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玉城デニー氏による沖縄県知事選挙への出馬表明(2018年8月29日)を視聴する(冒頭発言部分文字起こし)

 2018年9月1日配信(予定)のメルマガ金原No.3257を転載します。
 
玉城デニー氏による沖縄県知事選挙への出馬表明(2018年8月29日)を視聴する(冒頭発言部分文字起こし)
 
 8月8日に急逝された翁長雄志(おなが・たけし)知事の後任を選ぶ沖縄県知事選挙は、9月13日告示、同月30日投開票に向けて、自民党公明党日本維新の会が推薦する佐喜真淳(さきま・あつし)前宜野湾市長と、自由党幹事長の玉城デニー(たまき・でにー)衆議院議員による事実上の一騎打ちの構図となりました。
 
 今回の選挙は、多くの人がそのように感じていることでしょうが、単に沖縄だけにとどまらない、日本という国にとっての大きな分岐点となる選挙だと思います。
 間近くは、沖縄県知事選の10日前に行われる自民党総裁選挙の結果、下馬評通り安倍晋三氏の三選が決まれば、かねての公言に従い、秋の臨時国会における改憲発議に向けてアクセルが踏み込まれることでしょう。
 そして、自民・公明・日本維新の会という沖縄知事選挙の共闘枠組によって佐喜真候補の当選という結果が生じれば、この3党共闘がそのまま臨時国会改憲発議を目指す政治勢力の枠組として機能することが容易に想定されます。
 
 さらに、今度の選挙は、実際に立候補するのは玉城デニー氏と佐喜真淳氏ですが、実態としては、「翁長雄志知事」対「安倍晋三首相」の闘いではないのか、という気がしています。
 沖縄の自民党を代表する政治家であった翁長知事が、早過ぎる晩年に到達した政治家としての境地と、6年近くにわたって日本の中央政界に君臨する安倍首相という、ある意味希有な政治家の在り様が比較され、評価される選挙ではないかと思っているのです。
 もちろん、これは選挙権を持たない県外の人間だからこそ述べられる無責任な感慨でしょうが、ここ数年、「安倍晋三」的なるものに真に対峙し得た日本の政治家に誰がいたろうか?と振り返った時、私には、「志位和夫」でも「枝野幸男」でもなく、「翁長雄志」という名前が真っ先に浮かんでくるのです。
 その翁長知事が病に倒れたことは痛恨の極みですが、翁長知事の死が、沖縄の、そして日本の政治状況を大きくゆさぶる可能性はまだ残されていると思います。
 
 その翁長知事の事実上の後継指名を受けた玉城デニー氏は、去る8月29日、那覇市において沖縄県知事選挙への出馬を表明し、記者会見を行いました。
 その冒頭において、出馬に至った経緯や選挙戦に臨む基本方針について、かなり長い時間を費やしたスピーチを行いました。
 翁長知事の肉声による後継指名が伝えられてから、29日の出馬表明に至るまでの間に相当練り上げられており、翁長知事に対する深いリスペクトを基盤としつつ、自らのカラーも大仰にではなく盛り込んだ、素晴らしい出馬表明であったと思います。
 
 動画については、ネットでいくつか見つかりますが、お薦めはIWJです。幸い、全編無料で視聴できます。
 実は、画質・音質とも、最も優れていると思ったのは、EACI(東アジア共同体研究所/鳩山友紀夫理事長)琉球・沖縄センターによる動画なのですが、まことに残念ながら、これは(冒頭発言の部分も)編集短縮版なのですよね。質疑部分はともかく、せめて冒頭発言だけでも全編アップして欲しかった。
 
 ところで、この出馬表明(冒頭発言)については、IWJとしんぶん赤旗に「全文」が掲載されていました。ただ、動画と照らし合わせてみると、いずれも「完全再現」とはなっていませんでしたので、相当に手間がかかりましたが、両者のハイブリッド版にさらに私が修正を加えましたので、ほぼ完全再現に近い文字起こしになったのではないかと思います(まだ自信のない箇所もあることはあるのですが)。
 なお、このスピーチについては、著作権法40条1項「公開して行われた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の行う審判その他裁判に準ずる手続を含む。第四十二条第一項において同じ。)における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。」により、著作権フリーとして取り扱っています。
 
 それでは、玉城デニー氏の沖縄県知事選挙への出馬表明を、見て、聴いて、読んで、味わってください。
 
IWJ「翁長知事の意志を引き継ぎ、辺野古新基地建設阻止を貫徹する」!故翁長知事からの「後継者」指名を受け、玉城デニー氏が沖縄県知事選へ出馬正式表明! 2018.8.29
記事公開日:2018.8.29 取材地:沖縄県 テキスト動画
 
玉城デニー氏、沖縄県知事立候補表明記者会見(8分23秒)
 
