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「ナクバ70年とカジノ」~高橋和夫さん(放送大学名誉教授)が池田香代子さんと語る

 2018年7月29日配信(予定)のメルマガ金原No.3223を転載します。
 
「ナクバ70年とカジノ」~高橋和夫さん(放送大学名誉教授)が池田香代子さんと語る
 
 今年の3月で放送大学専任教員を退かれ、同大学名誉教授に就任された国際政治学がご専門の高橋和夫先生が主任講師を務められる科目については、放送大学の全科履修生となって今年で10年(つまり今年度末で学籍がなくなるのですが)、ラジオ科目「第三世界の政治('05)」を除き、全て受講して単位を取得させていただきました。もっとも、「第三世界の政治('05)」についても、録音して何度も聴講はしましたけど。
 その「第三世界の政治('05)」の事実上の後継科目が「パレスチナ問題('16)」であり、この科目は現在でも開講中です。
 放送大学の学生にならなくても、BSを受信できる方ならどなたでも視聴できます(231チャンネル)。
 実は、従来私が放送大学を視聴していたケーブールテレビ(J-COM)が放送大学の再配信を今年の4月からとりやめたため、私自身は、放送大学ホームページの学生専用サイトから視聴するしかなく、やや不便をかこっているのですが。
 まあ、それはさておき。
 全15回のテレビ講義(各回45分)を毎週視聴する環境のある方には、10月から始まる2018年度第2学期で、是非全回(録画するなりして)視聴・受講されることを強くお薦めしたいと思います。以下に、放送時間をご紹介するとともに、シラバスにリンクしておきます。
 
放送大学 テレビ課目「パレスチナ問題(’16)」
The Question of Palestine ('16)
主任講師名:高橋 和夫(放送大学名誉教授、国際政治学者)
放送時間:2018年度 [第2学期](金曜)22:30~23:15(10月第1週~)
 
 巻末のリストをご覧いただければ分かるとおり、過去、この放送授業「パレスチナ問題('16)」の視聴をお薦めするブログを2回も書いています。私が、このように何度も、放送大学の学生でない方に向けて高橋先生の「パレスチナ問題('16)」を是非視聴して欲しいとお願いする理由をご理解いただくために、過去2回と同様、同科目の最終回における、高橋先生から学生・視聴者への最後のメッセージ(私が文字起こししたもの)をご紹介しておきます。
 
パレスチナ問題('16)」第15回での高橋和夫教授からのメッセージ
 最後に、皆さんに一言だけお願いしたいことがあって、このお願いは、是非この風景の中でしたいと思って、この映像を撮ってまいりました。
~スタジオからエルサレムに転換~
 このシリーズの冒頭でエルサレムをご覧いただきました。その時はひどいサンドストームに覆われたエルサレムでした。今日このシリーズを締めくくるにあたって、再び同じエルサレムをご覧いただきたいと思います。しかし、今日のエルサレムは、朝日を浴びたエルサレムです。鮮明に見えていると思います。エルサレムが鮮明に見えるように、皆さまの中東理解も、より鮮明になったものと期待いたしております。
 このシリーズを終わるにあたり、私は、1つだけ皆さまにお願いしたいと思います。シリーズは終わるんですけど、これをもって皆さまのパレスチナ問題との関わりを終わりにしていただきたくないのです。これをきっかけに、パレスチナ問題を考え続けていただきたいと思います。関心を持ち続けていただきたいと思います。そして、この問題の解決のために、国際政治は何を出来るのか、そして、日本が何を出来るのか、そして、1人1人が何をできるのかを考えていただきたいと思います。
 さらに、この問題を見つめるにあたっては、国際政治という大きな枠組から見ていただきたいんですけれど、同時に、国際政治の動きが、現地の難民キャンプのパレスチナ人、占領地のパレスチナ人、あるいは、1人のイスラエルの母親に、父親にどういうインパクトを与えるのかという、下からの視点を大切にしていただきたいと思います。
 私も皆さまとともに、この問題を見つめる新しい旅に今出発したいと思います。
 
 さて、前置きが長くなりましたが(いや、以上が本論で、これから書くことは、その本論を取り上げることにした「きっかけ」であると言ってもよいのですが)、ここで、高橋和夫先生が出演されたインターネット番組をご紹介しようと思います。
 高橋先生がご自身で発信されるようになった「今朝の思い」は音声だけですが、今日ご紹介する「デモクラシータイムス」は動画付きで、池田香代子さんの質問に応えてお話される高橋先生の様子を見ることができます。
 
