに外交・軍事を進めていること、そして1200兆円とか言われる国債の4割を日本銀行が持っている、つまりお札を刷っているだけの経済政策を続けていることだろうが。そんな中で米国から高い兵器・設備をさらに購入し、また他の同盟国ではありえないほどに米軍予算を実質補助していて、いったい何をやっているのか。
 
 そして、なぜ安倍9条改憲に反対するかと言えば、
① 2015年安保法を前提とした改憲であり、海外派兵を限度なく進めるためのもの。
② 航空母艦、空中給油機、敵基地への先制攻撃をできる武器を持つ、小型核兵器ならば論理的には保持できるなどとし、侵略的兵器を装備することになっていく。
③ あの侵略戦争、無謀に(※金原注「無謀な」?)戦争につきまともに反省してない輩が言うなど、専守防衛から離れていくだけのもの。
④ ますます米国の植民地軍になるもので、日本の独立がますます遠のいて行くから、
と説明しています。
(引用終わり)
 
 最後に、滝本弁護士は、ブログの他に、Facebookでも積極的に発信されています。
 私が感心するのは、論争的になりがちなテーマを厭わずに取り上げ、実際、コメント欄への書き込み者と討論したりされていることです。私なら、そんな鬱陶しいことは回避してしまいますけどね。