(出馬表明の文字起こし/冒頭のウチナーグチによる挨拶は省略)
 本日ここに、沖縄県知事選挙出馬への決意を表明致します、玉城デニーです。
 期せずして沖縄県知事選が早まることとなり、今、私自身がここに自らの意思を示すことの意味を重く、深く、考えております。
 沖縄が歩んできた、歩まされてきた道は厳しく険しいものでした。この島に生まれた一人のウチナンチューとして、先人たちの血と汗が滲む、この島の太陽と風を体一杯に受けて育った者として、今、たじろがずに前を向いて踏み出す時が来たことを、私、玉城デニーはしっかりと受けとめています。(拍手)
 何より、この決意が県民と共にあるものと確信しています。(拍手)
 ウチナンチューが心を一つにして闘う時には、想像するよりも遥かに大きな力になる。今月11日に奥武山陸上競技場で開かれた県民大会で、翁長雄治(おなが・たけはる)さんは、自らの父である翁長雄志(おなが・たけし)県知事が繰り返し語った言葉を紹介してくれました。
 県民が心を一つにすることを深く望み、県民が持つ力を誰よりも信じ、揺らぐことのない自らの決意がいつも県民と共にあることを、最後の瞬間まで命がけで、私たちに発し続けた知事の強さ、その思いは県民の胸の奥に確かに静かに刻まれています。その知事の強さ、優しさ、沖縄への愛情は、ここにいる私の背中を押し、決意と覚悟をもたらしてくれている、そう感じています。
 しかし一方で、知事が誰よりも望んでいた、心を一つにすることへの心ない攻撃があることを強く指摘しなければなりません。それは、民意を、地方自治を踏みにじる形で、辺野古新基地建設を強行する、この国の姿です。
 県の再三の指導にも従わず、既成事実を積み上げることで県民の諦めを狙い、一方では基地と沖縄振興を敢えて絡ませて揺さぶり、県民の中に対立と分断を持ち込もうとします。
 法令解釈を都合良く変えて、手続きを踏み倒すことに腐心する国のやり方は、法治国家といえるのでしょうか。故郷の海を守ろうと声を上げる人々を実力で排除するやり方は、はたして民主主義の姿なのでしょうか。
 しかし、これら政府が作り出す印象操作に私たちウチナンチューはひるむことなく団結し、一つ一つ乗り越えてきました。最新の世論調査において、辺野古建設を不支持とする人が全国で44%にのぼり、支持を上回りました。
 保守政治家であった翁長知事が、自ら先頭に立って、沖縄の過重な基地負担の在り様を国民に問い、全国知事会日米地位協定の不平等を知らせ、「この先、何十年もこれで良いのか」と、「主権国家としてこれで良いのか」と、「この国はこれで良いのか」と発信し続けてきたことで、やっと浸透し始めてきたのではないかと思います。
 政権の冷ややかな仕打ちに直面しようともたじろがず、ウチナンチューの誇りをもって臨んだ知事の勇気と行動が、少しずつ、少しずつ国民の関心を呼び覚ましているのです。
 数の力を頼みにした、そんな政権の手法が次第に綻びつつあることを、国民、有権者は気づき始めています。今回の世論調査に、その意識の現われを共感として私たちも感じ取ることが出来ます。その中において知事の最たる意志であり、手続きの中にある埋立承認の撤回を、私、玉城デニーは全面的に支持して参ります。(拍手)
 行政判断を待つ中ではありますが、来る県政において私は、しっかりと翁長知事の遺志を引き継ぎ、辺野古新基地建設阻止を貫徹する立場であることをここに表明いたします。(拍手)
 あわせて、やりたい放題に飛ぶヘリの下で、子どもたちは怯えながら授業をし、校庭に作ったシェルターに避難させられている。そんな日常の風景を放置することはもはや許されません。
 「いい正月を迎えられる」と言って埋立承認をした仲井眞弘多(なかいま・ひろかず)元知事に、政府が約束した普天間基地の運用停止は来年2月で5年の期限を迎えます。これまで、何らの実効性ある取り組みを示さず、挙句、返還が進まない責任を翁長知事になすりつける。世界一危険と認めながら、その危険を放置し続けているのは、一体誰なのでしょう。こんな政治の堕落を認めていいはずがありません。一日でも一秒でも速やかに普天間飛行場を閉鎖し、返還をなすよう国に強く要求します。(拍手)
 さて、次の知事は、その任期中に復帰50年を迎えることになります。新しい沖縄の姿をどうやって県知事選挙で県民の皆さんにしっかり示していけるのか。従来の、東京とのパイプを強調した時代から、沖縄の存在感と可能性は今や格段に上がっています。アジアをはじめ世界に開かれた沖縄へと力強く羽ばたいています。
 翁長知事は、「21世紀ビジョン」、「アジア経済戦略構想」を強力に推進しました。遠い目標と思われた観光客数はもう一千万人を目の前にしています。国税への沖縄の貢献は、3000億円を超えています。
 また、子供の貧困対策は翁長県政が柱として肝いりで進めた政策でした。全国初の実態調査を実施し、子どもたちを取り巻く困難さを具体的に把握できたことで、官民あげての取り組みが格段に拡がりました。
 「県民の生活が第一」、この言葉は、私の政治活動における最も大事な理念であり、「イデオロギーよりアイデンティティ」の言葉は、翁長知事から受け継いだ大切な理念です。私は、子どもや女性、若い人たちにうんと力を注いでいきたいと思います。人材育成にも力を入れたい。沖縄で育まれた文化を、芸能を、世界へ向けてもっともっと発信したい。地元の企業を大切にし、働く皆さんの笑顔を増やし、ユイマール(相互扶助)のチムグクル(精神)で自立と共生の沖縄を目指してまいります。(拍手)
 翁長カラーにデニーカラーをプラスしていきながら、全ての県民が自分の夢を持てるよう、その方向性を支えていけるよう、皆さんと協力して政策を練り上げて参ります。今、翁長知事の政策を点検している段階です。私の思いと県民が求めている政治への思いを、そこへ結んで、皆さんと共に歩いていければと思っています。
 このかけがえのない島の未来を、誰でもなく自分たちの手で作り出していく。生まれてくる子どもたち、明日を担う若者たちに平和で真に豊かな沖縄、誇りある沖縄、新時代沖縄を託せるよう、私、玉城デニーは全力疾走で頑張ります。ありがとうございました。(大きな拍手)
 
