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自民党憲法改正推進本部・細田博之本部長ほか記者会見(2018年4月18日@日本記者クラブ)を是非じっくりと視聴しよう

 2018年5月2日配信(予定)のメルマガ金原No.3135を転載します。
 
自民党憲法改正推進本部・細田博之本部長ほか記者会見(2018年4月18日@日本記者クラブ)を是非じっくりと視聴しよう
 
 去る3月22日に開催された自民党憲法改正推進本部の全体会合で、憲法9条改正案につき、紆余曲折の末、細田博之本部長への一任が取り付けられたこと、及び細田氏が「有力」と考える案を踏まえた自民党の「改憲4項目条文案」(朝日新聞から引用)を、このブログでもご紹介しました(自民党改憲4項目が事実上まとまる~「安倍退陣」そして「安倍なき安倍改憲NO!」のために/2018年3月23日)。
 
 その3日後の3月25日には、自民党定期党大会が開かれましたので、22日の憲法改正推進本部で、まがりなりにも取りまとめられた改憲案が承認されるのかと思いましたが、さすがに間際すぎたのか、結局、以下のようになったようです(自民党定期党大会(2018年3月25日)で「改憲4項目」はどうなったのか?/2018年3月26日)。私のブログのまとめ部分を引用します。
 
(引用開始)
①二階幹事長による党務報告の中で、党憲法改正推進本部での意見集約の概要が報告されたが、条文案までは紹介されなかった。
②提案された運動方針には、改憲4項目は明示されたが、条文案までは示されなかった。
改憲4項目について「憲法審査会での幅広い合意形成を図るとともに、改正賛同者の拡大運動を推進する」という運動方針が採択された。
(引用終わり)
 
 もっとも、党大会資料など私の手許にありませんから、自民党ホームページに掲載された簡単なレポートや産経新聞の報道をもとにした推測ですから、あまり信用しないでください。
 
 ところで、それから後、自民党改憲案(条文案)はどうなったのかと思っていましたが、3月22日の憲法改正推進本部で取りまとめられたという「条文イメージ・たたき台素案」(9条に関しては一任を取り付けた細田本部長が有力としていた案)でとりあえず確定したことは間違いないようです。
 
 というのは、まことに遅ればせながらなのですが、自民党憲法改正推進本部の主要メンバー4人が、4月18日に日本記者クラブで会見を行っていたことに気がつき、会見の模様を視聴してみたところ、「条文イメージ・たたき台素案」の9条に関する部分については、3月22日段階で「有力案」と言われていたもの(後掲)で確定していました。
 
 そして、細田本部長の発言は回りくどく、何を言いたいのかよく分からぬ節もありますが、この「条文イメージ・たたき台素案」で、公明党日本維新の会希望の党(その後分党することになりましたが)などの党名を挙げた上で、既に各党に示したというのか、これから示す予定というのか判然としませんでしたが、協議に入っていきたいと述べています。
 
 全部で1時間ちょっとの会見なので、時間をやりくりして視聴することも難しくないと思いますので、特に「安倍9条会見NO!」3000万人署名に取り組んでおられる方には、是非じっくりとご覧になっていただきたいと思います。
 ちなみに、自民党憲法改正推進本部のホームページを見ても、いまだに、昨年12月20日の「憲法改正に関する論点整理を取りまとめ」が最新ニュースですから(やる気があるのだろうか?)、こちらの方で最新の動きをフォローすべく努力するしかありません。
 
 会見を通して視聴すれば、細田本部長が、何とかの一つ覚えの如く、多くの社会科の教科書に自衛隊違憲であるとの立場もあると書かれているのがけしからん(本当にそうなのか、私は知りませんが)ということを繰り返し、だから自衛隊明記が必要だと根拠付けていることが分かります。
 それ以外に言うことはないのか、と呆れることもできますし、一般国民にはこの台詞が案外効き目があるのかもしれないと警戒することもできます。自民党首脳の会見を真剣に視聴するというのは、なかなかに刺激的な経験です。
 
