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「憲法」についての新書を2冊買った、これから読むけどお薦めします~『五日市憲法』『広告が憲法を殺す日 国民投票とプロパガンダCM』

 2018年4月25日配信(予定)のメルマガ金原No.3128を転載します。
 
憲法」についての新書を2冊買った、これから読むけどお薦めします~『五日市憲法』『広告が憲法を殺す日 国民投票プロパガンダCM』
 
 今日のブログのタイトルは、2年近く前に書いた「文庫本を3冊買った、みんな素晴らしい本に違いない~『立憲非立憲』『音楽入門』『山之口貘詩集』」(2016年6月27日)の自己模倣です。
 
 要は、久しぶりに書店で新刊を買い求め、「これから読むけど、皆さんにもご紹介します」という文章を書こうというわけです。
 買ったばかりでまだ通読はしていませんが、どちらもぱらぱらと30ページ余りは目を通しましたので、自信をもってご紹介できると判断しました。
 購入したのは2冊の新書で、どちらも「憲法」という文字をタイトルに含み、今月出たばかりの新刊です。
 
 1冊は、今月初めに書いたブログ「伊藤真さんと本間龍さんダブル講演から学ぶ自民党改憲4項目と国民投票への向き合い方」(2018年4月1日)でも予告していた『広告が憲法を殺す日 国民投票プロパガンダCM』(本間龍・南部義典/集英社新書)であり、改憲発議が具体的政治日程にのぼろうかという現在、まさに時宜にかなった対談本であり、刊行されたら是非読もうと決めていた本です。
 最後の方には、2人の著者による国民投票法日本国憲法の改正手続に関する法律)の改正私案も提案されており、現行の国民投票制度の問題点が浮き彫りとなっており、対談本ですから、すらすらと読みやすいということもありますので、多くの人にお薦めしたいと思います。
 
 もう1冊は、朝日新聞に掲載された岩波書店の広告に含まれていて気がついた、岩波新書、今月の新刊の1冊『五日市憲法』(新井勝紘)です。
 私がこの本を買おうと思ったのは、これもまた、私が4年半前に「五日市憲法草案を称えた皇后陛下の“憲法観”/2013年10月30日)という、自分でも忘れられないブログを書いていたからです。
 今日、『広告が憲法を殺す日 国民投票プロパガンダCM』を買うために近くの書店に足を運んだ際、朝日新聞の広告を思い出して『五日市憲法』も一緒に買い求めたのでした。その時は、著者の新井勝紘氏(国立歴史民俗博物館助教授、専修大学教授などを経て認定NPO法人・高麗博物館館長)の経歴も、五日市憲法草案との関わりも、全然知らなかったのですが、事務所に戻って、「はじめに」から「第一章 「開かずの蔵」からの発見」まで読んで、著者が、東京経済大学4年生の卒論研究のために、ゼミの同級生や指導教官である色川大吉教授とともに五日市にある深沢家の「開かずの蔵」に調査に入った日、偶然、著者が手にしたのが、後に五日市憲法草案と呼ばれることになる私擬憲法であり、この奇縁のために、著者が歴史研究に一生を捧げることになったということを知りました。
 まさに、著者をおいて『五日市憲法』を書ける人はいない、という本であることが分かりました。その上、最初の30ページだけでも、ぐいぐいと引き込まれていきました。  これは、1人でも多くの方に読んでいただく価値が絶対にあると確信しました。
 通読してからもう一度取り上げるかもしれませんが、一刻も早く皆さんに『五日市憲法』発刊を知って欲しいと思い、ご紹介することとしました。
 