(付記1 8月31日 沖縄県辺野古埋め立て承認を撤回)
沖縄県記者会見での謝花喜一郎副知事のコメント
(引用開始)
記者会見 副知事読み上げ
(埋立承認取消し(撤回)について)
 普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認について、本日、当該埋立承認を取り消しました。
 県は、これまで、承認後に生じた事由として、埋立承認に附した留意事項や環境保全措置に関する問題点等について、法的な観点から慎重に検討を行ってきたところですが、こうした問題点等は、取消処分の原因となる事実に該当すると判断し、本年8月9日に、沖
縄防衛局に対し、聴聞を実施したところです。
 聴聞手続きにおいて、沖縄防衛局は、意見書と証拠書類を提出し、行政庁に対して質問を行った上で、意見書に沿って意見を陳述したところです。
 聴聞の結果については、8月20日に主宰者から、聴聞に係る調書と報告書が提出されましたので、調書の内容と報告書に記載された主宰者の意見について十分に参酌し、予定される取消処分について検討したところです。
 その結果、本件埋立承認については、留意事項に基づく事前協議を行わずに工事を開始したという違反行為があり行政指導を重ねても是正しないこと、軟弱地盤、活断層、高さ制限及び返還条件などの問題が承認後に判明したこと、承認後に策定したサンゴやジュゴ
ンなどの環境保全対策に問題があり環境保全上の支障が生じることは明らかと認められたことなどから、
公有水面埋立法4条1項1号で規定する「国土利用上適正且つ合理的なること」の承認要件を充足しないことが明らかになったこと
・留意事項1に違反していること
公有水面埋立法4条1項2号で規定する「環境保全及び災害防止に付き十分配慮せられたるものなること」の承認要件を充足しないことが明らかになったこと
が認められ、県としては、違法な状態を放置できないという法律による行政の原理の観点から、承認取消しが相当であると判断し、本日付けで、沖縄防衛局に対し、公有水面埋立承認取消通知書を発出したところです。
 8月8日に逝去された翁長知事は、平成26年12月の就任から、辺野古新基地建設阻止を県政運営の柱とし、県民のために自らを投げ打ち、まさに命を削り、その実現に向け取り組んできました。
 今回の承認取消しは、辺野古に新基地は造らせないという翁長知事の強く、熱い思いをしっかりと受け止めた上で、埋立承認の取消処分の権限を有する者として、公有水面埋立法に基づき適正に判断したものであります。
 辺野古新基地建設阻止の実現に向け、今後とも全力で対応していく考えでありますので、県民の皆様のご理解とご協力をよろしくお願い致します。
                   平成30年8月31日
                     沖縄県副知事 謝花 喜一郎
(引用終わり)
琉球新報動画「沖縄県が埋め立て承認を撤回」(29分)
〇公有水面埋立承認取消通知書
 
(付記2 8月31日 玉城デニー予定候補者 事務所開き)
〇IWJ【沖縄県知事選】「翁長知事の遺志を継ぐ 玉城デニー 必勝事務所開き」 2018.8.31
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/最近の沖縄関連記事)
2018年7月27日
翁長雄志沖縄県知事が公有水面埋立承認の撤回に向けた意向を表明しました(2018年7月27日)
2018年8月9日
追悼・翁長雄志知事~(再配信)菅原文太さんからのメッセージ 沖縄へ、そして日本へ
2018年8月16日
「土砂投入を許さない!ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める8.11県民大会」と沖縄県民の意思