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枝野幸男立憲民主党代表の安倍内閣不信任決議案趣旨説明(2018年7月20日)を会議録で読む:第4回~モリカケ問題が招くモラルの崩壊

 2018年8月17日配信(予定)のメルマガ金原No.3242を転載します。
 
枝野幸男立憲民主党代表の安倍内閣不信任決議案趣旨説明(2018年7月20日)を会議録で読む:第4回~モリカケ問題が招くモラルの崩壊
 
2018年8月11日
枝野幸男立憲民主党代表の安倍内閣不信任決議案趣旨説明(2018年7月20日)を会議録で読む:予告編~なぜ会議録が重要なのか
2018年8月12日
枝野幸男立憲民主党代表の安倍内閣不信任決議案趣旨説明(2018年7月20日)を会議録で読む:第1回~高度プロフェッショナル制度の強行
2018年8月13日
枝野幸男立憲民主党代表の安倍内閣不信任決議案趣旨説明(2018年7月20日)を会議録で読む:第2回~カジノ強行と「保守」の僭称
2018年8月14日
枝野幸男立憲民主党代表の安倍内閣不信任決議案趣旨説明(2018年7月20日)を会議録で読む:第3回~アベノミクスは限界を露呈した
 
 去る7月20日、衆議院本会議(第196回国会)で行われた枝野幸男立憲民主党代表による2時間43分に及ぶ演説(内閣不信任決議案趣旨説明)のご紹介、今日は第4回、いよいよ「モリカケ問題」の登場です。ただ、「モリカケ問題」だけでは何だか迫力がないな、ということで考えたタイトルが「モリカケ問題が招くモラルの崩壊」です。
 「モリカケ問題」から派生した「公文書改ざん問題」にも力を入れて言及していることは言うまでもありません。
 こういう政権が、「道徳」教科化を強力に推進しているのですから、悪い冗談としか思えません。
 
 おそらく、この連載もあと3回で完結できそうです。私のブログに付き合っていただけた方は(枝野代表の演説を読破したということですから)、安倍晋三内閣が「不信任」に値する理由を、十分以上に整理して理解することができたはずです。
 もうあと少しです。頑張って読み切りましょう。
 
 なお、いつものように、「予告編」でご紹介した、会議録、インターネット審議中継(動画)、演説をそのまま刊行した単行本、IWJ動画(岩上安身氏による枝野代表インタビュー)を、冒頭でご紹介しておきます。
 
【会議録】
第196回国会 衆議院 本会議 第45号(平成30年7月20日(金曜日))
 
【動画】
衆議院インターネット審議中継⇒2018年7月20日⇒本会議
※発言者一覧から、「枝野幸男(立憲民主党・市民クラブ)」(開始時刻13時04分/所要時間2時間43分)を選択してください。
 
【単行本】
緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」
解説 上西充子、田中信一郎
2018年8月9日 扶桑社刊
 
【インタビュー動画】
「憲政史上最悪の国会」にした、安倍政権「7つの大罪」を斬る!岩上安身による立憲民主党代表・枝野幸男衆議院議員インタビュー 2018.8.6
ハイライト動画(5分26秒)
※IWJ会員登録
 
(備考)衆議院の正式な用語に従えば、本稿のタイトルは「枝野幸男立憲民主党代表による安倍内閣不信任決議案趣旨説明」ではなく、「趣旨弁明」となるのですが(冒頭の大島議長の発言など参照)、一般の用法との乖離がはなはだしく、誤解を招きかねないと判断し、「趣旨説明」と言い換えています。
 

枝野幸男立憲民主党代表による安倍内閣不信任決議案趣旨説明:第4回~モリカケ問題が招くモラルの崩壊
 
第3回から続く
 
 四番目に、政治と社会のモラルを崩壊させる、いわゆるモリカケ問題等にも触れておかなければならないと思います。
 まず、このモリカケ問題には、第一に、約九億円の国有地が八億円ほど値引きして売られようとしていたという問題があるという本質を忘れてはならないというふうに思います。まさに、国民の皆さんからは、常に税金の使い道について厳しい声が上がっています。そうした状況の中で国有地が八億円もダンピングされたとすれば、その分の税金が食い物にされたのと意味は一緒です。
 本来であれば……(発言する者あり)黙らせていただけますか。
 
○議長(大島理森君) 続けてください。
 
枝野幸男君(続) 黙らせていただけますか。議長、不適切発言に対しては指導していただきたいと思います。(発言する者あり)
 