 以下には、上記2冊の内容を、版元ホームページやAMAZONから引用してご紹介します。
 
『広告が憲法を殺す日 国民投票プロパガンダCM』
 本間龍・南部義典著 集英社新書 720円+税 2018年4月22日第一刷発行
【内容紹介】
自衛隊員に、誇りと自信を」
憲法を改正しないと、この国を守れない」
そんなCMが半年間、一方的にテレビで流れ続けるとしたら――?
憲法改正国民投票過半数の賛成が必要だが、
現在の国民投票法には致命的な欠陥がある。
海外では多くの国で原則禁止となっている「広告の規制」がほとんどないのだ。
さらに日本のテレビCM市場は、事実上の「電通」一社寡占状態にあり、
その電通自民党の広告を担当している。
つまり、改憲反対派は“選挙期間”中の「良いテレビCM枠」を確保できず、
改憲賛成派のCMばかり流れる可能性が高い。
博報堂社員で、原発マネーが原発報道を歪めてきたことを取材する本間龍と、
サポートした南部義典による緊急対談! 
【目次】
はじめに  本間 龍
第1章 「国民投票法」とはなにか
第2章 巨人「電通」が支配する広告業界のメカニズム
第3章 改憲プロパガンダが一方的に流れる「テレビCM」
第4章 地方ローカル局での「局地戦」とネットで起きる「ゲリラ戦」
第5章 CM全面禁止が基本の「海外の国民投票法
第6章 国民投票法をどう変えるか
おわりに  南部義典
【著者略歴】
本間 龍(ほんま りゅう)
1962年生まれ。著述家。
1989年に博報堂に入社。2006年に退社するまで、一貫して営業を担当。
博報堂時代の経験から、原発安全神話を作った広告を調査し、原発推進勢力とメディアの癒着を追及する。
南部 義典(なんぶ よしのり)
1971年生まれ。シンクタンク国民投票広報機構」代表。
2005年、民主党議員の政策秘書として国民投票法の立案に関わり、以後も研究を続ける。慶應大学大学院法学研究科講師(非常勤)を歴任。
 
『五日市憲法
 新井勝紘著 岩波新書 820円+税 2018年4月20日第1刷発行
【この本の内容】
「開かずの蔵」と呼ばれた旧家の土蔵.そこで偶然見つけた紙綴りが,ひとりの学生を歴史家に変えた.紙背から伝わる,自由民権の息吹と民主主義への熱き思い.起草者「千葉卓三郎」とは何者なのか?民衆憲法を生み出した歴史の水脈をたどる.
【目次】
はじめに
第一章 「開かずの蔵」からの発見
 第一節 明治百年と色川ゼミ
  一九六八年/バラ色論との対峙/開かずの蔵
 第二節 自由民権の村・五日市
  『利光鶴松翁手記』/勧能学校/深沢家の蔵書
 第三節 憲法草案との出会い
  いよいよ土蔵の中へ/知らずに草案を手に取る/「日本帝国憲法」って何だ?/急転直下のテーマ変更
 第四節 憲法草案を読み解く
  墨書史料の状態/どれとも一致しない!/幻の草案が発見される/なぜ同じ土蔵の中に?/嚶鳴社草案との比較検討
第二章 五日市憲法とは何か
 草案の概要
 第一篇 国 帝
  帝位相続/摂政官/国帝の権利
 第二篇 公 法
  国民の権利/地方自治/教育の自由
 第三篇 立法権
  民撰議院/元老議院/国会の職権/国会の開閉/国憲の改正
 第四篇 行政権
 第五篇 司法権
第三章 憲法の時代
 第一節 憲法への道
  憲法はどう受け止められたか/ヘボクレ書生の書上の理屈
 第二節 民権結社の取り組み
  結社の時代/国会期成同盟の呼びかけ/各地での起草の動き/容易ならざる起草作業
 第三節 五日市の民権運動
  五日市学芸講談会/五日市学術討論会/討論題集
第四章 千葉卓三郎探索の旅へ
 第一節 卓三郎追跡
  やり残した課題/雑文書に目を向けよ
 第二節 戸籍を求めて
  仙台へ/志波姫町へ/転籍先をたどる
 第三節 子孫との対面がかなう
  そして,神戸/敏雄さんからの手紙/病室での対面
 第四節 履歴書の真否
  卓三郎の足跡/砂上の楼閣/履歴書の足跡をたどる
第五章 自由権下不羈郡浩然ノ気村貴重番智――千葉卓三郎の生涯
 第一節 敗者の生きざま
  生い立ち/敗北経験/故郷を出る
 第二節 ペトル千葉として
  ニコライ堂での出会い/布教活動/明らかになる来歴/突然の変心/ラテン学校/初めて教壇に立つ/広通社
 第三節 五日市へ
  村は小なりといえども精神は大きく/民権教師として
 第四節 五日市憲法の「法の精神」
  逆境のなかでの起草作業/卓三郎死す/遺品の整理/浄書綴りのゆくえ/卓三郎の「法の精神」
終 章 五日市憲法のその後
 「五日市憲法」命名のいきさつ/名称への批判/歴史の伏流にたどり着く
むすびにかえて
参考文献
付録 五日市憲法草案
【著者略歴】
新井勝紘(あらい かつひろ)
1944年東京都に生まれる
1963年東京都立国立高校卒業,1969年東京経済大学経済学部卒業,東京都町田市史編さん室,町田市立自由民権資料館主査,国立歴史民俗博物館助教授などを経て,専修大学文学部教授
現在─認定NPO法人・高麗博物館館長,成田空港 空と大地の歴史館・名誉館長
専攻─日本近代史,自由民権運動
著書─『民衆憲法の創造』(共著,評論社)『戦いと民衆』(共編,東洋書林)『近代移行期の民衆像』(編著,青木書店)『自由民権と近代社会』(編著,吉川弘文館
 
