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(再配信)NNNドキュメント「南京事件Ⅱ」(2018年5月13日放送予定)に注目しよう

 2018年5月7日配信(予定)のメルマガ金原No.3140を転載します。
 
(再配信)NNNドキュメント「南京事件Ⅱ」(2018年5月13日放送予定)に注目しよう
 
 今日お送りするのは、去る4月30日に配信した「NNNドキュメント「焼却された機密文書(仮)」(2018年5月13日放送予定)に注目しよう」を再配信するものです。
 
 なぜ、わずか1週間にして再配信することにしたかというと、今日、たまたまNNNドキュメントのホームページを閲覧したところ、5月13日放送予定の番組名が、仮題から本タイトルに変更されており、しかもそれが「南京事件Ⅱ」だったからです。
 「南京事件Ⅱ」という以上、当然「南京事件Ⅰ」があった訳で、それは、2015年10月4日に放送され、ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞を受賞した「南京事件 兵士たちの遺言」のことです。
 この番組については、ネトウヨ界隈からの攻撃の対象となったことは言うまでもありませんが、産経新聞もその尻馬に乗って<「虐殺」写真に裏付けなし>という記事を掲載し、日本テレビがこれに対して正式に文書で抗議する事態となりました(産経新聞 2016年10月16日付掲載〈「虐殺」写真に裏付けなし〉記事について)。
 私は、この「南京事件 兵士たちの遺言」については、本放送には気がついていなかったものの、放送された直後の評判に気がつき、再放送の視聴を薦める記事を書いたものでした(10/11再放送(BS&CS)に注目~NNNドキュメント'15「南京事件 兵士たちの遺言」/2015年10月8日)。
 その中で、私は「本と雑誌のニュースサイト/リテラ」に掲載された小杉みすずさんの記事「安倍首相が否定したい南京大虐殺日本テレビの番組が精緻な取材で「事実」と証明! ところが番組告知は…」の一部を引用したのですが、とりわけ注目すべき部分を再掲します。
 
(抜粋引用開始)
ただ、ひとつだけ気になるのは、今回の放送のタイトルが、事前の新聞のラテ欄では「しゃべってから死ぬ 封印された陣中日記」とされていて、「南京」の文字がなかったことだ。先週の『NNNドキュメント』の最後に流された予告編でも「南京」の言葉は一言も出てこず、番組公式サイトでも事前に告知されていなかった。ようするに、4日深夜の初放映時になって初めて「南京事件 兵士たちの遺言」という真のタイトルが明かされたわけだが、ここに何か裏を感じるのは穿ち過ぎだろうか。
 権力を忖度し、ネット上の批判に怯え、萎縮した報道を続けるテレビ業界だ。その圧力を避けようとしたのか、真相は不明だが、こうした番組が継続して放送されれば、業界の失いつつある信頼も取り戻せるはず。
(引用終わり)
 
 そう、これでお分かりになったでしょうか。前回も今回も、事前に告知された仮題には「南京事件」という文字は一切使われていなかったのです。
 もっとも、前回は、予告編でも秘匿されたままだったのに対し、今流れている予告編では、しっかりと「南京事件Ⅱ」と題されているところが大きな違いです。
 
NNNドキュメント 2018/5/13 「南京事件Ⅱ」(20秒)
(文字起こし)
「封印されていた南京事件。残されていた兵士たちの肉声が伝える現実とは。(兵士の肉声の一部は、最後の「凄かったです」以外は聴き取れなかった)」
 
 それだけ、ディレクターも今回の放送には「腹をくくった」のでしょう。中国人捕虜の集団虐殺と思われるCG再現映像まで流そうというのですから。
 もちろん、「焼却された機密文書」という仮タイトルが、単にめくらましのために付けられた訳ではないでしょう。日本にとって都合の悪い(とりわけ戦争犯罪の証拠となり得るような)書類は、徹底的に焼却されたのですから。そのような中で、裏付によって信頼できる証言を積み重ね、歴史的事実に肉薄しようとするジャーナリスト魂の成果を心して視聴したいと思います。
 
 それでは、4月30日に配信したブログをそのまま再配信します(タイトルも仮題のままとしておきます)。ただし、現在の番組案内は、タイトルが「南京事件Ⅱ」となっている他、少し補充された部分もありますので、それのみまず以下に引用しておきます。
 
