wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

岡口基一裁判官に対する分限裁判・最高裁大法廷「決定」を読む

 2018年10月18日配信(予定)のメルマガ金原No.3304を転載します。
 
岡口基一裁判官に対する分限裁判・最高裁大法廷「決定」を読む
 
 昨日(10月17日)のブログで、速報としてお知らせした岡口基一裁判官(東京高等裁判所判事)の分限裁判について、最高裁判所大法廷が、岡口裁判官を「戒告する」との決定を行ったという件の、今日は続報です。
 
 まず、事案の概略をおさらいする意味で、メディアの報道を引用しておきます。
 
朝日新聞デジタル  2018年10月17日18時46分
岡口裁判官を最高裁が戒告処分 SNS発信での懲戒は初
(抜粋引用開始)
 ツイッターで裁判の当事者の感情を傷つけたとして懲戒を申し立てられた東京高裁の岡口基一裁判官(52)に対する「分限裁判」で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は17日、岡口氏を戒告処分とした。ツイッターに投稿した内容が、裁判所法が定める「品位を辱める行状」にあたると判断した。SNSでの発信を理由に裁判官が懲戒処分を受けるのは初めて。
(略)
 問題とされたのは5月のツイート。岡口氏は拾われた犬の所有権が元の飼い主と拾った人のどちらにあるかが争われた裁判をめぐり、「公園に放置された犬を保護したら、元の飼い主が名乗り出て『返して下さい』 え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しながら」などと投稿した。
 高裁は「揶揄(やゆ)するような表現で当事者を一方的に批判し、傷つけた」と判断し、7月に最高裁に懲戒を申し立てた。岡口氏は9月に開かれた分限裁判の審問手続きで「懲戒権を発動すれば表現の自由を侵害し、裁判官の独立をも脅かす」と反論していた。
(略)
(引用終わり)
 
毎日新聞 2018年10月17日 21時43分(最終更新 10月17日 22時36分)
不適切投稿 「最高裁決定にがくぜん」岡口裁判官が会見
(引用開始)
(略)
 岡口氏は17日夜に東京都内で記者会見し「最高裁は、あたかも私が『訴訟を起こしたこと自体がけしからん』と言っていると、高裁の申し立て理由にない事実認定をしている。がくぜんとした」と最高裁の決定を批判した。
 戒告処分は賞与に一部影響が出るが、裁判官の身分や基本的な待遇には影響しない。進退については「向こう(高裁)は最終的に(自ら)辞めさせるところまで持っていきたいのだろう。耐えられなくなったら辞める。若干辞めたいとも思っている」と話し、ネットでの発信は「15年以上やっており、同じようにやっていく」と述べた。
(略)
(引用終わり)
 
 昨日決定が出たばかりであり、とりあえず今日のところは、この分限裁判の意味を考えるための資料を集めてご紹介しておこうと思います。
 
 まずは、最高裁の決定そのものです。いずれ、裁判所のウエブサイトに全文が掲載されるだろうけれど、しばらく時間がかかるかもしれないので、「分限裁判の記録 岡口基一」にアップされた決定の写真を基に、ワープロで再入力することを覚悟したのですが、本文だけで7頁あり、いささかうんざりしていました。
 もっとも、今回の決定は、14名の裁判官(元東京高裁長官の戸倉三郎裁判官は長官在任中に岡口裁判官を厳重注意処分にしたので分限裁判は回避)全員一致だったからこの程度の分量の決定に収まったので、気合いを入れて反対意見を書く裁判官が1人でもいれば、もっと長い決定になったはずなのですが。
 それが、最高裁がすばやくこの決定を裁判所ウエブサイトの裁判例情報コーナーにアップしてくれたので、面倒な手間を省くことができたのは幸いでした。
 
 なお、この決定には、3人の裁判官(山本庸幸裁判官:元内閣法制局長官、林景一裁判官:元外交官、宮崎裕子裁判官:弁護士出身)による補足意見が付されています。もっともこの補足意見は、まるで、起訴されていない略式手続による罰金前科が悪質なので、起訴された事件自体はたいしたことのない事案だけれど、懲役の有罪判決にしておいた、という風に読めるのですけどね。こういう読み方はおかしいでしょうか、法曹の皆さんはどうお考えでしょう?
 
