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日本弁護士連合会「被災者生活再建ノート」をご活用ください

 2018年6月20日配信(予定)のメルマガ金原.No.3184を転載します。
 
日本弁護士連合会「被災者生活再建ノート」をご活用ください
 
 一昨日(6月18日)発生した大阪北部地震では、同日中に、大阪府は、府下の12市1町に災害救助法を適用する旨決定しました。
 対象市町は以下のとおりです。
 
大阪市(おおさかし)、豊中市(とよなかし)、吹田市(すいたし)、高槻市(たかつきし)、
守口市(もりぐちし)、枚方市(ひらかたし)、茨木市(いばらきし)、寝屋川市(ねやがわし)、箕面市(みのおし)、摂津市(せっつし)、四條畷市(しじょうなわてし)、交野市(かたのし)、三島郡島本町(みしまぐんしまもとちょう)
 
 菅義偉(すが・よしひで)官房長官が、枚方市を「まいかたし」と読み誤ったことが少し話題となっていましたが、大阪府に隣接する和歌山県に住む私も、「三島郡島本町」と聞いて、どの辺に所在する自治体なのか、全く見当がつきませんでしたので、人のことは言えません。調べてみると、京都府大山崎町との合併話まであったという大阪府の北東端に位置する町であり、大阪府の中で和歌山市から最も遠い自治体でした。
 
 それはさておき、災害が発生すると、多くの住民が被災し、その生活再建が問題となります。被災者支援のための制度には様々なものがありますが、その大半は法令に基づいて運用されているものであり、被災者を対象とした法律相談などで、私たち法律家が果たすべき役割には重要なものがあります。そして、このような需要に応えるためには、相談を担当する弁護士にも、平時の法律相談とは異なったスキル、前提知識が必要となります。
 そのため、各地の弁護士会の他、日本弁護士連合会や、近畿弁護士会連合会のようなブロック連合会も、被災者支援に関わる研修会に熱心に取り組んでいます。
 
 今日は、日本弁護士連合会が作成して(PDFで)公表している「被災者生活再建ノート」をご紹介します。
 実は、私自身、うかつなことに、このノートの存在に気がついていなかったのですが、FB友達である青木佳史弁護士(大阪弁護士会)や津久井進弁護士(兵庫県弁護士会)のFBタイムラインで「被災者の生活全体をみて支援する。阪神淡路、中越、広島、東日本、熊本などの経験から作成されました。大阪府下で被災者の支援にあたる方や被災者ご自身のために、ぜひご活用ください。」(青木佳史弁護士)と紹介されているのを読んで、あわててPDFファイル(24頁)をプリントアウトして通読してみました。
 その結果、これは被災者から相談を受ける弁護士にとって、このノートに掲載された各種支援制度の概要を頭に入れておくことは「must」であり、被災者ご自身にとっても、非常に有用なものだと確信しました。
 
「被災者生活再建ノート(2018年2月8日版)」(PDFファイル;1.4MB)
 
 このノートが掲載された日弁連サイトの案内ページには、次のように記載されています。
 
(引用開始)
被災者生活再建ノートを作成しました。
 これまで災害が発生する度に、被災した弁護士会では、臨時弁護士会ニュースを発行するなど、被災者に必要な公的支援制度(以下「支援制度」といいます。)を周知してきました。
 しかし、災害発生時に、被災した弁護士会が支援制度を網羅的に掲載した弁護士会ニュースなどの広報物をゼロから作成する負担は大きく、全般的な支援制度がまとまった冊子や、弁護士会等において編集可能な冊子のデータがあると、災害時に被災地弁護士会が対応しやすいという声がありました。また、相談担当弁護士が変わったとしても、被災者に継続的な相談が行えるように、相談内容の記録化と引継ぎの必要性も指摘されていました。
 日弁連では、これらの声を受けて、支援制度を一覧としてまとめるなどして、災害時の相談対応の基となる被災者生活再建ノート(以下「被災者ノート」といいます。)を作成しました。
 弁護士会および会員におかれましては、災害発生時の法律相談などに必要数をそのまま印刷してご活用ください。
(引用終わり)
 
 されに詳しくは、ノート冒頭の「被災者生活再建ノートとは」(1、2頁)をお読みください。
 
(引用開始)
                             被災者生活再建ノートとは
はじめに
 この被災者生活再建ノートは,被災された方が,弁護士などの専門家など(以下「相談担当者」といいます。)から相談を受ける際に,受けられる公的支援制度などの必要な情報が漏れなく伝えられ,適正なアドバイスを継続して受けられるようにしたい,という観点から作成しています。
 被災された方のみならず,相談担当者にとっても,公的支援制度や問題点の確認ができるノートとなっておりますので,御相談の際には御手元に置いていただけるとスムーズな相談につながります。
 一日も早い生活再建のために御活用いただけると幸いです。
 