○議長(大島理森君) 御静粛に。御静粛に。
 どうぞ続けてください。
 
枝野幸男君(続) ミズタ議員、黙っていていただけますか。
 この八億円もの値引きがどうしてされようとしていたのか。
 財務省の皆さんは、それには批判もあるかもしれませんが、国民の皆さんから、納めるべき税金は一円とも間違いなく、落ちなく納めていただくために努力をされています。国有財産などを売るに当たっては、一円でも高く売るために努力をされています。
 私は、そうした財務省の基本的な姿勢は、それは、少しでも税金を安くしてほしい、少しでも安く国有財産を手にしたいという皆さんには残念なことであるかもしれませんけれども、正しい姿勢だと思っていますが、その財務省がなぜ八億円も値引きを認めようとしたのか、一旦は認めたのかという、これは深刻な問題であります。こんなことが日常茶飯に起きたとしたら、まさに我が国の財政は、どんなに国民から税金をいただいても回るはずがありません。
 したがって、なぜこんなことが起こったのか、その原因、本質を明確にすること、そしてそのことに基づいて再発防止策をとること。原因もわかっていないのに、全貌も解明されていないのに、再発防止を打てるはずがありません。
 後で述べる改ざん問題なども含めて、責任を痛感していますとか、真摯な反省とか、再発防止とか、言葉だけは躍っていますが、全貌解明の妨害をし続けてきているのは誰なんですか。全貌解明に抵抗しているのは誰なんですか。全貌解明に協力をしない政府・与党の姿勢こそが、まさに税金の無駄遣いを生み出すうみそのものではありませんか。
 そもそも、これだけでも問題なのでありますが、第二に申し上げなければならないのは、安倍総理昭恵夫人が、夫人付の公務員である谷査恵子氏を通じて行政に問い合わせるという関与をしていました。このことは既に明らかになっています。このことだけで大問題じゃないですか。
 ほかに、こんなおかしな値引きをしたことについての合理的な説明が一切なされていない以上は、このことが影響を与えていたという以外、現状では推認しようがないじゃないですか。
 安倍総理は、関係していたら総理も議員もやめるという発言をされました。この発言があろうとなかろうと、この事実をもってしてだけでも、まさに権力の公私混同の問題として深刻な問題であることは明らかであります。にもかかわらず、昭恵夫人も谷氏も、国会はおろか、記者会見などの場も含めて全く説明をしておられません。
 財務省が改ざん、隠蔽してきた文書の多くを、この国会で野党の協力によって公開にまで持ち込むことができました。野党各党が粘り強く追及してきた成果であると思っていますが、そもそも、本来であれば総理や政府自身あるいは自民党が積極的に真相解明に努力すべきであると思いますが、全くそうした姿勢は一貫して示されませんでした。
 そして、非常にわかりやすいのは、関連する文書の多くがようやく野党の追及に応じて出てきましたが、なぜか昭恵夫人や谷査恵子氏が関与していたとされる時期の文書だけ、いまだに出てきておりません。
 更に言うと、びっくりしましたが、これは共産党さんが指摘をされました、最高裁まで争ってでも公開はしないとされる打合せ文書が出てきました。こうした文書が本物でないという否定もできていません。本物かどうかわからないというか、答えないという状況であります。まあ、本物だから否定できないんですよね。
 最高裁まで争ってでも公開しないというそんな姿勢、まさに総理が指導力を発揮して、公開できるものは全部公開しろと言うべきじゃないですか。こんな姿勢で、自分の配偶者は関与していないと幾ら言い張ったって、誰も信用しないのは当たり前のことじゃないですか。
 モリカケ問題に関連しては三つ目、加計学園問題であります。
 国家戦略特区に至るプロセス、獣医学部の設置認可に至るプロセス、まさに行政の中立性、公平性を損ないかねない疑惑であります。これに全く真摯に対応していないどころか、真実に目を向けぬ姿勢がもはや明確であります。
 何度も指摘をされていますが、改めて申し上げたいと思います。
 公開された愛媛県の文書、平成二十七年の三月付の文書には、三月三日の打合せ会において加計学園のした報告が記載をされています。二月二十五日に加計理事長が総理と面談し、いいねと言われた。公文書であるのかどうかということはいろいろな議論がありますが、愛媛県の地域政策課がつくり保管していた文書において、加計理事長が総理と面談し、いいねと言われたということが明確に書かれているところであります。
