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平和と戦争を考えるテレビ番組(NHKスペシャル+ETV特集) 2018年夏

 2018年7月16日配信(予定)のメルマガ金原No.3210を転載します。
 
平和と戦争を考えるテレビ番組(NHKスペシャル+ETV特集) 2018年夏
 
 毎年7月になると、NHKを中心に、「平和と戦争を考えるテレビ・ラジオ番組」が集中的に放送され、中には「よくここまで踏み込んだ」と感心する番組があったりします。ということで、事前にそのような番組情報をまとめて情報提供してくださる方がいるとみえ、毎年、どこからともなくそのようなメールが回ってきます。
 昨年は、そのようなメールを転載したNPJの記事をさらに転載する形で、「「平和と戦争を考えるテレビ・ラジオ番組 2017年夏」(NPJイベント情報)~NHKのテレビ・ラジオ放送予定」(2017年7月7日)という記事を書いたりしました。
 
 今年も、実は「平和と戦争を考えるテレビ番組(NHK編) 2018年夏」というメールが回ってきています。
 その情報については、「三多摩平和交流ネットワーク」というサイトが既に転載してくれていましたので、とりあえずそちらを参照願います。
 
 以下には、そのうちのNHKスペシャルとETV特集に限定して抜き出し、既に公式サイトに番組案内が掲載されているものについては、リンクするとともに、番組案内も入れ替えておきました。
 なお、NHKスペシャルの、8月13日放送予定「船乗りたちの太平洋戦争~犠牲者6万人 命の記録~(仮)」と8月19日放送予定の「届かなかった手紙~戦場から故郷へ 73年目の郵便配達~(仮)」は、当初のリストには載っていませんでしたが、番組ホームページから補充しておきました。
 
8月4日(土)Eテレ 後11:00~深夜0:00
ETV特集 シリーズ第Ⅰ回 アメリカと被爆
「”シュモーハウス”~被爆地に建った「平和」の家~」
原爆で廃墟となった広島、長崎で家を失った人々のために、およそ20棟の住宅を建てたアメリカ人たちがいた。中心となったのはフロイド・シュモー(1895~2001)。1949年に始まった家造りでは、朝鮮半島からの住民も入居できるよう行政に働きかけ、実現させた。NHKが入手した資料からは、平和主義を貫くクエーカー教徒としてのシュモーの強い信念、その活動を支援したクエーカー教徒の人脈が浮かび上がってくる。番組は、”シュモーハウス”の住人や建設に参加した人たちの証言などから、家造りを通じ、人々に影響を与えた一人の”ピース・メーカー”の生き方を描いていく。
 
8月6日(水)NHK総合 後10:00~10:45
NHKスペシャル「被爆地 残された問い~見えない謎と向き合った73年~(仮)」
広島市街を望む丘の頂に立つ放射線影響研究所。その一角に、膨大な数の血液試料が凍結保存されている。原爆で被爆した親とその子らから採取した、約1000家族分の血液細胞が、そのひとつ。放影研は、この貴重な試料の一部を使って「ゲノム解析」に着手した。最新科学の力で解明しようとしているのは「原爆放射線の影響は遺伝しているのか?」という命題。原爆投下以来、世界の科学者が解を求めてきた“問い”だ。
原爆投下後、被爆地では、放射線によって生殖細胞が傷つき、被爆者の子供たちの健康にも悪影響が表れるのではないかという「遺伝的影響」の懸念が広まった。科学者たちの必死の追究が行われたが、それは今日に至るまで明らかになっていない。
「影響はない」と断定されてもされなくても、不安から逃れられない被爆者たち。そして、真実を追究するという使命と社会的影響との間で揺れる研究者たち。戦後73年、格闘を続ける関係者それぞれの思いに迫りながら、この“問い”に対する最新科学の到達点と、市民の上で炸裂した核兵器が遺した爪痕を見つめていく。
 
8月11日(土)NHK総合 後9:00~9:49
NHKスペシャル「ルソン島“最後”の記録~ある衛生兵が見た戦場~(仮)」
1945年、戦争末期に行われたフィリピン・ルソン島の戦い。太平洋戦争中、最悪の20万の兵士が命を落とした。戦局がすでに決する中、終戦までのわずか半年余りの時期に信じがたい悲劇がなぜ起きたのか。
このルソン決戦で戦死した兵士のひとりが、小野文惠アナウンサーの祖父、「病院船衛生第15班」の衛生兵だった小野景一郎さん。祖父が関わるこの戦闘を去年、母親を通じて知らされたことをきっかけに、小野文惠は今年、他の遺族と共にルソン島に渡り、祖父の足跡をたどろうと考えている。
番組では、小野母子と遺族たちの現地調査に同行する。小野の母親が密かに保管してきた衛生班の部隊史や生還兵の手記と証言を照らし合わせ、戦死した日本兵20万人の知られざる真実に迫る。さらに、ルソン決戦について、米軍の膨大な未公開資料を発掘。それを日本側の資料や証言と照合したところ、今回初めて、ルソン決戦で亡くなった、20万人の“最期”が明らかになろうとしている。小野文恵アナウンサーの祖父・景一郎さんの「病院船衛生第15班」の最後の行程をたどりつつ、その向こうにあるルソン決戦の全貌を立体的に描き出すドキュメンタリー番組としたい。
 
