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関良基氏(拓殖大学教授)が語る「明治維新の正体」(2018年8月8日)~「長州レジーム」とは何か?

 2018年8月10日配信(予定)のメルマガ金原No.3235を転載します。
 
関良基氏(拓殖大学教授)が語る「明治維新の正体」(2018年8月8日)~「長州レジーム」とは何か?
 
 今年(2018年)は、いわゆる「明治維新」(1868年)から150年目ということで、「明治150年」の盛り上がりが・・・あるんですかね?
 今から50年前の1968年、私は中学校2年生でしたけど、それなりに世間では「明治100年」が話題になっていたように思うのですが。
 
 試みに、「明治150年」でGoogle検索をかけてみて最初にヒットするのは以下のサイトです。
 
明治150年(内閣官房「明治150年」関連施策推進室)
(引用開始)
明治150年とは
平成30年(2018年)は、明治元年(1868年)から起算して満150年の年に当たります。この「明治150年」をきっかけとして、明治以降の歩みを次世代に遺すことや、明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは、大変重要なことです。このため、政府においては、こうした基本的な考え方を踏まえ、「明治150年」に関連する施策に積極的に取り組んでいます。
(引用終わり)
 
 長州にルーツを持つ安倍政権から、「明治以降の歩みを次世代に遺すこと」や「明治の精神に学び、日本の強みを再認識すること」が「大変重要なことです」と言われても、「明治より前は日本ではないのか?」とか、「明治以降の『日本の弱み』や『日本の失敗』を再認識しなくて良いのか?」という突っ込みが即座に口をついて出てきます。
 まあ、世間が「明治150年」でそれほど盛り上がっているように思えないのは、また別の事情があるのかもしれませんが。
 
 さて、そういう「うさんくささ」を何となく感じていた方に、是非視聴をお薦めしたい講演動画があります。
 去る8月8日(水)に、大阪市の「エルおおさか」で開かれた、戦争あかん!ロックアクションが主催する関良基(せき・よしき)さん(拓殖大学教授)による講演「目からウロコ! 明治維新の正体 150年キャンペーンのうそ」(関さんのパワポ表題には「明治維新の正体」としか書かれていませんでしたが)が、IWJによって中継され、Twitcasting録画だからでしょうか、講演部分だけですが(質疑応答部分はなし)、全編無料で視聴できます(1時間33分)。
 
目からウロコ!明治維新の正体 150年キャンペーンのうそ ―講師:関良基さん(拓殖大学教授)2018.8.8
 
 概要、どんな講演かについては、主催者ホームページに掲載された開催予告記事(チラシをそのまま転記したもののようです)を引用することで、ご理解いただけるのではないかと思います。
 
(引用開始)
 攘夷を叫んでいた人たちが、なぜ急に開国?歴史本を何度読み返しても、その意味が分らない。でも、長洲も薩摩も土佐も、明治維新という歴史的偉業をはたした英雄たちを生み出した藩であることは間違いない…。そんな漠然とした「かっこいいイメージ」を明治維新に対して持っている人が、日本では大半なのではないでしょうか。
 いま、この明治維新観に大きな疑問を投げかける声が次々と上がっています。
 西郷隆盛吉田松陰高杉晋作、阪本龍馬…。NHK大河ドラマで何度も取り上げられ、いままさに「西郷どん」が放映中の、彼らは本当に日本を開国に導いた「英雄」だったのか?
 江戸の末期、現法(注:現行?)憲法に通じる先進的な憲法構想を徳川、薩摩、越前に建白しながら、テロによって薩摩に抹殺され、その後歴史的にも抹殺され続けた赤松小三郎に注目し、明治維新の意味を問い直しておられる関良基さんをお招きして、お話を伺います。
 英雄扱いされてるけど、松陰って本当はどうなん…?西郷って本当はどうなん…?
 そんな、もや~っとしたギモンを抱いている皆さん。目からウロコのこの講演会にぜひお越し下さい。
(引用終わり)
 
 何しろ時間が限られており、後半は相当に端折らざるを得なくなったので、分かりにくいところもありますが、虚心に関教授の講演に身を委ねてみることでしょう。
 主催者が言うとおり、きっと「目からウロコ」の部分があるだろうと思います。もちろん、全てに得心という訳にはいかないでしょうし(正直、私にしてもそうです)、それが当然ですけどね。
 