 すごいのは、加計理事長などが、事務局長がその場の雰囲気で作り話をしたと釈明をされたことであります。愛媛県の一連の記録と照らし合わせれば、明らかにこの加計理事長の説明は矛盾をしており、この理事長の、雰囲気で作り話をしたという釈明こそが虚偽であるのは明らかであります。
 一つには、当該その三月の文書の冒頭に何と書いてあったか。「加計学園から、理事長と安倍首相との面談結果等について報告したいとの申出があり、」というのが冒頭の記載です。
 つまり、この会合そのものが、打合せ結果、安倍総理との面談結果を報告したいという申出に基づいてこの会合がセットされているんですから、その場の思いつきで安倍総理との会談の話がしゃべられたわけではないというのは記録上明々白々じゃないですか。これだけでも加計学園は大うそつきだということがはっきりしています。
 一つだけではなんなので。
 愛媛県の公表文書、一つ前の文書は二月付の文書です。その二月付の文書にはどう書いてあったか。理事長が安倍総理と面談する動きもあると明記されているんです。
 二月の会合で、理事長が安倍総理と面談する動きもあるという報告をし、三月の会合は、理事長と安倍総理との面談結果等を報告したいとの申出でセットされ、そこでいいねと言われたと報告をした、これが全部、記録上明確に残っているんです。これが作り話、あり得ないですね。
 まだあります。
 この三月付の文書、柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示があったとの加計学園からの報告が記載をされています。そして、次の文書で、資料提出指示を受けて、柳瀬秘書官と加計学園が協議の日程を調整しているとの加計学園からの報告内容が記載をされていて、実際にこの流れの中で、いわゆる問題となっている柳瀬秘書官との面談が実現をされているわけでありまして、総理と加計理事長との面談からこの一連の流れが進んでいるということは記録上はっきりとしているんじゃないでしょうか。
 そもそも、学校の設立認可という公権力の行使、行政行為の選択に当たって、こうした形で政治家が関与をしていたとすれば、そのこと自体大きな問題でありますが、県や市も多額の金をこの加計学園に出していますが、学校を設立されてしまった以上は、ここには毎年、私学助成金という形で国費も出ていくんです。
 獣医学部のような実験などを多々行う学部が、私学助成金の中で、経営が回っていくというのは、これは現実的にあり得ません。学校が存続する限り、私学助成金がない限りは経営は成り立たない。これもまた税金の使われ方、使い方の問題であり、しかも、愛媛県今治市だけではない、国費の問題でもあるんです。
 安倍総理は、国家戦略特区のワーキンググループのプロセスに瑕疵がないことを繰り返し強調していますが、全くピント外れの言いわけだと言わざるを得ません。
 仮にワーキンググループの手続本体には瑕疵がなかったとしても、総理との関係を背景にして総理秘書官から特別な指導助言を受けていれば、行政の中立性、公平性を損ねるものになります。あるいは、国家戦略特区としての正式な申請の前段階のプロセスであったとしても、それこそ加計理事長の言いわけのように、総理の名をかたって県や市をだますなどという決定的な瑕疵があるならば、設立認可そのものに瑕疵があると言わざるを得ません。
 そもそも、申し上げたいんですが、この柳瀬秘書官というのは、私も経済産業大臣をやらせていただいたので存じ上げていますが、経済産業省から総理秘書官に出ていらっしゃるんですよね。
 この国家戦略特区は、その結果、学校の設立の問題という意味では文部科学省に影響する話です、獣医師さんという話では農林水産省に影響する話でありますが、内閣府の所管であります。私立の大学の学部を設置する、しかも一次産業系の学部を設置するということについて、そもそも柳瀬秘書官は知見もなければ所掌したこともないんです。何で柳瀬秘書官が関与して指導助言をしているのか。それはまさに総理秘書官だからにほかならないじゃないですか。
 総理秘書官が関与しているから、内閣府を始め各省庁はそれをそんたくするなり、私は事実上の指示が出ていたと思っていますが、それは断定はしません。
 しかしながら、まさに、なぜ所掌ではない経済産業省出身の秘書官が関与をしていたのかということ一点をもって、まさに官邸としての影響力を行使させようとしていたということは、これだけで私は明々白々だというふうに思いますけれども。
 これらだけでも内閣が三回ぐらい吹っ飛んでもおかしくないんですが、この問題は、更に言うと、このまま放置をすればとんでもないことになる、そういう問題であります。