(参考サイト)  
新井勝紘教授 履歴・業績
 file:///C:/Users/user1/Downloads/1051_0096_07%20(1).pdf
(抜粋引用開始)
新井 勝紘 教授 履歴・業績
 1944年(昭和19)8月5日,東京都福生市熊川生。
 福生第二小学校・福生中学校(現第一中学校)を卒業。都立国立高等学校を経て,東京経済大学経済学部に入学。そこで生涯の師となる歴史研究者の色川大吉教授に出会い,色川教授のゼミナールに所属し,日本近代史(特に自由民権運動史)を学ぶ。
 とりわけ,1968年8月27日に行われたゼミナール合宿調査では,東京都西多摩郡五日市町深沢(現あきる野市五日市)にある「開かずの蔵」といわれた深沢家土蔵調査に参加し,その土蔵の2階から,自由民権運動時代(明治10年代,1880年代)の憲法草案「五日市憲法」を最初に手にし,その資料を初めて解読してそれを卒業論文にした。 この憲法草案は百年以上前の三多摩の山村で作られた憲法草案であり,内容も民主的な草案として高い評価が与えられている。
 その意味で,当時の人々がどのような国家を構想していたかがわかる貴重な発見となった。そうしたことから,日本の近代民衆史や自由民権運動史研究上,画期的発見であることが認められ,新聞やテレビ・雑誌など多くのメディアにとりあげられた。現在は中・高のほとんどの教科書にも載るようになり,憲法は都指定文化財に,また発見の土蔵と屋敷跡は,都史跡に指定されている。
 大学卒業後は東京都町田市の町田市史編纂室(1969年)で,町田の歴史を編纂する仕事に携わり,1986年には,“自由民権”の名称がつく全国でも二番目の市立自由民権資料館の建設から開館に到るまで責任者として従事した。
 1990年に,国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)の歴史研究部助教授に転職。
 そこで近代の常設展示「文明開化」「産業と開拓」「都市の大衆の時代」の三テーマの展示を担当する。その中でとくに被差別部落史・アイヌ関東大震災時における朝鮮人虐殺などの厳しいテーマに取り組む。以後11年間,歴博で近代・現代部門の展示,共同研究などを担当する。
 2001年4月より専修大学文学部人文学科歴史学専攻教授(現歴史学科)に就任し,近代民衆史などの講義を担当し,フィールドワークを重視したゼミ活動を展開した。新井ゼミでは,とりわけ戦地と銃後(内地)をつなぐ「軍事郵便」に注目し,「軍事郵便」の解読や現地調査をゼミ生とともに行い,フィールドワークの成果を広く伝えるために,企画展示「戦没兵士の『ビルマ便り』」(2005年7月4日~17日:生田キャンパス),「いのちの便り展~兵士の心と銃後の想い」(2009年11月9日~21日:サテライトキャンパス),「いのちの便り展・パートⅡ」(2014年11月7日~16日)などを催した。ほかに,地域との関わりを重視する姿勢から,五日市町史,福生市東大和市,八王子市,狛江市などの自治体史の編纂にも関わっている。
 2012年~2014年には同大学文学部歴史学科学科長を務め,2015年3月,専修大学退職の運びとなった。
 以上,現在に至るまで,「自由民権運動史」「地域史」「民衆史」「戦争と兵士」「軍事郵便」「戦争モニュメント」「戦後地域文化運動史」などのテーマに取り組み,民衆の視点にたって研究を進めるとともに,展示なども意欲的に取り組んだ。
[経 歴]
1964年4月~1964年12月 電気通信大学総務部会計課勤務
1969年4月~1987年3月 町田市企画部町田市史編纂室
1987年4月~1990年3月 町田市教育委員会文化部社会教育課自由民権資料館
主査
1990年4月~2001年3月 国立歴史民俗博物館歴史研究部助教
1999年4月~2001年3月 総合研究大学院大学文化科学研究科日本歴史研究専
助教
2001年4月~2015年3月 現職(専修大学 文学部 教授)
1996年4月~2000年3月 武蔵大学人文学部非常勤講師(視聴覚教育・メディ
ア論)
1997年4月~1999年3月 千葉大学教育学部非常勤講師(近代史特講)
1998年4月~1999年3月 武蔵大学経済学部非常勤講師(日本史)
2005年4月~2010年3月 中央大学文学部非常勤講師(日本史特講)
(引用終わり)