 私は、「下関戦争」敗戦後の長州の対英従属路線への大転換と、「第二次世界大戦」敗戦後の日本の対米従属路線への大転換が、「長州レジーム」という一貫した外交姿勢(?とは言われなかったかもしれませんが)の流れであるという指摘に、思わず膝を打ちました。
 あと、吉田松陰の思想を「元祖ポチズム」と名付けたのはIWJの岩上安身さんだという紹介がありましたが、このような視点も「長州レジーム」と同様、「明治150年」を考える上で、大いに参考となる考え方だと思いました。
 
 「長州レジーム」ならざる別の「近代日本」があり得たのではないか?というのは魅力的な想像ですが、一種の「歴史のIF」である以上、全ての人が絶対的な確信を共有する訳にはいきません。
 けれども、もう何十年も前に、司馬遼太郎さんの『龍馬がゆく』『翔ぶが如く』『世に棲む日々』『花神』などの作品に読みふけりながら、かすかに感じていた違和感の正体の一面に触れ得たという思いは確実にありました。
 
 ところで、関良基先生の現職は、拓殖大学政経学部教授ということで、講演の中身とイメージが一致しないが?と思われる方もおられるでしょうが、清水雅彦先生と日本体育大学という組合せもありますし、私たちが先入観にとらわれ過ぎているのかもしれませんね。
 
 参考までに、拓殖大学の教員紹介ページで関先生の経歴等を調べてみました。この種の教員紹介ページはどんな大学にもありますが、拓殖大学の教員(講義)の紹介ページはかなり充実している部類に入るという印象を受けました。
 
拓殖大学 教員紹介
関 良基[SEKI Yoshiki]
(引用開始)
所属 政経学部  職名 教授
担当科目 自然環境と人間生活、環境と生態系、アカデミック・スキル、環境政策A、環境政策B、基礎外書講読A、基礎外書講読B ほか
最終学歴 京都大学院農学研究科博士課程修了(2000年3月)
学位 博士(農学)(京都大学2002年)
学位論文 フィリピンの商業伐採跡地における林野の住民管理に関する研究
職歴   
2000年4月 早稲田大学アジア太平洋研究センター 助手(~2003年3月)
2004年4月 (財)地球環境戦略研究機関(IGES) 客員研究員
2010年4月 拓殖大学政経学部 准教授
主な所属学会・協会等
日本森林学会、林業経済学会、環境経済政策学会
主な研究分野・研究課題・研究活動
 森林と人との関わりを現場で調査し、森林の保全と再生の方策について研究してきました。おもにフィリピンや中国など海外の事例を研究対象としてきました。
 近年は、社会的共通資本の視座から、日本の公共事業のあり方を見直そうと「ダムから緑のダムへ」の政策転換の研究、また自由貿易が環境に与える負のインパクトの研究などを通してTPP問題などにも取り組んできました。
自己紹介・学生へのメッセージ
 グローバルな資本主義システムは格差の拡大や環境破壊などの問題を生み出し、行き詰りを見せています。2015年にはパリ協定が採択され、世界は持続可能な未来への確かな一歩も踏み出しました。しかし、日本および世界には解決せねばならない問題が山積しています。学生時代は人生の中でももっとも自由に使える時間が多いです。ゼミなどの場で活発な討議を行い、地球をフィールドにして学んでいって下さい。
(引用終わり)
 
 以上のとおり、関氏は、京大農学部のご出身で、森林、環境等を中心に研究してこられた方のようで、そういえば、最近も水道民営化問題などで発言されているのは、そういう流れによるものでしょう。
 
 それでは、「明治維新の正体」などの日本近代史にも研究の領域を拡げられたのは何故か?ということですが、よく分からぬながら、関氏が2016年に刊行された単著『赤松小三郎ともう一つの明治維新 テロに葬られた立憲主義の夢』(作品社)で取り上げられた赤松小三郎と同じ、信州上田のご出身であり、赤松小三郎研究が、次から次へと拡がり、ということなのかもしれません。
 
 ちなみに、「上田市マルチメディア情報センター」が運営する「赤松小三郎」というサイトには、豊富な資料が集積されていますので、関先生が講演の中で言及された「建白書」の画像なども見る(読む)ことができます。
 
 最後に、IWJに登場した関良基教授の動画一覧をご紹介しておきます。今回の大阪での講演動画は別として、会員登録(1カ月以上経過しているとサポート会員登録)をしないと全編が視聴できませんが、15分程度のイントロ動画はYouTubeで視聴できますので、是非視聴してみてください。
 
IWJ タグ:関良基
 
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