2018年10月28日配信(予定)のメルマガ金原No.3314を転載します。
早ければその日のうちにインターネットで講演動画が配信されるようになったのは、いつ頃からのことでしょうか?YouTubeによるサービス開始が2005年のことですから、その後であることは間違いありませんが。
YouTubeへの投稿は、たしか最初のうちは1本10分以内という時間制限があったように記憶します。フリージャーナリストの岩上安身さんによるインタビュー動画なども、最初のうちは、何本にも分割してアップされていたのを視聴した記憶があり、とても講演の全編動画を気軽に視聴できるような状況ではありませんでした。
その頃の名残は、たとえば以下のサイトなどで確認できます。
「九条の会」の活動を映像に記録することを目的の1つとして設立された「映像ドキュメント.com」が、2006年12月8日に東京大学駒場キャンパス(900番教室)で開かれた加藤周一さん(「九条の会」呼びかけ人)の講演会「老人と学生の未来-戦争か平和か」を映像に収録し、翌年1月にWEB配信しました。WMVファイルと併せ、YouTube版もアップされたのですが、こちらの方は10分以内の細切れの映像の連続です(連続視聴は可能ですが)。第1部の講演部分が7分割、第2部の質疑応答が6分割となっています。当時はこれが普通であった訳です。
正直、わずらわしいことはわずらわしいのですが、2008年12月にお亡くなりになった加藤周一さんや、2010年4月に亡くなられた、同じく「九条の会」呼びかけ人であった井上ひさしさんらのまとまった講演動画はほとんどなく、映像ドキュメントに残された動画はとても貴重なものです。
さて、以上の少し長めのまくらの後、今日ご紹介するのは、一昨日の夜(10月26日)、東京の大田区民ホール・アプリコで開かれた前川喜平氏講演会「向かう道は自分で決めよう!」(主催:はじめの一歩実行委員会)です。
前川喜平さんといえば、今年の4月27日、寺脇研さんとともに、青年法律家協会和歌山支部主催の「憲法記念の夕べ」にお招きして講演をお願いしたところ、約1500人の聴衆が詰めかけるという、青法協和歌山支部にとって空前絶後の大成功を収めたことは、このブログでもご紹介したとおりです。
惜しむらくは、マイクの音量設定レベルが低過ぎたからか、収録された動画の、とりわけ前川さんの発言部分が聴き取りにくいのが残念でした。
来年1月19日(土)に、同じ会場(和歌山県民文化会館大ホール)での大型企画に小林節さん(慶應義塾大学名誉教授、弁護士)をメインゲストにお招きする予定なのですが、会館のスタッフと、マイクの音量を含めた密接な事前打合せを行う必要があるでしょうね。
一昨日の前川さん講演会については、「なにぬねノンちゃんねる」さん(こちらは第1部の前川さん講演会の映像だけがとりあえずアップされています)と「UPLAN」さん(こちらは第2部、那須りえ大田区議との対談も収録)という2つのYouTubeチャンネルが動画をアップしてくださっていますので、両方ご紹介しておきます。
第2部は「UPLAN」の方でご覧いただくとして、第1部の前川さん講演部分は「なにぬねノンちゃんねる」を推奨します。とてもクリアに前川さんの発言が収録されていて、引き込まれます。
私は、この講演部分を聴いてみて、あらためて、前川さんの文部官僚としてのバックボーンは旧教育基本法にあったのだなということがよく分かりました。
これに目を通された上で前川さんの講演を聴けば、さらに理解が深まることは間違いないでしょう。
なお、前川さんが講演の中で言及されている「臨時教育審議会のパラドックス」については、前川さんが立憲デモクラシー講座の講師として登壇された回を紹介した私のブログをご参照ください(「立憲デモクラシー講座・第Ⅲ期」第6回・前川喜平氏(前文部科学事務次官)「教育改革における「個人」と「国家」~臨時教育審議会のパラドックス~」のご紹介/2018年7月4日)。
それでは、10月26日に行われた前川喜平さんの講演動画をご紹介します。
なにぬねノンちゃんねる「20181026 前川喜平さん講演会」(1時間08分)
20181026 UPLAN 前川喜平さん講演会第二弾「どこに踏み出すはじめの一歩」&奈須りえさんとの対談(1時間58分)
冒頭~ 岩井京子さん 開会挨拶
3分~ 前川喜平さん 基調講演「向かう道は自分で決めよう!」
昭和22年教育基本法制定時の条文
(引用開始)
昭和二十二年三月三十一日 法律第二十五号
われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。
第一条(教育の目的) 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
第二条(教育の方針) 教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によつて、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。
第三条(教育の機会均等) すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであつて、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によつて、教育上差別されない。
2 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によつて修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。
第四条(義務教育) 国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
2 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。
第五条(男女共学) 男女は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであつて、教育上男女の共学は、認められなければならない。
第六条(学校教育) 法律に定める学校は、公の性質をもつものであつて、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
2 法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。
第七条(社会教育) 家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によつて奨励されなければならない。
2 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によつて教育の目的の実現に努めなければならない。
第八条(政治教育) 良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。
2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
第九条(宗教教育) 宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。
2 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
第十条(教育行政) 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。
2 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。
第十一条(補則) この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。
附則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
-- 登録:平成21年以前 --
(引用終わり)
(参考動画)
昨日の前川喜平氏講演会は、「はじめの一歩 第2弾」と銘打って行われました。その間の事情をイベント情報サイトから引用します。
(引用開始)
今年4月に開催した「はじめの一歩を踏み出す勇気」講演会、前川喜平さん、寺脇研さん、望月衣塑子さんの大人気お三方をお招きしての講演会は、それはそれは大盛況でした。会場に入れずに泣く泣くお引き取りいただいた方もたくさんいらっしゃいました。
はじめの一歩第2弾を企画するにあたり、前回のようなことがないように、とにかく広い会場を確保することを念頭におき、その限られた時間で来場者の皆さんに「今日はじっくりと中身の濃い話を聞くことができてよかった」と言っていただけるような企画を立てました。
(引用終わり)
ということで、2018年4月12日に行われた前川・寺脇・望月講演会の動画もサービスで(?)ご紹介しておきます。ここでも、講演部分だけなら「なにぬねノンちゃんねる」推奨です。
冒頭~ 前川喜平さん 講演
32分~ 寺脇 研さん 講演
56分~ 望月衣塑子さん 講演
冒頭~ 岩井京子さん 開会挨拶
5分~ 前川喜平さん 講演
37分~ 寺脇 研さん 講演
1時間02分~ 望月衣塑子講演 講演
1時間29分~ 前川喜平さん・寺脇 研さん・望月衣塑子さん
(弁護士・金原徹雄のブログから/前川喜平氏関連)
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