 今日は資料の収集にとどめるつもりでしたが、決定全文を読むとつい言いたくなってくるのですよね。上の補足意見についてもそうですが、問題のツイート(以下の決定の末尾ツイート目録記載2のツイートです)を素直に読んで、「私人である当該訴訟の原告が訴えを提起したことが不当であるとする一方的な評価を不特定多数の閲覧者に公然と伝えたものといえる。」とどうして言えるのかが根本的に解せません。上告審としての最高裁は法律審ですが、分限裁判では厳密な事実認定を行わなければならないはずで、その部分がそもそもおかしいと思います。
 
 何はともあれ、最高裁決定を全文引用します。
 
平成30年(分)第1号  裁判官に対する懲戒申立て事件
平成30年10月17日 最高裁判所大法廷  決定
判示事項  
1 裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」とは,職務上の行為であると,純然たる私的行為であるとを問わず,およそ裁判官に対する国民の信頼を損ね,又は裁判の公正を疑わせるような言動をいう
2 裁判官の職にあることが広く知られている状況の下で,判決が確定した担当外の民事訴訟事件に関し,インターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワーク上で投稿をした行為が,裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」に当たるとされた事例
決定全文
(引用開始)
平成30年(分)第1号 裁判官に対する懲戒申立て事件
平成30年10月17日 大法廷決定
                                主      文
            被申立人を戒告する。
                                理      由
1 本件に至る経緯
(1) 被申立人は,平成6年4月13日付けで判事補に,同16年4月13日付けで判事に任命され,同27年4月1日から東京高等裁判所判事の職にあり,民事事件を担当している者である。
(2) 被申立人は,水戸地方・家庭裁判所下妻支部判事であった平成26年4月23日頃,ツイッター(インターネットを利用してツイートと呼ばれる140文字以内のメッセージ等を投稿することができる情報ネットワーク)上の被申立人の実名が付された自己のアカウント(以下「本件アカウント」という。)において,裁判官に任命された者に交付される辞令書である官記の写真と共に,自己の裸体の写真や白いブリーフのみを着用した状態の写真等を今後も投稿する旨の別紙ツイート目録記載1の投稿をし,その後も,同28年3月までの間に,本件アカウントにおいて,縄で縛られた上半身裸の男性の写真を付したコメントをするなど2件の投稿をした。東京高等裁判所長官は,同年6月21日,被申立人に対し,上記3件の投稿は裁判官の品位と裁判所に対する国民の信頼を傷つける行為であるとして,下級裁判所事務処理規則21条に基づき,口頭による厳重注意をした。
(3) 被申立人は,平成29年12月13日頃,裁判官であることを他者から認識することができる状態で,本件アカウントにおいて,特定の性犯罪事件についての判決を閲覧することができる裁判所ウェブサイトのURL(利用者の求めに応じてインターネット上のウェブサイトを検索し,識別するための符号)と共に,「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男」,「そんな男に,無惨にも殺されてしまった17歳の女性」と記載した投稿をして,被害者遺族の感情を傷つけるなどした。東京高等裁判所長官は,平成30年3月15日,被申立人に対し,上記の行為は,裁判官として不適切であるとともに,裁判所に対する国民の信頼を損なうものであるとして,下級裁判所事務処理規則21条に基づき,書面による厳重注意をした。
 なお,被申立人は,上記投稿について東京高等裁判所長官から事情聴取を受けた際,遺族の方を傷つけて申し訳なかった,やってはいけないことをやってしまったという思いである,深く反省しているなどと述べていた。