 総理のような権力者と友人であるなら、あるいは権力者の配偶者に取り入ることができれば、行政的に有利に取り計らってくれるかもしれないという認識を世の中に生じさせているということであります。行政の中立性、公平さに対する信頼が、急激、著しく、今、劣化をしています。こうした状況を放置したら、見逃したら何が起こるか。有利に取り計らってもらおうとして、権力に取り入る、すり寄る人間が増加をします。
 その一方で、そうした機会はつくろうと思ってもとてもできないよねと、多くの皆さんはそう考えるでありましょう。そうした皆さんは、どうせ一部の人だけがいい思いをするのでしょうという意識に陥り、モラルとモチベーションが低下することになります。これは、まさに日本社会を崩壊させる危機です。
 したがって、多くの国民の皆さんに、ああ、やはり行政は中立公正なんだという納得感を得させなければ社会のモラルを崩壊させる、その責任は、こうした疑念を生じさせた安倍総理にあるということは間違いないじゃないですか。
 森友、加計学園問題に関連をして、五番目に指摘をしなければならないのは、これ単独でも七つのうちの一項目立てたいぐらいの話でありますが、この真相解明を妨害するような、そうしたプロセスの中で出てきた公文書の改ざん問題であります。
 これは、行政の末端のごくごく一部の数人が個人的な不祥事を隠すために文書を改ざんしたなどという、過去にも残念ながら時々生じている不祥事とは全く本質的には違っています。公文書の改ざんを、しかも国会との関係で、中央官庁の中枢部が大がかりに実施をしたというところが本質的な問題です。
 国会から求められている資料提供や報告を求められている案件について、公文書を改ざんしたということはどういうことか。国会をだましたということであり、国会を通じて国民をだましたということにほかなりません。
 この問題は、与党の皆さんも、そうだと言わないとおかしいんですよ。だまされたのは皆さんも一緒なんです。その本質的な意味を理解されていないことに、今の自民党の劣化が象徴されていると私は思います。
 行政が国会に改ざんしたうその文書を出したら、国会は成り立ちません。本来であれば、後で申し上げますが、国会の内外で虚偽答弁が繰り返されていて、それ自体も問題です。でも、残念ながら、過去も国会などで事実と違う答弁がなされたりということはありました。
 だから、国会では、特に野党は、文書を出せということに力を注いできているんです。さすがに公文書は正しいことが書いてあるはずだ、だから、残っているはずの文書は何なのか、それを探り出し、それを公開させることによって、口先ではごまかそうとしても真実を突きとめる。そのことのために努力をしてきたし、そのことによって成果も上がってきているんです。
 にもかかわらず、その国会に出す文書を改ざんする、国会をだますために改ざんするなどということを認めてしまったら、国会をだますんですから、与党の部会をだますかもしれませんよ。与党の部会にも、うそを書いた文書を出してくるかもしれませんよ。そうした状況を許すということを、本当に危機感を持っていらっしゃらない与党議員の皆さんを、私は大変残念に思います。
 こんなとんでもない改ざんが行われたにもかかわらず、残念ながら、誰も刑事責任を問われていません。検察審査会に国会議員は介入することはできませんが、検察審査会に期待をしたいというふうに申し上げるにとどめておきたいというふうに思っております。
 加えて、最も重い処分が停職三カ月。後で話が出てきますが、外務省で停職九カ月の方が相前後して生じました。そっちはよっぽど重かったんですね、これよりも、三倍なんですからねということを後で申し上げたいと思いますが、国会をだますようなことをして停職三カ月。それぐらいの停職で済むということで、こういうことをやっていいんですねと認めているようなものじゃないですか。
 いや、あえて言えば、主観的意図はわかりませんが、まさに、経緯からすれば、安倍総理を守るために改ざんをしたと受け取られても仕方がないようなプロセスなのははっきりしているわけですから、総理を守るためだったら、こんなとんでもないことをしてもこんな軽い処分で済むんだ。ここでもモラルハザードを生じさせるんじゃないでしょうか。
 佐川前国税庁長官は理財局長当時にこうしためちゃくちゃな改ざんを行っていた中心にいたのは、これはもう政府としても認めているわけです。その方を、野党の指摘、こんな人、していいんですかという指摘を払いのけて適材適所と国税庁長官にしたのは、安倍総理です。
