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『子ども白書2018「子どもを大切にする国」をめざして』(日本子どもを守る会編)のご紹介

 2018年11月16日配信(予定)のメルマガ金原No.3333を転載します。
 
『子ども白書2018「子どもを大切にする国」をめざして』(日本子どもを守る会編)のご紹介
 
 今日は、1冊の書籍をご紹介しようと思うのですが、奥書に記載された発行日は「2018年8月15日」、出版社から私の事務所にこの本が届いたのが7月末でしたから、時期遅れもよいところです。
 しかも、これが単発の書籍ならともかく、毎年刊行されている一種の「年鑑」なので、うっかりすると次年版の編集作業がもう始まっているかもしれません。ということで、まことに遅ればせながらではありますが、ブログでご紹介することにしました。
 なぜ、かくも遅くなったかたといえば、せめて収載された論考の半分以上は読んだ上で紹介しよう、という殊勝な心掛けであったのがかえってあだになったという次第です。つまり、日々の雑用に追われ、なかなか本をじっくりと読む時間が作れなかったということで、読まなければと思いながら積み上げてある本は増える一方です。このままでは、いつになったら紹介できるか分かりませんので、読んだ上での感想を披瀝するのはあきらめ、ともかく、内容の概略でもご紹介しようと決意しました。
 
 以下に、その書籍の書誌データを記載しておきます。
 
書名:子ども白書2018 「子どもを大切にする国」をめざして
編集:日本子どもを守る会
出版年月日:2018年8月15日(初版第1刷)
発行所:株式会社本の泉社
版型・頁数:B5判 192ページ 並製 グラビア年表付
定価:2,000円+税
※発行所(本の泉社)ホームページの書籍案内
※Amazonn該当ページ

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 カバー折り返しに書かれた●編者紹介と●会の歴史と活動を引用しておきます。
 
(引用開始)
●編者紹介
日本子どもを守る会
 日本子ども守る会は、1952年5月17日に誕生しました。「児童は人として尊ばれる」とうたった児童憲章が制定された翌年のことです。
 当時は朝鮮戦争の最中。米軍の前線基地となっていた日本の子どもたちは、その生活・教育・文化・福祉・健康・環境のすべてにわたって、児童憲章が踏みにじられる状況下にありました。
この現実を黙視できないと、親や教師はもちろん、学生・研究者・専門家・地域活動家・市民団体・文化団体・労働組合など広範な顔ぶれの人々が結集し、思想・信条のちがいをこえて、子どもの人権と平和を守る国民的な運動をすすめてきました。
 1989年、国連総会は「子どもの権利条約」を採択し、21世紀を「子どもの世紀」にすることを目指して壮大で国際的な取り組みを進めています。日本子どもを守る会は、日本における子どもの権利の水準を向上させるために、子どもの意見を聞きながら、子どもの権利条約の具体化を進めています。
●会の歴史と活動
1951年 児童憲章制定
1952年 日本子ども守る会結成(初代会長 長田 新)
1961年 羽仁説子、第2代会長に就任
1964年 『子ども白書』創刊
1988年 大田 堯、第3代会長に就任
1989年 国連総会、子どもの権利条約採択(94年5月 日本が批准)
2002年 日本子ども守る会50周年(50年誌『花には太陽を子どもには平和を』刊行)
2012年 日本子どもを守る会結成60周年記念集会(60年誌『子どもの尊さ』part2発行)
(引用終わり)   
 
 ところで、なぜこの『子ども白書2018』が、発行日前の7月末に版元(本の泉社)から私の事務所に届いたのかというと、実は私も執筆者の一人であったからです。「ことしの子ども最前線」というコーナーに掲載された5つの論考の1編として、「家庭教育支援条例のある「まち」に住んで」という文章を書かせていただきました。
 今年の4月はじめ、「日本子どもを守る会」の増山均先生から、「家庭教育支援法と家庭教育支援条例の動向について(仮)」というテーマで、6500~6700字の原稿を書いてもらえないか、というご依頼をいただきました。
 「なぜ私なのか?」という疑問が頭をよぎったことは言うまでもありませんが、和歌山市家庭教育支援条例や条例制定記念講演会の聴講記などをブログに書いていましたので、それを目に留めてくださった上でのご依頼のようでした。
 私としては、その任でないことは重々承知の上で、「これまでに書いたブログのツギハギ程度のものにしかならないと思われます」が、「もしもその程度のものでも良いということであれば、はなはだ力不足で申し訳ありませんが、執筆をお引き受け致します。」とメールで返信してしまったのが運の尽きでした。
 「ブログのツギハギ」といっても、それなりの取捨選択は必要で、さらには1編の論考としてのまとまりをつける必要もあるのですから、締切間際にはかなりの時間をとられました。まあ結局は、「ブログのツギハギ」を超えるものにはなりませんでしたけど。
 「子ども白書2018」に掲載していただいた「家庭教育支援条例のある「まち」に住んで」(同タイトルのブログも書いていますが、その文章の一部も使いつつ、新たに書き直したものです)は、2019年になって、そろそろ「子ども白書2019」に関心が向かうようになった頃を見計らい、私のブログにも掲載させていただこうと思っています。
 