ナクバ70年とカジノ 高橋和夫さん 池田香代子の世界を変える100人の働き人18人目(38分)
(番組紹介から引用開始)
今年はイスラエル建国70年です。それはパレスチナの人々が「ナクバ」、大厄災と呼ぶ殺戮と難民と弾圧が70年目を迎えたということでもあります。そんな2018年に、日本ではカジノ法が制定されました。正式には「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」と呼ばれ、IR推進法と略称されますが、法律で禁じられている民間経営の賭博を例外的に合法化するための法律です。カジノ業者になるには経験があることが条件とされている以上、外資が念頭に置かれています。その筆頭と目されているのが、アメリカのラスベガス・サンズ社ですが、その最高責任者アデルソン氏は熱烈なトランプ大統領支持者であると同時に、イスラエルのネタニヤフ首相支持者でもあり、ネタニヤフ政権のために多額の資金を投入しています。これが、日本の中東外交にどのような影響をもたらすのか、国際政治学者で中東がご専門の高橋和夫さんに伺いました。
(引用終わり)
 
 「ナクバ70年」と「カジノ」がどう結びつくのか?という疑問を持ちつつ、全部で38分の動画を視聴しました。
 ざっと言えば、冒頭から25分までが「ナクバ70年」(パレスチナ問題の過去と現在)、その後約13分が「カジノ」(「ラスベガス・サンズ」を経営するS.アデルソンが日本のカジノから吸い上げた資金がパレスチナ人弾圧に使われる?日本の中東外交の変質?)という時間配分です。
 
 前半の「ナクバ70年」については、今までパレスチナ問題についての基礎知識を全く持っていなかった方が聴いても、少し呑み込みにくいだろうな、というところは正直言ってあります。
 そこで、やや回りくどいかもしれませんが、(BSが視聴できるのなら、という条件は付きますが)高橋先生の「パレスチナ問題('16)」(45分×15講)を視聴するのが最も良いとお薦めした次第です。
 
 私が「パレスチナ問題('16)」から学んだことはたくさんありますが、その中でも、パレスチナイスラエル問題を考えるポイントの1つが「人口動態」であるということには蒙を啓かれた思いでした。つまり、ユダヤ人よりもパレスチナ人の方が出生率がかなり高く、いずれ(考え方によっては既に)この地域(ガザやヨルダン川西岸地区を含む)においては、ユダヤ人が少数派に転落することになり、イスラエルユダヤ人の国家であり続けようとすれば、公然とアパルトヘイト政策をとらざるを得ない(民主主義の国ではなくなる)ということです。
 
 今日ご紹介する「ナクバ70年とカジノ」においては、イスラエル(に限ったことではありませんが)の宗教右派は、リベラル層に比べて出生率が高く、このことが政府の強硬路線の背景の一部をなしている、という高橋先生の説明があり(これも「人口動態」の問題)、「たしかにそうかもしれない」と納得しました。どの宗教でも、宗教右派が避妊とか人口調整とかに積極的とは思われませんからね。
 
 それから、日本の「カジノ」誘致がパレスチナ問題とどんな関係があるんだ?と驚かれる方もおられるでしょうが、高橋先生の説明に耳を傾ければ、「なるほど」と得心されるでしょう。
 私は、高橋先生の「中東外交をルーレットにのせるのか?」という発言が心に留まりました。
 