2 懲戒の原因となる事実
 被申立人は,平成30年5月17日頃,本件アカウントにおいて,東京高等裁判所控訴審判決がされて確定した自己の担当外の事件である犬の返還請求等に関する民事訴訟についての報道記事を閲覧することができるウェブサイトにアクセスすることができるようにするとともに,別紙ツイート目録記載2の文言を記載した投稿(以下「本件ツイート」という。)をして,上記訴訟を提起して犬の返還請求が認められた当事者の感情を傷つけた。
 本件ツイートは,本件アカウントにおける投稿が裁判官である被申立人によるものであることが不特定多数の者に知られている状況の下で行われたものであった。
3 証拠
 上記1及び2の各事実は,①被申立人の履歴書,②東京高等裁判所事務局長作成の平成30年6月12日付け及び同年7月4日付け各報告書により,これを認める。
 なお,本件ツイートが裁判官によるものであると知られている状況の下で行われたことは,別紙ツイート目録記載1の投稿が被申立人の判事任命に係る官記の写真と共にされたことや,被申立人が平成30年2月頃,対談者の一方の表示を「裁判官岡口基一」とする対談本を紹介する投稿を本件アカウントにおいて行ったこと,前記1記載の各投稿及びこれに対する各厳重注意が裁判官による非違行為として実名で広く報道されたこと等から,明らかに認められる。
4 判断
(1) 裁判の公正,中立は,裁判ないしは裁判所に対する国民の信頼の基礎を成すものであり,裁判官は,公正,中立な審判者として裁判を行うことを職責とする者である。したがって,裁判官は,職務を遂行するに際してはもとより,職務を離れた私人としての生活においても,その職責と相いれないような行為をしてはならず,また,裁判所や裁判官に対する国民の信頼を傷つけることのないように,慎重に行動すべき義務を負っているものというべきである(最高裁平成13年(分)第3号同年3月30日大法廷決定・裁判集民事201号737頁参照)。
 裁判所法49条も,裁判官が上記の義務を負っていることを踏まえて,「品位を辱める行状」を懲戒事由として定めたものと解されるから,同条にいう「品位を辱める行状」とは,職務上の行為であると,純然たる私的行為であるとを問わず,およそ裁判官に対する国民の信頼を損ね,又は裁判の公正を疑わせるような言動をいうものと解するのが相当である。
(2) 前記2の事実によれば,被申立人は,本件アカウントにおける自己の投稿が裁判官によるものであることが不特定多数の者に知られている状況の下で,本件アカウントにおいて,公園に置き去りにされた犬を保護して育てていた者に対してその飼い主が返還等を求める訴訟を提起したことについて,この行動と相いれないものとして上記飼い主の過去の行動を指摘しつつ,揶揄するものともとれる表現を用いて驚きと疑問を示すとともに,上記飼い主による犬の返還請求を認めた判決が確定した旨を報ずる報道記事にアクセスすることができるようにした本件ツイートを行ったものである。そして,前記3②の証拠によれば,上記報道記事は専ら上記訴訟の被告側の視点に立って書かれたものであると認められるところ,本件ツイートには,上記飼い主が訴訟を提起するに至った事情を含む上記訴訟の事実関係や上記飼い主側の事情について言及するところはなく,上記飼い主の主張について被申立人がどのように検討したかに関しても何ら示されていない。また,別紙ツイート目録記載2のとおり,本件ツイートにおける上記驚きと疑問が,専ら上記訴訟の被告の言い分を要約して述べたにすぎないもの,あるいは上記報道記事の要約にすぎないものと理解されることとなるような記載はない上,上記報道記事にも本件ツイートで用いられたような表現は見当たらず,本件ツイートは,一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方とを基準とすれば,そのような訴訟を上記飼い主が提起すること自体が不当であると被申立人が考えていることを示すものと受け止めざるを得ないものである。現に,上記飼い主は,東京高等裁判所を訪れて,「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ? 3か月も放置しておきながら・・」との記載に傷つき,被申立人に抗議したいこと,本件ツイートの削除を求めること,裁判所としてこの問題にどのような対応をするのか知りたいこと等を述べ,本件ツイート削除後も,裁判所として被申立人を注意するよう述べたことが認められる(前記3②の証拠)。
