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9条改憲、賛成派(井上武史九州大学准教授)と反対派(青井未帆学習院大学教授)の意見に耳を傾ける(3/12@日本記者クラブ)

 2018年4月10日配信(予定)のメルマガ金原No.3113を転載します。
 
9条改憲、賛成派(井上武史九州大学准教授)と反対派(青井未帆学習院大学教授)の意見に耳を傾ける(3/12@日本記者クラブ
 
 講演会でも、書籍でも、インターネットでも、そもそもどのような講演会に足を運ぶのか、どんな本を買うのか、どんな情報を求めてアクセスするのか、我が身を振り返ってみれば、もともと自分の志向する立場と意見を同じくする(と思われる)講演会に行くのだし、本を求めるのだし、情報を集めるのですよね。違います? 
 これは、憲法原発や、その他様々なテーマについて妥当する、結構普遍的な傾向だと思います。つまり、人は自分の好む情報を選別して集めようとはするが、対立する側の情報は嫌忌して集めようとしない、ということです。
 FacebookTwitterにおける「いいね」というのは、志向(嗜好)を共通にしているということを相互に確認するサインということでしょう(考えてみると、かなり気持ちの悪い振る舞いかもしれない)。
 
 私自身、憲法を守ろうという講演会やシンポに参加したことは数知れず(自分で企画することもあります)ですが、日本会議(正しくは「ニッポンカイギ」と発音します)系の集会にわざわざ出かけたりしませんものね。
 そういう私が「日本会議」が「ニホンカイギ」ではなく「ニッポンカイギ」と発音するんだということを知ったのは、2015年9月12日、和歌山県田辺市で開かれた「安保法案だよ全員集合!」という、法案賛成派と反対派が2人ずつ登壇し、様々な論点について意見を述べ合うというイベントに、反対派の1人としてお話する機会を戴き、その際、法案賛成派として登壇されたのが日本会議紀南支部役員の方であったため、正しい読み方を知ったという次第です(「安保法案だよ全員集合!」(9/12@田辺市)で話すつもりだったこと/2015年9月12日)。
 
 もちろん、安保法案(イベントからほどなく強行成立してしまいましたが)についての賛成派の意見には賛同できませんでしたが、賛成する人たちが、どういう論拠で賛成するのか、ということを直接うかがう機会を得たのは有意義だったと思いました。
 当日の模様は、東条雅之さん(映画『祝福(いのり)の海』監督)が撮影してYouTubeにアップしてくださっていますので、(安保法制が成立してしまった今でも)ご覧になる価値があると思います(上記私のブログにリンクしています)。
 
 さて、「安倍9条改憲」です。この問題について、私自身、様々な識者の意見に耳を傾けてきたとはいうものの、最初に述べたとおり、どうしても自分の意見を補強してくれる説を選別して取り入れようとする弊を免れることはできず、自衛隊憲法に明記する「安倍9条改憲」に賛同する意見に、真剣に耳を傾けるということはほとんどありませんでした。まあ、ある程度やむを得ないことだとは思いつつ、4年前の「安保法案だよ全員集合!」のような形で、9条改憲の賛否についての意見を述べ合うという企画があれば良いのに、と思っていたところ、ありました。
 日本記者クラブがシリーズで開催している「憲法論議の視点(3)」として実施された「第九条」についての研究会(3月12日に行われていました)です。
 そこでは、青井未帆学習院大学教授と井上武史九州大学准教授がそれぞれ自らの主張を述べられました。このお2人は、2015年の安保法案についても、違憲論(青井氏)、合憲論(井上氏)と意見が別れていましたが、9条改憲自衛隊明記)についても意見を異にしているというわけです。
 このような形での研究会は、日本記者クラブならではかもしれず、遅ればせながらですが、その動画をご紹介したいと思います。大いに参考になるはずです。
 
憲法論議の視点」(3) 「第九条」青井未帆・学習院大学教授/井上武史・九州大学准教授 2018.3.12(2時間03分)
 
(会見リポートから引用開始)
相反する意見を参考に
 シリーズ研究会「憲法論議の視点」の3回目は、現下の最大テーマともいえる「第9条」を巡り、ともに憲法学者で主張が異なる青井未帆学習院大教授と、井上武史九州大准教授が論じ合った。白熱した議論となり、会場からの質問も相次いだ。
 まず井上氏が9条について「条文と意味が乖離し、統治者の行為を統制できない。立憲主義の面で問題ではないか」「国際貢献の足かせになっていないか。それは憲法の国際協調主義に反しないか」「武力行使の範囲を憲法で固定するのは合理的か。法律で対応する国は多い」と課題を次々に挙げ、改憲に理解を示す。
 その上で、自衛隊を合憲にするという安倍政権の政策目標を達成するには、戦力保持を禁じる9条2項は維持しつつ、その後に「前項の規定は、自衛のための必要最小限度の実力の保持を妨げない」との条項を加えればいいと提案した。
 一方、青井氏は「9条は日米安保条約などと無関係ではいられず、9条とその解釈、諸政策、憲法文化で構成する『9条プロジェクト』という広い視点で捉えるべきだ」とし、集団的自衛権行使の否定や専守防衛、攻撃型兵器不保持、行政機関という自衛隊の位置付けにより「平和国家を担保してきた」と主張する。
 また軍隊を率いる「統帥」に注目。憲法に関わらず存在するもので「明治憲法下は天皇大権となって敗戦し、現憲法下では潜った形だった。自衛隊を明記する改憲で再び統帥と向き合うことになるが、今の政治の力量では大いに不安」と指摘した。
 質疑では「国民の信任を得ている自衛隊」と違憲論との関係、集団的自衛権の捉え方などが問われた。その応答も含め、2人の相反する意見は、自民党改憲条文案を受けた今後の論議で大いに参考になる。
ゲスト
青井未帆学習院大学教授
井上武史九州大学准教授
(引用終わり)