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安田浩一さんの「差別と『笑い』」を読み心から同意する~来週は和歌山市で講演とトークイベントに出演(2018年10月16日)

 2018年10月11日配信(予定)のメルマガ金原No.3297を転載します。
 
安田浩一さんの「差別と『笑い』」を読み心から同意する~来週は和歌山市で講演とトークイベントに出演(2018年10月16日)
 
 今日は、調べたいことがあって、「法学館憲法研究所」のWEBサイトを閲覧したのですが、たまたま「今週の一言」コーナーに、ジャーナリストの安田浩一さんの文章が掲載されていることに気がつきました。
 実は、今朝、Facebookに流れる情報の中で、安田浩一さんが10月16日(火)に和歌山市でお話されるという企画の案内を、しかも午後と夜の2つの企画についての案内を立て続けに読んだばかりだったので、偶然にしても驚きました。
 こうなれば、「3つまとめてブログでご紹介しようかな」と思いながら「今週の一言」を読み始めたのですが、読み進めるうちに、何度も「そのとおりだ」と胸のうちで賛同の言葉をつぶやいていました。
 その文章のタイトルは「「差別と『笑い』」です。外国人労働者の人権やネット差別の問題を追及してきた安田さんならではの視点から、差別の現場で普遍的に見られる「笑い」に焦点を当てています。正直、全ての言葉に同感しながら、胸が苦しくなってきます。
 それは、このように「笑い」と共に差別をまきちしながら、自らの尊厳も貶めている人たちと、対話するための言葉なども持ち得るのだろうか?という絶望的な疑問にとらわれたからでしょう。
 一部引用してご紹介しますが、是非ともリンク先で全文を熟読玩味してくださるようにお願いします。 
 
(抜粋引用開始)
法学館憲法研究所 今週の一言 2018年10月8日
差別と「笑い」  安田浩一さん(ジャーナリスト)
 
 背中の筋肉が強張った。怒りでからだが小さく震えた。保守的な視点で社会問題を扱うネットの情報番組を偶然、目にしたときのことだ。画面の中で、出席者たちが口を開けて大笑いしていた。いずれも世間的には"識者"と呼ばれる者たちだ。
 彼ら、彼女らはジャーナリスト・山口敬之氏からの準強姦被害を訴えた伊藤詩織さんを"ネタ"に盛り上がっていた。「枕営業」「出世のために言い寄ってくる」。そうした言葉で伊藤さんを批判するだけでなく、腹を抱えて笑う。
 スタジオには酒瓶が並べられていた。酒を飲みながらトークを交わすのがこの番組のスタイルなのだろう。そこではひとりの女性が受けた深刻な性被害も、場を盛り上げるための肴でしかない。グラスを片手にゲラゲラ。"事件"のおかげで有名になったのだから「枕営業は成功したんだよ」とゲラゲラ。
 なるほど、これが"保守"の姿なのだろう。人を見下し、突き放す。小ばかにして笑いのネタとする。醜悪極まりない光景に吐き気がした。いったい、何がそんなにおかしいのか。被害当事者を侮辱することが、そこまで面白いのか。ここでは「笑い」は暴力だ。人間を傷つけ、貶め、嘲るためだけに笑っている。ただただ、おぞましい。
(略)
 思えば、臆面もなく差別を振りまく右派・保守派は、いつも笑っている。取材現場で、このような「笑い」を幾度となく視界に収めてきた。
 いまなお定期的におこなわれているヘイトデモ(在日差別を扇動するためのデモ行進)もその典型だ。「死ね」「出ていけ」とあらん限りの罵倒を、差別と偏見に満ちた言葉を在日コリアンにぶつけながら、彼らはいつも笑っている。つい最近も都内でおこなわれたヘイトデモで、参加者は抗議する人々に向けてピースサインで応じていた。ヘラヘラと笑いながら高揚していた。隊列に加わる者たちは、人間の尊厳というものに何の関心も払わない。「笑い」は差別の道具として機能する。自身の尊厳すら奪っている。そう、参加者にとって他者を差別するのは単なる娯楽だ。
 沖縄で基地問題を取材しているときも同じだった。辺野古(名護市)では、米軍の新基地建設に反対して座り込む人々がいる。その多くは高齢者だ。そこに、差別主義者や右翼が押し掛ける。「じじい、ばばあ」と高齢者をバカにする者がいた。「年寄りばかりで臭いんだよ!」と、マイクでがなり立てる者がいた。「どうせオマエら、朝鮮人なんだろう」と怒鳴る者がいた。
 そのたびに"襲撃者"たちの間から笑い声が沸き上がる。黙って耐える高齢者を指さしながら「言い返せないのかよ」と言っては、また笑う。
 同様に「笑い」という暴力で沖縄の基地問題を「番組」として作りあげたのは、MX テレビなどが放映した『ニュース女子』だった。
 同番組では、座り込みする高齢者を「シルバー部隊」と揶揄し、「日当もらっている」「在日が関係している」「中国の影響を受けている」とデマを飛ばしながら、スタジオ出演者はやはり笑っていた。
 新基地建設に反対するために座り込みを続けているひとりが、私に訴えた。「デマを流していることが許せない。ろくに取材もしていないことが許せない。でも、何よりも許せないと思ったのは、地元の年寄りを笑いものにしていることです」
(略)
 右派、保守派を自称する人々に問いたい。なぜいつも、見下した笑いで人を貶めるのか。なぜいつも、口元をだらしなく緩めているのか。マイノリティも、沖縄も、笑われるために存在しているのではない。差別者の娯楽のために存在しているわけでもない。
 気に入らない者を発見し、そして叩いて吊るす──いま、日本社会ではこうした回路が幅を利かせている。ネットの影響も大きいことは間違いないだろう。
 だが、差別はいまに始まったものではない。路上で「死ね、殺せ」とはしゃぎまわる隊列を見るようになったのは今世紀に入ってからだが、日本社会はいまから95年前、関東大震災の混乱に乗じて、実際に朝鮮人を「殺し」てきた。朝鮮人である、という理由だけで殺戮をおこなってきたのだ。
 差別はリニューアルを重ね、いまという時代に到達しただけである。けっして新しい問題ではない。だからこそ、強い態度と覚悟で言い続けなければならない。差別や偏見を許してたまるか。弛緩しきった「笑い」で社会を壊すな。地域を壊すな。人間を壊すな。
(引用終わり)
 