 そうすると,被申立人は,裁判官の職にあることが広く知られている状況の下で,判決が確定した担当外の民事訴訟事件に関し,その内容を十分に検討した形跡を示さず,表面的な情報のみを掲げて,私人である当該訴訟の原告が訴えを提起したことが不当であるとする一方的な評価を不特定多数の閲覧者に公然と伝えたものといえる。被申立人のこのような行為は,裁判官が,その職務を行うについて,表面的かつ一方的な情報や理解のみに基づき予断をもって判断をするのではないかという疑念を国民に与えるとともに,上記原告が訴訟を提起したことを揶揄するものともとれるその表現振りとあいまって,裁判を受ける権利を保障された私人である上記原告の訴訟提起行為を一方的に不当とする認識ないし評価を示すことで,当該原告の感情を傷つけるものであり,裁判官に対する国民の信頼を損ね,また裁判の公正を疑わせるものでもあるといわざるを得ない。
 したがって,被申立人の上記行為は,裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」に当たるというべきである。
 なお,憲法上の表現の自由の保障は裁判官にも及び,裁判官も一市民としてその自由を有することは当然であるが,被申立人の上記行為は,表現の自由として裁判官に許容される限度を逸脱したものといわざるを得ないものであって,これが懲戒の対象となることは明らかである。また,そうである以上,本件申立てが,被申立人にツイッターにおける投稿をやめさせる手段として,あるいは被申立人がツイッターにおける投稿をやめることを誓約しなかったことを理由にされた不当なものということはできない。
 そして,被申立人は,本件ツイートを行う以前に,本件アカウントにおける投稿によって裁判官の品位と裁判所に対する国民の信頼を傷つけたなどとして2度にわたる厳重注意を受けており,取り分け2度目の厳重注意は,訴訟に関係した私人の感情を傷つけるものである点で本件と類似する行為に対するものであった上,本件ツイートの僅か2か月前であったこと,当該厳重注意を受ける前の事情聴取の際,被申立人は,訴訟の関係者を傷つけたことについて深く反省しているなどと述べていたことにも照らすと,そのような経緯があるにもかかわらず,本件ツイートに及んだ被申立人の行為は,強く非難されるべきものというほかない。
 よって,裁判官分限法2条の規定により被申立人を戒告することとし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。なお,裁判官山本庸幸,同林景一,同宮崎裕子の補足意見がある。
 裁判官山本庸幸,同林景一,同宮崎裕子の補足意見は,次のとおりである。
 私たちは,法廷意見に賛同するものであるが,それは,次のような考え方によるものである。
1 本件において懲戒の原因とされた事実は,ツイッターの本件アカウントにおける投稿が裁判官である被申立人によるものであることが不特定多数の者に知られている状況の下で,本件で取り上げられた訴訟につき,主として当該訴訟の被告側の主張を紹介する報道記事にアクセスすることができるようにするとともに,揶揄するような表現で間接的に当該訴訟の原告の提訴行為を非難し,原告の感情を傷つけたというものであって,このような行為は,公正中立を旨とすべき裁判官として,不適切かつ軽率な行為であると考える次第である。被申立人は,本件ツイートは,報道記事を要約しただけのものであって原告の感情を傷つけるものではないなどと主張しているが,本件ツイートのアクセス先の報道記事全体が主として被告側の主張を紹介するものであることは文面から容易に読み取れるため,それについて本件ツイートのような表現でツイートをすれば,現役裁判官が原告の提訴行為を揶揄している投稿であると受け止められてもやむを得ないというべきである。
