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枝野幸男立憲民主党代表の安倍内閣不信任決議案趣旨説明(2018年7月20日)を会議録で読む:予告編~なぜ会議録が重要なのか

 2018年8月11日配信(予定)のメルマガ金原No.3236を転載します。
 
枝野幸男立憲民主党代表の安倍内閣不信任決議案趣旨説明(2018年7月20日)を会議録で読む:予告編~なぜ会議録が重要なのか
 
 去る8月5日に配信したブログ「国会パブリックビューイング第1回シンポジウム「『国会を、取り戻す。』-国会可視化が政治を変える-」(2018年8月3日)を視聴する」でご紹介した「国会パブリックビューイング」は、「現実の国会の審議の様子を街角で上映することで」、「甚だしく不誠実で民主的議論の精神にもとる行為への抑止効果を発揮していくことを目指」すとしています。
 つまり、映像(動画)を主要コンテンツとして活用しようという取組なのですが、映像を文字化したコンテンツも、「国会可視化」の有力なツールであることはもちろんなので、おそらく、そちらも重視していこうとされているのではないかと思います。
 というのは、国会パブリックビューイング公式Twitterに、昨日(8月10日)、次のような投稿がなされていたからです。
 
5:05 PM - 10 Aug 2018
国会インターネット審議中継などを、自動文字起こしする方法をまとめました。
自動文字起こしの様子は、こちらの動画をご参照ください。
1.Googleアカウント、2.GoogleChrome、3.簡単なPC設定、で、パソコンで再生される音声が、自動的にWordファイルに仕上がります。
枝野幸男 内閣不信任決議案弁明(途中まで)をgoogleドキュメント+音声入力で自動文字起こししてみた。(1時間18分)
文字起こしファイルはこちら→
 
5:05 PM - 10 Aug 2018
WindowsPCで自動文字起こしをするための設定方法は、こちらのファイルをご参照ください。
この内容は近日中に、#国会パブリックビューイングwikiにも掲載します。
 
 さて、国会パブリックビューイングでも、国会文字起こしの見本として使われた、7月20日、第196回国会・衆議院本会議での枝野幸男立憲民主党代表による2時間43分に及ぶ内閣不信任決議案趣旨説明ですが、実際に、公式の会議録が公開されるよりも早く、有志による文字化が行われてネットで拡散された上、フジサンケイグループの扶桑社が緊急出版するに至りました。
 
緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」
解説 上西充子、田中信一郎
2018年8月9日 扶桑社刊
 
 ただ、緊急出版と前後して、衆議院のホームページに、7月20日本会議の会議録が公開されました。
 
第196回国会 衆議院本会議 第45回(平成30年7月20日(金曜日)) 会議録
 
 本になったものを読む、というのも悪くはないと思いますし、インターネットなど無縁な生活を送っている人々に、国会でどのようなことが議論されているのかを伝えるために、とても意義ある緊急出版だとは思いますが、とりあえず「読んでみよう」という方には、この公式会議録をお薦めします。
 
 もちろん、衆議院インターネット審議中継によって、2時間43分の演説そもものを視聴することもできます。
 
衆議院インターネット審議中継⇒2018年7月20日⇒本会議
※発言者一覧から、「枝野幸男(立憲民主党・市民クラブ)」(開始時刻13時04分/所要時間2時間43分)を選択してください。
 
 ところで、国会の会議録については、日本国憲法第57条2項が、「両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。」と定めており、衆議院規則では、公表及び頒布の方法は官報によるとされ(第206条、第207条)、参議院の場合にもそれに準ずる方法によっているようですが、現在、最も一般的な「公表」「頒布」に相当する方法は、インターネットによる公開でしょう。
 このように、会議録の「保存」「公表」「頒布」を憲法が国会両議院に義務付けたのは、国会審議の状況を国民にありのまま開示することが、民主主義の基盤を支える前提として必須であり、そして、正確な記録を残すことにより、後世からの検証に耐え得るようにする必要があるからでしょう。
 