 確かに財務大臣かもしれませんが、後で申し上げるとおり、今や、幹部公務員の人事は一元化をして、総理自身、適材適所と繰り返しておられました。いまだに適材適所とおっしゃっているようなんですが、信じられません。総理のために、停職処分も恐れず、公文書を改ざんして国会をだますような人は、総理にとっては適材適所なのかもしれませんね。
 公文書が信用できないということになれば、これは国会としても、役所が出してくる文書を、いつも、改ざんされているかもしれないという疑念の目を持ちながら、審議、議論しなければなりません。
 そして、多くの一般の国民の皆さんの国民生活だって、役所から来る公文書は正しいものだという前提でほとんどの国民の皆さんは暮らしています。役所から、例えば納税の通知書が来れば、自分で一々計算し直してみて、自分の税額が合っているかどうかなんて調べる人は余りいません。役所からあなたの年金額は幾らですという通知が来れば、年金何とか便というのをつくって過去の支払いの実績がチェックできるようにはなっていますが、毎回毎回きちっとチェックする人はそういらっしゃいません。
 役所は、そうはいったって、役所のつくる文書は正しいんだという信頼関係のもとに社会というのは成り立っています。この公文書改ざんを、このままで、臭い物にふたをしてしまったのでは、この社会全体の公文書に対する信頼が揺らいだ状況を放置するということにほかなりません。これも、社会そのものを壊してしまうことにつながっていくと私は強く危惧をしているところであります。
 公文書に対する扱いは、財務省にとどまりません。後に防衛省自衛隊の日報問題についても述べさせていただく予定になっておりますが、そもそも、よらしむべし、知らしむべからずという、江戸時代以来、あるいはもっと古いかもしれません、まさに我が国の間違った意識が残ってしまっているのではないでしょうか。
 先ほど申しましたとおり、私は、明治維新以前の、西欧近代文明が入ってくるより前からの日本の歴史と伝統の中には、再評価すべきもの、しっかりと引き継ぎ、それを現代社会に合わせて応用をして生かすべきものが多々あると思っています。
 しかしながら、まさにこのよらしむべき、知らしむべからずという意識を、行政にかかわる人間、それは政治家も含めてですが、わずかなりとも持っていてはいけないと私は思います。そうした意識を持っているのではと疑わざるを得ない、大本営発表にもつながったようなこうした意識を払拭させる責任は総理にあるにもかかわらず、総理自身がうみのうみになっているという状況では、とても内閣を信任することはできません。
 森友、加計問題についての六点目は、森友学園は、理事長は学園の経営から退かれました。加計学園の加計理事長は今も理事長のままでおられます。
 全く矛盾に満ちた、まさに出任せとも言っていい説明を繰り返し、逆に、百歩譲って、もしこの加計理事長の言っていることが本当だとすれば、総理の、腹心の友という日本語、余り私は聞いたことないんですが、相当親しい御友人がトップである法人が、総理の名をかたって、かたったわけですからね、愛媛県今治市に対しては、しかも勝手にかたって、獣医学部の設置を有利に進めようとしたことになるわけですね。
 総理との御友人だったのは事務局長じゃありませんね。事務局長が言ったと、百歩譲って言ったとしても、総理と加計理事長が御友人だったことを奇貨としてやっているわけですね。
 何らの責任も感じる姿勢も示さず、説明責任を全く果たしていない。もう記者会見はやらないなんて言っているわけですよ。こんな方が、教育機関のトップをやらせていいんですか。
 この認可過程に決定的な問題がありました。ありましたが、学校として現にでき上がってしまい、そこに学んでいる学生さんたちがいらっしゃいます。そうした現実を踏まえるならば、やるべきことは、加計理事長は、加計学園の少なくとも獣医学部の経営から手を引かれ、第三者に経営権を移譲すべきであると思いますし、友人であるならば、安倍総理はそれを促す責任があると私は思います。そうでなければ、こんないいかげんな、無責任な人間が教育機関のトップをやっているという、教育におけるモラルの崩壊につながっていくと私は思います。
 民間に口出すなとかとやじっている人がいますから、私の話をちゃんと聞いてくださいね。総理、友人として促すべきだと私は申し上げました。それが日本の社会の秩序、モラルを維持すべき責任を持っている日本の政治のリーダーとしての、御友人に対する真摯な姿勢ではないでしょうか、皆さん。
 まあ、総理のおっしゃる友人というのは、同じような高い志を持って、違う道だけれども頑張っていこうねというのを私は友人というものの定義だと思っていますが、一緒に楽しくゴルフをやるというのがお友達なのかなと思いますので、しようがないのかもしれませんね。