日本記者クラブ 自民党憲法改正推進本部 会見 2018.4.18(1時間13分)
冒頭~ 司会 倉重篤郎 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞
2分~ 総論 細田博之氏(自民党憲法改正推進本部本部長)
20分~ 各論 根本匠氏(自民党憲法改正推進本部事務総長)
38分~ 質問(倉重篤郎)⇒現在の政治状況の中で憲法9条改正という歴史的大事業ができるのか?
 39分~ 中谷元氏(自民党憲法改正推進本部本部長代理)
 45分~ 岡田直樹氏(自民党憲法改正推進本部本部長代理)
48分~ 質問(TBS金平)⇒自衛隊日報隠しが起きシビリアンコントロールが機能していない中で自衛隊を明記することについて
 49分~ 中谷元
51分~ 質問(TBS金平)⇒仮に総理が交代しても9条改憲は今の案のままでいくのか?
 52分~ 細田博之氏 
57分~ 「総理が替わっても同じなのか?という質問だが」と促されて、
 57分~ 細田博之氏「そこが問題でしてね」と話し始めて、若干のどよめきと笑い。
1時間01分~ 質問(共同通信)9条改憲案はフルスペックの集団的自衛権を認めるように読めるのではないか?
 1時間02分~ 中谷元
 1時間03分~ 細田博之
 1時間06分~ 根本匠
1時間07分~ 質問(倉重篤郎)今後のスケジールは?
 1時間08分~ 細田博之
 1時間11分~ 中谷元
1時間12分 最後に今日の揮毫(細田)「有備無憂(そなえあればうれいなし)」
会見リポートから引用開始)
あくまでも「たたき台」強調
 この日の会見には、自民党憲法改正推進本部の細田博之本部長以下4役がそろい踏みで、同本部がこのほどまとめた条文案を示しながら議論の経過を詳細に説明してくれた。細田氏は「この案はあくまでもたたき台」とした上で、今後衆参の憲法審査会の場で、この案を軸に各党との間で条文論争が活性化することに期待感を表明した。
 個々の条文案については様々な評価、疑問がある。そこも質疑したいところだが、まずは大状況として改憲が可能な政治状況なのかどうか。つまり、この森友加計問題で失速中の安倍晋三政権下で、憲法9条改正という歴史的大事業を成し遂げられるのか。
 そのへんを改憲4役はどう認識しているのか。司会の特権として、その質問から入った。誰もが聞きたい素朴な疑問だ、と思ったからだ。
 回答はそれぞれだったが、要は、疑惑解明も大切だが、日本の置かれた環境を考えると、憲法改正論議はより緊要であり、こういった与野党を超えた政治の大課題には政局を持ち込むべきではない、という建前論だった。
 ただ、果たしてそうか。政策遂行と政局とは無縁ではない。改憲といった「超政策」に至っては、ましてそうではないか。森友加計問題が日本の民主主義をどこまで毀損したか、ある意味憲法論議と無縁ではない、といった問題意識も伝わってこなかった。
 ただ、興味深い質疑もあった。「仮に首相が交代しても今の安倍首相案(1、2項はそのままにして9条2として自衛隊の存在を明記)のままか」という若干ひねった質問に対し、細田氏は「国民の理解が得られるギリギリの案。これが限界だ」と答えた。石破茂氏らの9条2項削除案を否定、首相の交代については肯定も否定もせず、であった。
企画委員 毎日新聞社専門編集委員  倉重 篤郎 
(引用終わり)
 
(参考資料)
自民の改憲4項目 条文イメージ・たたき台素案
 
[9条]
9条の2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
2 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
 
[緊急事態条項]
64条の2 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又は参議院議員通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で(※「の」?)定めるところにより、各議院の出席議員の三分の二以上の多数で、その任期の特例を定めることができる。
 
73条の2 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で(※「の」?)定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。
2 内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない。
 
[合区解消]
47条 両義院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする。参議院議員の全部又は一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができる。
2 前項に定めるもののほか、選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
 
92条 地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし、その種類並びに組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。
 
[教育]
26条 略 
2 略 
3 国は、教育が国民一人一人の人格の完成を目指し、その幸福の追求に欠くことのできないものであり、かつ、国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み、各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない。
 
89条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の監督が及ばない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。