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シンポジウム「福島原発事故被害の賠償と回復~その現状と課題~」(2017年12月2日/日本弁護士連合会、日本環境会議)-報告書-のご紹介

 2018年9月12日配信(予定)のメルマガ金原No.3268を転載します。
 
シンポジウム「福島原発事故被害の賠償と回復~その現状と課題~」(2017年12月2日/日本弁護士連合会、日本環境会議)-報告書-のご紹介
 
 昨年(2017年)12月2日(土)午後1時~5時、東京都千代田区明治大学駿河台キャンパス・リバティタワー1021教室において、シンポジウム「福島原発事故被害の賠償と回復~その現状と課題~」(主催:日本弁護士連合会、共催:日本環境会議)が開かれました。

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 そのシンポジウムの報告書(発言文字起こし)が日弁連のホームページにアップされましたので、ご紹介します。
 
シンポジウム 福島原発事故被害の賠償と回復~その現状と課題~ ―報告書―(PDF43頁)
 
 どのような方が、どのような報告・発言をされたか、その概略を知っていただくため、報告書の目次を引用します。
 
(引用開始)
シンポジウム 福島原発事故被害の賠償と回復~その現状と課題~
<プログラム>
Ⅰ 開会挨拶
  日本弁護士連合会副会長 小野寺 友宏
Ⅱ 第1部(総論)
 報告1「訴訟の状況,判決の評価と課題」
  吉村 良一 氏(立命館大学大学院法務研究科教授)
 報告2「福島原発事故の被害の特性~『ふるさとの喪失』被害・再論~」
  除本 理史 氏(大阪市立大学大学院経営学研究科教授)
 報告3「ADRと訴訟における原発事故被災者損害論の現状と課題」
  二宮 淳悟 氏(弁護士・日弁連東日本大震災原子力発電所事故等対策本部委員)
 特別報告「原賠審指針の意義と限界」
  大谷 禎男 氏(弁護士,元裁判官,元原子力損害賠償紛争解決センター総括委員長,   元原子力損害賠償紛争審査会委員)
Ⅲ 第2部(各論)
 報告1「損害論の課題」
  潮見 佳男 氏(京都大学大学院法学研究科教授)
 報告2「慰謝料について」
  若林 三奈 氏(龍谷大学法学部法律学科教授)
 報告3「国の責任について」
  下山 憲治 氏(名古屋大学大学院法学研究科教授)
Ⅳ 閉会挨拶
 淡路 剛久 氏(日本環境会議名誉理事長,立教大学名誉教授)
(引用終わり)
 
 各報告者の発言の最も勘どころと思われる部分を引用しようかとも思ったのですが、それよりは、時間をかけてでも全部読んでいただくに如くはないと思い返し、引用は致しません。
 ただ、淡路剛久さんによる閉会挨拶のみ、このシンポジウムの成果を踏まえた今後への展望も語られていますので、引用したいと思います。
 私も、まだこの「報告書」を読み始めたばかりですが、是非しっかりと学びたいと思います。皆さまにもご一読をお勧めします。
 
(引用開始)
Ⅳ 閉会挨拶 淡路 剛久 氏(日本環境会議名誉理事長,立教大学名誉教授)
 御紹介いただきました淡路でございます。開会の挨拶は,日弁連からしていただきましたので,閉会の挨拶として,環境会議から御挨拶を申し上げたいと思います。
 今日は,私が想像していた以上にこれだけたくさんの方にお集まりいただいて,大変,驚いております。しかも,この議論の最後までここを立ち去らないで,議論に加わり,質
問していただき,また意見を述べていただいている姿を見て,時が経つにつれて,この福原発の事故の問題は危機感が強まっているのだなと思った次第でございます。
 日弁連と日本環境会議は,共催のシンポジウムを何回か開きました。最初は,多分,2013年6月のシンポジウムで,これは日弁連の人権擁護大会のプレシンポだったと思いますが,中川弁護士から批判がありましたけれども,日弁連も日本環境会議も人権と社会正義の実現を目指して何とか頑張ってきているのだろうと。
 法律家として,この時期にやらなければいけないテーマは,常に突き付けられてきたと思いますが,今日いろいろと議論いただきましたこの三つの判決を前にして,われわれが,
今まで主張してきた法律論や現場の実態,被害の実態を見てもらいたいと述べてきた,いろいろ実証してきた,証明をしてきた,そのことが裁判所にどのように伝わっているのか
と。裁判所に伝わっていても,裁判所としては,法律家として,やはり中間指針があり,従来の法律論があると,何らかでそこを飛び越えることが難しい,そのようなことがやはりあるのだろうなとつくづく思っているわけでございます。
 次第に明らかになりつつあることは,今日も御報告がありました中間指針,これは別にルールではない規範的な性質は無いのだと言いながら,実態的にはどうも規範化しているという御指摘が潮見先生からもありました。そのような壁がありますし,あと,御指摘いただいたような20mSvというような壁も徐々に行き渡ってきているようなところがあります。
 ただ,希望が無くはないわけで,どのような厚い壁であっても,どのような高い壁であっても,一挙にそれを壊すことができないかもしれませんが,少しずつ穴を開けていくことや,どこかの狭く低い所から乗り越えることもあるでしょう。
 そのためには,やはり大きくて戦略的な法律論の枠組みも必要ですし,個々のケースで,この点は勝ち取ったということを実践として得ていって,それを共有していくことも必要
ではないかと。
 これから来年の3月に,今日も御報告がありました判決が三つあって,その後も審理が進み,結審,判決と行く裁判がいろいろ出て来るかと思いますけれども,この三つの判決が出て,われわれ研究者や実務家も,今までの法律論について,本当に裁判所に通用するためにどのようなことを更にしていかなければならないかという,一つずつ姿が見えてきているところもあるわけです。
 そのような意味では,このシンポジウムあるいは日弁連の検討,日本環境会議での現場意見の検討は,一つのやはり新たな段階に入ったという認識をもって,これからも頑張っていきたいと,今日は拝聴して感じた次第であります。
 今日,御報告いただいたリポーターやスピーカーの皆さんには心よりお礼を申し上げます。被害者,被災者の皆さんには,たくさん御参加され,最後まで残っていただいたこと
に感謝を申し上げたいと思います。
 今日のシンポジウムは,日弁連の担当課で設営などをしていただいたのだろうと思いますが,お礼を申し上げたいと思います。
 また,会場を貸していただいた明治大学にもお礼を申し上げたいと思います。
 まとめはしないで,最後に閉会の挨拶とさせていただきます。今日は,どうもありがとうございました。
(引用終わり)