 以下に、「子ども白書2018」の目次を転記します。これによって、2018年の「子ども白書」の内容を想像していただけることと思います。
 
(目次から引用開始)
〈グラビア〉年表(子ども生活関連年表/別刷)
〈巻頭言〉良心の自由を守れ!-こころの中までは誰にも決められない/増山 均
発刊にあたって/森本 扶
 
〈特集〉型にはめたい大人たち~「人づくり革命」「働き方改革」に未来はあるか~
解題/森本 扶
安倍政権の“教育革命”-二段階で進行する統制強化-/本田由紀
「人づくり革命」幼児教育無償化策の問題点と評価/垣内国光
働き方改革」と若年労働者-働き方を変える主体は誰か-/上西充子
インタビュー ひとはつくるものではなく、ひとなるもの/大田 堯
座談会 ROCKET 座談会「学校って何?! 努力って何?! 私たちはどう生きるか?! ~“型にはまらない子どもたち”の本音~
〈ことしの子ども最前線〉
子どもの権利条約第4・5回政府報告書に対する市民NGO報告書を読む/世取山洋介
【資料】日本政府第4・5回定期報告に関する質問リスト
学校教育における「スタンダード」の浸透とその影響-授業スタンダードを中心に-/村上祐介
家庭教育支援条例のある「まち」に住んで/金原徹雄
「新しい社会的養育ビジョン」と「育ちあう養護」の課題/遠藤由美
家庭のなかの貧困 奪われる子ども、引き受ける子ども 沖縄での若年出産女性の聞き取り調査から/上田真弓
 
〈震災後を生きる子どもたち〉
この1年 東日本大震災熊本地震と子ども支援/吉川恭平
教育シンポジウムin石巻 開催報告/教育シンポジウム石巻実行委員会
災害と子ども支援-気候変動の時代と子どもの権利保障-/安部芳絵
被災地で「子どもたちの遊び場」作り/瀧田 希
トピック 高校生がバイヤー、地元の魅力と想いを市外に発信!高校生百貨店/加藤くるみ
 