8月11日(土)Eテレ 後11:00~深夜0:00
ETV特集 シリーズ第2回 アメリカと被爆
「「赤い背中」が残したもの~「NAGASAKI」の波紋~」
アメリカ人の「原爆観」を揺さぶっている本がある。アメリカ人作家・スーザン サザードさんが著した『NAGASAKI』だ。「赤い背中」を抱え、奇跡的に生き抜いた長崎の被爆者・谷口稜曄さんとの出会いをきっかけに生まれたこの本は、全米で大きな反響を呼んだ。
トランプ大統領支持者が数多くいるオハイオ州では、「原爆投下は戦争を終わらせるために仕方なかった」と考える軍関係者を親族に持つ学生たちがこの本に触発され、「原爆観」を捉え直そうとしている。現代アメリカの「市井の人々」の変化を見つめる。
 
8月12日(日)NHK総合 後9:00~9:49
NHKスペシャル 「私たちは見捨てられた~戦争孤児たちの戦後史~(仮)」
親を空襲で亡くしたり、親と離れ離れになったりしてうまれた戦争孤児、その数は12万人にも及ぶ。孤児が駅や繁華街で寝泊まりする姿は全国で目撃されたが、子どもたちに何があったのか、その実態はよくわかっていない。
NHKでは、この3年間、孤児への聞き取りや、資料発掘を進めてきた。その結果、生々しい悲劇の実態が見えてきた。食べるものがなく、目の前で子どもたちが餓死していく日常、生きるために盗みや売春をせざるをえない子どももいた。重い口を開き始めた孤児たちが訴えるのが、国や大人たちから「見捨てられた」という思いだ。「汚い」とさげずまれ、やさしい言葉をかけてくれる大人はいなかった。進学や就職してからも差別や偏見が続いた。孤児の多くは過去を隠し、1人で生きていくしかなかった。
「戦争が終わってから本当の戦いが始まった」という孤児たち。当事者の証言をもとに、知られざる戦争孤児たちの実像と“封印されてきた戦後史”に迫る。
 
8月13日(月)NHK総合 後10:00~10:45
NHKスペシャル「船乗りたちの太平洋戦争~犠牲者6万人 命の記録~(仮)」
「我敵部隊見ユ」―広大な海域を舞台に行われた太平洋戦争。その最前線でアメリカ軍の襲来を見張る「哨戒」を担っていたのは、海軍に徴用された漁師たちであった。通称「黒潮部隊」。小さな漁船はアメリカ軍による凄まじい射撃に晒され、「敵ニ対シ突撃ヲ決行ス」と打電し消息を絶っていった。部隊の死者は2000人に及ぶとも言われるが、詳しいことは分かっていない。戦争遂行に不可欠な石油を運んでいたのも、民間の船員たちであった。戦局の悪化とともに、軍は「特攻精神」による輸送を決定。それは、船団のうち、何隻かが日本に戻れれば良いという、死を前提とした輸送作戦であった。武装の乏しい漁船や商船は、米潜水艦の格好の標的となり、およそ6万人が犠牲になったと言われている。今回、こうした船が、いつ、どこで沈められたのかを示すデータを入手し、被害の全体像を可視化することに成功した。先の戦争で海の男たちは、どのような現実に直面したのか、埋もれてきた事実を明らかにする。
 
8月15日(水)NHK総合 後7:30~8:43
NHKスペシャル「隠された敗北~ノモンハン 戦場の教訓~(仮)」
79年前、モンゴル東部の大草原で、日ソ両軍が激戦を繰り広げたノモンハン事件ソ連軍が大量投入した近代兵器を前に、日本は2万人に及ぶ死傷者を出した。作家・司馬遼太郎が「日本人であることが嫌になった」と作品化を断念した、この戦争。情報を軽視した楽観的な見通しや、物量より優先される精神主義など、太平洋戦争でも繰り返される“失敗の本質”が凝縮されていた。しかし軍は、現場の将校には自決を強要した一方で、作戦を主導した関東軍のエリート参謀たちはその後復帰させ、同じ失敗を重ねていった。
今回NHKは、ロシアで2時間に及ぶソ連軍の記録映像を発掘。4Kで精細にスキャンした映像を「AIによる自動カラー化技術」で鮮やかに着色し、戦場の実態を現代によみがえらせる。さらに軍の判断の経緯が証言された、100時間を超える陸軍幹部の肉声テープも入手。敗北はどのようにして隠され、失敗は繰り返されたのか。映像と証言から迫る。
 