日本放送系列
2018年5月14日(月)午前0時55分~(13日深夜)【拡大版】
NNNドキュメント'18「南京事件Ⅱ」
(番組案内から引用開始)
かつて日本が行った日中戦争や太平洋戦争。
残された兵士のインタビューや一次資料を分析、
さらに再現CGで知られる事のなかった戦場の全貌に迫る。
政府の公式記録は、焼却されるなどして多くが失われた。
消し去られた事実の重みの検証を試みるとともに現代に警鐘を鳴らす。
ナレーター/湯浅真由美 制作/日本テレビ 放送枠/55分
再放送   
2018年5月20日(日)11:00~ BS日テレ
2018年5月20日(日)5:00~/24:00~ CS「日テレNEWS24
(引用終わり)
 

 まずは、5月13日(日)深夜に放送予定のNNNドキュメント'18の放送予告をお読みください。
 
日本放送系列
2018年5月14日(月)午前0時55分~(13日深夜)【拡大版】
NNNドキュメント'18「焼却された機密文書(仮)」
(番組案内から引用開始)
かつて日本が行った日中戦争や太平洋戦争。残された兵士のインタビューや一次資料を分析、さらに再現CGで知られる事のなかった戦場の全貌に迫る。政府の公式記録は、焼却されるなどして多くが失われた。消し去られた事実の重みの検証を試みるとともに現代に警鐘を鳴らす。【制作:日本テレビ
再放送   
2018年5月20日(日)11:00~ BS日テレ
2018年5月20日(日)5:00~/24:00~ CS「日テレNEWS24
(引用終わり)
 
 NHK/Eテレの「ETV特集」や毎日放送の「映像」と並び、私がいつも注目し、ブログでもよくご紹介している「NNNドキュメント」ですが、2週間後に放送される上記番組は、是非録画せねばと思っています。NNNドキュメントは、通常、コマーシャルを含めて30分枠での放送ですが、この番組は【拡大版】ということなので、おそらく1時間枠での放送ではないかと思います。
 
 私たちは、森友学園問題にからんで財務省によって組織的に行われた公文書改ざん問題に怒っている訳ですが、首相や首相夫人に対する「忖度」が許せないというようなレベルを超えて、ことの本質は、歴史に対する冒涜というところにあるはずです。
 
 そういう意味から、森友問題などとは比較にもならない(もちろん、森友学園公文書改ざん事件の重要性が低下する訳では決してありませんが)、1945年8月に日本政府によって組織的に行われた公文書抹殺作戦は、日本史上の一大汚点として、全ての国民が記憶にとどめる必要があります。
 
 日本政府は、中立国を通じ、ポツダム宣言受諾を連合国に通知した1945年(昭和20年)8月14日、国や自治体が保有する機密文書の廃棄を閣議決定したと言われています。
 ただし、後掲する神本美恵子参議院議員民進党)の質問主意書に対する内閣答弁書を読めば分かるとおり、1945年8月18日付・各市町村長宛「機密重要書類焼却ノ件」、8月21日付「大東亜戦争関係ポスター類焼却ノ件」という通達のように、後日、物証が残っていることが明らかになった(長野県東筑摩郡今井村役場(現松本市)の庶務関係書類綴の中から発見)ものでさえ、「政府内にこれらの事実関係を把握することができる記録が見当たらない」という木で鼻をくくったような回答であり、ましてや記録自体が残っていない「8月14日閣議決定」に至っては、「お尋ねの「本件閣議決定の内容」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではなく」というのが政府の公式見解です。
 
松本市文書館が保管する「東筑摩郡 今井村役場 庶務関係書類綴 昭和二十年」の写真が数枚、以下のブログ(季節の変化 活動の状況)に掲載されています。
 
 ポツダム宣言を受諾した鈴木貫太郎内閣、8月17日から政権を引き継いだ東久邇宮内閣は、この国をあげての組織的機密文書廃棄という歴史に対する犯罪について、大きな責任を負っていると思います。
 そういう意味からも、今度のNNNドキュメントには期待しています。
 是非視聴されますよう、お薦めします。
 
(参考)
第189回国会(常会)質問主意書
質問第二一八号
(引用開始)
一九四五年八月十四日の閣議に関する質問主意書
 
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
  平成二十七年七月二十九日
神本 美恵子   
                 参議院議長 山崎 正昭 殿
 
                  一九四五年八月十四日の閣議に関する質問主意書
 
 今年は戦後七十年ということで様々な歴史的検証が行われている。歴史を構成するのは、一つは記憶であり、もう一つは記録である。戦争を体験した人が減少する一方で、記録の重要性はこれ以後も増すことはあっても減少することはない。
 記録の第一のものは国家の持つものである。国家の統治行為、命令などを誰が、いつ、どのように発したかは極めて重要な歴史資料である。戦後七十年を経てなお続いている近隣諸国との歴史認識の溝を埋め、共通認識を得るために最重要な記録である。そこで質問する。
 