 モリカケ問題の七番目の問題点、これは、検察捜査への介入の疑惑まで生じているということです。
 大阪航空局作成とされる文書、これもこの国会の中で指摘がされました。官邸も早くということで、法務省に何度も巻きを入れているが、刑事処分が五月二十五日夜という話はなくなりそうでと、調査することすら否定しています。
 検察庁法十四条は、法務大臣は、個々の事件の取調べ又は処分については、検事総長のみを指揮することができると明記をしています。法務大臣ですら検事総長のみを指揮することができるんですから、法務省の役人や、ましてや法務省以外の行政機関の役人が検察に関して関与することがあってはならないのは、この検察庁法十四条が前提としていることです。
 指揮権発動以外の手続で、官邸を含めた行政機関が法務省を通じて個別事件の捜査に関連して巻きを入れていれば、明らかに検察庁法に違反した、捜査への不当介入であります。
 当該文書は、行政の当事者でなければ到底つくれない内容になっており、怪文書では到底ありません。そもそも、昨年のモリカケ問題発覚以来、怪文書と最初称していた文書が実は本物だったことの繰り返しではないですか。財務省会計検査院、これだけでも問題です。検察捜査にまで官邸が影響力を行使して行政をゆがめているとの疑念をこのまま放置したのでは、この国は何物も信用できない国になってしまう。法治国家とは到底言えない状況になってしまいます。
 私は、現時点で、この文書が本物だったと言うつもりはありません。しかし、政府みずから積極的に調査をして、真実を明らかにする必要があります。巻きを入れた事実があったのかなかったのか、しっかりと調査をすべきでありますが、その調査すら放棄をして開き直っている姿勢は、到底許しがたいものがあります。
 以上申し上げてきたとおり、一連の森友学園問題、加計学園問題は、いわゆるスキャンダルではありません。行政の公平性、廉潔性を損ね、放置をすればモラルハザードを招く社会と国家の危機であります。
 今なお多くの国民が総理や政府などの説明に納得できないという状況であります。このこと自体が危機であります。丁寧な説明、うみを出し切ると繰り返しましたが、実態は逃げ回る一方であります。
 確かに、我々に対しては、いつまでモリカケばかりやっているのだという声があります。そもそも、ばかりでないというのは客観的な事実として申し上げておきたいと思いますが、同時に、モリカケ問題の追及は、真相解明まで、どんな声があっても諦めずにやり続けます。
 総理は、いずれ時間がたてば多くの国民が忘れてくれると思っているかもしれません。そもそも昨年秋の総選挙がモリカケ隠しの意図があったのではないかという声もありますが、何度解散されようと、どれぐらい時間がたとうと、真相解明がなされない限り、このことを追及していくのは、行政の中立性、国会答弁や公文書に関する信頼性を守るための野党としての責務であると考えています。
 総理を始めとして政府・与党が真相解明のために積極的に対応すれば、そもそもこんな大きな問題になっていなかったかもしれません。安倍昭恵夫人、谷査恵子氏、加計理事長、愛媛県知事、再度の佐川氏など、後ろめたいことがないならば、与党から積極的に国会での招致などを求めるのが当たり前じゃないですか。行政の内部文書と思われるような文書が明らかになったら、積極的に調査し、報告すべきではないですか。後ろめたいと思っているからやらないんでしょう。
 そもそも、公文書も、総理を始めとする行政による国会での説明も信用ができない、中立性、公平性に信用ができないという状況では、内政、外交とも、まともに進むはずはないじゃないですか。国会などでさまざまな答弁を引き出し、政府の認識を明らかにしても、後になって、発言が、文書の内容が簡単にひっくり返されたのでは、論争自体が意味がないじゃないですか。多くの国民の皆さんが政府に対する信用、信頼を持っていない中で、強力な政策推進ができるはずがないじゃないですか。
 私たちは、全貌解明に至るまで追及を続けることをここで申し上げるとともに、与党の皆さんに対しては、国会は、明後日、通常国会は再延長はありませんので閉会をしますが、臨時国会を開き、あるいは、臨時国会を開かなくても閉会中審査でも、幾らでも、先ほど申し上げました関係者を、国会に来て説明をしていただくことはできますので、ぜひ、しっかりと国民の信頼を取り戻す、本気でうみを出し切る姿勢を示していただきたいと、この場をかりて強く求めておきたいと思います。
 
(第5回に続く)