                                 被災された方へ
〇「被災者生活再建ノート」(3~5ページ)
 被災された方が「受けられる公的支援制度」を確認できるページです。
 相談時に3~4ページを使用して,相談担当者にどのような支援制度が利用できるのか説明をお願いしてみてください。5ページは,「その他の悩み事」を記載いただく欄になっていますので,相談前に,気になる点や御不明な点などを御記載ください。
〇「被災者生活再建カルテ」(6~7ページ)
 本ページは,病院の「カルテ」のような役割をイメージしています。相談担当者が変更になっても,従前の相談内容や行ったアドバイスが引き継げるようになることを意図しています。相談担当者に記載いただくことを想定していますので,相談担当者に記載をお願いしてみてください。
〇「支援制度の概要」(8ページ~)
 「被災者生活再建ノート」(3~4ページ)に記載のある各公的支援制度について説明しています。様々な支援制度がありますが,更に詳しくお知りになりたい場合は,相談担当者に説明をお願いしてみてください。
 
                          弁護士などの相談担当者の方へ
〇「被災者生活再建ノート」(3~5ページ)
 被害の状況や悩みごとなどの記載から,被災された方が受けられるはずの公的支援を受けられているのか確認できるページです。
 当該ページを使用して,被災された方にどのような支援制度が利用できるのか説明をしてください。
〇「被災者生活再建カルテ」(6~7ページ)
 相談担当者に相談した日ごとに,相談の概要や助言の内容などを記録しておくためのページです。これにより,相談担当者が変わった際でも,その都度記録が残っていることになり,被災された方が,新たな相談担当者に最初から被災状況などを説明する負担を無くし,相談担当者が変更となっても,従前の相談の経緯などを踏まえた適切な助言等がスムーズに行えるようになります(病院のカルテのような役割です。)。
 本ページは,相談担当者に記載いただくことを想定していますので,上記の趣旨に沿った記載をしてください。
〇「支援制度の概要」(8ページ~)
 「被災者生活再建ノート」(3~4ページ)記載の各公的支援制度の概要を掲載しています。あくまでも概要しか掲載していませんので,詳しい内容を知るためには窓口やホームページのアドレスも載せていますので,そちらをあらかじめ御参照いただき,説明をしてください。
(引用終わり)
 
 なお、一般向けには「被災者生活再建ノート」はPDFファイルで公開されていますが、日弁連会員専用サイトには、被災者ノートの編集可能なデータ(ワード・エクセル)が掲載されており、「発生した災害に応じて支援制度等を加筆するなど、弁護士会版の被災者ノートとしてご活用ください。」と呼びかけられていますので、被災地弁護士会としては、当初はPDFファイルを必要部数印刷して配布、使用し、少し落ち着いてきたら、各地の情報を盛り込んだ独自ノートを作成することができるということですね。
 
 最後に、「被災者生活再建ノート」の8頁以下に掲載されている「支援制度の概要」から、その表題のみ引用しておきます。詳しくは、本文をお読みください。
 
(引用開始)
*被災建物の応急危険度判定(+被災宅地応急危険度判定)について(8頁)
*災害弔慰金について(9頁)
*災害障害見舞金について(9頁)
*り災証明書について(10頁)
*損害保険の損壊判定について(11頁)
*応急仮設住宅について(11頁)
*被災者生活再建支援金について(12頁)
*被災ローン減免制度(自然災害債務整理ガイドライン)について
*生活資金貸付制度について(14頁)
*応急修理制度について(15頁)
*災害復興住宅融資について(16頁)
土地区画整理事業について(16頁)
*防災集団移転促進事業について(17頁)
*がけ地近接等危険住宅移転事業について(18頁)
*被災自治体による独自事業を含むその他の支援制度について(18頁)
*災害公営住宅について(19頁)
*被災マンション法について(20頁)
*グループ補助金について(20頁)
*貸付・保証制度について(21頁)
(引用終わり)
 
 この「被災者生活再建ノート」が多くの被災者の方のお役に立つことを願っています。

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(弁護士・金原徹雄のブログから/災害支援関連)
2018年1月12日
日本弁護士連合会「大規模災害に備えるために公職選挙法の改正を求める意見書」を是非読んで欲しい
2018年5月23日
日本弁護士連合会「災害救助法の一部を改正する法律の早期成立及び被災者支援制度の早期の抜本的な改善を求める会長声明」を読む