一 一九四五年八月十四日の閣議(以下「本件閣議」という。)の内容、出席した閣僚名、場所、時刻を明らかにされたい。
 
二 本件閣議決定の内容はどのように実行に移されたか、明らかにされたい。
 
三 一九四五年七月二十六日に出された「ポツダム宣言」は第十項で「吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戦争犯罪人ニ対シテハ厳重ナル処罰加ヘラルヘシ」としているが、この項目の内容と本件閣議の関連について明らかにされたい。
 
四 一九四五年八月十五日以前から、軍部、政府関係機関では公文書の焼却が大量に何日間も行われたが、この焼却行為の法的根拠を示されたい。
 
五 政府は一九四五年八月十八日に各市町村長に宛て「機密重要書類焼却ノ件」を、八月二十一日に「大東亜戦争関係ポスター類焼却ノ件」という通達を出した。これらの通達の法的根拠をそれぞれ示されたい。
 
六 「機密重要書類焼却ノ件」と「大東亜戦争関係ポスター類焼却ノ件」の二つの通達は、通達そのものの棄却までも命じている。このような組織的な証拠隠滅行為を国家が行うことをどのように判断すればよいか、政府の見解を明らかにされたい。
 
七 本件閣議及び前記五の通達について、これまで国会で議論されたことがあるか否か、あった場合にはその内容につき、政府の承知するところを示されたい。
 
八 極東国際軍事裁判では、本件閣議決定に関する言及がなされたか否か、政府の承知するところを示されたい。
 
九 これまで政府は、戦後賠償問題や戦時・戦後補償問題で各国と交渉した際、本件閣議決定や各種通達について各国に説明したことがあるか否か示されたい。
 
十 本件閣議決定とそれによる行為は近代国家として許されざる卑怯・卑劣なことである。また、当時の軍事・政治指導者が自分たちが裁かれるのを防ぐため政策決定の重要資料を全て焼却するというのは、その時代の国民に対して責任を負うつもりがないこと、さらに、歴史上の判断を仰ぐ意思もないことを示している。戦後七十年の今、これらをどう評価、判断するのか、政府の見解を明らかにされたい。
 
  右質問する。
(引用終わり)
 
第189回国会(常会)
答弁書第二一八号
(引用開始)
内閣参質一八九第二一八号 平成二十七年八月七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   
                   参議院議長 山崎 正昭 殿
参議院議員神本美恵子君提出一九四五年八月十四日の閣議に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
 
参議院議員神本美恵子君提出一九四五年八月十四日の閣議に関する質問に対する答弁書
 
一について
 お尋ねの昭和二十年八月十四日の閣議で決定した案件としては、現在確認できる範囲では、詔書案(終戦詔書案)、内閣告諭、塩ノ専売ニ関スル事務ノ委譲ニ関スル件、詔書喚発ニ際シ恩赦奏請ノ件、軍其他ノ保有スル軍需用保有物資資材ノ緊急処分ノ件、外地、満州支那ニ所在スル生産設備等ニ対シ破壊行為ヲ厳禁スル件及び外務省所管赤十字国際委員会特別寄附金第二予備金ヨリ支出ノ件がある。
 また、お尋ねの「出席した閣僚名、場所、時刻」については、資料を確認することができず、お答えすることは困難である。
 
二について
 お尋ねの「本件閣議決定の内容」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。
 
三について
 お尋ねの「本件閣議」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。
 
四について
 お尋ねの「焼却行為の法的根拠」について、調査した限りでは、政府内に確認することができる記録が見当たらないことから、お答えすることは困難である。
 
五及び六について
 お尋ねの各市町村長に宛てた「機密重要書類焼却ノ件」及び「大東亜戦争関係ポスター類焼却ノ件」について、調査した限りでは、政府内にこれらの事実関係を把握することができる記録が見当たらないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。
 
七について
 お尋ねの「本件閣議」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、お尋ねの各市町村長に宛てた「機密重要書類焼却ノ件」及び「大東亜戦争関係ポスター類焼却ノ件」について、国会において言及がなされているものとしては、現在確認できる範囲では、平成二十五年十二月五日の参議院国家安全保障に関する特別委員会における質疑があると承知している。
 
八及び九について
 お尋ねの「本件閣議決定」及び「各種通達」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではなく、お尋ねについてお答えすることは困難である。
 
十について
 お尋ねの「本件閣議決定とそれによる行為」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、「当時の軍事・政治指導者が自分たちが裁かれるのを防ぐため政策決定の重要資料を全て焼却」したことについては、調査した限りでは、政府内に事実関係を把握することができる資料が確認できないことから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。
(引用終わり)