8月15日(水)Eテレ 後11:00~深夜0:00
ETV特集 シリーズ データで読み解く戦争の時代①
「自由はこうして奪われた~9万9795人の記録が映す治安維持法の全貌~」
1925年から20年にわたり施行された治安維持法。当初「国体の変革」を主たる目的としてつくられたこの法律は、その後適用の範囲を拡大。戦時体制に異議を唱える平和主義者や宗教関係者、さらには一般市民の自由まで奪い、人権をじゅうりんした。敗戦とともに資料の多くは処分され、国をあげた人権弾圧の全貌は明らかにされていない。NHKは、戦後発掘された記録を研究者と共に分析し、グラフやCGなどを用いて視覚化した。その結果、為政者が、法律を拡大解釈・乱用して、国の政策に批判的な人々の自由を奪っていくプロセスが浮き彫りになってきた。
※金原注 通常のETV特集は土曜日の午後11時から放送されていますので、もしかしたら「8月18日(土)」の間違いではないのか?という疑いもありますので、放送が近づいたら番組表で確認願います。
 
8月19日(日)NHK総合 後9:00~9:49
NHKスペシャル「届かなかった手紙~戦場から故郷へ 73年目の郵便配達~(仮)」
太平洋戦争中、戦場の兵士と故郷の人々の間を行き交った「軍事郵便」は、年間4億通に達した。ところが戦況が悪化するにつれ、“宛先に届かない”手紙が増えていった。米軍や豪軍に押収され、その多くは返還されなかったのだ。検閲に配慮しながら、死と向き合う極限状態の中で紡ぎ出された、家族や友人への愛情にみちた言葉の数々。しかし兵士たちが手紙に託した切実な思いは行き場を失い、70年以上の長きにわたって彷徨っている。
いま、そうした“未配達の手紙”が国内外で次々と見つかっている。手紙を押収した米兵や豪兵が亡くなり、インターネット・オークションで売りに出されているのだ。兵庫県の団体が集めた17万通の戦時中の手紙を調べたところ、数十通が未配達と分かった。また日本の研究者らは、海外各地の文書館を調べ、計100通を超す未配達の手紙を発見した。
番組では、宛先の遺族や関係者を探し、70年余りの時を経て初めて手紙を届ける。配達先で見えてきた、手紙に秘められた様々なドラマから、知られざる戦争の一断面を描き出す。
 
8月25日(土)Eテレ 後11:00~深夜0:00
ETV特集 シリーズ データで読み解く戦争の時代②
「隠された日本兵のトラウマ~陸軍病院”戦時神経症”8000人の記録~」
日中戦争からアジア太平洋戦争の時代、”戦時神経症”とされた兵士が送られた国府陸軍病院。ひそかに保管されていた約8000人のカルテが研究者グループによって整理・分析され、日本軍人・軍属等の戦時トラウマの全貌が明らかになった。大規模近代戦がもたらすダメージに加え、日本軍特有の制裁や、住民加害への罪悪感が発病要因の相当数に当たることが判明した。分析によれば、発病地は中国の敵と住民が混在し、住民を巻き添えにしやすい場所に集中し、さらに、徴兵検査で除外されるはずの知的障害者まで多数、出征したことも明らかになった。敗戦後も、家の恥だと受け入れを拒む家族も多く、政府も終世収容の方針をとったため、大部分が社会復帰の機会を奪われた。番組では、トラウマを抱え続けた兵士と家族の戦後を見つめていく。
 
 NHKスペシャルとETV特集から抜き出すだけでも大変でしたが、他にも興味深いドキュメンタリーやドラマが放送予定です(先にご紹介した「三多摩平和交流ネットワーク」をご参照ください)。
 
 ただ、今日のブログを書くために、NHKスペシャルの番組ホームページを調べてみて、実は一番気になった番組は、直接には「平和と戦争を考える番組」ではありませんでしたが、「平和を考える番組」ではあるような気がします。いかがでしょうか?
 
8月5日(日)NHK総合 後9:00~9:49
NHKスペシャル「嵐君と50人の家族 密着・サーカスファミリー(仮)」
日本全国を2ヶ月ごとに興行しながら旅するサーカス団「ハッピードリームサーカス」。総勢50人の一座の中に、パフォーマーのコロンビア人男性と日本人女性の夫婦がいる。ふたりの間には、10人の子供がおり、まもなく11人目の子供が生まれる。一家は、サーカステントの裏に、トレーラーハウスを並べ暮らしている。四男の嵐君は、小学校6年生ながら一座の人気者。「イカリオス」という、寝そべる大人の足裏に乗って風車のように回る大技は、最も観客をわかせるパフォーマンスの一つだ。しかし、まだ11歳。2ヶ月ごとの転校はつらい。ようやく学校になじみ、友だちができたころには別れが待っている。
番組では、一座が、大阪から山口に移動する7月、サーカス家族に密着する。トレーラーハウスを連ねての引っ越し、友だちとの別れと出会い、新しい家族の誕生、新技への挑戦などさまざまな出来事が、嵐君を待っている。笑いと涙にあふれた、感動のヒューマンドキュメントである。