 些末なことですが、枝野代表に対する不規則発言(野次)に対し、枝野氏は大島理議長に対し、再三制止を要請したものの、それでも不規則発言を止めなかった議員に対し、一度だけ壇上から「ミズタ議員、黙っていていただけますか。」と発言したことが会議録に記載されています。この議員は、実際は自民党杉田水脈(すぎた・みお)議員であったようで、おそらく枝野氏の単純な言い間違いであったと思いますが、ネトウヨが大喜びして批判の記事を垂れ流していました。けれども、公開された会議録には、間違った「ミズタ議員」のまま掲載されていました。
 衆議院規則第203条は、「演説した議員は、会議録配付の日の翌日の午後五時までに、その字句の訂正を求めることができる。但し、演説の趣旨を変更することはできない。」とありますので、枝野代表は訂正の申立てをしなかったということでしょう。間違いに気付かなかったのか、気付いたけれど、訂正の申立てをすべき内容ではないと判断したのか分かりませんけれど(多分後者だろうと思いますが)。
 
 以上の「言い間違い」を会議録で確認した私は、以下の有名な「事件」を思い出さずにはいられませんでした。
 本会議ではなく、委員会会議録のことですが、2016年5月16日の衆議院予算委員会(第190回国会)において、山尾志桜里委員(民進党・無所属クラブ)からの質問に答えた安倍晋三内閣総理大臣が、「議会についてはですね、私は立法府立法府の長であります。」と明確に述べていたにもかかわらず、後に公表された会議録では、「議会については、私は行政府の長であります。」と書き換えられるという「事件」があったことを皆さんはご記憶でしょうか。実は、衆議院規則には、参議院規則と異なり、委員会会議録の作成にあたり、本会議に関する条項を引用するという規定が置かれていないため、いまひとつ判然としないのですが(先例によって処理されているのでしょう)、多分、参議院と同様、「発言した議員は、会議録配付の日の翌日の午後五時までに発言の訂正を求めることができる。但し、訂正は字句に限るものとし、発言の趣旨を変更することができない。国務大臣内閣官房副長官副大臣大臣政務官、政府特別補佐人その他会議において発言した者について、また、同様とする。」(参議院規則第158条、第59条)という扱いなのだと推測します。
 それにしても、これが単純な「字句訂正」である訳がありません。「立法府立法府」を「行政府」と「訂正」しながら、その直前の「議会については(ですね)」を残したため、「議会については、私は行政府の長であります。」という、いよいよ訳の分からぬ文章になっています。これは「趣旨の変更」そのものでしょう。
 要するに、あの時の答弁は、「議院内閣制」のイロハを淡々とでも、紋切り型でもいいので、述べておけば済む話であったのに、それが出来なかったということであって、なぜ出来なかったのかについて、国民の1人1人が判断するためには、このような「訂正」を許してはだめでしょう。ということで、私は、かかる歴史の改ざんが許せず、記録にとどめるべくブログを書いたのでした(「私は立法府立法府の長」は「私は行政府の長」と書き換えられた~国会会議録を考える/2016年6月9日)。
 
 実は、7月20日の枝野幸男立憲民主党代表による2時間43分の演説を、とても一度には紹介しきれませんので、会議録から何回かに分けて掲載する第1回にしようと思って書き始めたのですが、イントロだけで思わぬ長さになってしまいました。
 従って、会議録からの引用は次回以降ということにして、今日のところは「予告編」だけで終了とします。
 
 「予告編」の最後に、8月6日に行われた枝野幸男代表へのIWJの岩上安身氏によるインタビュー動画をご紹介しておきます。約50分の全編動画はIWJ会員(1か月間は一般会員でも視聴可、それを過ぎるとサポート会員のみ)でないと視られませんが、5分余りのハイライト動画は視られますのでご紹介しておきます。是非、IWJ会員登録をご検討ください。
 
「憲政史上最悪の国会」にした、 安倍政権「7つの大罪」を斬る!岩上安身による立憲民主党代表・枝野幸男衆議院議員インタビュー 2018.8.6
 
ハイライト動画(5分26秒)