2 しかも被申立人は,本件に先立つ2年余りの間に,本件アカウントにおいて行ったいくつかの投稿の内容につき,東京高等裁判所長官から,2度にわたって,裁判官の品位と裁判所に対する国民の信頼を傷つける行為であるなどとして,口頭又は書面による厳重注意を受けている。
 中でも,2度目の厳重注意を受けた投稿は,特定の性犯罪に係る刑事訴訟事件の判決について行ったもので,本件ツイート以上に明白かつ著しく訴訟関係者(被害者遺族)の感情を傷つけるものであった。その意味で,私たちは,これは本件ツイートよりも悪質であって,裁判官として全くもって不適切であり,裁判所に対する国民の信頼をいたく傷つける行為であるとして,それ自体で懲戒に値するものではなかったかとも考えるものである。しかしながら,これに関する東京高等裁判所長官による事情聴取に対して,被申立人は,「遺族の方を傷つけて申し訳なかった・・・深く反省している。」と申し述べていたことからして,おそらく当時の東京高等裁判所長官としては,この反省を踏まえて,あえて厳重注意にとどめたのではないかと推察する次第である。
3 このような経緯を踏まえれば,本件アカウントにおいて,この2度目の厳重注意から僅か2か月余りしか経過していない時に,やはり特定の訴訟について訴訟関係者の感情を傷つける投稿を再び行ったということには,もはや宥恕の余地はないものといわざるを得ない。本件ツイートと2度目の厳重注意事案との悪質性の比較は措くとしても,懲戒処分相当性の判断に当たり,本件ツイートは,いわば「the last straw」(ラクダの背に限度いっぱいの荷が載せられているときは,麦わら一本積み増しても,重みに耐えかねて背中が折れてしまうという話から,限界を超えさせるものの例え)ともいうべきものであろう。
4 なお,被申立人は,厳重注意措置の対象となった過去の投稿に係る一事不再理を主張する。しかしながら,本件の処分理由は,過去の行為そのものを蒸し返して再度問題にするものではない。そうではなくて,過去2回受けた厳重注意と,特に,2度目の厳重注意を受けた際の反省の弁にもかかわらず,僅か2か月余りが経過したばかりで同種同様の行為を再び行ったことを問題としているものである。
5 ちなみに,現役裁判官が,ツイッターにせよ何にせよ,SNSその他の表現手段によってその思うところを表現することは,憲法の保障する表現の自由によって保護されるべきであることは,いうまでもない。しかしながら,裁判官はその職責上,品位を保持し,裁判については公正中立の立場で臨むことなどによって,国民の信頼を得ることが何よりも求められている。本件のように,裁判官であることが広く知られている状況の下で表現行為を行う場合には,そのような国民の信頼を損なうものとならないよう,その内容,表現の選択において,取り分け自己を律するべきであると考える。
 そして,そのような意味での一定の節度あるいは限度というものはあるものの,裁判官も,一国民として自由な表現を行うということ自体は制限されていないのであるから,本件のような事例によって一国民としての裁判官の発信が無用に萎縮することのないように,念のため申し添える次第である。
(裁判長裁判官 大谷直人 裁判官 岡部喜代子 裁判官 鬼丸かおる 裁判官 山本庸幸 裁判官 山﨑敏充 裁判官 池上政幸 裁判官 小池 裕 裁判官 木澤克之 裁判官 菅野博之 裁判官 山口 厚 裁判官 林 景一 裁判官 宮崎裕子 裁判官 深山卓也 裁判官 三浦 守)
(別紙)
                                   ツイート目録
1 判事任命の官記の写真1枚と共に,「俺が再任されたことを,内閣の人が,習字で書いてくれたよ。これを励みにして,これからも,エロエロツイートとか頑張るね。自分の裸写真とか,白ブリーフ一丁写真とかも,どんどんアップしますね。」などと記載したツイート
2 公園に放置されていた犬を保護し育てていたら,3か月くらい経って,
  もとの飼い主が名乗り出てきて,「返して下さい」
  え?あなた?この犬を捨てたんでしょ? 3か月も放置しておきながら・・
  裁判の結果は・・
(引用終わり)
 