 そういえば、イスラエルのネタニヤフ首相も、日本の安倍首相も、右派同士ということで気が合うようですが、思えば、どちらも2度目の首相就任以来、長期政権が続いているということも共通です。
 安倍首相は、2012年12月に再登板して以来、既に5年半以上が経過していますが、ネタニヤフ首相など、2度目の首相就任が2009年3月で、それ以来政権を維持しているのですから、もう9年以上、2度目の首相を務めており、この意味でも、安倍首相が「あやかりたい」と考えても不思議はないところです。
 安倍首相が9月に自民党総裁三選を果たしたとすると、トランプ、ネタニヤフ、安倍というトライアングルが当面継続することになるのでしょうが、このような構図が出来上がるについては、日本だけではない、世界的な潮流があるかもしれない、という視点が必要かもしれません。
 そのような感慨も催す動画をご紹介しました。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/高橋和夫氏関連)
2013年8月17日
高橋和夫放送大学教授に岩上安身氏が“中東問題”をきく ※追記あり(高橋教授から受講者・視聴者への訴え)
2015年1月23日
イスラム国」人質事件について柳澤協二さんと高橋和夫さんの意見を聴く~IWJに会員登録をして
2016年8月6日
高橋和夫教授の「パレスチナ問題('16)」(放送大学)受講のすすめ
2017年1月26日
高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい
2017年5月1日
IWJからの緊急メッセージと高橋和夫放送大学教授の4講義「受講」の奨め
2017年8月17日
高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい(再説)
2017年9月7日
田中浩一郎氏と高橋和夫氏が語る「イラン情勢と米国の中東政策」(日本記者クラブ/2017年6月8日)を視聴する
2018年1月19日
放送大学あれこれ~高橋和夫教授の退任と「子ども居場所づくりで子そだち子そだて支援-学びは生きる力-」(2/10和歌山学習センター)
2018年4月26日
高橋真樹×高橋和夫×荻上チキ「今、パレスチナで何が起きているのか?」を読む
2018年5月15日
高橋和夫氏(放送大学名誉教授)「今朝の思い」(YouTube高橋和夫(国際政治学者)チャンネル)のご紹介
2018年6月1日
「核合意離脱 米・イラン関係の行方」~高橋和夫放送大学名誉教授と田中浩一郎慶應義塾大学教授が再び日本記者クラブで語った(2018年6月1日)
2018年6月19日
高橋和夫氏(放送大学名誉教授)による「トランプ/アメリカ・ファーストの第三の男」のご紹介(YouTube「今朝の思い」)
6月25日
高橋和夫氏(放送大学名誉教授)による「北朝鮮と中東」のご紹介(YouTube「今朝の思い」)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/カジノ問題関連)
2016年12月8日
カジノ推進法案をめぐる和歌山の現状と読売新聞による徹底批判
2017年2月27日
和歌山弁護士会「いわゆる「カジノ解禁推進法」の成立に抗議し、同法の廃止を求める会長声明」(2017年2月27日)と和歌山でのカジノ誘致の動き
2017年3月10日
「カジノで観光・まちづくり!?ちょっと、おかしいんとちゃうか!緊急トーク集会」3/13@プラザホープのご案内と4月・5月の「予告編」
2017年3月26日
「カジノあかん3・25大阪集会」動画のご紹介と12/12参議院内閣委員会での新里宏二弁護士と鳥畑与一静岡大教授の反カジノ意見陳述
2017年4月5日
「カジノ実施法案」作成作業が始まりました~クリーンなカジノの実現を目指して(!?)
2017年6月21日
和歌山でのカジノ誘致に反対する動き~和歌山弁護士会「会長声明」(6/16)とカジノ問題を考える和歌山ネットワーク準備会「市民集会」(7/19)
2017年7月5日
カジノ実施法案の準備状況とNNNドキュメント『ギャンブル依存~抜け出せない"病"回復と衝動の狭間~(仮)』(7/30)のお知らせ
2017年8月18日
予告編・「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ~「観光先進国」の実現に向けて~」パブコメ募集にカジノ反対の圧倒的世論の結集を!
2017年8月19日
「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ~「観光先進国」の実現に向けて~」パブコメ募集にカジノ反対の圧倒的世論の結集を!(本編)
2017年8月30日
あと1日!(8/31まで)「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ~「観光先進国」の実現に向けて~」パブコメ募集にカジノ反対の意見を送ろう
2017年9月1日
和歌山弁護士会が「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ」に関するパブコメに送った意見書を読む
2017年9月3日
「第24回全国市民オンブズマン和歌山大会」に参加して
2017年9月4日
大阪弁護士会シンポジウム「カジノ実施法の制定阻止に向けて」(9/16)への参加を呼びかけます
2017年9月16日
「カジノ実施法の制定阻止に向けて」(大阪弁護士会)」に参加して
2017年11月3日
11/30カジノ問題を考える和歌山ネットワーク・創立総会のご案内(記念講演:井上善雄弁護士)
2017年12月6日
日弁連・院内学習会「カジノ解禁(実施法の制定)に反対する」(2017年12月5日)を視聴する
2018年6月3日
カジノ実施法案(特定複合観光施設区域整備法案)の慎重審議を求める野党5会派「要求事項」を読む
2018年7月28日
争点は私たちが決める~和歌山にカジノはいらない!(和歌山市長選挙投票日はいよいよ明日)