〈子どもをめぐるこの1年〉
-いのちと健康-
この1年 子どものからだと生活からみたこの一年/安倍大輔
トピック 子どもに忍び寄るエネジードリンクの恐怖/野井真吾
東京オリンピックパラリンピックの光と影/内海和雄
子どもの便秘とトイレ環境/加藤 篤
性の多様性と子どもをめぐる課題/渡辺大
-医療-
この1年 拡大する「医療の守備範囲」/内海裕美
トピック 今、学校で始まる「がん教育」/林 和彦
医療ケアの必要な子どもたち/前田浩利
「子どもの死亡事例全数検証制度(CDR)」によって子どもの予防可能死を減らす/山田不二子
小児科医からみた要対協の現状と課題/栗山智之
-家庭-
この1年 家族・家庭のあり方と子育て力の創造/増山 均
トピック 「菜園家族の思想」を読み解いて/田名部周伍
子育て支援・家庭教育政策の動向と親の「第一義的責任」/望月 彰
子どもの現実と「親」支援/吉田のり子
精神疾患の親と暮らす子どもの問題/横山恵子
-福祉-
この1年 子どもの生活問題の深刻化と社会福祉-福祉の公的責任と共に在る福祉実践-/義基佑正
トピック 児童館は「なにもしなくていい」が認められる場所なんです/中村興史
子どもの貧困対策の現状と課題/中嶋哲彦
生活保護制度改悪と子どもの生活問題への影響/加美嘉史
深刻化する子どもの生活実態とスクールソーシャルワークの果たす役割/山田恵子
障害のある子どもたちの放課後保障と放課後等デイサービスの課題/黒田 学
-司法-
この1年 子どもの「時間」と子どもの権利/佐々木光明
トピック 非行相談の空洞化?~非行少年の伴走者としての児童相談所を問い直す~/遠藤洋二
「刑罰改革」と少年法の適用年齢引下げの関係について/山下幸夫
非行の問題をかかえた子どもの未来/野田詠氏
少年法適用年齢の引下げに関する法制審議の現状と問題点/伊藤由起夫
-学校-
この1年 新しい管理主義?-ブラック校則、スタンダード、ゼロトレランス/田沼 朗トピック 福井県議会の「教育行政の根本的見直しを求める意見書」/鈴木ひかり
指導死を招くゼロトレランス大貫隆
「学校における働き方改革」の問題点/勝野正章
高等学校学習指導要領の改訂とその特徴-教科・特別活動・総合的な探求の時間を通じて主権者としての学びを-/櫻井 歓
-地域-
この1年 地域の「日常」と「非日常」を支えるもの/阿比留久美
トピック 総合的な学習「地域交流」と生徒の育ちなおし/松澤仁志
民生委員・児童委員による地域の子ども・子育て家庭支援活動/高橋久雄
地域組織としてのPTA再考-親が学校を通じて地域とかかわるということ/大塚玲子
大学生が本気で考え実践する子どもの放課後/深作拓郎
-文化-
この1年 大人と子どもの真の関係性が問われている/片岡 輝
トピック ポケモンポケットモンスター)はどこへ?/齋藤史夫
おもちゃを手に、ジェンダーの壁を越える子どもたち/黒澤千春
変化する児童書界で/市川久美子
教育音楽に携わる者の使命と覚悟~童謡生誕100年を迎えた今~/若松 歓
-メディア-
この1年 ますます深刻になるネット・ゲーム依存~WHO「ゲーム依存」疾病指定へ~/成田弘子
トピック WHO「ネットゲーム依存」疾病指定~今やらなくてはいけないこと~/笠松直美
社会学の視点から見る「ネット依存」/伊藤賢一
メディアと子どもの眠り 睡眠不足は前頭前脳の機能を低下させる/神山 潤
久里浜医療センターから見える「ネット依存」の実態/三原聡子
-環境-
この1年 子どもたちの未来へ残すのはゴミ?/野田 恵
トピック 獣害被害とけもかわproject/井野春香
暮らしのごみが海を汚す-プラスチックによる海洋汚染/小島あずさ
辺野古の海とジュゴン~未来に何を遺すのか/志村智子
人口減少社会の教育はどうあるべきか/荻原 彰
 
第66回 日本子どもを守る会総会アピール
資料(児童憲章全文)
編集後記
(引用終わり)
 
 私の原稿はともかくとして、子どもをめぐる最新の状況を概観するために、とても有用な年鑑だと思います。
 是非一度手に取られてお読みになることをお薦めします。
 また、近くの図書館に行かれる機会があれば、探してみられてはいかがでしょうか。もしもなければ、是非購入図書として「リクエスト」してみてください。
 
 最後に、「子ども白書2018」の末尾にも掲載されている「児童憲章」全文をここでも引用しておきましょう。
 
児童憲章
(引用開始) 
制定日:昭和26年5月5日
制定者:児童憲章制定会議(内閣総理大臣により招集。国民各層・各界の代表で構成。)
 
われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。
 
児童は、人として尊ばれる。
児童は、社会の一員として重んぜられる。
児童は、よい環境の中で育てられる。
 
一 すべての児童は、心身ともに健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される。
二 すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもつて育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。
三 すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、また、疾病と災害からまもられる。
四 すべての児童は、個性と能力に応じて教育され、社会の一員としての責任を自主的に果たすように、みちびかれる。
五 すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶように、みちびかれ、また、道徳的心情がつちかわれる。
六 すべての児童は、就学のみちを確保され、また、十分に整つた教育の施設を用意される。
七 すべての児童は、職業指導を受ける機会が与えられる。
八 すべての児童は、その労働において、心身の発育が阻害されず、教育を受ける機会が失われず、また、児童としての生活がさまたげられないように、十分に保護される。
九 すべての児童は、よい遊び場と文化財を用意され、悪い環境からまもられる。
十 すべての児童は、虐待・酷使・放任その他不当な取扱からまもられる。あやまちをおかした児童は、適切に保護指導される。
十一 すべての児童は、身体が不自由な場合、または精神の機能が不充分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる。
十二 すべての児童は、愛とまことによつて結ばれ、よい国民として人類の平和と文化に貢献するように、みちびかれる。 
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/家庭教育支援関連)
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ルビ付き原文と超訳で読む「戦時家庭教育指導要項」(1942年5月) 前編
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ルビ付き原文と超訳で読む「戦時家庭教育指導要項」(1942年5月) 中編
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ルビ付き原文と超訳で読む「戦時家庭教育指導要項」(1942年5月) 後編
2017年8月6日
ルビ付き原文と超訳で読む「戦時家庭教育指導要項」(1942年5月) 統合版