 以上の決定で引用されている最高裁平成13年(分)第3号同年3月30日大法廷決定というのは以下から全文を読むことができます。該当箇所を引用しておきます。
(引用開始)
裁判の公正,中立は,裁判ないしは裁判所に対する国民の信頼の基礎を成すものであり,裁判官は,公正,中立な審判者として裁判を行うことを職責とする者である。したがって,裁判官は,職務を遂行するに際してはもとより,職務を離れた私人としての生活においても,その職責と相いれないような行為をしてはならず,また,裁判所や裁判官に対する国民の信頼を傷つけることのないように,慎重に行動すべき義務を負っているものというべきである。
(引用終わり)
 
 以下には、この問題を考える上で有益と思われるサイトをご紹介しておきます。私の目に付いたものですから、分限裁判に批判的な主張に偏っているのは当然なので、ご了解願います。
 
◎分限裁判の記録 岡口基一 
 東京高裁から最高裁への「懲戒申立書」からはじまって、最高裁に提出した主張書面や学者・弁護士による意見書などが全て公開されています。
 裁判官分限裁判の記録が、これだけ即時的に公衆の目に触れるのは前代未聞のことでしょう。そうなったいきさつについて、岡口裁判官は以下のように説明しています。
 
分限裁判の情報の公開について 2018-08-18
(引用開始)
私は,今年の6月13日に,自身の分限裁判の開始を知りましたが,
そのことについては,一切,ツイッター等では明らかにしない意向でした。
それは,当該事件の当事者の方に配慮してのことでした。
ところが,私は,夏期休暇中の7月23日の新聞及びテレビを見て,大変に驚きました。
裁判所当局が,私の了解もなく,本来非公開である私の分限事件について,マスコミにリークしてしまったのみならず,
その対象となる行為が,当該事件についてのツイートであることまで明らかにしてしまったのです(ツイートの内容までは公表しないこともできたと思われます)。
そのため,私も,当事者に配慮して自身の分限裁判を秘匿する必要がなくなったため,情報の公開に踏み切ったという経緯です。
すでに,全国の多くの方が,この情報を知ってしまっているからです。
(引用終わり)
 
◎岡口裁判官がリツイートした(多分)と思われるサイト
 問題の岡口裁判官のツイート自体、今は削除されているので確認のしようがないのですが、同裁判官がリツイートした報道記事というのは、アップされた日付(2018年5月16日)や記事の内容から考えて、多分これではないかと思われます。この記事を掲載した「sippo」というウエブサイトは、朝日新聞が運営するサイトであり、この署名記事を書いたのも朝日新聞の記者です。
〇「放置された犬を保護して飼育 3カ月後に返還要求、裁判に発展」 太田匡彦
 
弁護団メンバーによる解説記事
 この分限裁判については、岡口裁判官の同期(司法修習46期)の弁護士18名によって弁護団が結成されたようですが、メンバー伊藤和子弁護士や小倉秀夫弁護士が、とても分かりやすい解説記事を発表されています。
伊藤和子弁護士「ツイッターで懲戒が許されるのか? 岡口裁判官の分限裁判で報道されなかった論点とは。」
小倉秀夫弁護士「岡口判事の分限裁判について」
 
有識者(学者・弁護士)による意見書
  「分限裁判の記録 岡口基一」に逐一掲載された学者・弁護士による意見書です。
〇木村草太首都大学東京教授(憲法)の意見書(2018年9月10日付)
海渡雄一弁護士の意見書(2018年9月11日付)
海渡雄一弁護士の意見書(2)(2018年9月25日付)
〇毛利透京都大学大学院法学研究科教授の意見書(2018年9月21日付)
金尚均(キムサンギュン)龍谷大学教授の意見書(2018年9月23日付)
〇木下昌彦神戸大学大学院法学研究科准教授の意見書(2018年9月25日付)
〇志田陽子武蔵野美術大学教授の意見書(2018年9月25日付)
 
岡口基一裁判官及び弁護団による記者会見動画
〇【ノーカット】岡口基一裁判官、司法記者クラブ会見(2018.9.11)(57分)
※2018年9月11日に最高裁で開かれた審問のあと、司法記者クラブで開かれた記者会見の模様全編。
〇【ノーカット】岡口基一裁判官、司法記者クラブ会見(2018.10.17)(48分)
最高裁判所が2018年10月17日に戒告処分を決定した当日、司法記者クラブで行われた記者会見の模様全編。
 
◎猪野亨(いのとおる)弁護士(札幌弁護士会)の意見(10月18日)
岡口基一裁判官に対する最高裁による不当処分 裁判官に対する官僚統制 反対意見の1つも出ない最高裁まで統制されている
〇岡口判事裁判官への戒告処分は裁判官の権威を振りかざすための統制
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/岡口基一裁判官分限裁判関連)
2018年10月2日
「裁判官にも「つぶやく自由」はある 裁判官の表現の自由の尊重を求める弁護士共同アピール」への賛同のお願い~弁護士限定ですが
2018年10月17日
日本ペンクラブ言論表現委員会シンポジウム「『憲法表現の自由』の現在と未来」(2018年10月16日)動画のご紹介