 それでは、10月16日(火)の和歌山での2つの企画をご紹介します。
 午後の講演(和歌山市人権講座)も、夜のトークイベント(あの「本屋プラグ」で!)も、平日の企画ではありますが、とても興味深いですね。
 ご都合のつく方は是非参加されてはいかがでしょうか。
 
 まず最初は、午後に行われる「2018年度 和歌山市人権講座」です。以前なら、多分私の自宅にチラシが送られてきていたと思いますが、今年の6月で人権擁護委員の任期が満了したため、今日初めて、Facebook友達の松永久視子さんの投稿で知りました。
 主催する、和歌山市ホームページから開催案内を引用します。
 
(引用開始)
2018年度和歌山市人権講座
テーマ「日本のヘイトスピーチの現状」
 
参加無料(先着順・定員600人)
手話通訳、要約筆記有り
 
開催日 平成30年10月16日(火曜日)
開催時間 午後2時から午後3時30分まで
開催場所 和歌山市民会館 小ホール
 
講師 安田(やすだ)浩一(こういち)氏 〈ジャーナリスト〉
<プロフィール>
1964年生まれ。『週刊宝石』(光文社)、『サンデー毎日』(毎日新聞社)記者などを経て2001年よりフリーに。事件、人権、労働問題などを中心に取材・執筆活動を続けている。著書に『「右翼」の戦後史』(講談社)『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社)、『ヘイトスピーチ』(文藝春秋)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)など多数。
2011年、外国人労働者に関する一連の取材活動で貧困ジャーナリズム大賞受賞。
2012年『ネットと愛国』(講談社)で日本ジャーナリスト会議賞、講談社ノンフィクション賞を受賞。
2015年『G2』(講談社)掲載記事の『外国人隷属労働者』で大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)受賞。
 
問い合わせ
 和歌山市 人権同和施策課 電話 073‐435‐1058
 和歌山市教育委員会 生涯学習課 電話 073‐435‐1138
(引用終わり)
 
 そして、同じ16日(火)の午後7時半から、「新潮45」差別特集に抗議して、新潮社の出版物の取扱を中止したことで注目を集めた「本屋プラグ」において、安田浩一さんを招いてのトークライブが開かれます。
 「本屋プラグ」ホームページから引用します。
 
(引用開始)
本屋プラグトークイベント『2018年のジャーナリズム』
【ゲスト】安田浩一さん
【聞き手】嶋田詔太(本屋プラグ)
大宅壮一ノンフィクション賞をはじめ、その著作が多くの賞を受賞されている、ジャーナリストの安田浩一さんをお招きしてのトークイベントです。
 
本屋プラグが今、安田さんに尋ねてみたいこと。
インターネットを通じて、大手の新聞やテレビに限らず、誰もが情報の発信者=メディアとして影響力をもつことのできる時代。偏向やフェイク、ヘイトいった形容が、報道・評論等について回るようになった社会の中で、ジャーナリストを名乗り、仕事とすることは、一体どのような意味を持つのでしょうか。
ジャーナリストという仕事の実情から、近年、安田さんが主要なフィールドにされている人権問題の現場で、今、何が起きているのか(本屋プラグもその話題の一部となった新潮45の問題まで)、幅広くお話を伺いたいと思います。
 
【ゲストプロフィール】
安田 浩一(やすだ こういち)
1964 年生まれ。『週刊宝石』(光文社)、『サンデー毎日』(毎日新聞社)記者などを経て 2001 年よりフリーに。事件、人権、労働問題などを中心に取材・執筆活動を続けている。著書 に『「右翼」の戦後史』(講談社)『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社)、『ヘイト スピーチ』(文藝春秋)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)な ど多数。 2011 年、外国人労働者に関する一連の取材活動で貧困ジャーナリズム大賞受賞。 2012 年『ネットと愛国』(講談社)で日本ジャーナリスト会議賞、講談社ノンフィクショ ン賞を受賞。 2015 年『G2』(講談社)掲載記事の『外国人隷属労働者』で大宅壮一ノンフィクション賞 (雑誌部門)受賞。
 
【日時】2018年10月16日(火)OPEN:19:00 START:19:30
【参加費】¥1000+1ドリンクオーダー
【会場】本屋プラグ(和歌山市万町4)
※専用駐車場はありません。近隣のコインパーキングをご利用ください。
【定員】20名程度
【お申込】このページの参加ボタンを押すか、メッセージ・メール・電話・店頭で受け付けております。
 TEL/FAX 073-488-4775
 メール books.plug@gmail.com
 本屋プラグ(和歌山市万町4)※ぶらくり丁商店街入口を西に200m
(引用終わり)

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(弁護士・金原徹雄のブログから/安田浩一さん関連)
2017年5月19日
安田浩一さん講演「沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか」(たんぽぽ舎)を視聴する